ゲームに纏わる四方山話

 最近私の周囲で“ゲーム”の話題が良く持ち上がるようになりました。今回はその中から話題を拾って私なりの意見を書いてみます。

 【その1】 “ゲームの終わり方(終わらせ方)”という話

 最近知り合いと話題になったのが「明確な終わりのあるゲームと無いゲームって、果たしてどちらが良いのだろう?」という問題です。この話題は、最近我々の周囲で良く遊ばれている“DIABLOII”と“真・三国無双”という2本のゲームを見ていて、ふと感じた疑問だったりします。DIABLOIIはいわゆるWizタイプのRPGで、これに対して真・三国無双は三國志をモチーフにしたアクションゲームです。

 DIABLOIIを遊び始めた当時から、我々の間では「このゲーム、いつ終われるんだろう?」という話が出ています。難易度がNORMAL/NIGHTMARE/HELLと3段階あり、最高難易度のHELLをクリアしてもキャラクタの成長や能力の高いアイテムの収集には終わりがない。キャラクタは5種類と最近のゲームにしてはそんなに多くはないのですが、でも選んだ職業毎に全く異なるゲームのように楽しめる。こう考えるとそれこそ「これ・・・下手すると一生物(注:くれぐれも“いちなまもの”とは読まないように (^^; )では?」とすら思えます。私自身は基本的にキャラクタはAMAZON1人のみを集中的に育てていて、そのキャラで取りあえずHELLもクリアしているのですが、それでこのゲームの底が見えたとは到底思えません。多分このゲームを遊び終える時、それは“他の面白いゲームが現れてDIABLOIIに回す時間が無くなった”位ではないかと思います。

 これに対して真・三国無双は全くの逆です。登場キャラクタは最初から多く、しかも隠し要素(クリアにより使用可能となるキャラクタ)もかなりあるのですが、1つのキャラクタの成長は比較的簡単にカンストさせる事ができます。ですから取りあえず私は「女性キャラである孫尚香と貂蝉をMAXまで成長させたから終わり終わり。」という気分になりつつあります(笑)。趣味に合わない男性キャラを使ってまで遊び続ける気はないですし、タイムアタックやKO人数を競う遊び方にしても限界を感じます。確かにちょっと時間が空くと遊んではいるのですが、でも私の中ではこのゲームは「クリアされた。」という扱いになっているのです。ただ、じゃあそれで私が真・三国無双を全く遊ばなくなってしまうかと言うと、実はそうは言い切れない物があります。

 これって一見するとDIABLOII(の様なゲーム)の方が良さげに見えるのですが、でも見方を変えると「DIABLOIIはズルズル続いてメリハリがない。でも真・三国無双は明確な目標を達成して気持ちよく終われる。」とも言えます。ですからどちらがよいか悪いかは一概には言えなくて、遊ぶ側次第という事になりそうです。ただ1つだけ言えるのは、普通ゲームを買う時に「このゲームは今から1ヶ月限定で遊ぼう。」等と思って買う人はあまりいないという事です。ですから長く遊べる要素を持ち合わせているゲームは、それだけでゲームとしてのポイントは高いのかも知れません。(そしてその逆も多分正解かと。)

 【その2】 “ゲームのコスト・パフォーマンス”という話

 実は上に書いたゲームの違いって、そのまま米国と日本のゲームという物に対する考え方の違いではないか?、そういう意見があります。米国ではこの手のビッグタイトルは、とにかくロングセラーである事を目指している雰囲気があります。DIABLOIIはDIABLOの発売から実に4年もの歳月を費やして開発されているそうです。これだけじっくり1つのゲームを作り込む、こんなメーカーが今時の日本にあるでしょうか?。そして何よりも驚きなのは、そのDIABLOIIが発売されるまでの間、前作のDIABLOというRPGがずっと現役だったという事です。

 それじゃあDIABLOIIみたいなロングセラー的なゲームは善で、そうでない短期集中型のゲームは悪なのでしょうか?。そんな事はありません。もしそうだとすれば私の知り合い達が真・三国無双という同じソフトを合計4本も買って、それを10名以上のいい大人が喜々として遊んでいる訳がありません(笑)。ゲームの賞味期限という物はゲームを評価する際の1つの基準に過ぎない訳です。通知表で国語が5の子供と1の子供がいたとして、5の子供が1の子供よりもすべてにおいて優れている訳ではないのです。実際今私の周囲では、真・三国無双が遊ばれるようになって以来DIABLOIIの方はパッタリと止まってしまっているのです。

 私が思うに、ゲームの面白さって“面積”なのです。簡単に言うと・・・

(ゲームの面白さ)=(遊んでいる間の面白さ)×(遊んだ時間)

 ・・・という計算式になります。(実際には面白さは時間毎に変化するので、積分を取るのが正解かと思います。)多分この面積が広ければ広い程“良いゲーム”と言えるでしょう。そしてこの面積を購入価格で割った値が他に比べて大きなゲームを、私は“コスト・パフォーマンスの高いゲーム”と言っています。そういう意味で言うと、実はDIABLOIIに匹敵するだけのコスト・パフォーマンスの高いゲームって、私の記憶する限りではWizI&II位ではないかと思います。DIABLOIIというゲームはこの先何ヶ月、あるいは何年遊び続けるか全く分かりません。そうなるとコスト・パフォーマンスがどの程度の物になるのか、今の私には想像も付かないのです。

 私は日本人の“新作だから”“話題作だから”と言ってゲームを買う体質が好きではありません。それでは本当の意味でゲームは面白くならないし、自分自身が損をするからです。私は最近、最低でも買ってから3ヶ月以上付き合える見込みの無いゲームは買いません。だから発売と同時に衝動買いなんかしないし、また必要最低限の情報は見ますしそれ以外の情報は見ません。(世の中のゲームに関する情報には、ゲームの寿命を“伸ばす情報”と“縮める情報”があります。私に言わせると、いわゆる攻略記事とか裏技ってゲームの寿命を縮める情報でしかないんですよね。)そういう遊び方を始めて以来、私個人は必要最低限の予算で最大限ゲームを楽しんでいます。だって今自分の身の回りにあるゲームって、いつどういうタイミングで遊んでも面白い物ばかりですので。

 【その3】 “日本のゲームがつまらない理由”という話

 少し前から日本では、ゲーム業界全体がちょっと元気が無いというか縮小傾向にあるそうです。業界関係者はこれを景気のせいとコメントしているようですが、私個人は違う見方をしています。

 今、日本のゲーム業界はメーカー/問屋&小売店/出版社の利害関係が複雑に入り組んでいます。はっきり言うとDIABLOIIのようなロングセラー的要素を持ったゲームは、日本ではあまり歓迎されないのです。日本のゲーム業界は発売前の紹介記事で誰かが飯を食い、ゲームの販売で誰かが利益を上げ、発売後の攻略で誰かが儲けを出し、そして次回作の話題で・・・という連鎖の上に成り立っています。つまり1つのゲームが数ヶ月あるいは数年も遊び続けられてはまずいのです。そして日本のほとんどすべてのゲームがそういう市場に送り出される事を前提に開発されています。皆さんが喜々として遊んでいるあのゲームもこのゲームも、多分日本で作られた最近のゲームなら基本はすべてそうです。そして私の周囲の人達は「だから日本のゲーム業界は駄目になった。」そう言います。これに関しては私も同意見です。言い換えると“だから日本のゲーム業界にDIABLOIIは作れない”のです。確かそういうタブーを破った“トルネコ”とか“シレン”というRPGが日本にもあるのですが、実際このゲームは始めるとプレイヤーが他のゲームを買わなくなるため、業界の中では結構疎まれる存在だという話を聞いた事があります(笑)。

 また日本ではそういう発想がそのまま、例えばTCGといった遊びの商品を売る際にも適用されています。今売ったカードがこの先何ヶ月あるいは何年も遊び続けられるのは新作が売れないから困る、だから昔のカードがあまり遊ばれないような販促をしていこう。まあそういう感じなのです。でも元々TCGって米国人がロングセラー(=遊びとしてのスタンダード)にする事を目的に、それこそ数年という年月を掛けて開発しています。それを短期間で使い捨てる遊び方をしている我々に、そのゲームの本当の良さや面白さが分かるはずもないのです。ちなみに私が「日本人に M:tG は向かない。」と断言して憚らない理由の1つがこれなのです。日本人ってゲームを使い捨てる事に慣れ過ぎちゃっているのです。

 私個人は1ヶ月程度で遊び切る、パッと咲いてパッと散るゲームも嫌いではありません。そういう物って日本人の気質に合っていると思うし、そういうゲームも売っていかないと業界が活性化しないからです。しかし日本では、何年もかけて開発してロングセラーを狙ったゲームと1ヶ月で遊び尽くされる事を前提に作られたゲームが、そういう観点から正しく評価されているとは言い難い状況になっています。本来ゲームという物が中身で評価されて、その内容が売上額などに正しくフィードバックされればいいのですが、実際には“あの会社のゲームだから”“広告で見たから”で売れちゃうのです。あと雑誌でのレビューの点数の善し悪しとかね。でも、あんな点数は金で買えるらしいのですがねぇ(核爆)。私が以前伺った話では“某誌は1点につき200万”だったかな。 (^^; つまりどんなク○ゲーでも、6400万円積むと殿堂入り・・・(これ以上書くと雑誌名が特定されちゃうので以下省略。 (^^;;; )

 業界の人間が自分達の利益誘導を目的に出した情報を、まるでそれが唯一絶対の物のように信じ込んでしまう。そういう体質が日本人にはあるようです。ましてや自分達(=流通業界)の利益のために、ロングセラーたる要素を持ったゲームを1ヶ月で使い捨てさせようという売り方をするなんて以ての外だと私は思います。だから日本のゲーム業界は良くならないのです。ハードウェアの性能がこれだけ良くなっているのに、発売されるソフトウェアが昔ほど面白くない、そういう声は私の周囲だけでも数多く聞かれます。もうちょっと購入者1人1人が“ゲームを吟味して買う”事を、そろそろ考えるべき時期が来ているのです。今パソコンでDIABLOII辺りを遊んでいる人間に、その手を止めさせて別のゲームを遊ばせるのはかなり大変だと思います。そういうゲームを日本人が生み出せない限り、日本のゲーム業界が再び活気づく事など到底期待できないのです。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。