世界選手権に見る日本の M:tG 

 「日本の M:tG の盛り上がりを示す1つの象徴的イベント」として企画された(と思われる)今回の世界選手権ですが、それは事前の予想通り「やはり日本の M:tG はまだまだ」である事を示す結果に終わったと思います。日本人選手団の戦績といった個別の問題は抜きにして、一体何が駄目で具体的に今後どうすればいいのか、その辺を私なりに分析した結果を書いてみます。

● 「またか・・・」で済まされない、ずさんな運営について

 今回私は5日間の世界選手権のうち前半の2日間に参加させて頂いた訳ですが、とにかく“運営のずさんさ”が目立つイベントでした。会場レイアウト/イベント参加への動機付け/事前の告知、そして何よりもイベントとしての内容そのものが私に言わせれば駄目です。

 会場内を何度もたらい回しにされるフリーの入場者、そして狭苦しいフリー対戦スペース。そんな事をされれば例えば所持品の紛失(そういうドタバタを狙った盗難)が増えるのは当たり前の話です。そして本来入場者全員に配っていたはずの記念カードをイベント参加者にのみ配った事が、カード目当てにエントリーしてデュエルをする気のない参加者による大量のドロップアウトを生み、何日も前からデッキを準備してやる気を持って参加したデュエリストにまで迷惑をかけました。(追記:なおここに書かれていた“ジュニアトーナメントの運営時間の遅れ”に関しては、金澤尚子氏より「主催者側から『問題のない時間に終了した。』というコメントがあった。」というご指摘があり、事実誤認があった可能性があります。謹んでお詫びいたします。 m(__)m )まあ事前に予想していた事ではありますが、ここまで“期待通り”に色々やってくれると、流石に私も開いた口が塞がりません。

 世界選手権は今まで本家DCIが何度も運営していて、そこには経験から積み上げられたノウハウやハウツーがあるはずです。それを今までこういった大規模イベントの運営経験が乏しいDCIJがなぜ勝手にいじくり回してわざわざ自滅の道を歩むのか、その理由が私には全く理解できませんし理解したくもありません。それならむしろDCIJの人間は世界選手権に関しては全くタッチせず、本家のスタッフ達に100%任せてしまった方が良かったのではないですか?。まあそうなると自動的に「別に日本で開かなくてもいいじゃん」という結論に至る訳ですが(笑)。

● 誰も書かない「ジャッジ」に対する疑問

 実は私は今回の世界選手権で「なぜヘッドジャッジが日本人でないのか?」に大きな疑問を持っています。

 過去のHJの出版物で、一部のプレイヤーが世界選手権でのご自分の戦績不振の理由として「地の利の悪さ」や「ジャッジとの言葉の壁」を挙げていらっしゃいます。それをHJは今まで鵜呑みにして自社の雑誌に掲載し続けている訳ですから、当然「日本で開く世界選手権は日本人のジャッジ&スタッフで運営しなければ。」という発想はあったと思うのです。ところが今回の世界選手権では、相変わらずジャッジやスタッフは米国(!?)の方々が主力となっています。これではわざわざ日本で世界選手権を開く意味がないのではないですか?。

 「いや、フロアルールでは世界選手権はレベルの高いジャッジでないと・・・」そんな事は百も承知です。私だってフロアルール位勉強していますから。だったらなぜ世界選手権までに“日本人のレベル4(5)ジャッジ”や“日本人の M:tG イベント・コーディネイター”を育てないのですか?。普通世界選手権ってそういう下準備が整ってから開催する物でしょう?。こんな状態で日本で世界選手権を開いても、あらゆる意味で日本の M:tG のレベルの低さを世界中に露呈するだけです。

 私に言わせると、日本語版4thの開発が決まった時点で、何人かの日本人スタッフを M:tG の開発チームに組み入れるべきだったのです。そうすればそこからより良い日本語版を生み出すためのスタッフや、日本人のジャッジが育ったはずなのです。中長期的なビジョンを持たずに(目の前の金儲けの事ばかりにかまけて)短絡的な人の使い方しかしていないからこうなっちゃう訳で、今からでも遅くないから是非とも何とかして下さい。少なくとも今年中に日本では2回もこの手の大きなイベントがあるのですから。

● この機会に意識改革を!「カードの値段」について

 横浜の会場で外国人バイヤーの方々と交渉された人は、その多くがカード価格の安さに驚かれたと思います。でも私が知る限り、そういったバイヤーさんで「本国での販売価格よりも安い値段」を付けている方はいらっしゃいません。つまり米国や諸外国では“あの値段が当たり前”なのです。言い換えると「そうでなきゃ M:tG なんて遊んでられない」という感じかな。

 特に米国の場合、「元々のフレッシュパックが安い」事と「 Standard 以外のフォーマットが盛ん(実際“ Classic しか遊んでいない”なんて地域もある)」な事から、日本での呪巻みたいな異常な価格が Standard 環境下のカードに付く事はほとんどありません。でも実際日本ではそういう馬鹿げた事が起こっている訳で、そういう意味で「日本人の国民性そのものが M:tG には向いていない」のかも知れません。ただ米国のカード相場を見て羨ましいと思うのであれば、日本もできるだけこれに近づくような工夫を始めるべきなのです。そうでないといつまで経っても M:tG において日本は欧米に肩を並べることは不可能なのです。

● 何のための“日本開催”なのか?

 今回の世界選手権に対して私が抱いた最大の疑問、それは何と言っても「なぜ横浜(日本)で開かなければいけなかったのか?」です。現段階で日本の M:tG がそこまでレベルの高い物だとは私には到底思えないですし、何よりも日本の M:tG ってそんなに盛り上がってますか?。例えば逆に「今回の選手権を日本で M:tG を盛り上げるための起爆剤にしたかった」のであれば、少なくとも会場でフレッシュパックを堂々と定価売りなんかしますかねぇ?。そんな事をする位なら、世界選手権の開催記念に日本全国でのフレッシュパックの販売価格を2割程下げる方が、日本の M:tG を盛り上げる効果としては何百万倍もましな気がしますが。

 あと「本国(米国)の方が Pok?mon の盛り上がりで M:tG に興味が行っていない(米国で開いても盛り上がりに欠ける)ので、やむを得ず日本で開いた。」等という穿った見方をするのは私だけなのですかね?。 (^^; でもその日本だって、最近は国産TCGの人気が M:tG の市場を駆逐しつつあります。それをこんな“地に足の着いていない販促”でその劣性が挽回できるとは、私には到底思えないのです。

● では、どうすればいいのか?

 少なくとも今の日本には、東京等のごく一部の地域を除いてDCI公認大会すらまともに定着しているとは思えない節があります。デュエリストの低年齢化に伴うスキルの低下や公認ジャッジへのサポートがほぼ皆無な事がその主な要因だと思われるのですが、まずはその辺を改善して“草の根レベルで日本のDCI公認大会を活発にする”事なのではないでしょうか。そうすれば自然とレベル3相当以上の知識を有するジャッジやイベント・コーディネイター的な役目を果たせる人間が、日本にも大勢現れるはずなのです。

 ただ、今のままでDCI公認大会を推奨するには流石に無理があります。大会を盛り上げる最大の要素は「参加者やギャラリー等の観客動員」であり、それは自然と「日本国内のデュエリストの数」に比例するのです。つまり“日本の M:tG がより遊びやすい物に変わらない限り、状況は悪くなる事はあっても改善する事はあり得ない。”という事です。それじゃあ日本の M:tG はどうすれば遊びやすくなるか?、それに関してはもう何度も書いているのでここでは割愛します。

● ニッポン・チャチャチャ

 普通こういった世界規模での選手権が開かれる場合、日本国内に「日本代表を応援しよう!」といった機運というか世論が盛り上がるのが普通です。実際その応援から流行語等もできている訳ですが、でも今回の世界選手権での日本代表に対する声援って物凄く淋しかったと思いませんか?。少なくとも代表の関係者以外のHP等からそういった声援が発信された事例を私はほとんど知りません。

 私に言わせると「それはそのまま“日本での M:tG の盛り上がり具合”を示している」のです。いくらHJが雑誌等で盛り上げても、実際には日本のほとんどのデュエリスト達は冷めていて、声を出して声援しようという機運はないのです。そんな状況で日本で世界選手権が開かれたって盛り上がる訳もないのです。やはり私個人は「日本での世界選手権開催は時期尚早だった」と言わざるを得ません。まあ「応援したくなるようなメンバーが出場したか?」という問題もあるのですが (^^; それに関しては今回はフジケンさんという人気のあるプレイヤーが出場されているので問題はないと思うのですが。

 これに関しては「日本での M:tG 人口の増加」「デュエリスト1人1人の M:tG に対するスキルやモティベイションの向上」そして「スター選手の登場」といった複数の要素が満たされる必要があるでしょう。案外佐竹選手辺りがK1から M:tG に転向して世界で暴れてくれると、日本の M:tG は一気に盛り上がるのかも知れませんが(笑)。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。