正しい Word of Command の使い方

●  Word of Command とは?(基礎編)

 この記事のタイトルを見て「なんて あいせん は無謀な事を・・・」と思われたヴィンテージ・プレイヤーは多いはずです。それはなぜかと言うと、その位 Word of Command(AL-UL) はルール的に難しいカードだからです。その能力ですが・・・

Word of Command
BB
Instant
Look at target opponent's hand and choose a card from it. That player plays that card with his or her own mana, but you make all decisions it calls for. The player is required only to use mana in his or her mana pool and mana that can be drawn from lands.

(2001.2.25時点の最新のCRSより抜粋。)

 特にラースサイクル以降のカードしか知らないデュエリストには、この意味を理解するだけでも至難の業ではないかと思われます。で、これの日本語訳ですが・・・

対象の対戦相手1人の手札を見て、その中からカード1枚を選ぶ。そのプレイヤーはそのカードをそのプレイヤー自身のマナでプレーする。ただしプレーに必要な選択はすべてあなたが行う。そのプレイヤーは自分のマナプールにあるマナと、土地から引き出す事ができるマナを使う事だけを要求される。

(今回は Asuka.Net さんのカードデータベースを参考にさせて頂きました。)

 ・・・となります。つまりこの呪文を使うと“対戦相手の手札から好きな呪文がプレーできる”のです。このコストでこの壊れた能力、こんなの今すぐ買って使うしか・・・となるかも知れませんが、しかし世の中そううまい話ばかりではないのです。

●  Word of Command とは?(応用編)

 では更に Word of Command に関する見識を深めてみます。実はこのカードはコピーカード並にルーリングがコロコロ変わっています。ただ最近DCIはヴィンテージなカードのメンテをしていないようなので、今後このルールが変更になる可能性は(一時期に比べれば)薄いと思われます。

1.指定できるカードの範囲

  Word of Command をプレーしたプレイヤー(術者)が対戦相手にプレーさせる事ができるカードは“その状況でスタックが空だった場合にプレー可能な物”になります。ただし Word of Command が処理される場合、なぜかその時点で「スタックは空になっている。」とみなされます。つまり対戦相手のメインフェイズ中なら(たとえスタックに呪文が積まれていても)術者は土地を置かせたりソーサリー呪文をプレーさせる事もできます。ただしこの事は「アクティブプレイヤーは自分のターンのメインフェイズに1枚だけ土地をプレーする事ができる。」というルールを変更する物ではありません。既に土地がプレーされているのに Word of Command で追加で土地をプレーさせる事はできません。

 あと手札中にプレー可能なカードがあった場合、術者は必ずそれをプレーさせなければいけません。それが例え術者に取って最高に気まずいカードであったとしても、それしかプレーできる物が無いのであればそれをプレーさせなければいけません。例えば自分がクリーチャーで場を制圧していて、ハルマゲドンを期待して Word of Command を撃ったら、対戦相手の手札には神の怒りしか無かった、まあそういう事もあり得ます。それでも術者は(こぼれる涙を上を向いてグッとこらえて)「その神の怒りをプレーして下さい。」と言わなければいけないのです。

2.術者が指定できる範囲

 術者は対戦相手の手札にあるカード1枚のプレーに関するすべての宣言を行い、そのコストの支払方法もすべて術者が決めます。またその呪文のマナコストに(X)があった場合、そのXの値は術者が決めます。

 ただし、そうしてプレーされた呪文の結果あるいは発生したパーマネントを更にコントロールする事はできません。例えば場にエンチャントを置いた場合、そのコントローラーはあくまで対戦相手であり、そのエンチャントの能力を使う事まではできません。また速攻クリーチャーを召喚しても、すぐに攻撃を宣言して・・・という事もできません。

3.処理後の優先権と呪文のコントローラー

 6版ルールで登場したスタックとプレイヤーの優先権に関して、 Word of Command には面白いルールがあります。

  Word of Command が処理されて呪文が選択されると、その呪文がスタックに乗ると同時に優先権が対戦相手に移ります。これは例え術者がアクティブプレイヤーであってもです。つまり Word of Command でスタックに積まれた呪文に対して、その呪文のコントローラーである対戦相手に割り込みの優先権が渡るのです。

 こう書くと「あれ?、じゃあ Word of Command でプレーさせた呪文のコントローラーは対戦相手なの?」と思われるでしょうが、その通りです。一旦 Word of Command によって何らかの呪文がプレーされると、それには術者の情報は一切残りません。その呪文はさも対戦相手が自らの意志でプレーしたかのように処理されるのです。

4.カウンターについて

 一旦 Word of Command の処理が始まって手札を見られた後で、プレイヤーが Word of Command をカウンターする事はできません。(既に処理が始まった後ですので。)ただし Word of Command で選ばれた呪文をカウンターする事は可能です。

5.マナの引き出しについて

 術者はどの土地をタップして呪文をプレーするためのマナを引き出すかを決める事ができます。当然マナを引き出す事でペナルティのある土地も使えます。

 ただしこのマナ生成にも制限があります。術者は対戦相手にマナバーンを起こさせるようなマナの生成はできません。つまり術者は指定した呪文のマナコストがきっちり支払えるだけのマナしか出せません。逆に言うと、そういうマナの生成ができない呪文はプレーできないのです。

 またマナの生成はあくまで“土地”から生成する方法に限られます。ただし土地の能力で生け贄を要求されるようなマナ生成の場合は、術者が生け贄を決めてマナを生成する事ができます。

● 実際に Word of Command を使ってみよう!

  Word of Command は様々なカードとルーリング上の問題を起こす可能性が高く、多分 Magic のカードの中でも最もルーリングがややこしいカードの1つです。取りあえずヴィンテージなら問題なく使えるカードなのですが、やはり(そういったカードを好むプレイヤーの人気もあって)入手にはそれなりの負担が必要になります。

● 実践! Word of Command (表街道)

 実践編〜表街道〜は一般的な Word of Command の使い方について触れます。

 例えば自分が Nevinyrral's Disk(AL-5E) で場をリセットしようとしているのだけど、対戦相手は明らかに手札にクリーチャーやとどめを刺すためのエンチャント等を握って待っている。そういう時に対戦相手に撃って「じゃあこれをプレーしちゃって下さい。」とやります。そしてその後で・・・という感じです。また対戦相手が握っている(場が自分有利なので使う必要が無く持っている)リセット系呪文を使わせてしまう、そういう選択もあります。

 また術者により有利な使い方もあります。例えば Time Warp(TE) といった本来自分にプレーする目的で持っている(でも指定が“あなた”ではなく“対象のプレイヤー”になっている)物を術者に向けて撃たせるという事も可能です。あと6版ルールでインタラプトが消えた事で、今は対戦相手がプレーした呪文を対戦相手の手札&マナを使ってカウンターするといった滅茶苦茶な事もできるようになりました。

 実際に Word of Command を使ってどれだけの大不幸が起きるかは、イベント等を開いて1人〜2人がデッキに投入してみると良く分かります。ただしこのカードはルーリングが非常に難しいので、特に術者となるプレイヤーは十分な勉強をしてイベントに臨んで欲しいものです。

● 実践! Word of Command (裏街道)

 実践編〜表街道〜では Word of Command の頭の悪い使い方の一例として“合法的時間切れ狙い”という使い方をご紹介します。

 対戦相手が Tutor 系のカードを手札に持っていて、それを術者がプレーさせた場合を考えてみます。 Word of Command の能力では術者は対戦相手の手札しか見る事ができません。しかし Tutor をプレーした場合にライブラリから何のカードを持って来るかは術者が決めなければいけません。しかも「1度 Word of Command をプレーしたら、プレー可能なカードがある限りプレーしなければいけない。」のです。

 術者は適当な(その Tutor でライブラリから拾える)カード名を宣言します。そのカードをライブラリから探すのは対戦相手です。で、見つからない。一応ジャッジにも確認してもらってもやっぱり無い。その場合術者は(その Tutor で拾えるカードがライブラリの中に一切無い場合を除き)ライブラリ中にあるカードを言い当てるまで何度でも宣言をやり直さなければいけなくなります。当然その間プレーは進行していますから、誰も遅延行為を取られる事はありません。また術者が故意にライブラリ中に無いカードを宣言している、それで術者に何らかのペナルティが与えられる事もありません。(第一故意に外しているという根拠が無いので。)

 はい、もう分かりましたね。こうやって合法的時間切れを狙う事が可能です。実際の公認大会ではエクストラ5ターンといった措置が取られますが、この場合そのターンすらできるかどうか分かりません。何しろ放っておくと一生終わらないので。

 ・・・これはかなり極端な例ですが、つまりその位 Word of Command はルーリング的に様々な問題を秘めたカードなのです。実際このカードを使いこなしていると自負できるヴィンテージプレイヤーは福井にも多分いません。だから私がこの記事を書くと言った際「なんて無謀な・・・」という反応になる訳です。

● 打倒! Word of Command 

  Word of Command は比較的序盤で撃てるカードなため、対応は難しいかと思います。もし可能であれば相手に使われて問題がありそうなカードを先に使ってしまう、せいぜいその位でしょうか。

 ただし、先程触れた裏街道的な使い方(使われ方)に関しては、やはり何らかの対策を用意しておく必要があるでしょう。例に挙げたような使い方の場合、使われた側はデッキの中からその Tutor で持って来れるカードをピックアップして「この中から選んで下さい。」と術者に言うという方法があるようです。実際自分で Tutor をプレーする時もそういうやり方が禁止されている訳ではないので、ルーリング上は問題無さそうです。

 ただし一連の記事でも書いているように、こういったルーリングは最終的にはそのイベントのヘッド・ジャッジの裁定に従います。ですから Word of Command を使いそうなイベントを取り仕切るヘッド・ジャッジは、そういった場面を想定して常に勉強しておく必要があるようです。まあ公認大会でもないのであれば“面白い裁定を採用する”でいい気がするのですが。

● 次回予告

 取りあえず私自身が考えていた物は書き尽くしたので、何かリクエストが出てくるまでちょっと待ちます。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。