【21世紀をTCGで楽しむために】 − 2001/1/8初出・執筆者:カテラン組合書記長 さん − に対する記事です。
カテラン組合書記長さんがご紹介下さった新聞記事に書かれていた「なぜ人々がTCGを遊ぶのか?」に関して、私個人はこの新聞記事とはちょっと違った見方をしています。7〜8年前に対戦格闘ゲームがちょっとブームっぽく流行った時期があります。確かに格ゲーに“対戦相手の予期しない反応”を期待して遊んでいた人もいるにはいるのですが、私に言わせるとそういう人は決して多数派とは言えない気がします。その傾向はゲーメストという悪名高き(でも今は無き :-P )雑誌の発売で決定的になりました。その雑誌ではいわゆるハメや待ちの手段が紹介され、そういう“対戦相手に何もさせずに勝つ(明らかに対戦相手を不愉快にする)戦術”によって対戦に勝つ事が推奨されました。しかもそれを見た多くのゲーマー達がその戦術を取り入れ、一時期はそういうゲーマーばかりがゲームセンターに蔓延る結果を招いたのです。
要するに「コンピュータ相手に勝っても無反応で面白くない。でも対戦相手に好き勝手に暴れられるのは嫌だ。ましてや自分が負けるなんて以ての外。だから自分が絶対に勝てる手段が知りたいし、あれば遠慮なく使う。」そういう事なのです。言い方を変えると「対戦相手を完膚無きまでにねじ伏せ、その相手が悔しがる顔が見たい。」一部のプレイヤーに取ってはそれが対戦の主たる目的なのです。それと同じ発想でTCGを遊んでいるプレイヤーが決して少なくないのではないか?、それが私個人の印象です。だから強いカードの価格がインフレ状態になるし、それでも皆そういうカードを欲しがる。更にはどこかの大会で優勝したデッキの情報が珍重される。そういう感じじゃないですかね。そうでなければTCGのシングルカードがあれだけ高値になる訳がないと思うのです。
私に言わせると、これは少なくともかつて代理店が日本で押し進めていた Standard &DCI公認大会のみに偏重した Magic の売り方そのままです。何度か記事で書いていますが、これは見方を変えれば“極めて日本人向けの売り方”という事になるのでしょう。ただそういった遊びは極めて一過性の物にしかならず、日本人トーナメント・プレイヤーの多くが目指しているであろう“競技としての成熟”とは到底かけ離れた物です。そしてそれでは決してうまく行かない、その事は既に歴史が証明してくれています。
ただ、同時に前述の新聞記事には今までの Magic には無かった視点があります。それはズバリ「親子を一緒にTCGに巻き込む。」という発想です。この商売のやり方はミニ四駆辺りで成功を収めているやり方です。子供はブームを作るし消費活動の方向性を決めるキーパーソンなんだけど、使えるお金に制限があるから大きな利益を生み出すのは難しい。逆に大人はブームといった形での動きは鈍いけど、1度動き始めるとそれこそ湯水のようにお金を使ってくれる。だったらこの両者を一気に取り込んでしまえばいい、要はそういう事なのです。そして遊戯王はそれに成功したからここまでのビッグビジネスになった、という結論になるのでしょう。
ただ、こういう形でのブームの形成は、特に親(大人)が加熱して変な方向に進む傾向があるようです。例えばミニ四駆でも、子供が大会に参加しても実際には100%親が製作したマシンを代理で走らせるだけというケースが多々見られました。(基本的にタミヤが開催するミニ四駆大会は小学生しか出られない。またミニ四駆はレーサー自身が製作する事がルールでは決められている。)また遊戯王でも、以前東京ドームでのイベントでプレミアムパックが買えなかった際、真っ先に騒ぎを起こしたのは大人だったはずです。要するに彼らは自分の名誉欲や物欲を子供を介して満たそうとする訳です。まあそれに付き合わされる子供はいい迷惑なのですが。
しかし、こういった発想が Magic には無くて、だから Magic はこの程度になっている、という部分はあるかも知れません。要するに売り手がコアユーザー(というかマニア)を狙っているのか、それともより広い層を狙っているのか、その売り手の志の差がそのまま市場シェアの差になって現れている、そう言える部分はあるかと思います。まあHJがマニア向けの商売しかできないのは今に始まった話じゃないし、その体質は今も変わっていないみたいなんだけど(嫌爆)。
Magic ほど火が付かないのも淋しいし、かと言って遊戯王ほど加熱しちゃうと手が付けられない。じゃあ我々は Magic という物をどうマネージメントすればいいのでしょうか?。私に言わせると、それに関して我々は既に(その1つの好例となるであろう)答えを得ています。それはズバリ“ガンダム”です。最近はガンダムと言っても色々なバージョンが出てきました。しかしガンダムには“1年戦争期”という共通部分があり、ほぼすべてのガンダムファンがこの部分に関しては話題を共有しています。(ただしW辺りでファンになったショタな方々は例外かも。 (^^; )つまり日頃ガンダムファンがどういう作品を見てどういう商品を買っていても、1年戦争期関連の物が出るとやはり買ってしまうのです(笑)。しかもその消費動向は決して過剰な物にはならず、売り手も買い手も見込みが付く(=商売として成立しやすい)土壌ができています。我々はそういった商品を冷静に受け入れ、そしてDVD版ガンダムでセイラさんの入浴シーンをコマ送りで見る訳です(核爆)。
私は Magic もそういう売り方(買い方)をすべきだと考えています。いや、決してセラの天使様の入浴シーンをコマ送りで見ようという事ではなく (^^;;; 日本で Magic を遊ぶすべてのデュエリストが何らかの“共通項”を持ち、そしてそれぞれが自分に合った Magic の楽しみ方をしながら新商品を冷静に受け入れていくという事です。そうする事で過剰なブームによる弊害を防ぎつつ、それこそ Magic という物で末永く楽しめる(売り手も利益を出して営業を存続させていく)土壌ができていくと思うのです。
じゃあ Magic でそういう“日本人デュエリスト全員の共通項”になり得る物は何なのか?、それに関して実は私個人は“ Japan Classic ”を考えていました。ただ、残念ながらその芽をHJは自社出版物の販促という下らない目的のために使い捨ててしまいました。こういう形で1度ケチが付いてしまうと、それを再度盛り返すのって難しいのです。どうもHJはその役目を Standard に期待していた気配があるのですが、流石にそれは無理でしょう。私に言わせると、あれはあくまで“競技用のフォーマット”ですから。
ダメ出しの方ではこの話題に関して「ブームとバブルは別物である。」というご意見が出ていました。我々福井のデュエリストグループは Magic がブームになる事を恐れている部分があります。それは日本のブームはそのままバブルを招き、それこそ Magic という世界を滅茶苦茶にしてしまう可能性が高いからです。実際日本ではこの程度の普及しかしていない Magic でも、既に投機目的にカードを買う方が少なからず現れているのです(笑)。日本人って1度加熱し始めると止まらないからねぇ。1つのブームが文化として定着するには、それこそ5年あるいは10年という年月と、それを長く伝えて楽しんでいこうという地道な活動が必要になります。我々福井のデュエリストが目指しているのはまさにそこで、それ故に Magic がバブル化しそうな要因(具体的に言うとHJによるDCI公認大会の推進)にクレームを付けてきた訳です。文化として定着して人が増えれば、そこから自然に競技プレイヤーも増え、全体のレベルも向上するのです。本来遊びから派生した競技とはそういう育て方をすべきだと私は思うのですが。
Magic も遊戯王も「足元を固めて長く続けていこうという動きが見られない。」という点では共通している気がします。両者が違う点は Magic が競技化を焦って知名度アップをサボった故にメジャーになれなかったのに対し、遊戯王はそういう動きが知名度アップや販売量の増加に追いついていないのです。ちょうど今の Magic は日本の景気、遊戯王は米国の景気のような感じでしょうか。つまり明らかに両者に対して取るべき政策は違う物になります。 Magic は多少形振り構わない位に知名度アップやプレー人口の増加を考えても良さそうだし、逆に遊戯王はいかに加熱したブームを軟着陸させて文化としての定着を図るかを考える局面なのです。
遊戯王の方は( Magic とは比較にならない位多いであろう)プレイヤーの皆様に任せるとして、我々は Magic をどうするかを考えていきましょう。少なくとも今、日本のTCG業界は“遊戯王がくしゃみをすれば Magic は風邪を引く”ような状況です。 (^^; これでは Magic の元祖TCGの名が泣くという物です。ただ遊んでいる側の一部があれで、ましてや代理店があれなので「何とも前途多難だなぁ。」と思ってしまうのは私だけでしょうか?(溜息)。代理店は未だに事ある毎に「 Magic は米国で特許持ってるんだぜ。」とか紹介してくれますが、それが日本での Magic 普及には全く無関係な事が分かっていないのでしょうか?。
本記事の公開直後、ダメ出しの部屋で Japan Classic に関する追加情報を頂きました。それによるとJCはWoCからクレームが付き、これによりHJは日本での普及を断念した、そういう事になるそうです。(なお私個人はこの情報の裏付けを取れていません。)これに関して私個人は「嘘だろう?」という印象を持っています。前から書いているようにGAMEぎゃざは事ある毎に自分が“オフィシャル”な物であるかのごとく情報を掲載しています。ところがその雑誌で普及を呼びかけたJCがWoC/DCIの事前承認すら得ていない、これは重大な問題ではないかと私は思います。HJが代理店として単独で推進するフォーマットが普及するはずもありません。私は代理店が「いずれはJCを日本国内限定でもいいから然るべき競技フォーマットになるよう育てよう。」と志しているものだと思っていました。だとすれば、JCを提案する前にWoC/DCIにお伺いを立てるのは当然の事だと思うのですが。また「じゃああの一連の禁止カードは一体誰が決めてたの?」という疑問もありますし。
それと私としては、1度HJがJCという旗を掲げたのであれば、WoCに何を言われようが降ろすべきではないと思うのです。WoCやDCIは欧米の事情を見て Magic の普及を図っています。それに対して日本人に合った日本向けのフォーマットや遊び方を提案できるのはHJしかないのです。そこがWoCに一言言われて自分の意見を引っ込める、それってあまりに情けなくないですか?。これではいつまで経っても日本の Magic は鳴かず飛ばずなままですよ。
という事で、私個人はこの情報に関して「嘘だろう?」という印象を持ちました。というか、私としては嘘であって欲しいです。