基本セットの将来像

 今回は M:tG の基本セットについて考えてみます。

● 基本セット・今昔物語

 「 M:tG を始めるにはまず基本セットから。」これは M:tG においては本来当たり前の常識だったと私は認識しています。実際私は4Eを買って M:tG を始めたのですが、しかし最近はどうやら必ずしもそうではないようです。

 この傾向が顕著に現れ始めたのは、私の記憶ではラースサイクルが発売された頃からです。例えば小中学生が自分の友達に M:tG を始めさせるのに「まず基本は Tempest (あるいは Urza's Saga )を買って、あとは最新のエキスパンションを買い足して補強すればOK。」みたいな勧め方をしている光景を、私は販売店のカウンターで何度も見ています。またそれで困る事はほとんど無かった訳です。時々「ラスゴとゲドンが欲しい。」「ネビ板いるから手に入れなきゃ。」等という人が現れても、エキスパンションのカードを買っておけばトレードで入手できてしまうのです。

 私が M:tG を始めた頃は、本当に4Eを買うのが楽しくてしょうがありませんでした。確かに外れレアも多いのですが (^^; それ以上に当たりのレアやアンコモンを引き当てると大きいのです。ラスゴとゲドンさえ引けば大抵のカードとトレードできましたし、自分では使わないカードでもコレクターがいて・・・という事もありました。そういう“カードを買う事の安心感”が4Eの頃にはあったのですが、最近それが特に基本セットに関しては無くなっているかな?、と思います。

● 基本セットの変遷

 ぶっちゃけた話 Alpha 〜 Unlimited の収録カードってぶっ飛んでましたよね(爆)。それが Revised で多少落ち着いて、4Eで1つの完成型になったというのが私個人の印象です。私は日本語版4Eをきっかけに M:tG を始めて2週間で英語版ユーザーに切り替わったのですが、もしあの時に日本語版の Revised (もちろん実在しませんが)を渡されていたとしたら、果たして M:tG に定着していたかどうかはちょっと分かりません。その理由は私の中でちょっと曖昧なのですが、1つは“デュアルランド”ですね。 Revised ではこれがあるのと無いのとでは話が全く変わってきますから。

 次に5Eに関してですが、私個人は「5Eは4Eに比べて魅力が薄すぎた。」と思っています。5Eの収録カードは434種類で、4Eの368種類に比べてかなり増えています。しかし問題なのは「5Eは4Eよりも収録カードが多い癖に4Eよりも目玉カードが少ない。」という点です。 (^^; しかも5Eの目玉カードはその大部分が4EまたはIAに収録されている訳です。従って初心者が買うには難しい(欲しいカードがなかなか引き当てられない)し、中〜上級者から見ると買う魅力が無い、そういうセットになってしまった訳です。5E単独で考えるとかなりバランスは取れていて、シールドやドラフトを遊ぶと結構楽しめたのですがね。

 そして最新の6Eへとつながります。6Eルールにより M:tG の簡素化が進められたのもあって、6Eの収録カードはかなり無難な構成になってしまった気がします。発売直後はかなり売れたのですが、しかしその後続くウルザサイクルのオーバーパワー振りから基本セットのカードは注目されなくなり、ちょっと市場での人気は下降線を辿ってしまったようです。

● 現在はどうなのか?

 ところが最近になって、特に Standard 環境下で6Eのカードが見直されているようです。

 マスカレイドサイクルのカードは、全体としてここ数年のブロックには無かったアンダーパワー振りです。そしてそれに続く Invasion はデッキの多色化&低速化を目指しています。ところが元々6Eはミラージュサイクルのカードが相当数再録されています。すなわち6Eはクリーチャーの展開が速いのです。つまり現在の Standard 環境下では“6Eベースの速攻デッキ vs Invasion 入りの低速デッキ”という図式が成立するのです。速攻デッキは比較的初心者向きですし、低速デッキは中〜上級者向き。そう考えると今は「基本セットは初心者用でエキスパンションは上級者向きである。」という M:tG 本来の姿になっているのです。

 最近初心者が6Eを買っているのかどうか、私は具体的なデータを持っていないのですが、そう考えると「今こそ初心者には6Eを勧めるべきだ!」と言えると思います。 Invasion の収録カードって初心者が扱うには難しそうな物が少なからずあります。そういったカードを使用したデッキに6Eで対抗できるのであれば、我々は初心者に安心して6Eを勧められるでしょう。まあ問題なのは「もうすぐ7Eが出そう。」&「エキスパンションの優秀なレアカードとトレード時に釣り合う当たりレアが6Eには少ない。」という事なのですが。 (^^;

 実はこの話は私自身が思い付いた物ではなくて、知り合いのデュエリストが M:tG 仲間とデッキの研究をしている過程で出てきた意見です。こういう話って他のWebサイトでも出ているのかな?。まあ少なくともHJ辺りはそういう販促はしていないですよね。ちなみに前に私は記事の中で“6E+最新のエキスパンション1つ”というフォーマットを提案したのですが、どうやら最近のカードバランスから見てもこのフォーマットの推進にはかなりのメリットがあるようです。

● 7Eのあるべき姿(!?)

 次の基本セットの正式名称って発表されているのでしょうか?。まあここでは仮に Seventh Edition (7E)としていますが、では7Eはどういう路線を目指すべきなのでしょうか?。

 こういったカードセットが売れるか否かを決める大きな要素は「使えるカードが多く収録されているか?」そして「目玉がどの位あるのか?」になると思います。目玉と言っても別に Psychic Vortex(WL) や Thoughtlace(AL-4E) を収録しろと言っている訳ではありません(笑)。簡単に言うと“初心者が引き当てた時に別のエキスパンションの優秀なレアカードとのトレード代価として十分通用する物”という事です。こういうカードが多く収録されていれば、極端な話初心者は7Eだけ買っていれば M:tG を遊べるようになるのです。

 ただ問題があって、今回7Eに再録されるカードって、あの悪名高きラースサイクル〜ウルザサイクルなんですよね(爆)。例えば6Eで見ても River Boa(VI/6E) といったカードを再録した事には賛否両論あります。(というか、赤に満足な再生クリーチャーの除去手段がない6Eに、ほとんど最強クラスの再生クリーチャーを入れてしまうのはいかがな物かと。 (^^; )ですから7Eのバランス取りはかなり難しいだろうと私は感じています。こういうのってユーザーにアンケート調査をしても、あんまり良いアイディアが出る事は期待できないですし。 (^^;

 それと一部のトーナメント・プレイヤー等から“ M:tG カードセットの固定化”という提案が出ています。特に競技として M:tG を捉えた場合、きっちり競技として突き詰めるには4ヶ月程度で環境が激変する現在の Standard は無理があるという事です。そういう検討を積み重ねた上で7Eを発売するのであれば、あまり慌てる必要もないのかな?、という気はします。21世紀には M:tG もネットゲームとして本格的に遊ばれる時代がやって来ます。そう考えると7Eをネットゲームを見越した基本セットと捉え、それこそこの先5年位遊び続ける事を考えてもいいような気がするのですがね。

● もう1つのアプローチ

 あとこれはあくまで個人的な提案なのですが、どうせ基本セットに過去のカードを再録するのであれば、やはりカードイラストはある程度一新して出して欲しいと思っています。

 我々古株のデュエリストに取っては、過去に発売されたエキスパンションの再録である最新の基本セットって買う魅力がないのです。そういう人達に少しでも購買意欲を掻き立ててもらう、あるいは新しい人達と古い人達のカードトレードを円滑に進めてもらう、それにはやはりカードイラストの刷新が一番手っ取り早い気がするのです。ですから新しい基本セットのカードイラストには、従来以上に力を入れて欲しいのです。そういう意味で言うと、私個人は「なんであの6Eの『箱絵の天使』をカードに使わなかったのだろう?」と思っています。あれを Seraph(IA/5E) にでも使って再録すれば、間違いなく人気カードになっていただろうになぁ(笑)。

 やっぱり昔の絶版カードのイラストがいい、だったら昔のカードを引っぱり出して来るなりトレードで掻き集めるなりして使えばいいのです。また人気の高い M:tG を代表するカード(例えば Serra Angel(AL-4E) )のイラストまで無理に変える必要はありません。ただ、それ程人気のないカードのイラストを再録の時に再利用する事には、私に言わせるとあまりメリットがないのです。それではいつまで経っても不人気なカードは不人気なままですし、いわゆるカスレアを生み出す原因にもなってしまうのです。

 私個人は M:tG に“余裕のあるデュエリストにより多くのフレッシュパックを買ってもらう”という発想が必要だと考えています。コレクション目的にあるデュエリストが大量にパックを開ける、これが結果的にはコモンカード等の初心者への供給を促し、同時にシングルカードの流通量増加(価格下落)をも招くのです。というか、昔の M:tG はこれが自然にできていたのです。そういう意味で言う“古き良き M:tG ”の復刻が、日本の M:tG を更に元気にして活性化する切り札になる、これが私の主張です。

● さて、どうなりますか?

 7Eの発売って当初来年の春とか言われていて、これが夏頃に伸びたという情報を私は伺っています。その後最新の発表があったのかどうか私は知らないのですが、なにやら少しずつ収録カードの情報も流れ始めているようです。

 こういったカードセットの設計は遊ぶ側&売る側それぞれの事情を加味する必要がありますし、今後発売されるエキスパンション等との絡みもあって難しい問題です。ですから私みたいな素人が「あのカードを入れろ!」「あれは絶対外してくれ!」といった意見を言ってもしょうがないだろうと思っています。ただ私個人の要望としては「より多くのデュエリスト達が買いたくなる魅力のある物を出して下さい。」の一点です。そうすれば遊ぶ側&売る側それぞれが笑顔で歓迎できる良い基本セットになるはずですので。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。