【デュエリストが Standard しか遊ばない理由】 − 2000/10/20初出・執筆者:あいせん − に対する総括記事です。
この問題に関して、私は大きく2つの視点から考えなければいけないと思っています。
現在の日本で Standard 以外の M:tG を遊ぼうと思った場合、それを志したデュエリストには相当量の“努力”または“幸運”が必要になります。M:tG では同じフォーマットを遊ぶデュエリストが最低でも2人いなければゲームが成立しません。またイベント開催となると8人位は欲しいところです。しかし現在、あるデュエリストが Standard 以外のフォーマットで M:tG を遊ぶ事を志した時に、同じフォーマットで M:tG を遊んでいる方に巡り会う確率はそんなに高くないでしょう。例えば「自分は Type-I を遊びたい。」と思った時、その方には「別のフォーマットで M:tG を遊んでいる人、あるいは今 M:tG を遊んでいない人に Type-I を始めてもらう。」または「あちこちのデュエルルームを渡り歩いたりして Type-I プレイヤーに出会う。」という、いずれかのアプローチを起こす必要があります。そしてそれが日本で成功する確率は決して高くない、要はそういう事です。
ただ私が不思議なのは、ここでなぜ「だから Standard を我慢して遊びなさい。」という発想が出てくるのか?、という事なのです。言い方を変えましょう、なぜ“我慢”しなければいけないのですか?。はっきり言いますが、もし今福井で Type-I が全く遊ばれていなかったとしたら、私は Type-I プレイヤーを自分で育てるべく行動を起こしますし、それで誰も Type-I に見向きもしない状況が続くなら M:tG なんて止めちゃいますよ(笑)。だって遊んで面白い趣味なんて他にいくらでもあるのに、なぜ我慢してまで自分に取って不本意なフォーマットで M:tG を遊び続けなければいけないのですか?。
確かに Standard 以外のフォーマットは日本では馴染みが薄く、それを始めたり続けたりするのは大変かも知れません。でも M:tG なんて所詮は遊びなのですから、我慢してまで続ける必要はないのです。どうしても Type-I や Extended がやってみたければ自分から始めてみればいい、うまくいけば万歳だし駄目だったら別の選択肢を考えてみる。たったそれだけの事なのです。実はこういう問題で悩んでいる人達に求められる決断って“いっそ M:tG をやめちゃう”なのかも知れません(笑)。それ位割り切っちゃえば何でもできるでしょう?。
こういう機会にデュエリストにアドバイスする場合、時として人は“自分の都合を押し付ける”事をよくします。これは代理店の出版物で「僕は初心者なのですが、何のフォーマットから始めればいいですか?」という質問に、HJの担当が判で押したように「 Standard から始めなさい。あ、今なら Portal 三國志もGood!」と回答する、あれが代表例です(笑)。ちなみに私だったら、少なくともその方の周囲の環境等を詳しく伺って、その上でこちらから提供できるカード資産等を含めて結論を出しますがね。ある人が初心者に「 Standard を遊びなさい。」と言う場合、大抵その裏には「僕自身 Standard しか遊んでいないから、他のフォーマットの事を聞かれても知らないよ!」という意識が隠れています。つまり正確には「僕は Standard しか遊んでいないから、僕のサポートを受けて M:tG を遊びたいなら Standard 以外の選択肢はないよ。」なのです。だったら初心者にはそう言うべきなのですがねぇ。 (^^; まるで M:tG のすべてを知り尽くしたような顔をして「いや、やっぱり Standard がベストだ!」と言われれば、そりゃ初心者はそう思い込んじゃいますって。
私はこういう意見を述べる場合、必ず「自分はこう思っている。」という主観である事を告げ、その上で最終判断はそのご本人にお任せする事にしています。そしてその方がどういう決断をされても、先輩デュエリストとしてでき得る限りのサポートをします。でも初心者等が遊ぶフォーマットを決めるために上げた「HELP!」の声に対し、相当数のデュエリスト達が「 Standard 」以外の選択肢を持っていないのです。またそれは本当にその初心者の事を考えた上での意見ではなく、場合によっては単に自分の都合だったり自分の利益誘導が目的だったりします。そして多くのデュエリスト達がこの言葉に騙されてきたのです。
少なくとも Standard 以外のフォーマットを全く遊んでいないデュエリスト、あるいは Standard 以外のフォーマットを遊ばせる気のない個人や組織が、そういった初心者からの相談に答える事自体、私はおかしいと思っています。そういう“返ってくる回答が分かっている摩訶不思議な人生相談”が日本の M:tG の中では幾度となく行われていて、それで多くのデュエリスト達が誰かの意向で Standard に流れているのです。そういう現状を「これ・・・おかしいよ!」と認識する事、これが日本の M:tG を面白くする第一歩になるかも知れないと私は考えています。
あと「昔の Type-II と今の Standard は別物だ。」というご意見には、私もなるほどと感じました。実際私も昔は Type-II と称して4Eのオーバーパワーなカードを4枚フル装填したデッキとデュエルしていましたが (^^;;; 別にそれでデッキ構築やプレイングに苦労した記憶はありません。でも最近の Standard って、ちゃんと戦えるデッキを作ってプレイングまで鍛えるのはかなり大変です。DCIの開催するイベント等を見ても、やはり“ Standard はあくまで競技用”なのです。それを初心者向けだと言って他の人に勧めてしまうのは、やはり“初心者を騙してる”という印象を私は受けてしまうのですが。実はDCI公認大会のフォーマットに拘らなければ、 M:tG っていくらでも安価に&大勢で楽しめるのです。例えば Invasion 限定構築/デッキ内のレアやアンコモンの枚数制限をしたフォーマット/特定の絶版カードブロックを使った簡易ドラフト etc. 実際福井でも幾つかイベントを開催して好評を得ています。そしてこういった“ M:tG の幅を広げる工夫”は、結果的には Standard による競技 M:tG 人口をも増やし、 M:tG の市場や公認大会をも活性化するのです。私に言わせると、こんな問題は初心者やカード資産が乏しいデュエリスト自身が悩むべき問題ではなく、 M:tG のインフラ整備として中・上級者や M:tG を売る側が考えるべき課題です。そういう発想が日本の多くのデュエリスト達に生まれて実行されない限り、多分日本の M:tG はこのまま“鳴かず飛ばず”で終わってしまうだろう、これがこのテーマに関する私個人の結論です。