世界選手権なんかいらない

 現在8月に横浜で開催される世界選手権に向けた予選が各国で開催されているようなのですが、情報によると「3大デッキの台頭によるお寒い状態」で、DCIがかなり本気で禁止/制限カードの追加を(次の発表となるの9月1日まで待たずに)検討しているようだ、という憶測が流れています。横浜での世界選手権は日本での M:tG が下降線である状況を押しての開催となるため、これが逆に日本の M:tG にとどめを刺すような事態だけは避けたいのでしょう(笑)。

● トップを走る者への期待

 例えばプロ野球や将棋/囲碁等のプロの世界は「勝敗」と同時に「エンターテイメント」を求められ、実際プロと言われる人達はそれに応えています。日本のプロ野球は選手が画一的だと言われますが、その中でも個性的な選手はスターとなってファンの多大な人気を得ます。我々ファンは当然「ひいきの選手に勝って欲しい」訳ですが、それと同じ位「試合の場で“魅せて”欲しい」とも思っているのです。そしてそういうファンの期待に応えるプロには支持/人気が集まるのです。

 それに比べると M:tG のプロは、お世辞にもあまりレベルが高いとは言えない気がします。プロである以上勝つのが当然です。ですが彼らの多くというか大部分は手段を選ばず「勝つ事だけしか見ていない」のです。プロ野球選手の活躍が野球へのファンの興味をそそり競技人口の増加に貢献しているのに対し、 M:tG のそれが「あ、なんか最近の M:tG ってお寒いよね。僕もそろそろやめようかな。」という軽蔑の対象にしかならないのはなぜでしょう?。それはそこに参加している人間全員の取り組み方や姿勢、あるいは制度等の根幹に大きな問題があるからだと私は考えています。

● 何のための世界選手権か?

 世界選手権という物が「世界一強い人(凄い人)を決める面白いイベント」になるか、それとも「世界一お寒い奴を決めるどうでもいいイベント」になるかは紙一重です。以前ボクシングの世界選手権で対戦相手の耳に噛みついた人がいましたが、あれが「どうでもいいお寒いイベント」の典型例でしょう。我々は手段を選ばずに対戦相手をぶちのめすだけの試合が見たい訳ではないのです。(というか、それって試合とは呼べません。)ファンという物は「見る側が想像もしなかった勝ち方」あるいは「有無を言わせぬ圧倒的な強さ」をプロ同士の競技に求めるし、またプロはそれに応えなければいけないのです。

 ですが昨今の M:tG の世界選手権にはそれが無いのです。今 M:tG の世界選手権に出場する選手達は、ほとんどが同じフォームで投げ、同じフォームで打ちます。それをDCIがバッターに振り子打法を禁止してみたり、ピッチャーに150km/h以上の速球を禁止したところで、試合そのものが面白くなるはずもないのです。流石にこんな大会が何度か続けば、誰だってそんな試合(あるいはゲームそのもの)に愛想を尽かします。しかもその現象がもっと下の普通の草野球レベルでも起きている。それが今の M:tG なのですから、そりゃ面白くなくて当然です(ぉ。

● 今こそ言おう「こんな世界選手権はいらない!」

 はっきり言いますが、少なくとも今私の周囲で M:tG を遊んでいる人達の中で「世界選手権は必要だし、やるべきだ。」と考えている人は多分ほどんどいません。それがある度に我々は新たな禁止/制限カードの発表に怯え、実際それが発表になると「 M:tG って遊びにくくなったねぇ。」と言いながら人が離れていくという悪循環を繰り返しています。またそこで繰り広げられるお決まりデッキのお決まりデュエルにうんざりし、中には「これ自分で考えたデッキだけど、この前の選手権の優勝者の真似してると思われると嫌なので解体しよう。」という人も現れるのです。普通プロという物はアマチュアに真似られるために存在する職業です。それが M:tG では「それを真似る事は恥だ」とすら思われているのですよ!。

 もし万が一この記事をDCIの関係者の方がご覧になっていたら是非ともお願いしたいのですが、即刻 M:tG のすべての世界選手権を止めて下さい。こんな不毛な物いりません。百害あって一利無しじゃないですか。まあ自分でデッキが作れないコピー君は困るのかも知れませんが :-P それにしたって他人のデッキをコピーして自分の手柄のように近所のデュエルルームで暴れ回る人が大勢現れても、それこそ M:tG に取っては何もメリットはないのです。実際そういう人とのデュエルに嫌気がさして何人の人達が M:tG を離れた事か。別にコピー君全員を悪者に仕立てる気はないですが、前にも書きましたが「バックボーンの薄い対戦相手とのデュエルは面白くない」のです。

● では、どうすればいいのか?

 私はこの手の話をする時、よく日本のプロ野球とアメリカのメジャーリーグを比較します。日本のプロ野球選手って残念ながら画一的な部分が結構あって、個性が薄い分見ていて楽しみが薄いのです。しかしメジャーリーグの選手達はフォームにしろパフォーマンスにしろ個性的で、試合の結果を抜きにしても十分楽しませてくれます。そういう意味で私はイチローなんかは好きなのです。日本で練習球やキャッチしたフライの球を客席に投げ入れる等のサービスを始めたのは確かあの人ですし。

 「その道を極めた者達が実力や個性をいかんなく発揮して戦える場」それがプロの試合のはずで、だからこそ面白いのです。今の M:tG にはそれがない訳で、ならば作ればいいのです。私はかねてから疑問に思っているのですが、なぜ M:tG のプロ達がいつまでも Standard をやらなければいけないのでしょう?。 Standard って元々初心者にも M:tG を楽しめるようにと作られた物のはずで、それをプロと呼ばれる人達までがやる必要はどこにもないのです。どこかの草野球大会にある日突然巨人の一軍がエントリーして来るのはおかしい訳で (^^; プロはプロとして実力が存分に発揮できる場で凌ぎを削ればいいじゃないですか。

 この考え方を具体化する方法は幾つかあるでしょう。例えば、

1.世界選手権(特に本戦)では Standard をやめ、 Extended や Classic を主要な競技種目とする。
2. Standard の下に更に初心者向けのクラスを新設し、それは個人開催の地方大会等で専用に使われるルールとして定着させる。
3.DCI公認大会のクラス(K値)が比較的低い物は禁止カード/制限カードの範囲を緩和する。
4.3.とは逆に、世界選手権専用のより厳しい禁止/制限カードリストを設ける。

 ・・・私が思いつく範囲ではこの辺かな。この「世界選手権と一般のDCI公認大会のルールを分ける」事には、いわゆる“コピー君”の増加を抑制する効果もあります。選手権での優勝デッキがそのまま地元の大会では使えない(あるいはそれよりも強いデッキが登場する可能性が高い)となれば、本気で勝ちたいなら自分でデッキを作るしかなくなるからです。

● 「何も考えていない」事への不安

 最近WoCやDCIには「 M:tG をより遊びやすくして盛り上げていこう」という意識が著しく欠落していると思われます。やる事なす事支離滅裂で、しかも小手先の変更でその場を何とか取り繕おうとしている姿勢が見え見えです。第6版ルールで M:tG を初心者向けにしたかと思えば、凶悪すぎて使えないカードの乱発でビギナーのカード購入への意欲を奪っている。これじゃあ M:tG は衰退/没落に向かって真っ直ぐ進むしかないじゃないですか。本当思うけど、ここ数ヶ月 M:tG に明るい話題って全くないもの。そんなお先真っ暗なTCGなんか、誰も買わなくなって当たり前ですよ。

 私は別に有名なトーナメントプレイヤーではないですし、DCIのランキングも下位に甘んじている人間です。その程度の人間でさえこの位の事は考えているのです。それが今現在世界選手権で上位に食い込むだけの実力を持った人達や、ましてや M:tG で飯を食っているプロ達に思い付かないとは思えないのですが。本当に彼らがこの事に気が付いていない(= M:tG の将来について何も考えていない)としたら空恐ろしい事で、そりゃ私だってそそくさとリーフファイトTCG辺りに鞍替えしようかという気になりますよ(苦笑)。まあ少なくとも福井では、私の目の黒い内は M:tG が楽しめるような環境を維持し続けてみせますがね。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。