トレードの功罪

  M:tG の世界において“トレード”という物は、多くのデュエリスト達に取って今や必要不可欠な物のようです。デュエリストの中には「トレードが一番楽しい」という方もいらっしゃる位です。ただ M:tG のトレードの場がイベント会場から販売店のデュエルルームに移る中、販売店の中に(様々な理由から)自店でのトレードを好ましく思わない雰囲気、あるいは禁止しようとする動きが出始めているのもまた事実です。果たして販売店とトレードという物は本当に共存できないのでしょうか?。

 ● なぜデュエリスト達に取ってトレードは必要なのか?

 普通デュエリストがフレッシュパックを買う場合、大抵「お目当てのカード」がある物です。極端な話、1つのエキスパンションで欲しいカードがたった1枚という状態でフレッシュパックを買った場合、それ以外のカードを引き当てた場合は例えそれがどんなに市場価値の高いカードであっても「外れ」と言わざるを得ないケースもあるのです。ただ我々には「お目当てのカードは引かなかったけど、それ相応の価値の高いカードを引き当てればトレードで何とかなるだろう。」という安心感がある訳で、それが無い状態でのフレッシュパック購入はかなりリスキーな印象があります。

 また M:tG というゲーム自体、理論的に「トレード無しでは成立し得ない」物です。例えば比較的規模の小さな拡張エキスパンションでも、トレード無しに1つのレアカードを4枚揃えようと思えば5〜6BOX程度は購入せざるを得ません。ましてや基本セットや独立型エキスパンションとなるともっと大変で、それこそ10BOX買っても揃うかどうか・・・という感じです。そんな金のかかる負担の大きなTCGを続けられる大金持ちな子供って、多分世界中探してもビ○・ゲ○ツの息子位じゃないですか?(爆)。少なくとも普通の小中学生達にそんな資金が捻出できるとは私には思えません。

 ● なぜ販売店側はトレードを禁止したいのか?

 最近トレードのかなりの割合が M:tG 販売店のデュエルルームで行われるようになりました。最初のうちは店側としても「サービスの一環」として黙認できる程度の物だったはずなのですが、最近の特定カードの価値の高騰振りもあって、1回のトレードで価値的に万単位のカードが動くというケースが珍しくなくなりつつあります。確かに販売店の人間がそれを目の当たりにすれば「あのカードをうちで買ってくれれば・・・」みたいな事を考えるのは至極当然の事でしょう。

 ただ実は店側にとってはそんな事よりも遥かに深刻な話があります。それが「シャークの存在」と言う問題です。ある店にシャークが出没して被害が続出すると、その店自体の風評に関わるため場合によっては営業自体が存続できない可能性すら生じるのです。つまり昔に比べてシャークな人間が与える被害が格段に広く、なおかつ深刻になっている訳です。店側がデュエルルームでのトレードすべてに目を光らせる事は不可能ですし、根本的な話として店側が安全なトレードを勧めようとすればする程、その店はシングルカードの売上が減少するというジレンマを抱える事になります。つまり店側としてはどう考えても「自店でのトレードを禁止する」方が得なのです。

 ● トレードの功罪(トレード無き M:tG )

 では具体的に「トレードのある M:tG 」と「トレードのない M:tG 」はどの位違った物になるのでしょうか?。


◇ トレードのある M:tG 

  M:tG の世界でトレードが盛んになると、フレッシュパックの売上が伸びます。当面必要のないカードでもトレードの代価になる可能性があるため、取りあえず買っておこうという動きが強まるからです。すると1つのレアカードの出回り量が増える事で価値が下落し、特定のレアカードを比較的安価に入手できるようになります。当然シングルカード販売店は値下げを余儀なくされる訳ですが、ただ根本的にニーズが多くなるので結果的には“薄利多売”で商売が成り立つ訳です。

 ただし最近は「シャークの存在」あるいは「流行デッキの偏り」により、そういうトレードの利点(メリット)が必ずしも発揮されているとは言えない面があります。カードの流通量の割に特定の人気カードに対するニーズが極端に高く、そのためトレードという物が結果的に特定のカードの高騰やシャークの発生という弊害を生んでしまっている訳です。これではデュエリスト達の言う「 M:tG にトレードは必要なんだ!」という言葉にどの位の説得力があるのか、私には甚だ疑問ではあります。

◇ トレードのない M:tG 

 トレード無き M:tG の世界では、フレッシュパックの売上が落ちる代わりにシングルカードの売上がそれなりに伸びると予想されます。ただそれはあくまで「お客さんの量が以前と変わらない」事が前提で、どう考えても今更トレードのできないデュエルルーム(=それを運営する販売店)に人は来ないでしょうし、第一そんなフレッシュパックを買う事がリスキーなTCGにプレイヤーが定着するとは私には思えません。どう考えてもトレードのない M:tG は“遊びにくい”のです。

 あと我々中〜上級者が初心者をサポートする際に差し上げるコモンやアンコモンも「トレードができる事を前提に買ったフレッシュパック」から出ている余剰カードな訳です。もしトレードができないとなればそういった余剰カードも出ない訳で、これでは我々も初心者に対する十分なサポートができません。結果的にこれから M:tG を始めようという人にいきなり万単位の負担を強要する事にもなりかねない訳で、流石にそんな状況で M:tG に未来があるとは私には思えません。


 私個人は「 M:tG に取ってトレードは絶対に必要不可欠な物だ」という安易な結論を出す気はサラサラありません。最近は「トレードを認める事=シャークの存在を認める事」という変な論理の持ち主が大勢いらっしゃるようですから、それだったら私は例えばの話、明日からでもマナソース福井店でのトレードを全面的に禁止しますよ!。ただ少なくとも「トレードのある M:tG は面白いし安心して長く遊べる」訳です。言い換えると「ある店でトレードを全面的に禁止するのであれば、それに代わる物をちゃんと用意してね。」と言いたいかな。シングルカードをそれなりに安く提供するとか、誰かがカードを売りたいと希望したら例えどんなに用途のないレアでも買い取るとかね。 (^^; でも実際それ位の事をしないとトレードを禁止した販売店が以前の売上を維持する事は多分不可能なはずです。

 ● では、どうすればいいのか?

 デュエルルームを利用するお客さんの立場から見た場合、まず最優先にやるべき事は「販売店にトレード禁止をさせる口実を与えない」事です(笑)。店側が掲示している決まり(例えば金銭トレードの禁止等)を守るのは最低限の事として、例えば「定期的にフレッシュパックを買う」あるいは「お買い得なシングルカードを見つけて買う」事も強くお勧めします。前にも言いましたがデュエルルームの維持にも経費がかかっている訳です。ですから利用者としては「カードを“いつもの店”で買う事でその維持費を負担する」という意識が大事なのです。

 次に販売店の立場から見た場合、何よりもまず「お客さんに負けないだけの知識を身につける」事だと思います。例えば販売店のスタッフから「そのトレード、ちょっと君が勝ち過ぎてないかい?」とか言われれば、流石にシャークな人も萎縮してその店では大人しくなりますよ。また例えばお客さんのデッキを診断してあげて「このデッキにはこういうカードを入れるといいんだけど。」みたいな提案をしてあげる事ができれば、自らの手でシングルカードの売上を伸ばす事だってできます。それができなくてただ「トレードを自由にさせると店の売上が・・・」と言うのは、私に言わせれば単なる我が儘です(笑)。トレードなんてどうせ店が禁止したってコッソリやってるに決まってるんですから (^^; そんな実効性のない貼り紙でお客さんに窮屈な思いをさせても、店に取っては「百害あって一利無し」なのです。

 実はマナソース福井店も、開店当初はデュエルルームでのトレードを禁止していました。それを私が「私がきちんとしたトレードをするようにサポートするから、是非認めてあげて欲しい。」という要望を出して今はできるようになっています。ただ残念な事にそれでもシャークな人が現れちゃう訳で、流石に私も最近は「やっぱり禁止した方がいいのかなぁ。」と考える事があります。デュエルルームでのトレード解禁という物は店側に取っては様々なリスクを伴う物で、それでも認めている店は本当の意味でお客さんのことを考えている訳です。そういうお店を裏切るような真似は絶対にして欲しくないんですがねぇ・・・。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。