つい最近、長年一緒に M:tG を楽しんで来た私の知り合いが M:tG からの“卒業”を宣言されました。正直言って非常に淋しい事ではあるのですが、ただ私はその人が M:tG について苦悩して来た経緯を多少は知っているだけに「まあ無理からぬ事かなぁ。」という気もします。ここでは今回の事をきっかけに私なりに考えた(この手の M:tG の話題を扱うHPでは多分“禁じ手”であろう (^^; )「 M:tG をやめる事」に関して、少し突っ込んだ意見を書いてみます。
私の周囲でも、様々な理由により M:tG から離れた人は決して少なくはありません。理由としては「金銭的/時間的に無理になったので」という個人的な問題が最も多いのですが、中には「公認大会で対戦相手に罵声を浴びせられて嫌になった」あるいは「トレードで騙されて一気に熱が冷めた」という笑って済まされない物も結構あります。こういう“対戦相手がいる”ゲームでは多かれ少なかれ人間関係による問題は起きる物なのですが、私が知る限り M:tG のそれはかなり低次元なレベルの問題なんですよ。加害者が幼いというか「デュエリストどころか社会生活を営む人間として必要なレベルに達していない」という感じかな。ただそれだけにそれをやられた時の被害者側の怒りというか失望感はひとしおなのですよ。実際私自身も経験がありますが、本気で「もう M:tG なんかやめたるわ!」という気になりますから。 (^^;あと最近特に増えているのが「もう最近の M:tG には着いて行けません。」という理由です。カード発売頻度の高さ/そのカード自体の質の低下に加えて、日本のカードはご存じの通りの高値振り(しかも日本語版4th以来2度に渡って値上げされている)な訳で、流石にそれだけの情熱を維持して M:tG を続けるのは大変なのですよ。私個人は最近の「ブロック落ち(ブロック単位で Standard では使えなくなるという今の仕組み)」は支持しているのですが、実際それが厳しいと感じる人は少なくないはずですし、そこに来て今回の第6版(ルール)ですから。
それでは今度は逆に「今 M:tG を続けている人達は、なぜそうしているのか?」を考えてみます。ここでは私が一番良く知っていて書きやすい“私自身”を例に挙げますが(笑)、私個人は今「 M:tG そのものは楽しくてしょうがない」という意識でいます。確かにカード販売の事やイベント運営等の事で胃が痛くなる事が少なくない(実はこれを書いている今も少し痛むのだが (^^; )のですが、でも別に今私はやりたくもない or 面白くもない仕事を無理矢理やらされている訳ではないですし、自分が頑張った結果が直接実感できる&結局自分自身のためにもなる事をやっている訳で、ですから苦痛に感じるはずがないのですよ。あと今はデッキを作るのもデュエルをするのも面白いかな。だって使えるカードは昔と比べると格段に増えている訳だし、流行のデッキ情報は(デッキを作る際の参考資料としては)見もしないから自分流のデッキ作成を楽しんでいるし。少なくとも「やりたい事が実現できる可能性が広がった」という点では、今の M:tG は昔とは比較にならないですよ。以前別の記事で書いた通り、昔の M:tG と今の M:tG は全くの別物になっています。そして「総合的な面白さという点では昔の物の方が数段上だ」というのは、多分昔の M:tG を知る多くのデュエリスト達に共感してもらえる意見だと私は思っています。ただそれでも今の M:tG が全然遊ぶ価値のない駄目な物だという訳ではないのもまた事実なのです。そしてそれは第6版ルールを含めて言える事です。我々が Standard では飽き足らなくなって Extended あるいは Classic へと進んだように、 M:tG そのものも進化している訳で、それは M:tG という物をより長く遊ぶには当然必要な事なのです。
今日本の M:tG は「とにかくヘビーユーザーになる事」を求められます。外国に比べて割高なカードを最初から「とにかく買え」と言われ、買えば買ったでいきなり「DCI公認大会へ来い!」と強制される。そして挙げ句の果てには「という事で、今日は Limited をやりましょう。あ、今までに買ったカードの事は忘れて下さい。」だもん。 (^^; これはかなり極端な言い方ですが、でも実際そんな遊ばれ方しか今の日本では紹介されていないでしょう?。これでは流石に日本で M:tG 人口が増えるとは私には思えません。ただ実際にはそれでもなぜか増えている訳ですが (^^; それは別に(そういう今の日本での M:tG の売り方を方向付けた)某代理店が頑張ってそうなっている訳ではなくて、そういう厳しい環境を少しでも和らげて日本で M:tG を普及させようという複数の個人やグループが頑張った結果なのです。こういうゲームを普及/発展させるには「間口を広くする」&「奥を深くする」事が必要不可欠なのです。始めようと思えば1000円からでも始められるし、でも極めようと思うとどこがゴールなのか見当も付かない、そういうゲームは絶対に面白いのです。実は気が付かれている方がまだ少ないのですが“第6版ルール”という物はまさにそういう物になっています。一見すると初心者に取って分かりやすくなっていて、でも中身を吟味してみるとインフィニット・コンボや1ターン・キルのネタに事欠かないという(笑)、初心者に取っても上級者に取っても楽しめるルールなのですよ。ですが残念ながらこれだけルールが変わっても日本での M:tG の売られ方の方は昔とちっとも変わっていない(むしろ悪い方向に進んでいる)訳で、これでは日本で M:tG が更に普及/発展する事など到底望めません。
1度 M:tG を始めた人達をずっと M:tG に引き留めるには、大きく「常に魅力的なルールやカードを提供し続ける」方法と「面白さはそこそこでも (^^; 少なくともやめる理由(必要性)はないという状態を作る」方法の2種類があります。でも今の日本の M:tG には後者が無いのです。カードの値段がそれなりに安くて非公認の気軽に参加できるイベント等が充実していれば、やめる必要性などどこにもないでしょう?。それだったらカードは買いたい時に好きな物を買えばいいし、それで気が向いたらイベントにも出ればいい訳だから。でも今の日本の M:tG って「一瞬でも気を抜くと他の人達に置いて行かれる」ような雰囲気じゃないですか。確かにそういう競争を煽ればカードも売れてDCI公認大会も盛り上がるんでしょうけど、流石にそういう過当競争に何年も着いて行ける人って多分少数派ですよ。私だってそんなキツイゲームなんか自分から遊びたくないって(笑)。あと公認大会やトレードでのトラブルが少なくないのも、こういった「戦績偏重主義」が招いている弊害の1つなんじゃないですか?。そりゃ限られた予算でカードを揃えて公認大会を勝とうと思えばシャークの1つも必要になるだろうし(笑)、それで負ければ罵声の1つも浴びせたくなるかも知れません。ただ所詮 M:tG とは「トレーディング・カード“ゲーム(遊び)”」なんですよ。なんでこんな物に自分の人間関係や信用までをも根こそぎ(それこそ捨てるがごとく)投資しちゃうんですかねぇ?。 (^^; それって何か私個人は「誰かに踊らされている」という気配を感じてしまうのですが。
M:tG の売り方という観点から言えば「カードの値段を下げる」事と「カードを買う事の魅力(カードの持つ付加価値)を高める」事の2点に収束します。それにより人口を増やしてライトユーザーでも M:tG という物が遊びやすいという環境にすれば、より多くの人達が M:tG を始めるだろうし、1度始めた人が M:tG をやめる理由もあまりなくなる訳です。私に言わせると今までの某代理店の販売戦略はかなり方向性を誤っている気がします。しかも実際にはヘビーユーザーのそれなりの割合が今はフレッシュパックを米国からの個人輸入で買っているでしょうから、それじゃあ結果的に日本国内の M:tG 市場を潰してしまうのですよ!。しかも某代理店はそれを「自社ルートでしか買えないカードの販売」というおかしな方法で解決しようとしているみたいだし。でもその割にはなんか Portal 三國志は出荷数が大幅にカットされているみたいなんですよね。そんなに自社の商品(販売戦略)に自信がないなら、いっそやめちゃえばいいのに(ぉ。あと我々個人にも「周囲の人達と一緒に M:tG を楽しむ」という空気が必要だと思います。実際やられてみると分かるんだけど、100回の楽しいデュエルはたった1回の不愉快なデュエルに勝てません。 (^^; これはトレードにしても同じです。私個人は「 M:tG とはデッキを鍛えるゲームではなく、プレイヤー自身を鍛えるゲームである。」と考えています。いくら強いデッキを持って大会で連勝しても尊敬の対象にならないプレイヤーもいれば(ここで誰かさんの顔を思い浮かべないように!《爆》)、大会の戦績など無関係に周囲の人達から頼られ信頼されているプレイヤーもいます。私個人は絶対に後者になりたいと思って日々精進しているのですが、実際にはなかなか道は険しいのですよ(笑)。
今回 M:tG を卒業された私の知り合いが、「でも M:tG で築いた人間関係はこれからも大事にしていきたい。」と言っていました。私も全くその通りだと思います。ただ最近のデュエリストの中で「この人とは M:tG を離れても付き合っていきたい。」と自分の周囲の人達に思ってもらえるような人間関係を築いている人ってどの位いるのでしょう?。何か最近 M:tG で作られる人間関係がお寒いというか、特定のグループでのみ固まって外を見ようとしない(&外部の人間にどう思われても意に介さない)人が少なくない気がします。せっかく M:tG という同じ趣味を共有している人が周囲に大勢いるのですから、より多くの人達と交流を持った方が絶対に面白いと私個人は思うのですがねぇ・・・。