今月発売された Urza's Destiny (UD)に Urza's Saga (US)のフォイルカード(通称“キラ”と呼ばれている物)が入っているという情報が入って来ました。どうやら Urza's Legacy (UC)がフォイルカードを目当てにしたファンによって好調な売り上げを記録した事で味を占めたためと推測されるのですが、でも果たしてそういう売り方って M:tG の将来を見据えた時に正しい方向性だと言えるのでしょうか?。
ここで最初に私自身のフォイルカードそのものに対する私見を表明しておきますが、私は今のフォイルカード入りの M:tG 商品を概ね好意的に受け入れています。ただ今回のUDにUSのフォイルカードを加えた事に関してはかなり否定的というか、はっきり言うと強い嫌悪感すら持っています(その理由は後述します)。実際私が持っている感触として、UCは久しぶりに爆発的に売れたエキスパンションだった気がします。その前2つが様々な理由で駄目だった (^^; のもあるかも知れませんが、とにかく売っても買っても楽しめる商品になりました。カード的にはデッキを組むに十分な量を買っていても、やはり自分が好きなカードのフォイルを引き当てたい一心で次のパックを買っちゃうのです。そういう意味であの商品は実にうまい企画だったと思います。
またいわゆる「バイヤー」と呼ばれる方々にしても、UCはなかなかうま味のある商品だったのではないでしょうか?。今までのカードのような“世間一般での相場”が付けにくいフォイルカードは、交渉で安く入手したフォイルカードを高く処分する事も十分に可能で、かなり良い商売をされた方もいらっしゃったのではないですか?(笑)。マナソースで実施した「コンプリートセットプレゼント」も随分と好評で、おかげで売り上げの方も少しは上がりましたし。
フォイルカードの登場は「コモンカードがレアカード(しかもそれなりに価値のある物)に化ける」という可能性を生み出しました。これが何を意味するかと言うと、一言で言えば“フォイルを手放す事によるカード資産の強化”が可能な訳です。最初からフォイルカードのコレクションをしないと決めてしまうと、自分が買ったBOXの中の5枚のカードがレアカードに化ける(レアのフォイルなら簡単に2〜3枚のレアになる)ため、それでかなりまとまったカード資産になるのです。トレードの仕方次第ではそれこそトーナメントで十分渡り合えるだけのデッキを1BOXという投資で作る事が可能なのです。これは従来の M:tG では考えられなかった事で、フォイルカードの大きな魅力の1つとなっています。また販売店から見た場合も、1つのエキスパンションがコレクション目的から大量かつ長期に渡って売れるようになる訳で、非常に商売がやりやすくなります。自店でフレッシュパックを開封してシングルカードを販売する店にしても、売り上げアップや販促強化の上での大きな武器を手に入れる事ができます。例えばUCの場合だと「お買い上げの方から抽選で1名にレディアントのキラを差し上げます!」と言っただけでどれだけの宣伝効果があるか(笑)。しかもこれがコンプリートセットとなると、その効果は図り知れません。ただそこまで面倒な事をしなくても、そのまま売ってもいい訳ですが。
さて、一見すると良い事尽くめのフォイルカードですが、ただ実際にはそんなに手放しで喜べるような商品ではない面もあります。まず、いわゆる「投機目的」に M:tG を買う購入層が増えます。実際日本ではこれにより「カードは売れていてイベントを開くと人は来る。でも大会自体に参加してくれる人がほとんどいない。」という現象が全国的に起こっているはずです(あくまで推測ですが)。つまり大会等のイベントが「デュエルをする場」から「商売をする場」へと変化してしまっているのです。ただこれでは大会そのものが成立しない可能性すらある訳で、本来のゲームとしての M:tG という視点から見ると決して好ましい状況とは言えません。
そして何よりも致命的なのが「適当な内容のカードでも売れてしまう」事です。過去我々は様々なエキスパンションをカード能力等で評価し、買ったり買わなかったりの選択を繰り返して来ました。良い商品は買う/良くない商品は買わない、この事が M:tG というTCGの品質を維持し続けて来た訳です。それが例えばの話「禁止カードが10枚もあるエキスパンションがバカバカ売れちゃう」なんて事になったらどうなるでしょう?。それでなくても最近のWoCはカードの能力に対して十分な吟味をしているとは思えません。それが「でもフォイルカードを入れておけば売れるしぃ〜!」みたいな事を言い始めたらどうします?。 (^^; 本気で誰も M:tG で遊ばなくなっちゃいますよ。
要は「 M:tG が“トレカ”として世に出て、そして認知される。」という事態になる訳です。大量に売れているのに誰も遊んでいない、そんな状況になってしまうのです。ただ最近のWoCはどうやらそれでも構わないと思っている節があります。その1つの根拠が「DCI公認大会で自らが禁止カードにした物を、改めてフォイルカードにしてUDに混ぜて売っている。」という事実です。私が今回のUDの売り方を吐き気がする位毛嫌いする理由がここにあります。今回の企画は「最近のWoCがトレカとしてしか M:tG を考えていない(そういうやり方で売ろうとしている)」事を如実に示しているのです。しかし実際には「USのすべてのカードをカバーしていない」UDのフォイルカードには市場価値があまりないと私は踏んでいます。コンプリートセットを作ろうにも、どこまで集めればコンプリートするのか誰も知らない訳ですし(爆)。
今回ばかりは、私もどうすればいいのか見当も付きません。何せ M:tG のカードの中身についてはWoCに決定権がある訳ですし。かと言って“不買運動”というのもちょっと筋違いな気がしますし。1つだけ我々ができる明確な抗議行動は、UDを買って引いた Stroke of Genius(US) をWoCの救済プログラムに送る事位かな(核爆)。でもその場合、果たしてUSが送られて来るのかUDが送られて来るのか、ちょっと個人的には興味があります。 (^^; (なお、この記事の初出後に「 Stroke of Genius は Standard では禁止カードになっていないので、救済プログラムの対象にはならないのではないか?」というご指摘を頂きました。 m(__)m )このままWoCの販売戦略を野放しにしておくと、本当に M:tG ってトレカとしての価値しか無くなってしまう気がします。我々は“ゲーム”を楽しみたくて M:tG を始めた(続けている)はずで、エキスパンションのコンプリートセットを後生大事に抱えて死ぬために M:tG を買っている訳ではないのです(笑)。コレクションしているカードにしても、デッキで使ってこそ愛着も沸こうというものです。これに関しては「1デュエリスト」としての立場と「 M:tG を売っている」&「 M:tG イベントを企画する」者としての立場の柵もあって、私自身明確な答えが出せずにいるというのが正直なところなのです。
どうやらWoC辺りから「今回のエラーパックは製造上の事故で出荷されてしまった物である。」というコメントが発表されたようです。新しいアリーナ・リーグ等で配布するために印刷した物が混入したという説明なのですが、私個人はこの説明には納得していません。私は今回の事は“意図的にやった”あるいは“作られた際は意図していなかったが話題性等の観点からそのまま出荷した”と考えています。何より今回の件は話が出来すぎです。カードの内容自体もそうですし、その情報が出た経緯も変です(情報の初出やその後の開示が早すぎるのです)。それと、某代理店が Standard 以外の遊び方を全くと言っていい程推進していないこの日本で、例えば Lightning Bolt や Serra Angel のフォイルカードが最新のエキスパンションに混ぜて売られている可能性がある、というのはいかがな物でしょう?。まさか某代理店は次の DECK EXPRESS 辺りで「デスティニーを買うとキラキラのセラをGETできるかも!?」等という販促に利用したりはしないでしょうね?。 (^^; だってセラはあなた達が「もう日本では使ってくれるな!」と暗に言っている絶版カードなのですよ!。でも「デスティニーはレガシーよりも売れ行きの出足が鈍い」という情報も入っているので、ひょっとすると何食わぬ顔でやるかも・・・という気がします。
※ これを機会にセラを Standard に復刻させるなら、個人的には許しますが(爆)。