ファンデッキの作り方

 先日公開した総括記事で、私は「どうせ今時ファンデッキの作り方なんて誰も書かないし、書いたところで誰も読みやしないだろう。」という内容を書きました。ただ読む/読まないは別として、自分で書きもせずに文句を言うのは嫌なので、この機会に書いてみる事にしました。

● ファンデッキとトーナメントデッキの違い

 “ファンデッキ”という言葉は、正直言ってその意味が非常に曖昧です。そのため最近は“テーマデッキ”という言葉が使われ始めているのですが、これにしても“トーナメントデッキ”との違いは良く分からなかったりします。トーナメントデッキには本来“ある特定の大会で勝利する”というテーマがあり、逆に言うとそれ以外のテーマを持っていません(多分。 (^^; )。これに対してファンデッキというのは“特定のカードあるいはコンボで勝利する”事を狙った物が大部分です。つまりデュエルの勝利を目指しているという点で、両者は基本的に同じ物なのです。

ちなみに世の中にはデュエルでの勝利以外の物を目指したファンデッキも存在します。ただそういうデッキは対戦した相手がバカにされたような印象を持ったりするケースが少なくないため、個人的にはあまりお勧めしなかったりします。0/1のトークン・クリーチャーを100万体も場に出すような凄いデッキでも、それで勝てなきゃ(少なくとも対戦相手に取っては)意味が無いのです。

 それでは両者は何が違うのでしょうか?。それは“そのデッキが何に比重に置いているか?”だと私は感じています。例えば私はMIRAGEの登場前から“イラストが全部お姉ちゃん(基本地形を除く)の白ウィニーデッキ”を使っていました。(というか、今も使っています。)私は当然このデッキでデュエルの勝利を目指す訳ですが、ただ例えば白ウィニーには必需品と言われるハルマゲドンはもちろん入らない訳ですし、当時は事もあろうに白デッキにはそれこそ基本地形並の頻度で入るであろう解呪すら入っていなかったのです(笑)。それだけ私はデュエルの勝利という目的からは遠回りしたデッキを作った訳ですが、でも私がそういう道を歩んだのにはちゃんと理由があった訳です。

 ただそのデッキは周囲の人達の間ではかなり有名でしたので、MIRAGE発売が話題になると「今度の解呪、お姉ちゃんイラストだと良いですね。」等と話題が出ました。何しろMIRAGEの解呪がああいうイラストになったのを最初に知ったのも、知り合いが「あいせんさん、解呪が“お姉ちゃん”になりましたよ!」とわざわざ見せに来てくれた時でしたので。 (^^; そして私がそれまでデッキに解呪を入れていなかった事に関して、周囲の人達で私を非難したりバカにした人は1人もいませんでした。「そのデッキはそういうデッキなんだ。」という認知がされていたからです。(ちなみに今私は、解呪はTEMPESTの物を愛用しています《ぉ。)

 私は「デッキとは“そのデュエリストのアイデンティティを示す物”である。」という持論を持っています。また「デュエリストは自分のデッキで自らのアイデンティティを誇示するべきだ。」とも思っています。そのデュエリストがどういうファンデッキ(あるいはトーナメントデッキ)を持って来てそれをどう回すか、それを見ればその人がどういう人で今までどう M:tG に取り組んで来たのかはおおよそ分かるのです。ちなみによく「日本人には個性が無い。」と言われますが、その民族性って M:tG のデッキ傾向にも良く現れていると思いませんか?。

● ファンデッキの作り方

 私個人が考える“ファンデッキの作り方”は、おおよそ以下の手順となります。

  1. デッキの背骨となる“テーマ”を決め、これをデッキの勝ち筋とする。
  2. 勝ち筋をできるだけ早く&確実に実現するための補助パーツを選ぶ。
  3. 勝ち筋を妨害&封印されないための補助パーツを選ぶ。
  4. 基本地形&特殊地形を加えてマナバランスを取る。
  5. 1人プレーで何度か回してみてバランス調整をする。
  6. 適当な対戦相手と実戦を積み、更に調整する。
  7. 参加する大会のデッキ傾向を分析してサイドボードを決める。
 あ、そこのあなた、今「これ、トーナメントデッキとどこが違うの?」って言いましたね。その通りです(笑)。実はファンデッキの作り方って、基本的な部分はトーナメントデッキと何ら変わらないのです。少なくとも“デュエルでの勝利”をそれなりに考えたファンデッキは、おのずとトーナメントデッキの作り方を踏襲する事になるのです。

 ですが、この制作過程の中身がファンデッキとトーナメントデッキでは当然違ってくるのです。例えば私が“セラの天使で相手を殴って勝つファンデッキ”を作るとします。普通トーナメントデッキですと、万が一セラ天が4枚すべて除去された場合を想定して、例えばベースを白ウィニーにしたり別の大型クリーチャーを入れたりして、とにかく“勝ち筋”を確保します。マナバランスの検討結果次第では、セラ天を3枚あるいは2枚に減らすという選択肢もあるでしょう。しかし私はあくまでセラ天が使いたい訳で、ライオンや白騎士殿で殴り勝つのは本意ではありません(笑)。つまりトーナメントデッキなら間違いなく入れるであろうカードがファンデッキには入らず、逆にトーナメントデッキは絶対に使わないであろうカードがファンデッキには入るのです。まあその後者の代表格と言えるのが Ring of Ma'ruf(AN) でしょう(爆)。トーナメントデッキ使いがこのカードを使う事はまずないと思うのですが、でもセラ天を愛するファンデッキ使いなら、このカードは喉から手が出る位欲しいのです。 (^^;;;

● “テーマ”との出会い方

 さて、そこでファンデッキを作る際に問題となるのが「いかにファンデッキのテーマとなるカードやコンボに出会うか?」です。どうも世間で“(デッキ)デザイナー”と呼ばれている方々は、それこそスポイラーリストが公開された段階でデッキの設計ができてしまうようなのですが、流石に我々がそれを真似ようと思っても無理があると思います(笑)。

 私個人は“とにかく数多くのカードを手に入れて触れてみる事”をお勧めします。要するに「カード買えや!」と言ってます(爆)。最新カードセットの収録カードは写真付きでリスト化された情報がほとんど無いですし(Win版のエンサイクロペディアはそれなりに便利ですが)、やはり実際にカードを見た&持った感触って何物にも代え難い物があります。HJの出版物等で紹介された物から得られた印象が、実際のカードを手にしてみたら随分違っていたというケースも少なくありません。

 そして大事なのが“あなた自身の M:tG 知識の蓄積”です。目の前のカードがそれ単体では大した能力でなくても、過去に発売された別のカードと組み合わせるととんでもない能力を発揮する事が M:tG ではよくあります。その組み合わせに気が付くか否か、そこにあなたがファンデッキのテーマに辿り着けるか否かがかかっているのです。もしあなたが例えばあるカードのイラストが物凄く気に入り、そのカードを主戦力に据えたデッキを作ろうと志したとします。でもそのカードを生かすも殺すもあなた次第なのです。ひょっとするとそのカードは一生手札の中に埋もれたままになるかも知れませんし、また他のカードがやたら目立って「これ・・・このカードを使ったテーマデッキですか?」等という誤解を持たれるかも知れません。そうならないようにするためには、あなたの今までの M:tG に対する知識やノウハウが試されるのです。

 ・・・はい、もう分かりましたね。実はこの“テーマの見つけ方”に関しても、トーナメントデッキとファンデッキとではほとんど違いがありません。ただ“向いている方向性”が少し違うだけなのです。つまり逆に言うと、それなりにファンデッキが組める人間って実はそれなりにトーナメントデッキも組めるのです。これは福井の数多くのデュエリストが実践して証明してくれています。ただ最近はどうもトーナメントデッキに関しては外国の情報(というかデザイナー)に頼っている部分がかなり大きい気がしますが。

● ファンデッキ制作のメリット

 ファンデッキを作るとトーナメントデッキを作る際と同じか、下手をするとそれ以上のカード知識が求められます。特に最近はトーナメントデッキって早い段階で主力となるデッキ・レシピが情報として流れてしまい、それ以外のカードに対する検討というか吟味があまり行われない傾向にある気がします。でもファンデッキ制作ではそういった情報はあまり役に立たないので、逆に言うと自分でカードを探し出すしかない状況に陥ります。すると人は自然とカード能力に敏感になり、一生懸命カードテキストを読み、そこから他の人が気が付かなかったカードの使い方を思い付いたりするものなのです。

 ファンデッキを使う事による大きなメリットは“勝っても負けても M:tG を楽しめる”という事です。デッキが回れば自分の手柄、回らなくて負けたら自分のせい、そういう割り切りができる分デッキ制作やプレイングに打ち込めるのです。しかもそのデッキの構造は自分が世界一良く分かっている訳ですから、プレイングを鍛えるのにもそんなに時間はかからないはずです。

 そしてファンデッキ使いに取って何よりのご褒美、それは自分が狙った勝ち筋がピタリと決まって、それで対戦相手に「そういう事か・・・やられた!」と言わせた瞬間です。私がファンデッキを作る方に「ファンデッキといえどもちゃんと回るデッキにするのは最低限のマナー、できればきっちり勝ちに行って下さい。」と言うのはそのためなのです。またファンデッキが持つテーマ性を対戦相手に理解してもらうには“狙い通りのテーマで相手を負かす”のが一番なのです

 これは決してトーナメントデッキを作られる方々にオリジナリティが欠けている、という意味ではありません。ただファンデッキ制作というのは“情報をあまり当てにできない”という環境に自らを置く事で、自分でカードを探して来て自分で組み合わせ、そして自分で調整してデッキを完成させる事を自然に覚えさせてくれるのです。要は“習うより慣れろ”というやつですな。

● ファンデッキ制作の実例

 今まで私が作ったファンデッキの中で、周囲の方々からも傑作と言われて今でも愛用しているのが“りすデッキ”です。

 私自身、自分のデッキ構築のアイディアを100%自分の頭の中から捻り出している訳ではありません。数年前の大会でいわゆる“クレイジーグリーン”が猛威を振るった事があり、このデッキがりすデッキのベースになっています。当時 Liege of the Hollows(WL) の使い道を考えていた時にこのクレイジーグリーンの存在を知り、それで「それだけ○○○○みたいなマナが出るならりすもいっぱい喚べるに違いない。」という極めて単純な発想からスタートしました。ただし私はクレイジーグリーンに関しては発想の部分だけを伺って、具体的なデッキ・レシピは極力見ないようにしていました。「真似た」「真似ない」の話以前に、見るとつまらないと思ったからです。だってデッキ構築って M:tG の面白さの半分位を占める部分ですよ。それを最初から奪われちゃうのって損した気分になるので嫌なのです。

 検討を始めて数日でマナの大量生産には目途が立って、理想起動すると2ターン目に“りす姉さん( Liege of the Hollows の通称)”が場に出て攻撃できる位の高速展開が実現しました。ところがここで大きな問題が発生します。私は“りすで殴りたい”のであって“りす姉さんで殴りたい”訳ではないのです(笑)。りす姉さんを墓場に送り込む手段をどうするかという問題もあったのですが、それに加えて私自身がりす姉さんを自ら墓場に送り込む事にかなり抵抗がありました。周囲の人達からも「お姉ちゃんカードを自ら屠るのって あいせん らしくない。」とまで言われたのですが (^^; まあ今回はテーマがテーマなので涙を飲む事にしました。 (^^;;; それで色々と考えていたところ、実は私はその答えを既にデッキに組み入れていたのです。それが Natural Order(VI) です。元々は Kaysa(AC) の高速展開(エルフ1体をサクって Kaysa を出す)のために入れていたカードだったのですが、これが「りす姉さんをサクって場に新たなりす姉さん or Kaysa を出す。」という戦術を実現していたのです。後で聞いたのですが、実はダメ老師さんとそのお友達のグループがこの少し前に同様のりす高速展開デッキを検討していたらしいのですが、やはりこの“りす姉さんをサクる手段”は相当悩まれたのだそうです。後日大会のデッキレシピを見て「ああ、そういう手があったか!」と感心されてしまったのを、私は今でも照れくさい思い出として記憶していたりします。

まあ書くまでもないと思うのですが、このデッキにはこの他に Ashnod's Altar(6E) が4枚フル装填されています。あと実は“りす姉さんをブロックした相手のクリーチャーに Bounty of the Hunt(AC) を撃つ”なんて大技もありなんですよね。 (^^;;;

 また私はこのデッキで“デュエルの勝利”を目指している訳ですから、当然様々な勝ち手段をデッキに入れていました。このデッキの初期バージョンには Tinder Wall(IA) が入っていて、X火力で一気に対戦相手を焼き払う仕掛けが用意されていました。また中期バージョンには Erhnam Djinn(CH) が入っていて、実はこの頃の勝率はかなり高かったりします。ただ私は数ヶ月(数年)に渡る検討の結果、これらの仕掛けはデッキから外しました。「このデッキはりすで殴り勝つデッキなんだから。」それが理由です。

 でも私には変な所に拘りがあって、初期バージョンから入っている Kaysa がどうしても外せなかったりするのです(笑)。どう考えても Deranged Hermit(UC) の方が強そうな気がするのですがねぇ。 (^^; ただ実際私は Kaysa には何度も命を救われているし、彼女が私を勝利に導いてくれた事も数多いのです。私が今でも覚えているのは、少し前に福井で開かれた Type-I の大会でのMさんとのデュエルです。場が硬直していたもののこちらのクリーチャーは相当数が展開していて、あと Overrun(TE) を引けば勝ちという場面だったのですが、対戦相手は明らかに手に Fork(RV) を握って待っている。でもこのまま何もしないと次のターンには火力で焼かれて負けが見えている。「さあどうしよう?。」というところで私が引いたカードは・・・。「さあ、 Fork でコピーできる物ならコピーしてみやがれ!。 Kaysa 召還。しかる後全員で総攻撃!。」

 このデッキは当初 Extended 用のデッキとして使い続けるつもりでした。しかし少し前に4E&CHが Extended から外れる際に検討した結果、どうしても Concordant Crossroads(CH) が外れる事によるパワーダウンを補う手段が無くて、思い切って Type-I 用のデッキにしてしまいました。そしてその際に“一般的な Type-I デッキの勝ち筋を妨害する手段”として Titania's Song(5E) と Primal Order(5E) を入れて再調整したのですが、おかげでパワーナイン&デュアルランド満載の福井の Type-I プレイヤーの皆様からは思い切り嫌がられております(爆)。しかも対戦相手から見ると Wasteland(TE) が死にカードになる(壊す特殊地形が無い)という徹底振りでして。 (^^; ただ1度だけ Primal Order をメタられて、対戦相手がデッキに Rainbow Vale(FE) を入れてきた事がありました。既に場には私の Primal Order が2枚。「じゃあ Rainbow Vale セット。マナを出して○○を出してエンド。」あれあれ!?、あの土地なぜかこっちに来るんですけど。いや確かに絵柄は僕好みなんだけど (^^; 今君に来られてもねぇ・・・。「アンタップ、アップキープ・・・ぐはぁ!」しかもそんな時に限って手札には使えるカードが無い。「という事で、ターン終了時にこの土地から緑マナを出します。1点マナバーンしてエンド(あちち!!)。」以下謎の特殊地形キャッチボールが数ターン続き、対戦相手が先に力尽きてかろうじて勝ち。ちなみに手札には Emerald Charm(VI) が2枚。何度こいつで自分の Primal Order を叩き割ろうと思ったか(爆)。

● 誰のためでもないのです

 ファンデッキって、結局のところ“作った本人が楽しむための物”なのです。ただ本人が楽しむ課程において対戦相手やギャラリーにも楽しんでもらい、その雰囲気を自分が楽しもうという部分があるファンデッキは人を幸せにするのです。要するにお笑い芸人さんと同じですよ。相手に笑ってもらう事を強制なんかできないのです。相手の笑顔を見て自分が満足したければ、自分自身のレベルやスキルを向上させて相手を笑わせるしかないのです。それで笑ってくれたら勝ち、笑ってくれなかったら負け、そういう事です。

 トーナメントデッキ(使い)の中でも特に経験の浅い人達は、対戦相手を見ていないケースが少なくない気がします。理想起動して3ターンキルできると思ったら最後のキーカードをカウンターされる、そんな事はよくある話だし、だからこそ対戦は面白いのです。でもそういう時に怒ったり不愉快になるデュエリストがなぜかいて、しかもそういう人が少なくない。これはなぜなのでしょうか?。それは「そのプレイヤーが自分自身のデュエルでの勝利しか見ていなくて、しかも対戦相手の事なんかこれっぽっちも頭の中にない。」からではないかと私は思います。そのデュエルでの唯一の目的が勝利だとすれば、その目的を邪魔した対戦相手を憎いと感じるのは極めて当たり前の感情です。でもそんなデュエルをこの先100万回続けたところで、それで本当に M:tG って盛り上がるのでしょうか?。

 はっきり言います。誰だってデュエルには勝ちたいのです。私だってそうです。でもそんな中で“デュエルに勝敗以外の楽しみがある”としたらどうでしょう。試合に勝ったデュエリストにはもちろんの事、試合に負けた人にもそのデュエルで得る物があったとしたら、ひょっとすると“対戦したデュエリストが両方とも勝ったと言えるデュエル”って可能だと思いませんか?。ちなみに私がコピーデッキ(使い)を嫌う大きな理由の1つがここにあります。コピーデッキユーザーとのデュエルって得る物が無いんですよね。

 ただ私個人は、皆さんにファンデッキ制作を強くお勧めする気はあまり無かったりします。自分でやってて大変なのが分かっていますので(笑)。カード資産にしてもトーナメントプレイヤーと変わらない位の物が必要ですし、何より手間が・・・ねぇ。 (^^; 私の知り合いに“福井のファンデッキ使いのパイオニア”と呼んで差し支えない方がいらっしゃるのですが、周囲からの期待もあって毎回大会になる度に血吐いてるもんね(爆)。でもその方って最近は“ファンデッキ使い”から“ジャッジ泣かせなデッキ使い”に変わりつつある気がするのですが(嫌爆)。

 正直言うと周囲のデュエリスト達から“りすデッキ使い”という形で認識されるのって、やはり悪い気はしないですよ。福井という狭い地方ながら自分の作ったデッキが認められたという事だし。でも最近日本の M:tG って、1つのデッキを何ヶ月あるいは何年と使い続ける遊び方ってできなくなってますよね。そういうのって私個人は物凄く淋しい事だという気がしています。普通にデュエルルームで遊ぶフォーマットを Standard から一歩ステップアップさせるだけでも、随分と良い環境になる気が私はするのですが・・・。

● ちょっと補足

 例の総括記事に関して、メールで幾つか反響を頂いています。その中にあった事例なのですが・・・。

 要約すると「あるコピーデッキユーザーに自分がデュエルに勝った事をやたら自慢された。しかも他人のデッキを馬鹿にして頼みもしないのにデッキ診断を始め、結局どこかの雑誌に載っていたデッキのコピーにされそうになった。」という内容です。実はこういう事例ってこの方だけではなくて、別の方からのメールやWebサイト上の掲示板への書き込みでも相当数見られます。つまり少なくとも特定の人間1人だけがやっている事ではない、という事だけは言えるかと思います。

 流石にこの事例をコピーデッキユーザー全体の話に拡大して「だからコピーデッキユーザーは駄目なんだ!」という結論に持っていくのは無理があり過ぎます(笑)。大体コピーデッキそのものに対しての賛否論についても結論は出ていない(というか出る訳もない)状況ですから。ただコピーデッキユーザー、あるいはそれを容認する皆様に知っておいて頂きたいのは、少なくとも「コピーデッキユーザーに対する世間の目は厳しい。」という事実はあるんだ、という事です。

 この話は昔の対戦格闘ゲームにあった“待ち/ハメ論議”に非常に酷似しています。今更こんな論議を蒸し返しても誰も得をしないので、この論議が最終的にどういう結末を招いたかを書きます。結局待ち/ハメを嫌った多くのプレイヤー達がゲームセンターに通うのを止め、彼らは一部が家庭用ゲーム機や中古基盤を家に揃えて遊ぶようになり、また相当数が格ゲーそのものを離れました。そのため一時期全国大会まで開催される程盛り上がった格ゲーは衰退の一途を辿り、少し前にゲーセンでの主役を音ゲーに奪われました。

 個人がどういうデッキを使うかは個人の裁量に任されています。また個人の言動に関しても同じです。ただ人間には“嫌いな人間は無視する”“嫌な場所には行かない”事が可能です。あなたの言動で公認大会の会場やデュエルルームが誰かに取って嫌な場所になったとしたら、そんな場所に人は居着かないし他の人も来ないのです。まあ、これは何もコピーデッキユーザーに限った話ではないのですが、コピーデッキユーザーがそういう事をすると目立つらしい。そう解釈すればいいかと思います。なお、これはあくまで私個人の印象ですが、コピーユーザーに対しては“勝つために手段を選ばない人達=つまらない対戦相手”という図式を持っている人が少なくないのだと思います。

 ただ今回挙げたファンデッキユーザーにしても“嫌われる言動”はあります。自分のデッキが全く回らなくて不発に終わった。対戦相手は土地事故を起こした相手に勝って割り切れない気分でいるのに、そこに来てその相手が自分のファンデッキの“ファンたる部分”を頼みもしないのにくどくど説明し始める。これ・・・かなり腹立ちます(笑)。ましてや勝った相手にそれをやられたのではたまった物ではないですし、その出来事一発で「俺 M:tG やめる。」になったって何ら不思議ではありません。

 まあこの問題が“個人のマナーやモラル”で解決するのであれば、根本的な話としてこういう問題が出る事自体あり得ない訳です(笑)。実際にはなるようにしかならない訳ですが。ただ実はこれに関してうち(= Echizen Gather-ru)が“ガス抜き”になっているというご意見を複数の方から頂いています。「これだけはっきりと言ってもらえて胸のつかえが取れた。これで今後も M:tG を頑張って続けていけそうだ。」という感じです。これってHJ/DCIJに関する記事にも同様のご意見を頂いています。 (^^; 最近私も「実はこの“ガス抜き”こそが、うちの最大の存在意義なんじゃないか?」と思っています(爆)。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。