困難な航海を続けるために

 最近“日本の M:tG ”という帆船に乗る乗客の中に、この先の航海に不安を訴える方が少なからず現れてきています。

● 不安な舵取り

 最近多くの M:tG 関連のホームページを賑わせている話題は、何と言っても“ Foil カード”ではないかと思います。特に日本には無い出所不明(!?)の Foil が色々と流通していて、噂話レベルの物まで含めると「もう現行 Standard のカードは全部 Foil になっているのでは?」という勢いです(笑)。いや実際「 Urza's Saga には Foil カードのコンプリートセットがある。」という噂がある位で (^^; 最近はこれに加えて「 Black Lotus(AL-UL) の Foil があるらしい。」という噂まで聞こえてきているのです。

 最近登場してきた6Eの Foil は“フライデーナイトトーナメント”と呼ばれているイベントで配られているそうです。もちろんこんなトーナメントが日本で開催される訳もなく (^^; 多分米国のみではないかと思われます。これらの Foil カードがそのイベントの優勝賞品なのか参加賞なのかは分かりませんが、もらったカードが日本に送れば$100近い値が付く(米国国内でも数十ドルする)訳で、これなら大抵のデュエリストが「頑張って自分もおいしい思いをしよう。」という気になるかも知れません。

 最近米国は空前の Pok?mon ブームなのですが、どうもそのブームに M:tG 人口のかなりの部分が食われているようなのです。これに関して私は正確なデータを持っている訳ではないのですが、例えば米国の主なTCGショップの M:tG と Pok?mon の扱いを見ると、その片鱗が伺えたりします。WoCに取って Pok?mon が売れる事そのものは大歓迎なのでしょうが、それに伴って M:tG の商売が立ち行かなくなるのは多分本意ではないはずです。しかし最近のエキスパンションはデュエリスト達の購買意欲をそそる魅力に欠ける。そんな中から生まれた“苦肉の策”がこの Foil カードのばら撒きではないか?、私個人はそんな印象を持っています。

● 迷走するクルー達

 これに加えて「米国のWoC/DCIと日本のHJ/DCIJの折り合いが悪いのではないか?」と推測されるいくつかの事例が表面化しています。以前からその兆候は見られたのですが、最近になって“名古屋グランプリ本戦のフォーマット変更”あるいは“DCIが日本の公認ジャッジの連絡をDCIJを介さずに直接行っている”等の事例が見られます。前者は「米国と日本の機関同士の意志疎通が十分できていないのではないか?」という疑いを持つに十分な事例ですし、後者からはDCIが日本の公認ジャッジとの連絡を取るのに「DCIJには任せておけない。」と考えていると推測されるのです。しかも後者はDCIからのメールに、ご丁寧に「問い合わせは(DCIJではなく)日本代表であるロン・フォアスター氏へ。」と書く念の入れようです。 (^^; 我々デュエリスト(イベント主催者)には一貫して「日本のDCI公認大会はDCIJに窓口を一本化する。」と言っておきながら、彼らは内部では全く別の行動を取っているのです。

 これらの事例を見ると、やはり米国に比べて日本の M:tG の立場の弱さみたいな物が垣間見える気が私はしています。発売されるエキスパンションに話題性が乏しくて・・・というのは全世界共通なのでしょうがないとしても (^^; 少なくとも米国ではその対策が十分に取られているのに日本では全く手つかずなのです。MMの予約キャンペーンにしてもそうです。商品が不足しているわイベント等の話題が乏しいわで、本当最近 M:tG に関して日本では良い話がないのです。ただ日本の M:tG には米国のような“実績”が無いので、これに関しては致し方ない部分もあるのです。

● 戸惑う乗客

 日本の M:tG という帆船は、トーナメント指向の販促により一時は順風満帆かと思われたのですが、実際にはその風は目的地に向かって真っ直ぐは吹いていなくて、結果的にかなりの遠回りを強いられました。そしてそうこうしているうちに風が弱くなり、今我々はほとんど無風となった大海原の上にいます。 M:tG よりも6年も遅く米国で出航した Pok?mon は、それこそ追い風に乗ってたちまち M:tG を追い抜こうとしています(もう追い抜いたと断言してもいいかも知れません)。しかもそれまでの無理な航海で甲板員は数が減った上に残ったメンバーも疲れ切っていて、自力で櫓をこいで航海を続ける事も難しくなっています。

 “新たな話題性が乏しい”“商品が作られない”“人口の減少に歯止めがかからない”そして“売る側の方針が統一されていない”流石にこれだけの悪条件が重なれば、大抵の人がこれ以上の航海を断念すると思うのです。 (^^; 実際もし私が今でも Standard プレイヤーを続けていたら、多分間違いなく私はデュエリストの名を捨てて単なるコレクターかマインドブレイカーになっていたでしょう(笑)。そしてそういう日本の M:tG に不安を抱くデュエリストは決して少なくありません。中には自分から海に飛び込んで、泳いで別の船に乗り移られた乗客もかなりいらっしゃいますし。

 もちろん日本の M:tG がすべてそういう状況になっている訳ではありません。例えば輸入によって価格を抑える事に成功した一部の個人輸入サイトやシングルカードの販売は好調のようですし、日本の販売店やデュエリストグループの中にも元気に M:tG を続けている方々が大勢いらっしゃいます。ただ少なくとも日本で M:tG に携わる人達全員を船団として従えて進むだめの力が M:tG には残っていないのです。品薄となったフレッシュパックをできるだけ効率的に提供し、イベント等で話題性を高めて M:tG を活性化するためには、今までのような売り方/遊び方ではもはや駄目なのです。

● “船を軽くする”という発想

 私が考えている日本の M:tG 活性化の切り札、それはズバリ“不要な物の切り捨て”と“残った物へのサポートの拡充”です。簡単に言うと「船を軽くして少ない風でも前に進むようにする。」という事です。これはプレイヤー/販売側の両方に当てはまると私は思っていますが、今回はプレイヤーの話は書かないでおきます。 (^^; これに関してはシャークに関する記事で少し触れましたし。

  M:tG の販売店にも色々あります。定価売りで店頭にカードを並べるだけの店、イベント開催に積極的な店、頑張って値引きをしている店、そして値引きもサポートも充実している店。 etc. 今日本の M:tG はそういう販売店ごとの M:tG への取り組みが全く評価されていません。でもこれだけ M:tG に纏わる環境が厳しくなった中で、果たしてこのままで良いのでしょうか?。極端な話、定価売りでイベント等一切開かない販売店に配る販促物など、私に言わせれば「無駄無駄無駄無駄ぁ〜!!!」なのです。 (^^; そんな物は店の人間が懐に入れるかオークションで転売して終わりです。先日販売店に配られた金属プレートがよい例でしょう。あれ Yahoo! オークションに何枚出品されてたっけ?(笑)。

 要は「 M:tG を扱う販売店を絞り込んで、優良販売店へのサポートを手厚くする。」という事です。既に M:tG を扱っている販売店に「君やる気無いからもう M:tG は売らせない。」は流石に無理だと思うのですが (^^; そうじゃなくて販売量が多くてイベント開催に積極的な店、あるいはデュエルルームの設置やルーリング等へのサポートに積極的な販売店を何らかの形で後押しするのです。そうですねぇ、手始めに遅ればせながら Foil のセラ天でも配りましょうか(笑)。あとは雑誌で取り上げるとか定期的に賞品等の販促物を配布するといった形になるでしょう。流石にすべての販売店にこういうサポートをするのは無理でしょうが、あらかじめ数を絞ってあるのだから何とかなるでしょう?。

● 誰の都合で決めるのか?

 ただこの話にも色々と問題はあります。

 例えば“販売店の格付け”1つ取っても難しい問題です。多分あの代理店の体質から言うと、値引き販売で頑張って M:tG を売っている店はランクが高くなるどころか、むしろ低く評価される危険性すらあります。代理店は事ある毎に“定価販売”を口にしていて、実際直営店やイベント会場ではそれを愚直に実践しています。そうなると割引販売で M:tG を売る販売店は代理店に取ってはむしろ邪魔物扱いになるのです。(特にポストホビー直営店の近くにある店は危険かも。 (^^; )また並行輸入で英語版のフレッシュパックを売っている販売店も同様の扱いを受ける可能性があります。何しろ代理店に取って都合のいい販売店は「代理店経由で全量仕入れて定価で売り、デュエルルームを設けてDCI公認大会を積極的にやっている、代理店にクレームの1つも言わない店。」な訳ですから(爆)。

 代理店に取って都合のいい店とデュエリストに取って都合のいい店は明らかに違います。本来はこういう販売店の格付けは、代理店の利害関係に影響を受けない第三者機関が行うべきなのです。だって代理店が自分で販売店の格付けなんかしたら、間違いなくポストホビーの直営店は全店Sランクですよ(笑)。でもそれってデュエリスト側の感覚と一致していると思いますか?。あと多分 M:tG の大手販売チェーン店もほぼすべてが同様の扱いを受けるでしょう。でも例えば FutureBee さんにしてもわんぱくこぞうさんにしても、すべての販売店が同じサービスやサポートを提供している訳ではないのです。

 あとはWoCからHJがそういうサポートを続けるのに必要な販促品を安定して確保できるか?、という話もあるでしょう。でもHJって事ある毎に勝手に“オフィシャル”を名乗る割には、ご存じの通りそのサポート振りはあまり評判の良い物ではありません。 (^^; それを極端な話「汚名返上したいから販促物をくれ!」では説得力ナッシングなのです。 (^^;;; 流石に日本のデュエリストの中にも「何で米国であれだけ派手に Foil が配られてるのに日本では・・・」という声が少なからずあります。そういう不満を晴らすにはそれこそ Foil のセラ天位は分捕って来て撒いてもいいし撒くべきでしょう。ただ何でもWoCに頼り切っていては日本の自主性が無くなってしまいます。やはり代理店は“日本独自のサービスやサポート”をすべきなのです。ちなみにこの程度の事は、我々 Duelist Fukui ですら既にやっているのですが。

● 損して得取れ!(大阪商人の言葉より (^^; )

 はっきり言ってしまうと、今は日本の販売店が M:tG を本気で売っていこうと思えば思う程、結果的には代理店に取っては何の利益も生み出さない販売店が出来上がります。売ってるカードは並行輸入の英語版で値段は1パック400円かそれ以下、イベントはほぼすべて非公認(理由:公認にするとお寒くなるだけでメリットが無いから (^^; )、しかもルーリングのサポートも完璧なので代理店の書籍も売れやしない(笑)。でもこういう店なら多分皆さんカードを買ってもいいと思うはずなのです。そういう“良い店”に代理店がどれだけ頼りにされるか、そこに実は代理店が日本で M:tG を成功させる“鍵”があるのです。

 しかしそれだけ濃密なサポートを販売店に行うには、今みたいに販促物をすべての販売店に平等に垂れ流ししていては無理なのです。代理店は頑張っている販売店のみをサポートすればいいし、販売店が販促品を欲するならば代理店に認められるように頑張ればいいのです。ただしその仕組みが並行輸入業者の締め出しとか日本国内での価格維持に使われるとすれば言語道断です。そんな代理店はそのうち誰も相手にしなくなりますよ。今までのような殿様商売が続けられる程日本の M:tG は良い環境にない、そんな事は代理店さんが一番よくご存じだろうと私は思っていますが。

● 追記

 本編の話題とは全然関係のない話なのですが・・・。

 4月1日のエイプリルフールに我々 Duelist Fukui は“ Echizen あくえり”という企画を仕掛けました。それで1日当日、同様にエイプリルフールに何かやらかした M:tG サイトを探し回ったのですが、どうも Asuka.Net さんを中心としたグループがかなり大がかりな仕掛けを用意されていたようです。あの大仕掛けに比べれば、うちの企画なんて本当に甘々だったと思います(笑)たった1日の企画のためにドメイン名まで取得してるもんなぁ(爆)。

  M:tG は間違いなく欧米の文化です。日本語版で遊ぼうが日本人が遊ぼうが、間違いなく欧米の遊びなのです。そういう遊びを心底楽しもうと思ったら、我々は多少なりとも欧米の文化を学ばなければいけないと私は考えています。そういう意味で「 M:tG 関連のサイトがもうちょっとエイプリルフールを楽しんで欲しかった。」これが私の偽らざる感想です。そしてその発想を本気で実行した Asuka.Net さんとそのグループに、私は拍手を送りたいのです。

 あの一連の募集告知ですが、ちょっと“余計な” M:tG の知識があれば (^^; 「これ怪しいぞ。」と気が付くレベルの物です。大体HJに海外法人があるなんて聞いた事がないもん。(WoCやHJの本来のサイトではこの事に全く触れていない訳だし。)多分あの記事を見て、怒りに任せて企画された方に食ってかかる方が少なからず現れるのではないかと思うのですが、それってご自分の M:tG に対する知識が乏しかった事を露呈する事にもなるので (^^; 私個人は控える事をお勧めします。 m(__)m 確かにWoCやHJのロゴを使ったりと“やりすぎ”と思われる部分もありますが (^^; でもエイプリルフールにいきなり出てきた話なんだもん、まず疑ってかからないとねぇ(笑)。

 今回の Asuka.Net さんの企画を見て、私は映画タイタニックに登場したあの楽団の話を思い出しました。映画をご覧になった方の中には「あの話に一番感動した。」という方が多いのですが、ご存じの方も多いと思いますがあの部分は実話なのです。“事実は小説よりも・・・”とはよく言った物です。最近あまり笑える話題の無かった日本の M:tG に一服の清涼剤を・・・。そういう発想で誠実に取り組まれた企画ならば、結果がどうあれ賞賛される事はあっても非難される必要はあまり無いはずなのです。何しろ「来年同じ様な企画が実行できるかどうか怪しい。」それが日本の M:tG の現実なのですから(溜息)。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。