“シャーク”について考える
第一部:シャークの法的解釈

 日本の M:tG 関連のホームページで“シャーク”について真剣に考えたページは無いような気が私はしています。日本のページでシャークが扱われている物は、そのほとんどが結果的にシャーク容認論になっていたり、あるいは突っ込み方が足りなくて結局は「騙す方も悪いけど騙される方も悪い。みんな気を付けよう!。」という判で押したような結論に帰着してしまっています。どうも私個人はそういう風潮が嫌なので「それなら自分で書いてみよう。」という事にしました。

● 私のシャーク論

 シャークの事を書く場合、まず最初に私のシャークに対する持論を書く必要があるかと思いますので、ここでは要点のみ簡単に触れておきます(詳細は第二部に書きます)。

 私個人の“シャーク”の定義は“トレード相手を騙す目的でトレードを持ちかける人間”の事を指します。結果的にトレードで自分が得をしたか損をしたかに関わらず、またそれにより得た利益の大小に関係なく、相手を騙そうという意図を持ってトレードを持ちかけた人間を私は総じてシャークと呼びます。またシャーク行為に関して私は「シャーク行為は何がどうあっても騙した方が悪い。」という主義です。私はこれって当たり前の事だと思うのですが、どうやら最近の学校教育の弊害というか子供を育てる側のやる気の無さが、シャーク行為をする側に容認論を唱えるような余地を与えてしまっているようです(これについては後述します)。

● シャークが許される可能性

 シャーク行為がいかなる罰則を受ける(可能性がある)のか、あるいは罰則を逃れる余地があるのか否かは、法律に基づいて考える必要があります。

 刑法第二百四十六条には詐欺に関する条文があります。これによると「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。(第一項)」「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。(第二項)」と書かれています。この文面を見る限り、シャークが自分の行為を正当化する際に口にする“騙された方の知識不足”あるいは“当事者同士の了解”を、騙した側が罪を逃れる根拠にできる記述はどこにもありません。法律的には「詐欺は騙した奴が悪い。」とはっきり言っているのです。またここには詐欺罪が親告罪だという記述もありません(これは私も調べてみて始めて知りました)。ただ一般に詐欺に関しては、警察は被害者からの告発が無いとあまり動いてくれないようで、そのため詐欺罪が親告罪であるという印象ができてしまったのかも知れません。

 あと刑法第二百四十八条には準詐欺に関する条文があり、これによると「未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。」とあります。準詐欺という割には詐欺と最高刑の重さが変わっていないのですが。 (^^;

 それから民法に目をやると、第九十六条に「詐欺又ハ強迫ニ因ル意思表示ハ之ヲ取消スコトヲ得(第一項)」とあります。簡単に言うと“騙された事に気が付いたらトレードの取り消しはできる”という事です。私の記憶が確かならば、この請求には契約書といった証拠書類は必要なかったはずです。あればその取引が行われた物証になるので話は早い訳ですが、無くても請求そのものは可能です(立証が難しくなるけどね)。

 私が調べた限りにおいて、法律上ではシャークがその罪を逃れる術は“時効の成立”以外にはありませんでした(笑)。法律は「シャーク行為は悪い事であり、騙した方が悪い。」とはっきり唱っています。シャークな方々が言っているようなシャーク行為を正当化する根拠は、少なくとも日本の法律にはどこにも無いのです。(ただしその行為が“故意ではない”場合はこの限りではないはずですが。)ちなみに刑の上限が10年以上の懲役/禁錮の場合、その時効は7年だそうです。ですから少なくともデュエリストの過去のシャーク行為は、これを発表した時点(2000年4月)にはその大部分がまだ時効を迎えていない事になります(笑)。

● シャークが許される(!?)背景

 日本でシャーク容認論が幅を利かせる風潮がある背景には、最近の日本の教育が続けてきた子供達に対する曖昧な対応があった気がします。

 よく学校で物がなくなると、先生は決まって「盗った奴も悪いがちゃんと自分の荷物を管理していなかった君も悪い。これからは気を付けるように。」と言います。これはひとえに先生がその問題を大きく(特に警察沙汰に)したくない故の言い逃れなのですが、これを聞くと大抵の人間は心のどこかで「ああ、バレなきゃいいんだ!。」って思うのです。それは人として普通に抱く感想だと私は考えています。

 シャークはその行為が大きな問題になりにくく、被害者が泣き寝入りするケースが大部分です。それ故シャークはどんどんエスカレートし、しまいには自分のホームページ等で自らのシャーク行為の戦果を自慢し始める輩まで現れるのです。ただそういう人間にも多少は良心の呵責があるようで、その記事へのコメントで「これを読んで初心者は気を付けるように。」とか言い始めるのです。全く寝言は寝てから言って欲しいものです(笑)。

 あと最近の親が子供に対して人との接し方とか、他人を思いやる気持ちといった物を教えていないという事もあるでしょう。また最近学校での虐めが陰湿化している事に見られるように、最近の子供は表立って他人に意思表示できない癖に刺激を欲しがるといった風潮も背景にある気がします。ですから私に言わせると、今の日本にシャークが蔓延するのは仕方ないと思います。ただこれだけは言えると思うのですが、シャークをやる人間は所詮幼いのです。

 だから私は最近初心者に「トレードなんかしない方がいいよ。」と言うのです。トレードさえしなければシャーク被害なんか起きませんから。しかし初心者にこんな注意をしなければ遊べないTCGなんて終わってるのです。しかも最近ではシャーク被害による風評低下を恐れ、特にデュエルルームを設置している販売店が店内でのトレードを禁止する動きを強めていたりします。こうしてデュエリスト自身が自分でどんどん M:tG を遊びにくい物にしている訳です。そういう意味でシャークはその目の前のグッピー君だけでなく、相当数のデュエリストに様々な形で迷惑をかけまくっているのです。

 ちなみに、私は比較的古いデュエリストですから、もちろん M:tG の世界に存在するトレードに関する“慣例”は理解しています。実際私は今でもその慣例に従ってトレードをしていますし。ただシャークがその慣例を悪用しているという事実がある上に、あろう事かその慣例が世間一般の常識だと思い込んでいるバカが少なからずいるのです。流石にそういう状況ではその慣例そのものを撤廃する必要性が出て来るのです。実際その慣例は、少なくとも日本の法律に当てはめると全く根拠の無い約束事(紳士協定と言った方がいいかも)な訳ですから。

● シャークへの対応

 では今度は“法律に基づいたシャークへの対応の仕方”を見てみます。我々はシャークの被害に遭った時、警察に訴えるといった物騒な (^^; 解決方法しか持っていないのでしょうか?。そんな事はありません。これに関してはもっと簡単に、しかも合法的にそのシャーク本人にかなり手痛い仕返しをする方法があるのです。

 実は販売店にはシャークに対して明確なペナルティを課す手段があります。一般に“不退去罪”と呼ばれている物なのですが、刑法の第百三十条に「正当な理由が無いのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」とあります。つまり店側は何の理由も告げずにその人間に「もうお前はうちに来るな!」と言えるし、言われた方は(その通告を無視するだけの正当な理由が無い限り)それに従うしかないのです。

 シャークの被害者や目撃者が「お前シャークしただろう!」等と本人に面と向かって言ったり、公衆の場に名前を張り出す(あるいはインターネット上で公開する)といった行為は、それをやった側が逆に名誉棄損等で訴えられる可能性があります。ですが販売店はこの不退去罪の内容を使って、理由を告知する事無く特定の人間の店への出入りを禁止する事が可能なのです。ですから万が一シャークの被害に遭ってどうしても我慢ならない(仕返しをしたい)場合は、そのシャークが通っている販売店にその旨相談してみるといいかも知れません。特にその地域での M:tG 普及に志のある販売店は、自分の店にシャークが出入りする事を間違いなく嫌うはずですので。

 あと「私はあの人とこういうトレードをしました。」という話を、機会がある毎に事実として大勢の人に話す方法もあります。その話に「これシャーク行為だと思うでしょう?」等と尾ひれを付けると名誉棄損になる可能性が生ずるのですが、その人とそのトレードをした事が事実なのであれば、それを他の人に話すのは何ら問題ないのです。もしあなたがそのトレードでシャーク被害に遭ったと感じたら、その地域にいるデュエリスト全員にその話が伝わる位しゃべり続けるのです。実際それが1つのきっかけで M:tG を去っていったシャークを私は知っています。そりゃそんな話が広まれば、少なくともそんな相手とトレードをしようなんて人は現れませんから。ですから特に初心者は“誰といつどこでどんなカードをトレードした”という記録を付けるといいと思います。あと特にイベント等で遠くから遠征に来た人なんかとは、自信が無ければ絶対にトレードはしない事です。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。