最近 ぎゃざる で扱う M:tG 関連の記事は、どうも(特に日本の M:tG に関して)否定的な見解を書く機会が少なくありません。本来好ましい話題として扱われるべき新しいエキスパンションの登場が結果的に決して良い話題として扱われず、しかも日本のデュエリスト達の中に“ M:tG を楽しんでいる”という空気があまり感じられなくなった昨今では、流石にそれも仕方のない事のような気もします。今回はそんな今の M:tG の風潮を「体の変調を来した患者さん」に例え、この患者さんを整体によって治療する術を考えてみます。
最近の M:tG に纏わる環境を見ていると、はっきり言いますが「真っ直ぐな背骨を維持して生活する事はほとんど不可能では?」とさえ思われます。新しいカードの発売やデッキ情報に追われて無理な姿勢での激務が続き、発売されるカードの吐き気さえ覚える壊れ具合や度重なる禁止/制限カードの追加でストレスも溜まっています。しかも何より致命的なのは、特に最近 M:tG を始めたデュエリスト達の多くが「真っ直ぐな背骨を形成する成長期をきちんと過ごしていない」のです。最初にある程度太い背骨を作ってしまえば多少の事にはビクともしないのですが、どうも最近はその背骨がきちんと育っていない気がします。
なぜ背骨がきちんと育たないのか、その原因を一言で言えば“カルシウム不足と運動不足”です。骨という物は「カルシウムをしっかり摂る」+「適度な運動をする」事で成長します。この場合のカルシウムというのはカードあるいは知識や経験の事で、運動というのはデッキ作成やデュエルの事です。それが特に最近 M:tG を始めた人達には明らかに不足しているのです。私が日本語版4thで M:tG を始めた当時は、周囲の人達から「 M:tG 始めるならカードあげるよ。」的なサポートの申し入れが随分とあった事を覚えています。実際私もたくさんのカードを頂きましたし、またそれに負けない位のカードを色んな方に差し上げて来ました。でもそのカードからデッキを作るのは結局自分自身だった訳です。当時はデッキに関する情報などありませんでしたから、そうするしかなかったのです。ただいざとなれば周囲の人達から意見やアドバイスを聞く事はできますし、何よりもそれは楽しかったのです。
ところが最近デュエリストが低年齢化するにつれ、小中学生の友人の間で M:tG が勧められる機会が増えて来ました。すると M:tG を勧める側に今までのようにカードに関する余力がないため、初心者にある程度まとまったカードを提供するという事が難しくなっています。しかも彼らのサポートの仕方というのは「デッキを作ってやる」というやり方が一般的で、デッキの作り方を教えて後は任せるという事をしません。(正確に言うと“知らないから教えられない”のですが。)そうなるとそのニューカマーさんが「カルシウム不足&運動不足」という状況に陥る訳で、これでは十分な背骨の成長はとても期待できません。
そういう未発達の背骨に、更に最近の厳しい環境が追い打ちをかけます。予算の少ない若年齢層にはとても追い付けないハイペースのカード発売、それに合わせて次々に変わる主力デッキ、更に某代理店がけしかける「 Standard を遊べ!」というアナウンス。 etc. こういう状況にそれなりに追い付いて M:tG を続けようとすると、当然無理をする人達が大勢現れます。しかも彼らは背骨が未発達で「自分でデッキを作る」とか「あまりお金をかけずに M:tG を楽しむ」術を知りません。これにより背骨は大きな圧力を受けて歪み、最悪の場合元に戻らなくなります。これは我々がよく言う「 M:tG にはまった」という好ましい状況(ぉぃ)とは全く別の問題で、何らかの方法で矯正すべき深刻な事態なのです。この事を一番良く表しているのが、少し前からの「 Cursed Scroll(TE) の異常な高騰ぶり」です。自分でデッキを作れる人間なら、あのカードが使い方の難しい(それこそ専用のデッキを作らないと使いこなせない)カードである事は一目瞭然です。ですが日本の初心者&中級者の中にあのカードに対する神話みたいな物ができて、そのため持っている(でも使わない、というか使えない)人が手放さないという現象が起きました。あんなカード1枚持っている位なら、手放して自分のデッキに使う有益なレアを2枚手に入れる方がよっぽど有意義だと思うのですが、そういう発想が無い人が少なくなかったようです。ただミラージュサイクル辺りから M:tG を遊んでいる人間から見れば、あの程度の能力のカードにこれだけ執着するという事は信じられないはずです。実際 Urza's Destiny の登場で、今や巻物は“紙屑同然”にすらなる可能性が出てきた訳ですし(笑)。
最初に書いておきますが、ここで言う「正しい姿勢」という物にはかなりの個人差があります。私は自分で自分の姿勢は正しいと思っているのですが、周囲の人達に言わせると私の背骨は相当歪んでいるらしいです(嫌爆)。ただ1つだけ間違いなく言える事は、人にはそれぞれ自分なりの正しい姿勢という物がある事、そしてその姿勢を続ければ(周囲の人達からはどう見えても)無理なく続けられるという事です。人にはそれぞれ育った環境があり、そのため M:tG に費やせる予算や時間にも個人差があります。何事にも言える事ですが、とにかく長く続けようと思ったら無理をしない事が一番なのです。それと「1ヶ月に M:tG に10万円の予算と20日の時間を費やす人」と「1ヶ月に2千円の予算と5日の時間を費やす人」が同じレベルになるはずなどない、という事も覚えておきましょう(笑)。低予算で M:tG を楽しもうという人が、ハイペースな投資で競技 M:tG を極めようという人と同じ強さになれるはずなどないのです。本来 M:tG という物は勝敗よりもプロセスを楽しむべきゲームなのです。それが以前の格闘ゲームみたいに勝敗至上主義というか勝つと楽しい(負けると楽しくない)という視点でしか物を見ないから、無理をして背骨が歪む人が続出しちゃうのです。目の前に強い人がいたら負けて元々という姿勢でデュエルに臨む、それで負けるのが嫌なら自分と近いレベルの対戦相手を探す、たったそれだけの事です。
さて、それでは M:tG の本場である米国の人達の背骨はどんな感じなのでしょうか?。最近私も色々な機会に本場の方の背骨を拝見していますが、一言で言うと「良い感じで湾曲している」のです(笑)。彼らの背骨は太いのですが、でも決して真っ直ぐではなく (^^; しかも2つとして同じ物がありません。極端な話「黒以外は捨てた」とか「俺は赤」というかなりデュエリストとしては末期症状に近い方もいらっしゃいます。 (^^; ただ彼らの背骨は実に伸び伸びとしていて動きに無駄が無いのです。また彼らは「他人の背骨の発育具合に非常に敏感」です。少し前からマナソース福井店にカナダ籍の英語の先生がいらっしゃっているのですが、その方に(当然私のトレード癖や作るデッキの傾向を知らないはずなのに)デュエルを横から見ていて「それはエンジェル・デッキかい?」と聞かれた事があります。一見単純というか誰でも気が付きそうな事のように思われるかも知れませんが、私がいくらイラストに固執した女性キャラだけのデッキを作っても、日本人でデュエル中にそれに気が付いて指摘して下さった方は(知り合い以外には)過去にいませんでした。それが横で何気なく見ているデュエルで気が付いて、しかもそれを声に出して言ってくれる、この事に私は強い驚きと喜びを感じずにはいられなかったのです。
実は私は某所でダメ老師さんと Classic のデュエルをした際、アリーナ・リーグの Counterspell を使われた時にそれを指摘して話題にできなかった事を今でも後悔しています。自分に取って「対戦相手のデッキの特徴を気が付いてその話題で盛り上がる」事は究極の目標なのです。そのためには M:tG に対する深い知識や人間性等が求められる訳ですが、私はそういう太い背骨を持ったデュエリストを常々目指しているのです。もちろん太いというだけで激しく湾曲してますが(核爆)。
私が日本のデュエリスト達に言いたいのは「自分を持とう」という事です。誰かに M:tG をやらされるのではなく、誰かにカードを買わされデッキを作らされるのでもない。自分の意志で M:tG をやり(あるいはやめ)、自分の意志でカードを買って自分のデッキを作ろう、そういう事です。確かに今日本では Standard が主流になっています。でもそろそろそういう風潮に多くのデュエリスト達が嫌気を感じ始めているのです。そしてそれはあなたの背骨が上げている悲鳴なのです。本来あなたが M:tG でやりたかった事って、少なくとも今の Standard じゃないのではないですか?。あと日本で某代理店が推奨している M:tG の遊び方って、デュエリスト達の背骨の成長には役立たないし、むしろ逆効果だと思います。「DCI公認大会に参加させる」事1つ取っても、まずは「参加したくなるような魅力のある大会にする」事が先決でしょう?。ましてやこれだけ厳しい環境になった公認大会に M:tG の初心者を無理矢理参加させれば、背骨の成長が止まった上に歪む事は分かり切っています。初心者が自分で「自分はDCI公認大会に向いているか」「そこに参加するだけのスキルがあるか」を判断できるならともかく、それができないと思われるなら、そこに至るまでのステップを設けるのが本来あるべき姿のはずです。このままだと本当に M:tG って「フォイルカード目当て」で細々と買われるちんけなTCGになっちゃいますよ。
これだけ M:tG に纏わる環境が厳しくなると、昔のような のほほん とした M:tG の遊び方を復刻する事は多分不可能です。ただそんな中でも「自分は M:tG で何がしたいのか?」をいつも考えるだけで、随分と背骨は楽に成長する事ができます。昔の絶版カードや Portal あるいは Unglued に面白そうなカードがあるなら、どんどん使ってみればいいのです。新しいカードが出たといって、無理に買う必要もないじゃないですか。(あ、これって私が書くとそれなりに問題発言だったりするが《爆》。) M:tG って自分が楽しむための物であるべきで、誰かを大儲けさせるためにやる物じゃないのですよ(ここだけ皮肉口調で読んでね《嫌爆》)。