最近インターネット上の幾つかの場所で“初心者サポート”をどうするかが話題になっているようです。代理店も本腰を入れて初心者サポートについて考え始めたようで良い傾向だと思われます。ただその話題から派生して出た「初心者とのデュエルにどう取り組むか?」という問題に関しては、どうもこれと言ったアイディアは出ていないような印象を受けます。
自分自身が初心者だった頃を思い出してみると、私は日本語版4Eで M:tG を勧められて、周囲の知り合いと一緒になってカードを買いトレードをしてデッキを作るという形で遊んでいました。ですから他のデュエリストに遠慮するなんて余裕は0で、それは回りの人達も同じでした。それこそ「いかにして自分の限られたカード資産で面白い事をしてやるか?」を日夜考え続けていました。ただ最近になって、昔から M:tG を遊んできたデュエリストと最近になって M:tG を始めたデュエリストとの間に、随分と“資産の格差”が広がってきているという印象があります。一時はラースサイクルの頃に M:tG を始めた人とウルザサイクルから始めた人との間の格差が特にひどかったのですが、最近はウルザサイクルのカードを持っているか否かによる格差が随分と深刻になっているようです。ウルザサイクルのフレッシュパックは(WoCが Pok?mon の量産に伴い M:tG の生産数を落としている影響がモロに響いて)慢性的な不足状態になっているようです。店頭にあっても信じられない位高いしね。 (^^;
あとデュエリスト歴=3ヶ月の人と2年の人とでは、当然デッキ構築やプレイングに関するスキルにも相当な格差が生じているはずです。いや、これは元々生じて当たり前だし生じなきゃ変なのですが(笑)。ただそれだけ M:tG 歴や M:tG に対する経験値に違いを持ったデュエリスト達が、今は Standard という同じフォーマットで戦う事を余儀なくされている、それがこの問題を更に複雑かつ深刻化させている気がします。極端な話ですが M:tG 歴が2年以上になったデュエリストの大部分が Standard を卒業して・・・という遊び方が定着するだけで、この辺の問題はかなり改善されたりするのですが。
この問題に関して、デュエリストの中から様々な解決策の案が提案されています。その中の1つに“初心者相手に使うデッキのタイプを限定する”という物があるのですが、実は私個人はこれに関しては「全く意味をなさないし、むしろデメリットの方が大きいだろう。」という立場にいます。例えばよく挙がる意見の例として「初心者相手に複雑なコンボデッキやフルパーミッションは使わないようにしよう。」という提案があります。ただもし万が一、その目の前にいる初心者がそういったデッキに向いているデュエリストだったらどうします?。彼はそういったコンボデッキやフルパーミッションのデッキ例を数多く目の当たりにして、自分の物として吸収しようとしているかも知れません。それを周囲の人間が気を利かして見せない・・・となると、結果的に彼らはそういったデッキやプレイングに関する勉強が十分できない可能性があるのです。そしてこれはウィニーデッキやバーンデッキ等に関しても全く同じ事が言えます。
流石に初心者が自らのカード資産や M:tG に関するスキルで、それこそ日本選手権辺りの優勝デッキ(のコピー)と戦うのは無理な相談でしょう。ただだからと言って、初心者に対して「このデッキはOK」「このデッキは駄目」と一概に決めつける事は実はできないのです。昔ある初心者がスーサイドブラックに勝てないと悩んで相談に来た事があります。私はその初心者のデッキの中に“濃霧”を入れてその使い方を教えました。するとその人は今まで全く勝てなかったスーサイドにあっさり勝てるようになりました。(明らかにスーサイド使いのデッキやプレイングも甘かったのですが。) M:tG なんてそんな物なのです。
じゃあ私はどうしているのか、その具体例をご紹介します。私は最近 M:tG のイベントに赴く際、最低でも1つは Standard のデッキを持つようにしています。そして対戦相手が初心者だろうが上級者だろうがそのデッキを使い、そして全力でデュエルをします。
私のデッキは“イラストにお姉ちゃんが描かれたカード限定の白ウィニー”です。最近はこれでも色々と小細工が労せるようになり (^^; それなりの勝率を上げています。ただ初心者が「そのデッキ強くて勝てん。」と言い出す事がままにしてあるので、そこで私はその初心者とデッキ交換をして再度デュエルをするのです。私のデッキは構造が非常に単純なので、初心者は苦もなく回してくれます。しかも初心者のデッキにリセット呪文が入っているとは到底思えないですし(笑)。
そしてそのデュエルの結果を踏まえて、その初心者に「自分のデッキをどうしたいのか?」と尋ねるのです。自分のデッキを強くしたいと欲すれば協力しますし、私のデッキと同じ物を作りたいと欲すればトレード等を考えます。とにかく大事なのは“初心者自身に決めさせる”事だと私は考えています。
ただ大抵の場合、初心者はさっきまで私が使って大勝ちしたのと同じデッキを渡されても、なぜか自分のデッキに勝てないという状況に陥ってくれます(笑)。流石に事前にデッキをチェックしてカードを数枚入れ替える(そのカードはそのまま差し上げる)位の事はするのですが、根本的な話として“初心者はシャッフルが甘いからほぼ100%事故る”んだわ(爆)。そこで「 M:tG ってデッキの強さ以上にプレイヤーの強さが必要なんだ。」という事に気が付いてくれたらしめた物で、そうなるとその方は今まで以上に熱心にデッキ構築やデュエルに取り組んでくれるようです。そういう初心者にはこちらもサポートのし甲斐があるしね。
私個人は「そんなに初心者に合わせたデュエルがしたいなら、カード資産から初心者に合わせるべきだ。」と考えています。例えば“60枚デッキでレアは3枚まで&アンコモンは9枚まで”そして“基本地形以外のカードは同じ物を3枚まで”という制約で組んだデッキを用意するだけで、随分と初心者のデッキに近い物が出来上がります。あともしその初心者が希望したら、そんなデッキなら適当なレア1枚とのトレードで提供しちゃっても惜しくないでしょう?。というか、私としてはそのフォーマットで“対戦した初心者が欲しがるようなデッキ”を是非組んでみて欲しいのです。そして私は“その上でプレイングは全力でやって欲しい”と考えています。いわゆる“手抜きプレー”は流石に初心者にも分かるのです。自分が手抜きされて勝っても初心者は素直に喜べないでしょうし、ましてやバカにされている印象すら与えるのであまり良い事がないのです。あとそういった工夫したデッキで自分が知らなかった事を目の前でやられるのは、その初心者の M:tG に対する興味や関心をそそる事にもなります。「自分のデッキと同じようなカードでここまでできるんだ。」という実例を初心者に見せてあげる事、これこそ初心者とのデュエルに最も必要な要素だと私は感じています。
ですが実際には表向きは初心者を意識したデッキを使いながら、それでデュエルに勝つとやたら自分のデッキ(構築力)を自慢したり、負けるとすぐにデッキのせいにするデュエリストが決して少なくありません。そんな方は間違っても“初心者の育成”を口にされない方が賢明ですし、できれば初心者とのデュエルはしないで下さい。あなたの姿を見て初心者は育ちます。中にはあなたの姿を見て「 M:tG のプレイヤーってこんなにお寒いのか!」と思い込み、それで M:tG をやめてしまう人さえいるのです。(ちなみに私がこういう話を書く場合、大抵は実例に基づいて書いています。)もしあなたがそういうデュエリストだという自覚があるならば、あなたが初心者とは決してデュエルをしない事が、実はあなたが最も初心者育成に貢献する手段になるのです(笑)。
一言で初心者と言っても様々な方がいらっしゃいます。私が過去にデッキ診断をした中にも、デッキの中にセンスの良いカードを忍ばせているのにその使い方を理解していない故にデュエルで負けていたり、プレイングはそこそこできているのにカードが無くてデッキが強化できていなかったり、その他様々なケースがあります。ですから私に言わせると、こういった問題を“初心者”という1つの区切りでくくって論議をする事は、実は無理というかかなり無謀なのです。大事なのは「自分の目の前に現れた『自称:初心者』はどんな人なのか?」を見極め、その方に最も適した接し方をする事なのです。あと私としては、こういった初心者サポートに関しては、インターネット上であれこれ論議する前に、例えば今度の代理店のイベントにボランティアとして実際に参加されてみたり、ご自分でDCI公認大会を開催してその場で初心者サポートの企画を実施されるといいと思います。そういう実践段階になると時間的都合等を理由に行動せず、でも論議には参加されてあれこれ言う事は言う、こういう方って実は日本の M:tG に対して何も生み出していないに等しいと私は感じています。論議する事は大事なのですが、でも論議そのものは何も生み出さない訳で、論議した“その先/その後”が実は大事なのです。
私としては、こういった初心者サポートの輪が広がって“初心者が中・上級者に甘えて M:tG を始められる環境”ができてくれるといいと思っています。 M:tG は特に小学生〜高校生が始めるにはあまりにも金のかかる遊びです。だったらせめて M:tG を始めたばかりの人達の負担位はできるだけ軽減したい、それが私の願いです。