という事で、恒例の雑感です。
Invasion を一言で言うと“面白そうなエキスパンション”という事になりそうです。ただここで「面白い」と断言できないのは、このエキスパンションも結局は“使う側次第”であるという事なのです。私個人はスポイラーリストを見た限りでも「 Invasion って Standard だけで使うには、あまりにももったいなさ過ぎる。」という感想を持ちました。私が持つ狭い知識の範囲でも「この Invasion のカードとあの絶版カードを組み合わせると、こんな悪い事ができるよ。」みたいな悪巧みが山のように出てきます。ですから多分実物のカードを手に取ったら、それこそ何ができるのか想像すら付きません。しかし最近日本の M:tG は遊ぶフォーマットを Standard に限定する事で、本来なら大活躍できるだけのポテンシャルを持ったカードをストレージBOXに眠らせてしまっています。そして現時点で Invasion の多くのカードがそうならない保証はどこにもないですし、むしろ“歴史は繰り返す”可能性が高いのです。
言い方を変えると「 Invasion は昨今の日本人デュエリストに渡すにはもったいなさ過ぎるエキスパンションだ。」という事です。少なくとも他人のデッキレシピを見てデッキを作るだけの人間に、これだけバラエティに富んだ面白いカードは必要ないだろう、そういう気がするのです。特にエキスパンションが出る度に某掲示板で「このエキスパンションの最強カードって何ですか?」等という下らない質問をされるような方には、はっきり言っちゃうと Invasion は1パックも買って欲しくないです(笑)。その位私個人の Invasion に対する評価は高いです。ただ1つだけ苦言を呈するならば、あのスプリットカードだけはなんとも頂けない物がありますが。 (^^; 初心者が見ると間違いなく混乱しそうですし、あと M:tG のルーリングの観点から見てもかなり混乱を来しそうな要素を持っているからです。遊び心的な発想そのものは良かったと思うのですが・・・。
以前マスカレイドサイクルのエキスパンションに関する雑感記事で私は「これらは古き良き時代の M:tG の復興を目指している。」と書きました。今回の Invasion はそういう思想を継承しつつ、新しいカードを提案しているという点が非常に評価されます。その工夫が一番良く現れてるのが“キッカー”です。ここ1〜2年の M:tG はマナコストの安いカードを強化しすぎてしまい、それにより速攻&単色へと傾倒する結果を招いてしまいました。それまでの M:tG では、例えばウィニーデッキは「序盤は凄まじい勢いで動くけど、試合が長引くと息切れする。」という特徴を持っていて、それ故に大型クリーチャー等の活躍の場があった訳です。また単色デッキにはいわゆる“色いじめ”のカードが天敵となり、これにより単色デッキの台頭には歯止めがかかっていた訳です。ところが最近の単色(例えばストンピィ)は息切れする前にほとんどの対戦相手が倒せる上に、中盤以降でもなぜか場が優位な状態を維持できるという、従来の M:tG では考えられなかった動きをします。それ故最近の M:tG は「これ以上マナコストの安いカードを強化すると更にデッキが偏る。でもマナコストの高いカードは余程の事がないと使ってもらえない。」というジレンマを抱えていました。これに対してWoCが出した答え、それが「序盤に使うカードと中盤以降に使うカードを1つにしてしまおう。」という発想だったようです。
また Invasion におけるバランス取りは“デッキの低速化と中・重量級化”という思想で統一されています。デッキが高速化するとマナコストの高いカードは敬遠され、デッキに使われなくなってしまいます。 M:tG のカードで能力がユニークな物はマナコストが3〜4マナ以上である事が普通ですから、そういうカードがいくら面白い物でも「そんな物を使っていては間に合わない!」という理由でデッキに入らなくなってしまうのです。最近の Standard が単色化した理由もここにあります。しかし M:tG そのものが低速化すれば、多色デッキやマナコストの高いカードにも活躍の場が得られます。ひょっとするとマスカレイドサイクルやその他のカードセットにある、今まで脚光を浴びなかったとんでもないカードが一躍デッキの主役に躍り出る可能性すらあるのです。
つまりWoCは「どうせカードを買うなら M:tG を隅から隅まで遊び尽くして下さいよ。」と言っているのです。そしてそれは多分 M:tG 本来の姿でもあるのです。これだけ良いエキスパンションがWoCから提案されて、それでも M:tG が盛り上がらなかったとしたら、それは間違いなく売り手側(ディストリビューター&販売店)&遊び手側(デュエリスト)に責任があると思います。メーカーはやれる事はやりました。あとは我々遊ぶ側の仕事です。
さて Invasion そのものに対する記事は以上なのですが、ついでなのでちょっと私が危惧している“ M:tG の今後”について書いてみます。
一部の方はもう気が付かれていると思うのですが、実は今まで Standard で主力となっていたデッキの大部分が、今回ウルザサイクルの Standard 落ちによって Standard では使用不可になります。私が思い付く範囲で継承されるデッキはレベルウィニー位でしょうか。つまりそれだけ従来の Standard ではウルザサイクルへの依存度が高かった訳です。ただ、これにはちゃんとした理由があります。WoCはウルザサイクルのオーバーパワー振りを反省し、マスカレイドサイクルを“古き良き M:tG の復刻”という位置付けで発売したと私は見ています。これって言い方を変えると「マスカレイドサイクルは、従来のエキスパンションと基本セットの中間位置にある物だ。」とも言えるのです。現在 M:tG の最新基本セットである6Eは、はっきり言ってそのアンダーパワー振りから人気が薄く、実際に使われるカードもごく一部に限られています。これと似たイメージでマスカレイドサイクルが作られているとすれば、当然デュエリストは6Eと同様の扱いをマスカレイドサイクルに対しても取るのです。
さて、ではここに Invasion (サイクル)が入ると何が起きるのでしょうか?。もしこの Invasion が Urza's Saga 並に強力(凶悪)なエキスパンションであったとすれば、多分今のウルザのカードが Invasion のカードに置き換わって話は終わりです。しかし実際にはそうじゃない、すると「 Standard のデッキを作るのに、使用できる範囲のカードをもう1度全て洗い直すしかなくなる。」という事です。当然検討の中心は Invasion になるのでしょうが、それにマスカレイドサイクルや6Eのカードを全て加えて再検討し、強いデッキを生み出さなければいけないのです。何しろ今までの Standard で積み上げたデッキの知識は、基本的に全てリセットされてしまう訳ですから。
そして今、そういう検討を世界中のデュエリスト達が始めています。でもどうでしょう、そんな中でも日本人デュエリストの中に“誰かが最強デッキを作るのを待っている”という風潮はないでしょうか?。だとしたら本当にもったいない話ですし、デッキ構築という M:tG の面白さを感じる事のできる有意義な時間を有効活用できていません。我々は欧米人の倍近いお金を出してカードを買っているのですよ(笑)。それなのに買ったカードを欧米人よりも楽しんでいないなんて、本当もったいないと思いませんか?。
私は今回の Invasion 発売は“自分で遊ぶ M:tG を取り戻す絶好の機会”だと考えています。 Invasion には300種類以上のカードがあり、その上マスカレイドサイクルのカードもまだ研究し尽くされたとは言えない状況です。この機会に“自分のデッキで暴れてみる”という M:tG の楽しみを是非ご自身の手にして頂きたい、それが私の願いです。
最初の方にも書いた通り、私個人は「 Invasion は Standard の範囲だけで遊ぶには、あまりにももったいなさ過ぎる。」と感じています。例えば“5色のクリーチャーと5種類の基本地形タイプの土地をコントロールしたら勝ち”というソーサリー呪文があります。多分 Standard 環境下だけで考えるとこのレアは“使えない(外れ)”という事になってしまうと思うのですが、しかしこれが Type-I 辺りになると「いっちょう狙ってみるか!」という感じになります。多分実際にこれでテーマデッキを組んでみようという人は少なからず現れるでしょう。実はこの条件って Type-I 環境下では、3つの土地と2体のクリーチャーを場に出しただけで実現できるのです(笑)。そう言われるとなんか狙えそうな気がするでしょう?。
上の例はかなり極端な物ですが、でも Invasion にはそういった“デッキ・クリエイターの遊び心をくすぐるカード”がかなり多く収録されています。ただ、実際皆さんが“ Standard の競技 M:tG ”という遊び方に固執する限り、これらのカードのかなりの割合が多分使われずに終わるのです。別に Standard の競技 M:tG 自体が悪いと言っている訳ではありません。ただ“もったいない”のです。 Invasion のカード能力を読んでいると、WoCの「どうせなら絶版カードを使ったフォーマットも遊んでみてよ!」というメッセージが伝わってくるのです。少なくともWoCは Standard や Limited に偏重した M:tG の推進に限界を感じていて、今回かなり大胆な改革を断行した気がします。そういえば10月からDCI公認大会では Standard と Extended は同じカテゴリーで集計されるようになったんですよね。
はっきり言ってしまうと、 Invasion は“ここ最近無かった魅力のあるエキスパンション”です。ですから Standard だけを遊んで2年で使い捨てるのは、あまりにももったいないのです。また Invasion は過去に発売された絶版カードの再活用を促す効果もありそうなので、私としては是非この機会に色々なフォーマットに手を出してみて欲しいと思っています。ただ個人的感想を言っちゃうと「これだけデュエリストが新しいエキスパンション購入に疲れ果てた後に、こういう物を出すのはちょっとタイミングが悪かったかも。」という気はしているのですが。