今 M:tG をどう広めるか?

 最近「人に M:tG を勧めにくくなった」あるいは「1度 M:tG を始めた人がなかなか定着してくれない」と感じている方は少なくないのではないでしょうか?。それは確かに昨今の M:tG を取り巻く環境の厳しさもあるのかも知れませんが、でも果たして本当にそれだけなのでしょうか?。実は私の勤めるM福井では、そんな中でも M:tG の新規プレイヤーは確実に増えています。そこには“現状に合った勧め方とサポート”さえできれば、こういう状況でも M:tG を広めて楽しんでもらう事が可能である事を証明している1つの成功事例があるのです。

● 昔と今では何が違うのか?

  M:tG を取り巻く環境は、昔と今では確実に変化しています。この部分は過去にアップした記事と内容が重複していると思いますが、改めて書いてみます。

 私が M:tG を始めた頃(日本語版4th発売直後辺り)は、既に M:tG を長く楽しんで来られた「もの凄いカード持ち(以前はこういう人を“Mr.スーツケース”と呼んでいました)」の方がいて、新規プレイヤーはその方から使い切れない程大量のコモンカード(場合によってはアンコモンやレアも含む)を頂いたものです。私もその影響で本格的に英語版ユーザーにシフトしましたし、またミラージュサイクルの Standard 落ちの際に、ほとんど迷う事無く Extended に入る事ができました。そしてその過程で我々は「自分がMr.スーツケースになる事」に憧れというか必要性を感じながら M:tG を楽しんでいました。自分がカードを一杯持てば今後自分が誰かを M:tG に誘った時に(自分が受けたのと同様な)手厚いサポートができる、その事に大きな喜びを感じたからです。

 ところが、最近のデュエリスト達は全体的にライトユーザー化しており、実際自分がデッキに使うカードをようやく確保しているという人が少なくありません。すると自分の知り合いを M:tG に誘った時に渡すコモンカードが十分に確保できないために「カードは自分で買うもの」という教え方をせざるを得なくなり、それがその後の世代にも継承されるのです。つまり1度デュエリストがライトユーザー化してしまうとそれが子々孫々にまで受け継がれ、ヘビーユーザー化するきっかけを無くしてしまうのです。 M:tG の世界でヘビーユーザーとライトユーザーのどちらが良いかという問題はこの際抜きにしますが、ただ1つだけ言えるのは「ライトユーザーが主流になった M:tG は、確実にその普及のスピードが鈍る。」という事です。少なくとも2年前なら「カード買うお金ないし。」「そんな物タダでやる。」で話が済んだ訳ですから(笑)。

 それと最近のカードの壊れっぷり、それに伴うDCI公認大会での禁止/制限カードの乱発が、ライトユーザーだけでなくヘビーユーザーのカード購入意欲も確実に奪っている、という現実があります。今の M:tG は怖くてたくさんは買えないのです(苦笑)。実際例えば私が知っているある M:tG のヘビーユーザーのグループ(笑)でも、購入されるBOXの量は一時期に比べて確実に減っています。言い換えると「昔ヘビーユーザーだった人達もライトユーザー化しつつある」訳で、そのため M:tG 初心者に昔と同様な手厚いサポートができなくなりつつあるのです。

● ライトユーザーがニューカマーを育てる

 実は初心者や中級者に M:tG を教えたりサポートしたりしようとすると、本来はある程度ヘビーユーザー化せざるを得ないのです。持った事のない&使った事のないカードの質問に答えるのは流石に辛いですし、ルール等の勉強を進める中でもある程度広い範囲のカード(デッキ)を実際に使ってみる事が求められるからです。また何よりも「コモンカードをタダであげる」あるいは「相手が欲しがったカードをトレード等で供給する」事は初心者の獲得とその定着に取って最善の手段とも思われる訳で、そうするとやはり自分である程度カードを買わざるを得ないのです。

 ところが最近は「ライトユーザーがニューカマーを M:tG に誘う」という状況が一般的になりつつあります。そうすると元々教える側の知識も偏っている上に余剰カードもあまりない訳で、従って初心者が「色々な色のカードを(あまり予算を使わずに)使って試行錯誤する」という、いわば“ M:tG のお試し期間”がない訳です。実際今まで我々はこの期間に自分に合った色とかお気に入りのカード等に巡り会って M:tG にのめり込んでいったのですが、そういう時期が最近の人達にはないのです。初心者が M:tG という物を面白いと感じるには、まず「自分の持っているカードである程度自分の希望するデッキが作れる」状況にする事が大事です。その上で「デュエルである程度勝てるようになる」のが1つの理想型な訳ですが、それを自分で買ったカードだけで実現するのはかなり難しいです。やはり初心者には「カード」と「情報/アドバイス」の2つが十分供給される必要がある訳ですが、最近はその両方が初心者に不足している気がします。

● “ベスト”は駄目でも“ベター”ならできる!

 今思い返すと、私は周囲の人達から M:tG を勧めて(続けさせて)もらうに当たってほぼベストな対応をしてもらって来たと思っています。使いたいカードが入手できずに困った経験もほとんどないですし、そんなにお金をかけずにデッキ構築やデュエルはおろかコレクションまで楽しませてもらっています(笑)。しかもM福井のお客さん達に私は「 M:tG に詳しい&それなりにデュエルが強い人」という認識をして頂いているようで、私位恵まれた環境にいるデュエリストって日本にもそうはいないのではないかという気さえします。でも実際は単なる「ヲタクなコレクター」だったりするのですが(嫌爆)。

 今私は「今まで自分が周囲の人達から受けた恩恵にできる限り近い条件をより多くの人達に与えたい。」と思い、DFメンバーとしての活動やM福井での販売をしています。正直言ってそれが100%できているとはなかなか言えない面もあるのですが、ただ少なくとも私個人は「今M福井に来て M:tG を楽しんでいる人達は幸せ者だ。」と公の場で言い切れる位の自信は持っています。これだけお客さんの事を色々考えて M:tG を売っている販売店って、少なくとも私は他に知らないので(笑)。(でも福井での M:tG 人口の増え方を見ていると、販売店が果たせる役割って多くて2〜3割という感じかな。)ただ日本全国にM福井みたいな熱意のある M:tG 販売店(自分で言うな! (^^; )があるのならば、多分日本の M:tG はもうちょっと賑やかというか面白い物になっているでしょう。日本での M:tG 全盛期にすら現れなかった物を M:tG が下り坂になりつつある今この時期に求めるのは、自分で言い出しておいて何ですがかなり無理がある気がします。 (^^;

●  M:tG の将来を憂うすべての皆様へ

 ここで今回のテーマに関してちょっと見方を変えてみます。多分こちらのアプローチの方が、より現実的な結論を導き出せると思われますので。

 確かにこういう話題をきっかけにして、あれこれ“ M:tG を普及させるための方法論”を考えるのも無駄ではないと思うのですが、それ以上に私個人は“個人のやる気(モティベイション)の問題”が大きいと思うのです。大体デッキも作らずデュエルもしていない人が M:tG の将来を憂いて色々考えたって、妙案が出る訳もないのです(笑)。それよりは時間があれば M:tG に触れ、デュエルルームやイベント会場で「今時の生の M:tG 」に接していれば、少なくとも「自分に何ができるか(何をすべきか)?」は見えてくるはずなのです。私が思うに、以前の某代理店が取っていた販売戦略はまさにこの“机上の空論(あるいは単なる欧米での成功事例の真似)”だった訳で、だからあまりうまくいかなかったのだと思います。少なくともDCI公認大会を前面に押し出した販売戦略は、どう考えても日本の M:tG 環境には不向きですし。(日本人には“勝ち負け”という物に異様なまでの執着があるため、それと“楽しんでやる”という事は両立し得ないのです。)

 ですが、そういう“楽しむ”事に主眼を置いた M:tG 普及のアプローチが M:tG 販売店に取って必ずしもプラスの効果だけを生み出すとは限らない、という現実もあります。販売店から見れば当然店内でトレードされるカードがすべて自店の売り上げになればこんな良い事はないでしょうし、コモンカードにしても何にしても売り上げに結びついてくれるに越した事はありません。ただそれでは「 M:tG を始めた人間から搾れるだけ搾り取る」という、全く将来性のない短期投資的な商売に終わってしまいます。販売店から見ればどう考えても「お客さんがヘビーユーザーになってくれる事」が理想なのですが、それじゃあ今の販売店は「自店のお客さんが安心してヘビーユーザーになれるようなサポート」をしていますか?。私は大部分の販売店がしていないと見ています。それで売り上げ増だけを期待するのはやっぱり間違っていますよ。

 こういう厳しい時期に受け身になって待っていても何も起こりません。でも別に「俺が M:tG を広めてやるぜ!」等という大風呂敷を広げる必要もないのです(笑)。人に M:tG を楽しい物だと認識して欲しければ、何と言っても(デュエリストも販売店も)自分が M:tG を楽しむ事が一番なのです。最近日本の M:tG に元気のない理由、それは何と言っても「日本国内で心底 M:tG を楽しんでいるデュエリストや販売店が減っているから」なんじゃないですかね。ただ私のように店にいる時間はお客さんとギャアギャア騒ぎまくり、あまつさえ店頭でトレードなんかしている不良店員は別の意味で問題ありまくりだったりしますが(爆)。

● 蛇足(長いけど (^^; )

 もうすぐHJから「月刊GAMEぎゃざ」なる月刊誌が発刊されます。この本の内容に関しては少なくとも福井では“あまり期待できない”という声が一般的です。じゃあ「なぜそう思うのか?」なのですが、私個人の意見を言うと「その中の記事を書いているライター自身が M:tG を楽しんでいないから」ではないかという気がします。私自身も最近の RPG Magazine は田中としひさ先生の漫画位しか読んでいません。それは田中先生が「今でも M:tG という物を自身で楽しんでいる」という雰囲気を感じるからです。何と言ってもあの方からは“私と同じ匂い”を感じる事が少なくないですし(笑)。

 これ以降の話は“個人批判”になる可能性を覚悟であえて書きますが、少なくとも私の周囲には「自分でデッキも創らずに大会で好成績を収めている人間の自慢話」を読んで面白いと感じる人間はいません。それよりは「自分で独創的なデッキを作るクリエイターの苦労話」が読みたい訳で、そうするとどうしても「だから日本人プレイヤーの書いた記事なんかいらない」論になってしまうのです。(当然“全部がそうだ”とは言いませんが。)それは今までこういった公の場で言う人間がいなかっただけで、そう考えている人は少なくないと思います。本当の意味で「月刊GAMEぎゃざ」が日本の M:tG を面白い物にしたいのであれば、多分その内容に関して根本的な発想の転換が必要になると私は思います。

 そして、その上で現れて欲しいんですよね、「面白い M:tG の記事を書ける(読ませる)日本人ライター」が。以前少しだけ掲載されたマキポンさんの記事は我々の間では今でも語りぐさになっていますが、そう言う記事が毎月読めるのであれば、私だって定期購読を再開したいです。私としては「月刊GAMEぎゃざ」が日本での新たな M:tG の楽しみ方を開拓する起爆剤になって欲しいと願っています。大変だろうとは思うのですが、是非頑張って下さい。 m(__)m


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。