ここが変だよ!?“日本の M:tG ”
第3部:デュエリスト自身の問題

 では今度は“ M:tG を遊ぶ側”を見てみます。

● 日本の M:tG をつまらなくした元凶

 確かにHJの取ったDCI公認大会の推進(というか異様なまでの執着)が、日本の M:tG をつまらなくしたきっかけである事は間違いないと思います。ただ実際に日本の M:tG をつまらなくしたのは、誰でもない日本のデュエリスト自身なのです。

 一部の競技 M:tG プレイヤーの“DCI公認大会での勝利にかける執念”というのは、私が見ていてある意味凄い物があると思います。ただ同時に私は「日本の公認大会って、そこまでして勝つだけの魅力のある物なのかなぁ?」という印象を持っています。例えばこれが囲碁や将棋のイベントであれば、それこそ自分では囲碁や将棋をされない方にでも「僕、県大会で優勝したんだよ。」と言えば、向こうは「そりゃ凄いねぇ。」と誉めてくれるでしょう。でも M:tG でそれをやっても「ふうん、奇術の県大会ってあるんだ。」とか言われかねません。 (^^; ましてやその優勝デッキにn万円かけたなんて言ったら「あんたバカぁ〜!」で話が終わっちゃいますよ。一般世間から見た M:tG なんてその程度なのです。何しろ M:tG の日本での認知度って遊戯王やポケモンTCGにすら及ばない印象がありますし。

 また“日本人デュエリストにはTPOが無い”というのも私個人の印象です。一般(非公認)の大会で「自分で考えた面白いデッキで楽しもう!」という主旨で開かれた大会ですら、会場内には“補充”“補充”“補充”“補充”“補充”・・・。しかもそれが販売店のデュエルルームまでそんな感じで、おまけにデュエリストの多くが口にする話題が「いかに対戦相手に何もさせずに3ターン以内で勝つか?」だもん。そんなTCG、少なくとも私は買いたくもなければ遊びたくもないです。まあ特に最近はテーマデッキやファンデッキの組み方なんて誰も書かないし、書いたところで誰も読みやしないのですが。 :-P

 何度か書いているように、そういうデュエリストって結局は“誰かに踊らされている”し“誰かに M:tG を遊ばされている”のです。しかもそういう人に限って情報が無いとデッキが組めなかったりするし。ちなみに言うと、そういうデュエリストが言う意見には私は一切聞く耳を持たなかったりします。だってそんな人に自分の意見や主張があるとは思えないですもん。どこかの雑誌かトーナメント・プレイヤーの書いた文書の受け売りを聞かされるなんて時間の無駄ですよ。しかもその内容に説得力があるならまだしも、下手すりゃその意見の元ネタこそが“日本の M:tG をお寒くした元凶そのもの”だったりしますし。

● 競技を支えるために

 これを読んでいるデュエリストの中に「自分は本気で世界選手権での優勝を目指して M:tG を続けている!」と豪語できて、実際そうなるべく M:tG に取り組まれている方はどの位いらっしゃいますか?。いきなり世界選手権が無理なら日本選手権でも良いです。流石に1000人とは言いませんが、そういう方が500人いらっしゃるのであれば、多分日本の M:tG は今後も安泰でしょう。

 日本選手権での優勝を本気で考えるのならば、少なくとも自分の地元で M:tG を本気で盛り上げる必要があるはずです。地元でのカード流通量を増やして必要なカードを安定して入手するルートを確立し、地元のデュエリスト全体のレベルやスキルを上げてその上でその地区の公認大会で安定して勝てる位の実力を身に付ける。そうでもしない限り、多分日本一(あるいは世界一)になるなんて到底不可能だからです。また万が一日本一(あるいは世界一)になって凱旋した時に、そういう土壌があると地元でいい顔ができますしね(笑)。

 正直言いますが、私は日本にはそこまでやっているデュエリスト(競技 M:tG プレイヤー)はいないと思っています。あ、今頭の中にやはり中村聡氏の名前が浮かんだのですが、それ位しか思い当たらないです。(今年の日本選手権で日本一になられた方は良く知らないのでコメントは控えます。)日本にもいわゆる“競技 M:tG のチーム”は存在していますが、そういったチームって実際のところ何をしているのですか?(笑)。そのチームのWebサイトでも読みに行くと書いてあるのかも知れませんが、あまりその手のWebサイトには良い印象が無いもので最近は全く見に行っていないのですよ。 (^^;;; 一時期私に対する“欠席裁判”が開かれてた場所もあったりしましたし(滝汗)。まあ個人的な印象で書いちゃうと「チーム内のメンバーは盛り上がっているけど周囲は白けている。」な気がしてしょうがないのですが(問題発言)。でも実際問題として、去年に引き続き今年も「世界選手権の日本代表を応援しよう!」的な話題は、インターネット上では(選手自身の関係するWebサイトを除いては)ほとんど盛り上がらなかったようですから。

 これは以前の記事にも書きましたが、例えば将棋という世界には“1200万人のプレイヤー”の中に“30万人の有段者”がいて、その中から“200人のプロ”が存在するのだそうです。単純に考えると、1人のプロを支えるには1500人の有段者が必要で、1人の有段者を生み出すには40人のプレイヤーが必要なのです。この数字をそのまま M:tG に当てはめてみると、実はかなり良い感じなのです。40人のデュエリストが M:tG を楽しみながらカードを買って、1人の競技プレイヤーにカードを(トレードなどで)提供する。その地元代表的な競技プレイヤーが1500人集まって、1人の優勝者を生み出し世界選手権に送り出す。 M:tG がこれだけの規模の遊びになればかなりレベルの高い物になるでしょうし、多分世界も目指せるでしょう。ちなみにお聞きしたいのですが、日本で競技 M:tG を推進されている方って、ここまで考えた上で日々行動してますか?。あなたの地元で M:tG を楽しんでいるデュエリスト達を“自分の競技生活を支えてくれる大切なパートナー”と認識し、それなりのサポートなりフォローをして育てていますか?。実際には“トレードで僕が必要なカードを安価に提供してくれるグッピー達”程度の認知しかしていない人が少なくない、それが私の印象なのですが。

● 歪な人口分布

 上記の人口分布を見る限り、1人のプロを(世界に)送り出すのに必要な M:tG 人口は6万人という事になります。日本のデュエリストが6万人より多いか少ないかは分かりませんが、その位の数なら現状でも何とか揃えられそうな気がしませんか?。

 でも実は日本人デュエリストの“歪な人口分布”がそれを阻害しています。今あるデュエルルームに40名のデュエリストが集まっているとします。その中に「自分はこの地区の大会で優勝したい。」あるいは「HJの雑誌に載っているこのデッキを作ってとにかく勝ちたい。」と考えているデュエリストってどの位の割合いると思います?。どんなに低く見積もっても2割、下手すると半分です(笑)。つまりそれだけの割合が既に“有段者もどき”なのです。

 一見すると「それだけ競技 M:tG を志す人がいるのは素晴らしい事だ。」になるかも知れません。でもそういう人口分布って“その趣味を下支えする人達”がいないためもろいのです。まず直接的な影響として、特定の人気レアカードの供給が不足する&奪い合いになるためカードの値段が上がります。これでは本当に競技 M:tG を志した人が十分にデッキを作れない可能性が生じます。なにも“競技 M:tG を志した人”=“お金持ち”ではないのです。 (^^; 本気で日本一や世界一を目指した中学生や高校生が、カードの高騰を理由に挫折するケースも増えるでしょう。

 そしてもっと根本的な話を書くと、実はこういった趣味の世界にニューカマーを招き入れる事に貢献しているのは“普通に遊んでいる人達”なのです。その人口比率が薄いという事は、イコールその趣味にニューカマーが入って来にくいという事になります。また競技 M:tG に疲れた人が「たまには趣味のデッキで息抜きしよう。」と思っても、行き付けのデュエルルームには“補充”“補充”“補充”“補充”“補充”・・・。これでは人はその趣味に定着しませんし、ちょっと競技を休んで普通に M:tG を楽しもうという人の受け皿も無いのです。こんな疲れる趣味、誰も続けませんよ!。

 ニューカマーが少ない&旧来のデュエリストが離れていく。どうです、現実の M:tG にかなり近い状況だと思いませんか?。これはあくまで私個人の分析ですが、これが今日本の M:tG で起きている“現実”なのです。ちなみに書きますが、もし今私が誰かから M:tG を勧められていたとしたら、ほぼ100%間違いなく“手を出していなかった”と思います(核爆)。

● どうせやるなら・・・

 何度も書いているように、私は競技 M:tG の推進そのものに否定的な訳ではないのです。ただ私から競技 M:tG を推進される個人やチームの皆様にお願いしたいのは、是非とも「勝って多くの人達に自慢できるような日本選手権で優勝して欲しいし、そういう日本選手権にして欲しい。」という事です。

 以前の記事にも書きましたが、 M:tG も米国でのトーナメント・プレイヤーのロビー活動により、選手権やプロツアーの賞金総額がアップされていたりします。多分そのうちの一部はスポンサーから出ていると思うのですが、これはすなわち“そういう要求が通るだけの知名度を M:tG が持っている”という事なのです。ちなみになんかHJがこの事を大きく取り上げているみたいですが、実際のところ今回の件に日本って貢献できているんですか? (^^;

 優勝すればかなりの額の賞金がもらえてしかも有名になれる。しかもその後はスポンサーが付き、記事の執筆やイベントへの招待で飯が食えちゃったりする。それだけのご褒美があるのなら競技 M:tG に本気で打ち込むだけの価値はあるでしょう。でも今日本の公認大会って、例えばプロツアーの予選で優勝しても「ローマまで5万円で行って来い。」「シカゴまで3人に10万出すから行ってらっしゃい。」でしょう?。 (^^;;; 流石に魅力に欠けると思うのですが。アクエリでさえ全国大会の優勝者は(全額ブロッコリー負担で)ラスベガスに行けるんですよ。しかも可愛い声優さんと同伴で(笑)。

 私個人は“ M:tG の頂(いただき)は高い方がいい”と思っています。頂が高ければ高いほど目指し甲斐があるし、それに引っ張られて底辺の人口も自然と増えるのです。また高い頂は“競技プレイヤーと一般デュエリストの住み分け”をも実現しますから、その遊びが全体として活性化するのです。日本の M:tG が今ひとつパッとしない理由の1つに、私は“競技 M:tG に対する(それを開く側&参加する側双方の)志の低さ”があると最近感じています。どうせなら日本選手権を、優勝者のアップがTVの全国ニュースで流れる位のグレードにして、その上で堂々と優勝してみませんか?。まあ多分こういう意見を書くと「そんなに M:tG が有名になって大会への参加者が増えると、俺が楽に勝てなくなるから嫌だ。」とか考えそうな人が少なくない気がするのですが。 :-P

● この歴史を何度繰り返す気なのか?

 第3部の最後は“ Standard のブロック落ち”に対する意見を書いてみます。

 私個人は Standard のブロック落ちという仕組みそのものには肯定的です。ただ同時に「ブロック落ちというシステムを導入するのであれば、 Standard を初心者向けのフォーマットとして普及させるのは止めた方がいいだろう。」とも思うのです。

 何かの趣味を遊ぼうと思って道具を買う時に、その道具に「この道具は2年後に期限が切れて使えなくなります。」なんて書いてある商品を私は M:tG 以外には知らなかったりします(笑)。囲碁や将棋あるいはボードゲームといった類の遊びは、1度道具を買って大事に使いさえすればそれこそ一生遊べるのです。そういった物でさえ数千円で手に入るのに対し、 M:tG はほとんどが2年で使用不可になるカードを数万円出して買い揃えろと言うのです。しかも毎年ですよ!。

 WoCやHJがそういう売り方をしている、それに対する文句はもう散々言い飽きたのでここでは割愛します。 (^^; でも何も“遊ぶ側がそれに付き合う必要なんか全く無い”のです。 Standard というフォーマットは本気で“ M:tG で飯を食う”事を志した方々に任せ、我々はもっと楽に&長く遊べるフォーマットを楽しめばいいと思うのです。

 ここで福井で実際に行われている事例をご紹介しておきましょう。福井では Standard 以外のフォーマットがそれなりに盛んに遊ばれています。日曜日のデュエルルームでデュアルランドを見る事なんか珍しくもありません。しかし福井県の隣にある某県では、デュエリストの多くが Standard に傾倒した遊び方をしています。実はこのギャップに一大チャンスが眠っていたりするのです。

 福井のデュエリストは毎年10月頃(=ブロック落ちが話題になる時期)にその隣県に遠征し、11月以降の Standard で引き続き使えるレアカードを抱えてトレードを申し入れます。するとそれまで高価で手が出なかったカードがトレード相手から差し出され、「どうぞ引き取って下さい!」的な形でトレードが進むんだそうです。こうなると完全に立場はこちらが上で、破格な条件で人気カードを大量に回収する事ができます。あとは回収したカードを地元で適当にトレードすると、後には何らや信じられない位の“差額”が残るんだそうです(笑)。

 福井のデュエリストには「うちの地元では絶版カードも遊べる。」という強みがあります。しかし福井以外の多くの地域にはそれが無いため、それこそ10月辺りになると「いかにこの Standard 落ちするカードを11月までに捌くか?」で躍起になる方が少なくないのです。(これってシャークが蔓延する大きな要因にもなっているようですし。)この状況って資金繰りに困った問屋に「おたくの商品現金で仕入れるさかい勉強してや!」という申し入れが来たような物です。 (^^; まあ普通は応じるというか、応じざるを得ないんでしょうね。

 我々はこういった事例を幾つも見ていて、それ故「 Standard しか遊ばないデュエリストがいかに今まで損をしてきているか?」を知っているのです。だから「他のフォーマットも遊びましょうよ。」と言っている訳です。まあ私の意見とHJ(あるいはその取り巻きな方々)の意見のどちらが正しくてどちらが間違っているか、そんな議論をする気はありません。ただ少なくとも私の意見は「それで私個人が利益を得る目的で発せられている物ではない。」事だけはこの際付け加えておきます。皆さんが今後も Standard だけを遊び続けて、それでお小遣いに困ろうがカード破産しようが、私には何の関係もないのですから。

● 第3部・総括

 日本でも過去に、多くの趣味がプレイヤー自身の手によって潰されてきています。特に“対戦”をメインにした趣味には本当の意味での成功事例がありません。囲碁や将棋がここまでの趣味に成長できたのは、それが“対戦相手に勝つ”という部分から“自分自身がうまくなって結果的に対戦で勝てるようになる”という遊び方にシフトできたからなのです。そしてそういう意識のシフトに失敗した対戦格闘ゲームは、今では本当に淋しい状況になってしまっています。

  M:tG もそろそろ、そういう意識のシフトが必要な時期に来ています。デッキ構築を海外の情報に依存するのではなく、それこそ他人に真似されるようなデッキ構築力を持った日本人デュエリストが大勢現れるべきなのです。またいわゆる“軍人さん”だけでなく、それこそ日本人デュエリスト全体の M:tG に対するレベルやスキルの底上げが必要不可欠になります。

 そのためには“ M:tG がうまくなる事のご褒美”を充実させ、更には M:tG そのものの人口を増やして競技プレイヤーを下支えする必要があります。またそれと同時に“競技以外の M:tG の楽しみ”あるいは“競技に疲れた競技プレイヤーへの救済策”も取られるべきです。本来“人を育てる”とはそういう物なのです。

 私は今でも M:tG の市場拡大を熱望していますし、また本当の意味での競技 M:tG の普及にも期待しています。でも私が見ている限り、本当に高い志を持ってそれに取り組んでいる日本人デュエリストって本当に限られた存在です。そして私から見ると志の低いデュエリストが現状の M:tG をやたらと肯定し、それに批判的な私のような人間を攻撃している、そういう印象を私は持っています。(あ、別に私自身の M:tG に対する志が高いなんて間違っても思っていません。 (^^; )皆さんに再度お聞きします。「本当に今の日本の M:tG であなたは満足なのですか?」


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。