アクエリアンエイジ

 今回の M:tG の記事のテーマは、その名もズバリ“アクエリアンエイジ”です。

● 懐かしい勢い

 私は最近、アクエリアンエイジ(アクエリ)に“私が日本語版4Eを買って始めた当時の M:tG と同じ勢い”を感じています。未経験者にアクエリを勧める人、アクエリのイベントを開催するスタッフ、そしてそのイベントに参加するマインドブレイカー達、そういう人間の覇気みたいな物がまさにそんな感じなのです。そしてこの勢いは少し前から M:tG には見られなくなった物だとも私は感じています。

 TCGの持つ“勢い”や“覇気”はプレイヤーのカード購入時の雰囲気やその勢いで伺い知る事ができます。最近 M:tG では最新のカードセットが出る度に、それを(DCI公認大会等の時代の流れに乗るために)青息吐息で追い掛けるデュエリスト達が少なくありません。そしてカードを買ったら買ったで「強いカード/面白いカードがない。」「昔に比べてイラストが・・・」等という文句が多く聞かれます。確かに表向きカードは売れているのですが、でもカードを買う人間の顔に笑顔があるかというと・・・。

 それに対して最近のアクエリは、少なくともマインドブレイカー達のカード購入意欲には強い物を感じさせます。数というか市場規模としてはまだまだ M:tG に及ばないのでしょうが、でもこういう雰囲気は昔の M:tG が日本国内で、本当に M:tG が好きな人達によって広められようとしていた時代の匂いを感じさせます。

● アクエリの販売戦略

 アクエリの売り方は良い意味でも悪い意味でも“日本人を意識している”と言えます。

 日本人はとにかく“プレミアムグッズ”が大好きです。そのゲームに全く興味がない人間でも、プレミアムグッズであるというだけで買ってしまう人すらいそうです(笑)。ただこの売り方で例えば遊戯王なんかは成功していません。そのプレミアムグッズとして能力の強い(というか強すぎる)カードを乱発しすぎて、そういうカードがないと勝負ができない環境を作ってしまったのです。実際現行で小学生がメインで遊んでいるTCGにしては、一部のシングルカードに付いている値段は異常とも言えます。しかもその弊害を解消するために今度は“過去のプレミアムカードが収録されたカードセット”なんて代物を発売して、シングルカード市場にかなりの混乱を来しているそうです。流石に販売店からも「もうこれは駄目そうだ。」という声がぼちぼち・・・という感じです。

 ではアクエリはどうしているのでしょうか?。アクエリにもプレミアムカード(プロモーショナルカード)が存在します。ただこのカードは基本的には現行のカードセットとして売られているカードのフォイルですから、単純に遊ぶ事だけを考えるのであれば普通に市販のパックを買っていれば事足ります。しかもそのプロモカード自体はゲームバランスをひっくり返す程の強い物ではありませんから、無理に手に入れる必要は全くないのです。

 そしてアクエリはここに“他の商品との総合プロデュース”を行い、市場全体の拡大を図っています。今これを書いている最中も、私の横ではアクエリのサントラが流れていたりします。こういったCDやアニメ、メーラーやTVゲーム、そしてキャラクタグッズ等など。そういった物に時にはプロモカードを付けたりして、全体としてアクエリの定着というかメジャー化を模索しています。

 日本人って、例えばあるアニメのキャラクタが好きになると、そのキャラクタが描かれたグッズなんかも集めたくなるものです。でも M:tG って例えあるカードイラストが物凄く気に入ったとしても、その先の欲求を満たす“次の一手”が無いのです。実は私が例のオリジナル・ライフカウンターの製作を思い立った直接の動機がこれだったりします。「自分の好きなカードイラストのグッズを手元に持っていたい。」そういう日本人のニーズを私は満たそうと思い立っただけなのです。でも流石に M:tG のカードイラストをそのまま使う訳にはいきませんのでちょっと苦労しましたが。 (^^;

 これがアクエリですと、例えば“デ・ジ・キャラット”というキャラクタが好きな人間は、そのカードをデッキに使いデッキケースやグッズ等を持ち歩き、そしてアニメを見たりゲームで遊んだりという総合的な楽しみ方が可能です。こうして“繰り返し でじこ に親しめる”事でそのマインドブレイカーのアクエリに対するのめり込み度はますます深まるのです。これは例えば宗教団体の布教活動でも使われるテクニックなのですが、これがアクエリに関してはかなり効率的に機能しています。アクエリにはそれだけのキャラクタが多数いますし。

● 価格設定と販促

 アクエリのパックは定価でも“12枚入りで400円[税別]”という設定になっています。カード1枚辺りの単価としては日本国内の M:tG の価格設定と変わらない訳ですが、パックの中身はレア:1枚/アンコモン:4枚/コモン:7枚となっていますから、 M:tG と比べると実際に購入する際のお得感を感じます。しかも例えば福井でもアクエリは税込み400円で売られている店が少なくありません。そうすると店頭での表示価格は381円程度になるのです。これと税別500円の M:tG が並んでいたとすると、見た目の買い易さ(買いにくさ)の差はかなり決定的なのです。

 そしてアクエリの販促は、私から見ると“特に M:tG の失敗事例を徹底的に研究して進められている”という印象があります。全国規模の大会は実施していますが、その主眼は競技ではなく“アクエリを楽しむ”事にあるように感じます。しかも公認大会はメーカーの方から各販売店に毎月のように開催の打診があり、開催すれば毎回参加賞のプロモカードや賞品が送られてきます。これは“ M:tG を競技として推進した結果窒息してリタイヤする人間が続出した”事の反省を踏まえての事のような気が私はしています。参加費が安くて参加するだけでカードがもらえるなら、多くの人達がイベントに参加してみようという気になります。イベントに来ればその雰囲気やもらったカードから“アクエリとの縁がつながり続ける”のです。 M:tG ではDCI公認大会がデュエリストの M:tG 離れを促進する一大要素になっている事を考えると、これはTCGの販促のやり方としては天と地の差なのです。

 更にアクエリは“他のTCGやゲームを扱うメディア”にも積極的にアピールに出ています。 M:tG やモンスターコレクションをメインに扱うメディアでの最近のアクエリの広告スペースの大きさには目を見張る物があります。最近特にモンコレなんか“アクエリの漫画や広告でモンコレの宣伝が成り立っている”という印象すらあります(笑)。まあこれに関しては最近 M:tG でもなされているようですが。

● アクエリの問題点

 とは言っても、じゃあそのアクエリ自身に問題が無いかと言うと、決してそんな事はありません。

 アクエリが抱える最大の問題は“購入層(ターゲット)の狭さ”だと私は感じています。収録カードの大部分が女性でしかも裸の絵も多い(笑)、これは少なくとも購入者層に女性を意識した売り方ではありません。しかもこういう売り方は女性からのアクエリ・バッシングすら招く危険性があります。実際PS版のゲームではかなりの数のカードイラストが差し替えられたそうですし。

 それと現在のような濃密なサポートを、今後マインドブレイカー人口が2倍/3倍と増えた時に継続できるのか?、という話もあるでしょう。ただブロッコリーが“メーカー”でHJが“代理店”である事が、ここで決定的な差となって現れると私は感じています。HJは自社の販促で使うカードすらWoCに発行を依頼せざるを得ない訳ですが、その点ブロッコリーは自社でカードやグッズの生産が可能ですから自由度が高いのです。

 あとアクエリ方式の公認大会に関しては、少し前に“公認大会の私物化”という問題が出ていました。その地域の強いプレイヤーや遠征でやってくる強豪を閉め出し、開催店の常連+初心者(=常連から見ればカモ)だけで大会を開いて賞品や全国大会への出場権を山分けする、そういう事例がどうもあるようなのです。こういう事例に関しては、1度そういうイベントを開催した店には2度と公認大会としてのサポートをしない位の強い姿勢で臨めばいいかと思います。でもこの問題は別にアクエリ固有の物ではなくて、実際 M:tG でも事例が報告されていたりしますので。ちなみに私はこれに関しては M:tG もアクエリも“どの地域で行われていたか?”まで含めて情報を持っていますが。

 まあぶっちゃけた話、アクエリの販促を進める際に M:tG という物がかなり優秀な“反面教師”になっている事は間違いないでしょう(笑)。ただアクエリでも今後“公認ジャッジ制度”が導入されるそうです。これがどのように機能してイベントを盛り上げる事にどの位貢献してくれるのか、ちょっと様子を見る必要はあるかも知れません。

● 今度は M:tG が学ぶ番だ!

 福井の中堅以上のデュエリストの大部分が「 M:tG は元々日本でもっと(遊びとしても競技としても)広まる可能性を持っていたのに、それを代理店の販促がすべて駄目にした。」という認識を持っています。これは販売店から見ても同じようです。 M:tG は今は確かに日本で最も売れているTCGなのかも知れませんが、しかしそんな一時期の繁栄はあっという間に奪われる物です。そろそろ“ M:tG がアクエリに学ぶべき時期が来た”私個人はそう感じています。一部のデュエリスト達が何かにつけて自慢げに振りかざす“日本のNo.1TCG”という地位を守るためにもね(笑)。

※ でも市場規模&知名度なら遊戯王&ポケモンの方が・・・(げふ★ごふ☆がはっ★)


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。