先日知り合いと話題になった“DCI公認大会に参加する時に知っておくべき基礎知識”という話を書いてみます。
先日知り合いと M:tG の話をしていた際「日本のデュエリスト(正確にはDCI公認大会の参加者)のスキルが全体的に低いのではないか?」という話題になりました。それでその原因をちょっと突き詰めてみた結果として「どうも日本人デュエリストの多くが“DCI公認大会に参加するための基本的な躾ができていない”のではないか?」という結論に至りました。確かにそういった事って代理店の出版物でもあまり触れられる機会はないですし、うち以外のWebサイトで啓蒙活動をしているのを見た記憶もありません。「じゃあうちでやるしかないね。」という事で、今回はそれを書いてみます。
M:tG には“ORACLE”というドキュメントがあるのをご存知でしょうか?。 M:tG において正式なカードテキストはORACLEに記載された物です。実際にカードに印刷されているカードテキスト、あるいはHJ等が発行している書籍やドキュメント等は、厳密に言うと正式な物ではありません。「DCI公認大会に参加するなら、自分が使うカード位はORACLEで確認してから使用する。」というのは、特にトーナメント・プレイヤーにおいては基本中の基本なのです。こう書くと「あ、じゃあそれの日本語版どこにありますか?」とか言い出す人もいるかと思いますが、はっきり言いますがORACLEの日本語版はありません。というか、ORACLEとはDCIが作成した英語のドキュメントが正式な物であり、それが模写されたり翻訳された時点で正式な物ではなくなります。“ M:tG のカードテキストは英語版が基本”というのは今更書くまでもないと思うのですが、その中でもORACLEは絶対的なドキュメントなのです。
また、これに準ずる物としてGRS( General Rulings Summary の略)/CRS( Card Rulings Summary の略)があります。(GRS/CRSは非公式な物ではありますが日本語に翻訳された物がインターネット上で公開されています。)ただ一部の公認ジャッジに言わせると「これは誤植も結構あってあまり当てにしない方がいいかも。」だそうです。 (^^; ですからこちらの方は“参考程度に見る”のが正解のようです。私自身は最近イベント会場にノートパソコンを持ち込むのですが、その中には必ず最新のORACLE/GRS/CRS(+フロアルールなど)をインストールしてあります。なおORACLEに関しては日本語版(翻訳チームによる公式な訳)が出るとか出ないとか話が出ているそうですが、出るかどうか分からない物を待ってもしょうがないので (^^; 英語版を読む癖&スキルを身に付けちゃって下さいませ。 m(__)m
この話ってHJの出版物に書かれていたのを見た事がないですし、日本の M:tG 関連のWebサイトでもほとんど啓蒙活動がないのでご存知でない方も少なくないかと思います。ORACLEはWoCのWebサイトが一次配布元ですが、この他Crystal Keepでも取得できますので、是非ご覧になる事をお勧めします。 m(__)m
福井では時々“ M:tG 大会中のジャッジのたち振る舞い”が話題になります。例えばあるデュエルでルール上難しい裁定が必要になった時に、デュエルの流れを優先して即決するのか、それとも裁定の正確さを優先して時間をかけても調査するのか、といった問題です。これに関してはDCIが定めた明確な規定が無いのもあって、実際どうするかはジャッジの裁量に任されています。このうちジャッジが後者(正確さ優先)の裁定をするためにデュエルを長時間中断する事に関して、一部のデュエリスト達の間で批判的な意見が出ているようです。ただここで考えて頂きたいのは「そのデュエルの中断を招いた本質的原因を作ったのは、誰でもないそのデュエルをしているデュエリスト本人である。」という事です。そのデュエリストがデッキで使っているカードのルーリングを事前にきちんと調べて来ていれば、そういったトラブルはかなり防げるはずなのです。また対戦相手とルール解釈等で揉めても、ジャッジに対して「僕はここを調べてこのルールが正しいと思いました。確認してみて下さい。」と言えば、問題解決は飛躍的に早くなります。私みたいな野良ジャッジですらORACLE/GRS/CRSは持ち歩いているのです。ましてや公認ジャッジと言われている皆様がそういった資料を手元に置かずにジャッジをしている訳がないですから。(調べてみたところ、公認ジャッジはORACLEとフロアルールは携行する義務があるようです。)
ただ、こういったトラブルの場で時々「○○氏の掲示板で聞いた答えがこうだった。」とか「あの出版物にはこう書かれていた。」といった物を論拠にされる方がいらっしゃいます。はっきり言いますが、そういった情報はオフィシャルな物ではありませんし、私が伺っている範囲でも“間違っているケースが少なくない”そうです(笑)。ある公認ジャッジの方からは「某出版物に書かれていた嘘を皆が信じ込んでいて、それが間違いだと納得させるのに一苦労した。」というお話を伺っていますし、最近は掲示板でのQ&A(回答の間違い)が結果的にルーリングの誤解を招く大きな要因になっているそうです。 M:tG のルーリングという観点から言うと、たとえ回答者が公認ジャッジであろうがその方の個人的な発言はオフィシャルな物ではないですし、ましてやHJの出版物の内容も扱い上は“ライター個人の意見”あるいは“公式なルールの不正確な模写”でしかないのです。そんな基本的な事が分かっていないのに公認大会に出ちゃう人が少なくない訳で、そりゃ日本の M:tG のレベルが上がらないのも頷けますって。 (^^;
「日本の競技プレイヤーはちゃんとしたルールブックを読んでいないし、その内容を理解して大会に望んでいない。」これが日本の M:tG の実体なのです。まあこうなってる理由の一端が「自社出版物をオフィシャルな物と思わせて買わせようとしている。」という、代理店の意図であると思われるのが非常に悲しいですが。しかし実際世界的に行われている競技 M:tG という物は、すべてのプレイヤー達がORACLEやフロアルールといった統一規格を読み、その内容を理解した上で参加しているという、非常に良くできた仕組みになっているのです。日本の M:tG のレベルを向上させるには、まずそういった基本的な躾から身に付ける(付けさせる)必要があると私は考えています。現在フロアルールを読まずに大会に参加しているデュエリストは少なくない気がするのですが、フロアルールには「参加者、ジャッジおよび主催者などの公認トーナメントの関係者は、汎用トーナメント・ルールの最新版、そしてそのトーナメントのゲームのルールおよびDCIフロア・ルール、他の適用できる規定を理解し、従う責任がある。(DCI汎用トーナメント・ルールの第11項)」という条項があるそうです。つまり“フロアルールを知らない&ORACLEを読んでいないデュエリストにはDCI公認大会への参加資格はない”という事なのです。
私は記事の中で一貫して「日本の今の公認大会のレベルで、ギスギスした勝利目的のデュエルをしてもしょうがないだろう。」と書いています。ただ、日本国内にもそういったギスギスした勝利目的のデュエルが求められる場面があります。特にHJが主催(!?)している賞金がかかったイベントなんかはその代表例ですかね。そういった本気モード全開の大会に「いや、僕のデッキの強さを試すために出るんだ!」は構わないと思うのですよ。でも、そういった大会に出て惨敗した感想として「皆本気モードでお寒い。こんな M:tG つまらないから止めろ!」はないと思うのです。その大会が競技 M:tG を名乗れる程レベルの高い物になっているか否かの評価は別問題として、少なくともその大会はそういう本気モードで来る競技プレイヤーの参加を前提に開催されている訳ですから。真剣勝負の剣術試合の場に竹刀持参で参戦し、負けた感想で「くそ〜、あいつら真剣使って本気で斬りかかって来やがった!」はないのです(笑)。
じゃあ、日本で開催される M:tG の大会のうち、どこまでが本気モードでどこまでがお遊びOKなのか?、という問題が出てきます。これに関して私は「大会主催者が意志表示をするべきだし、示された意志は尊重されるべきだ。」という意見を持っています。例えば「優勝者にはBOXをあげるけどお遊びモードのデッキで来てね。」という大会があったとしたら、少なくともBOX目当てにどこかの大きな大会で優勝したデッキのコピーを持って参戦するべきではない、という事です。またこの逆に「特に賞品は出さないけどDCIのポイントを稼ぎたい人のためにK値を高くしました。」という大会には、そういう姿勢で臨むべきだと思うのです。こういった大会毎のTPOが日本の M:tG には無いし、それ以上に参加者側に配慮とかメリハリが無いんだわ。
※ 「そういう意志表示が大会主催者から無い大会はどうなんだ?」という話ですが、これは“どんな人でも来て下さい(初心者から軍人までオールOK (^^; )”と言っていると解釈するべきでしょう。ですから参加者は当然そう理解して参加するべきですし、大会主催者は参加者の参加目的やスキルに合わせた幅広いサポートをするべきだと私は思います。 どうも日本のデュエリストの中には“DCI公認大会=すべて本気モード”という図式を勝手に頭の中に作っちゃっている方が少なくない気がします。これも私に言わせると代理店の出版物の影響なのですがね。 (^^; でも実際のDCI公認大会って、K値1つ取っても8〜48と幅が広いのです。つまりDCIは「色々な趣旨や規模のDCI公認大会を開いてみて下さい。すべて公認大会としてサポートしますよ。」と言っているのです。それが日本ではかなり趣旨を湾曲されて開催されていて、しかも多くの人達がそれを支持してしまっている。その辺に日本の競技 M:tG が鳴かず飛ばずになっている根元の一端があると私は感じています。
これは私がよく言っている事です。特に大会初参加のニューカマーに取って、その大会で周囲の人達にどういう印象を与えるかは、その後のデュエリストとしての活動にも大きな影響を与えるのです。例えば“対戦相手に自分が知らないカードを使われた”というケースがあります。この時対戦相手に自分が不勉強な事を謝った上でカードの説明をしてもらう、これは最低限必要な行為です。しかし問題はその後です。あなたはそのカードの世間での評価や価値を知らずに「そんな強いカード使うの反則や!」とか「僕にはそんな高価なカードは持てません。羨ましいですねブルジョアは。」みたいなリアクションをしていないでしょうか?。例えば福井の Type-I イベントでも、1枚n万円のパワーナインを入手するのに本当に苦心してようやく・・・という人もいます。そういう人が対戦相手にこういったリアクションを受けたらどう考えると思いますか?。ましてやそのカードが一般世間での評価が低く、自分で苦心してようやく能力を引き出した物を「そんな強いカード、僕持ってないから使わないで下さい。」とか言われたら・・・。(あ、ちなみにこの部分に関しても“過去に実例あり”です。 (^^;;; )まあ私だったら顔では笑いながら、腹の中で「こいつとは絶対トレードせんし、カードもやらん!」とか思うでしょう。というか、私はその状況で笑顔を維持する自信すらないです(ぉ。
あと初心者の中に、異様なまでに勝ち狙いな方が時々見られます。自分が勝った事を異様に喜んだり、自分が負けた事をカード資産や経験のせいにして捨て台詞を吐いたりとか。そういう感情って自分の胸の中にしまっておけばいい(というか、本来はしまっておくべき)物を、周りを気にする事もなく口に出したり行動に示したりしてしまうのです。これ・・・かなり頭に来ます(笑)。運営スタッフが見ていて“カチン☆”と来るのですから、当事者はどういう思いで言い返したい気持ちを押し殺しているのですかね?。まあここで怒ると更に「こいつ負け惜しみ言ってるよ。」とか言われちゃいそうですが。
じゃあこういう時にデュエリストとしてはどういう振る舞いをすべきか?、これに関しては周囲の先輩デュエリストを手本にすればいいのです。つまり“先輩デュエリストは後進の手本になるべく言動に気を配るべきだ”という事にもなります。これに関して福井のイベントは、回を重ねる毎に少しずつですが良くなっているという印象です。ただここに至るまでには私はイベント中に何度か切れてるし (^^; やまけん氏も諸注意等の機会に何度か参加者を怒鳴ってるけどね(笑)。
この意見は、私が日本のDCI公認大会を低く評価している、その理由のかなりの部分を開示する物だったりもします。こういった配慮が日本のDCI公認大会でなされれば、自動的に全体のレベルは向上するし競技としての体裁も整うのです。また競技プレイヤーでないデュエリストに取ってもDCI公認大会が魅力のある物になり、それこそ日本の M:tG 普及に取って大きな戦力になる=DCI公認大会が本来の役目を果たすようになると私は考えています。イベントなんて物は“面白いから皆参加する”のです。そういう基本的な発想が日本のDCI公認大会にはなぜか無いのです。「勝てばDCI公認のポイントがもらえる。」「優勝者には豪華な賞品がある。」それを面白いと感じてイベントに来る人なんて、零とは言いませんがかなり少数派でしょう?。実際にそういったイベントを盛り上げていくには、より多くの人達をイベントに招き入れるモティベイションが必要なのです。最近日本で開催される M:tG イベントも、そういった部分に配慮した物が増えてきた気がしますが、もっと頑張って欲しいし、もちろん私自身も更に頑張っていきます。