M:tG の世界もネットゲーム化が進みつつあります。既に Apprentice32 で M:tG を楽しまれる方は日本のデュエリストの中でも相当な数になりつつあるようですし、更に今年の年末にはドリームキャスト(DC)版の M:tG が発売され、いよいよ M:tG が本格的にインターネット上で(実物のカードを使う事無く)遊ばれる時代がやって来ようとしています。そういう時代を旧来からのデュエリストはどう迎え、どう M:tG と付き合っていけばいいのでしょうか?。
Apprentice32 での事例を拝見する限り、どうやら M:tG のネットゲーム化には“予算”と“遊び易さ”という2つの背景がある気がします。あのカード(デッキ)を使ってみたいけどカードで揃えると費用がかかりすぎる。デュエルはしたいけど時間が無くてデュエルルームにまで遊びに行けない。そういう方々が手軽に M:tG を楽しむ手段として利用されている、まあそれが全てではないのでしょうが、そういう声は多く聞かれます。つまりこの2点がそのまま“ M:tG ネットゲーム化の主なメリット”という事になるのでしょう。ソフトさえ揃えてしまえばそれ以上の追加投資の必要が無く、またソフト自体も(カードに比べれば)遙かに安価。また自分の都合の良い時間にネットにつなげば大抵対戦相手がいる。この手軽さ&気軽さは従来の M:tG には無かった物です。欲を言うと、こういった流れが例えば“選手権参加予定者同士のスパーリング”といった物にまで発展すると、日本の M:tG も賑やかになるだろうし同時にレベルアップも期待できそうな気がします。
一見するとネットゲーム化した M:tG はメーカーやディストリビューターに利益をもたらさず、それ故メーカーは M:tG のネットゲーム化を快く思っていないという印象を受けがちです。しかしDC版 M:tG の発売決定にも見られるように、実はWoCは M:tG のネットゲーム化を歓迎しているというか、むしろ自ら推進していたりするのです。かなり前からインターネット上では、ディアブロやウルティマオンラインといったリアルタイムRPGのネットゲームが凄まじい勢いで普及しています。しかし世界のゲーム人口に限りがある以上、流行る物あれば廃る物があります(笑)。その廃れた(というと語弊がありますが、要は人口を食われた)遊びの中に、いわゆる非電源系ゲームが含まれる訳です。かつてTRPGの合間に遊ばれた M:tG がTRPGの人口を取り込んで成長したのと同じ事が、ここでも形を変えて繰り返されているのです。
これに対して非電源系ゲーム(のメーカーや関係者)が取りうる選択肢は大きく2つあります。1つは“ネットゲームには無い物を非電源系ゲームとして提供する”という方法、もう1つは“自分達が版権を持っている非電源系ゲームをネットゲーム化してプレーヤーの奪回を図る”という方法です。そしてWoCは後者を選択した、簡単に言うとそういう事です。ただしこれに関しては、WoC以上に Hasbro 社の意向が大きく影響したという印象もあります。
WoCが画策しているのは“ M:tG のネットゲーム化による M:tG 人口の増加”と“競技 M:tG の世界的メジャー化”だと思われます。ネットゲームで気軽に M:tG を始めてもらい、そして世界的な規模で開催される M:tG の競技に(今度はカードを買ってもらって)参加してもらう、まあそういう事です。少し前にDCIから「 M:tG のツアー賞金を200万ドル増額した。」という発表がありましたが、これにしてもその流れの一環だと思われます。ただしこの決定の裏には欧米の M:tG トーナメント・プレイヤーによるロビー活動の成果もあったようです。実際この欧米プレイヤーのロビー活動って、例えば最近の緑カードのパワーアップ等といった具体的な成果を挙げています。余談ですが、なぜ日本人プレイヤーってこういった実りのあるロビー活動をしようとしないのか、私個人はかなり不思議だったりするのですが。(これに関しては、後日別の記事として書く事になるでしょう。)
去年の12月に日本国内の M:tG 販売価格に関する記事を書いた際、私は「英語版の安いカードが売られている中でも、ちょっと高めの日本語版のカードが買われる雰囲気を日本国内に生み出す事が重要だ。」と書きました。そしてこの事は今回の M:tG のネットゲーム化にもそのまま当てはまる、それが私個人の意見です。何しろネットゲームのカードは実質的には無料で手に入ります。そういうゲームが出て広く普及しても、それでも1パック500円でカードを買ってもらう施策が今、日本の M:tG には必要なのです。米国ではこれに関して、例えばフライデーナイトマジックといった企画やツアー賞金のアップといった具体的な施策で、かなり早い段階で手を打ちつつあります。少なくとも米国の M:tG には“カードを買って遊ぶだけのメリット”があり、また“カードのコスト・パフォーマンスを高める工夫”がされているのです。元々米国のTCGって“安いから遊ぶ”的な発想というか価格設定で市場を拡大してきた遊びです。それでユーザーが更にこれだけのサポートを受けられるのですから、米国の M:tG は全く安泰だと思われます。
これに対して日本はどうでしょう?。・・・もう何度も書くのはくどいし私自身も嫌なので詳細は割愛しますが (^^; 個人的には「あれだけ高いカードを買うだけのメリットは無いよなぁ。」という感じです。DCI公認大会を開いても代理店から賞品の1つも出る訳じゃないし、賞金の出るイベントは大都市圏にしかない。しかもその賞金にしても、参加者から集めた高い参加費の一部を“トラベルマネー”の名目でトップに渡しているだけ、そんな感じです。
WoCがツアー賞金を増額した背景には“ M:tG のメジャー化によるスポンサーの確保”があると思われます。この事は DUELIST JAPAN Vol.10 に掲載された某トーナメント・プレイヤーの記事にも触れられています。WoCは M:tG をネットゲーム化する事で M:tG の底辺というか裾野を広げ、その一方で“ M:tG の頂点”を高くする事で M:tG をチェスや囲碁・将棋並のメジャーゲームにする事を考えているようです。「なぜ日本でもそうしないの?」これが私の率直かつ素朴な疑問です。まあこれを言うと私の周囲からは「あの代理店にそれを期待するのは無理!」という直球というか剛速球な答えが返ってくるのですが(爆)。まあそういう私自身が投げてる球が一番速いというか危ないという話はありますが。時々明らかに特定の個人の頭部目掛けて投げてる事すらあるし(ぉ。
前々から書いている通り、私は“ M:tG 遊ぶならカードを買って”という人間です。パソコンやゲーム機の外部記憶装置に「あなたの Aysen Crusader(HL) は現在2億枚です。」なんてフラグが立っていたって、私にはそれに興味というか喜びを見出す事はできません。あと顔の見えない対戦相手というのもあまり好きではないので、それ故私は過去何度か頂いた Apprentice32 へのお誘いをお断りしていたりします。まあ多分DC版 M:tG に手を出す事も無いかな。そういうデュエリストから見ると、最近の M:tG ネットゲーム化の動きは必ずしも歓迎できる物ではありません。特に米国に比べて日本の M:tG には「ネットゲーム化した時に本来のTCGとしての M:tG からの人口流出を止める術がない。」という事です。日本の M:tG 普及は良い意味でも悪い意味でもDCI公認大会一辺倒で進められてきました。しかし現実にはそれ自身はデュエリスト達にほとんど何もメリットをもたらしていない(私に言わせればむしろデメリットの方が多い)のです。例えばネットゲーム化した M:tG を利用して高価なカードを賞品としたイベントなんかが定着したらどうします?。実際そういう動きは既に Apprentice32 でも見られるのです。Webマネーで参加費を決済して賞品は後日郵送、仕組みなんてその気になれば幾らだって作れます。
最新の月間GAMEぎゃざ(8月号)で、今回ツアー賞金が増額された事を受けて“世界で開催されているツアーの紹介”がされています。しかし例えば日本での開催予定がないフライデーナイトマジック等の説明は省略されてしまっています。私に言わせれば「そこにこそ日本で“カードを買って遊ぶ M:tG が生き残る施策”があるのになぁ。」という感じです。どうしてWoCがそういう企画を開催する気になったのか、それをちょっと考えてみれば、そういった企画が日本でも必要な事は誰でも気が付きそうな物です。配るカードなんかWoCせっついてもらってくれば終わりでしょうし(ぉ。
ただこの件に関しては、私自身誰かに文句を言うだけで何もしないつもりはありません。というか、今日本で中心的に M:tG を推進している企業や個人/グループに、この流れに伴う M:tG の衰退を止められるとは到底思えないのです。私が今後推進しようと考えている M:tG は、文字通り“カードを買って遊ぶ事に面白みとかメリットのある M:tG ”です。そういう観点から考えた時に、私が最初に決意したのは「DCI公認大会を止めちゃおう。」でした。 (^^; 実際8月に開催される福井TCGフェスでのDCI公認大会の開催を私はお断りしましたし、7月の焼肉定食以降は私自身がDCI公認大会を開催する意志は無かったりします。(イベントとしての焼肉定食は存続しますが。)
そしてその上で、今年一杯かけて“本当に参加者のメリットとなる面白いイベント”をあれこれ試行錯誤でやっていきます。その過程でDCI公認大会がその主旨に合うイベントとして開催できると判断できれば再開しますし、フォーマットについても色々試してみてよりベターな物を模索していく事になります。福井の M:tG イベントは最近それなりの集客実績を上げていますが、どうもここ1〜2ヶ月はアクエリアンエイジのイベントに押され気味なのです。 (^^; 少なくとも M:tG とアクエリのイベントが重なった時に、参加者に「今回はアクエリはやめて M:tG のイベントに行こう!」と言わせるだけの魅力が今の M:tG にはないのです。
今日本の M:tG には「どんどんカードを買ってとことん遊びたい!」と思わせるだけの仕掛けがないのです。例えば毎月1回、近所の M:tG 販売店でフライデーナイトマジックのようなイベントが開催されているだけで、その地域のデュエリスト達の M:tG への意欲は大幅に向上するはずです。そういった工夫というか施策を日本の M:tG はもう何年もやっていません。こんな状態で M:tG がネット化したらどうなるか、それを想像するのはそんなに難しい事ではありません。
これは私の記事で一貫して書いているテーマなのですが、要は「誰のための M:tG なのか?」という事です。売る側が金儲けだけを考えて売っているおもちゃに魅力はありません。遊ぶ側が心底その遊びを楽しいと感じるような売り方/遊ばせ方ができなければ、その遊びから人口が流出するのにそんなに時間はかかりません。実際私も今では「今遊んでいる主力TCGはアクエリです。」とか宣言している身ですが、こんな事は1年前には想像すらしていませんでした。この流れに誰がどう歯止めをかけ、更に M:tG を成長株にしてそれこそ公認大会にスポンサーが着くような賑やかな物にしていくか、これはそれこそ日本で M:tG に携わる方々全員が考えるべきテーマではないでしょうか?。
今回の記事にも登場した“フライデーナイトマジック(FNM)”ですが、日本ではほとんど紹介されていないようで情報がありません。という事で、WoCが公開しているFNMに関する紹介ページ(英文)のURLを公開しておきますので、頑張って読んでみて下さい(笑)。http://www.wizards.com/magic/generic/friday_night_magic/welcome.asp