今回は頂いたメールを元に“英語の壁をどう越えるか(越させるか)?”という話を書いてみます。
先日ある方からメールを頂きました。その内容を簡単にご紹介すると「週刊少年マガジンの裏表紙に M:tG の広告が入り、これを見て興味を持った中学生位の男の子が2人、あるカードショップにやって来た。しかし彼らはデュエルルームで遊んでいる人達が英語版カードを使っているのを見て尻込みした様子だった。スタッフが『日本語版もあるから大丈夫。』と説明したのを聞いて彼らは帰っていったけど、このスタッフはそこで彼らに M:tG を始めてもらう事ができなくてとても悔しそうだった。」という物です。実は私にも似たような経験があります。私も以前 M:tG 販売店のスタッフをしていたのですが、やはり中高生を中心に「英語ですか・・・」という反応を示す方は少なくなかったです。で、このメールに対する私の返信ですが、こちらの方は全文を掲載しておきます。
|
どうもです。 (^^)/ メールを頂きありがとうございます。 m(__)m “英語の壁”の問題は福井でも何度か話題になっています。で、福井のデュエリストの中で基本的に一致しているのは「英語圏の国に遊びに行くのに、英語が分からないのはやはりまずいだろう。」という事です。 M:tG はルールやエラッタといった公式情報はすべて英語で発信されます。また日本でも英語版のカードが決して少なくない割合で使われています。たとえ一時的に初心者を「英語なんか知らなくても大丈夫。」と言って騙せたとしても、いずれ間違いなく彼らは英語という壁にぶつかるのです。 実は私自身、 M:tG を始めた直後は「自分は日本語版しか使わない。」と宣言して M:tG を始めました。その私の壁をぶち破ってくれたのは、私に M:tG を始めるきっかけを与えたT氏でした。この話は昔記事にも書いているのですが、彼はIA等の大量のコモンカードを我々に提供し「これ使いたかったら英語覚えな!」とやったのです。そして私に取って何よりのトドメだったのは牛姉です。「こういうカードあるんだけどなぁ。あ、これ日本語版ないよ。」という事で、私は M:tG を始めて2週間で英語版ユーザーになりました(爆)。 私が絶版カードを使ったフォーマット(特に Type-I )を皆さんに勧める理由の1つもここにあったりします。絶版カードを使ったフォーマットを遊ぶと英語を覚えるしかないですし、また英語が分かる事で M:tG の幅が広がるのです。(「コモンと土地位あげるよ。」といったサポートも期待できますし。)やはり日本語に限定した M:tG って幅が狭いのです。その狭い範囲での M:tG を見て「こんなTCGつまんない。」と言われたのでは、それこそ我々に取っては不本意でしょう?。 それと最大の問題。 M:tG における公式な日本語によるサポートって大した事無いのよ(爆)。 Invasion の日本語には数枚の誤植があったようですし、カードテキストの和訳リストも代理店が発行する物は有償な上に誤植あり。 (^^;;; 「じゃあインターネット等の情報を使ってサポートをしよう。」という事になると思うのですが、それに関しては「じゃあ、あなたはその人が日本語だけで M:tG を遊び続ける事を一生サポートできるの?」という事なのです。例えとしてはあまりうまくないんだけど、目の前にいる動物にその場の衝動で餌を与える事は誰にでもできるのです。でもその動物はその後もずっとその餌だけで生きていける訳ではないのです。我々は時として、1度餌を与えただけで「今日は良い事をした。」で終わってしまうのです。でも彼らの人生はその後もずっと続くのです。そこまで責任を持てない(一生面倒を見る気はない)のであれば、こちらがぐっと我慢して世間の厳しさを彼らに知らせる事が、逆に彼らのためになる事もあるのです。 あと究極の逃げ文句ですが「英語が嫌なら国産TCGを遊ぶ。」という選択肢もあります。 (^^;;; 彼らがどうしても M:tG を遊びたいと欲するのならば、彼らに最初から英語に取り組ませる事が結果的には彼らのためになると私は思っています。実際中高生って英語は習っている訳だし、私が知っている中学生は英語の先生にカードの翻訳をお願いしていたそうです(爆)。彼らはたくましいです。我々があれこれ気を使ってあげる事は大事ですが、案外彼らは我々の心配をよそに英語位あっと言う間に攻略しちゃうだけのパワーを持っていると思います。 --
ではでは (^^)/~~~ aysen@mitene.or.jp あいせん |
||
この記事では、このメールに書き切れなかった福井での実例をご紹介しておきます。私が最初におもちゃ屋のスタッフとして M:tG を売ったのは武生市の某店です。書店のリニューアルに伴い新設したおもちゃコーナーのスタッフとして入ったのですが、ここで売り出した M:tG がなぜかブレイクし、開店から数ヶ月で高校生や中学生の中にデュエリスト集団っぽいグループができるに至りました。(時期的には Visions や Weatherlight が発売された頃です。)
ここで不思議な現象が起こります。中学生のグループが英語版OKでバリバリ M:tG を遊び始めたのに対し、高校生のグループは日本語版オンリーで M:tG を遊び始めたのです。私はこの時既に英語版しか買わない人間になっていましたから、中学生グループのメンバーとはトレード等がすんなにまとまるものの、高校生グループとは「僕が欲しいカードはあるのだけど英語版だからダメ。」という場面が何度かありました。私は当然「英語版使えば幅が広がるのに・・・」と言うのですが、特にそのグループの中のあるメンバーが強硬に日本語版に拘ったそうで、結構長い間そのグループは日本語版だけで遊んでいました。
しかしやがて、そのグループに変化が現れます。高校生グループの中のある方(仮にA氏とします)が「僕もっと M:tG がうまくなりたい。できれば公認大会にも出てみたいです。」と言い出したのです。当時武生市では私が一般イベントとして M:tG の大会を不定期に開いていました。しかし福井市でDCI公認大会が開催されていると知ったA氏は、そこに参加したいと考え始めたのです。結果的にはそのグループの中から“裏切り者”が現れた訳ですが (^^; とにもかくにも彼はより強いデッキ&よりうまいプレイングを求めて英語版カードに手を出し始めます。
当時私は“2ターン目にセラを呼ぶデッキ”を使っていました。1ターン目に Mana Vault(AL-5E) を置いて2ターン目に Serra Angel(AL-4E) が展開するというデッキで、白ウィニーをベースにしていた事もあって仲間内ではかなりの強さを発揮していました。このデッキに緑使いであるA氏がライバル心を燃やし、そして生まれたのが“2ターン目に Erhnam Djinn(AN/CH) や Nettletooth Djinn(MI) を召喚してそのターンに殴り始めるデッキ”でした(汗)。1ターン目に Mana Vault を置くまでは同じなのですが、2ターン目に Concordant Crossroads(CH) と Erhnam Djinn が出て・・・という仕組みです。しかも困った事にこのデッキ、3ターン目に Emerald Charm(VI) で Mana Vault を叩き起こし、追加のジンが出てきてしかもそのターンに殴りかかって来やがります(爆)。かなりの高確立で4ターンキルが決まり、そのため周囲のデュエリストは驚愕したものです。
A氏はこのデッキで福井市のDCI公認大会に望み、そして華々しい戦果を挙げて帰って来ました。確か優勝は逃したはずなのですが、大会会場はA氏のデッキの話題で持ちきり。何しろ当時補助的要素でしか使われていなかった緑の中堅クリーチャーを使い Type-II の公認大会できっちり4ターンキルが決まりましたので。 (^^; で、これを1つのきっかけにA氏のグループ全体が英語版容認に傾いた訳です。まあ最後まで日本語版に拘る人もいましたが、流石に周囲の人達が英語版カードを使う事は容認せざるを得なくなったようです。
英語を学ぶ際の心得として“学ぶより慣れろ”とか“英語圏の土地に住めば半年もすれば喋れるようになる”等と言われます。これと同じ事が M:tG にも言えるのです。デュエリストが生涯英語と対峙しなくても構わない、そう言い切れるのであれば「英語なんて知らなくてもOKOK。」で M:tG を勧めてあげればいいと思います。でも実際はそうじゃないのです。また英語版カードを使わないという事は、昔の M:tG の面白いカードとの付き合いを最初から断つ事になりますし、安くカードを入手してコモンカードや土地を余らせている英語版ユーザーからのサポートを受けられなくするのです。英語の問題を有耶無耶にして初心者に M:tG を勧める、それは“本当の意味で初心者に取って親切ではない”と私は思っています。そんなの未だにウルザサイクルの Standard 落ちを有耶無耶にしてカードを買わせようとする、どこかの代理店のやり方とあまり変わらないです(爆)。
これについては簡単に書きます。私個人は英語が分からない人からカードを翻訳して欲しいと頼まれた場合は、必ず“英単語と日本語の意味を関連づける”ようにしています。英語のテキストを指でなぞりながら「アップキープステップの間、あなたは払います、こういうコストを・・・」という感じですね。これを何回か続けてあげると、やがてその人も質問したカードのテキストは理解できるようになります。でもこれを日本語版のテキストを渡して「はい、こういう意味。」とやっちゃうとどうも駄目なのです。M:tG ってルール自体が英文でできているので、カード能力も英文で感覚的に理解した方がしっくりくるようです。使われている単語もそんなに多くはないですし。というか、頭が固くなった社会人よりも現役で英語を習っている中高生の方が英語版 M:tG には入り込みやすい気が私はするのですが。まあDCI公認大会に出ようと言うのであればORACLEが読めないと話にならない(ORACLEは翻訳された時点で公式な資料ではなくなる)訳で、どうせ「遅かれ早かれ・・・」になるんだったら最初から英語に取り組ませるのが親心かな?、という気が私はしています。