売れる Magic を目指して 
 
 今回はズバリ“売れる Magic の条件”について考えてみます。

 人がゲームを買う理由は色々あるでしょう。面白いから。流行っているから。周りがみんな遊んでいるから。その他にも色々あるだろうと思います。ただ最近の Magic の状況を見ていると、どうも以前と比べてこの“売れる理由”という物がどんどん欠乏しつつある気がします。

 そもそも Magic が面白いゲームである、もっと正確に言うと“最近の Magic も創生期と同様かそれ以上に面白いゲームである”とすれば、さすがに旧代理店があれだけ著しい売上の減少に見まわれることはなかっただろうと思います。つまり旧代理店の売上だけを見る限り、間違いなく最近の Magic は「多くのユーザーから“昔に比べて面白くない”と判断されている」のです。また流行性や話題性という点でも、例えば競合する多くの国産TCG辺りと比べても劣っているはずです。何しろ Magic には連載マンガもアニメ放映もありませんし、ましてや Magic に関心が薄い一般の人達に取り上げてもらえそうな話題なんてほとんどありません。こうなると今は Magic が実際に遊んで面白いか否かというお話にはほとんど意味が無くなります。何しろ昨今の Magic は“未経験者に関心を持ってもらう動機付けが全くない”という有様なのですから。我々が自分にとって無関心なゲームの話題には興味を示さないのと同じで、多くの方々が Magic というゲームに興味そのものがないのです。興味がない物に普通人はお金を出さないし、ましてや小難しいルールを覚えて遊ぼうなんて発想には至りません。欧米での Magic の実状がどうか詳しくは分かりませんが、少なくとも日本国内での Magic はそういう状況だと考えて間違いないだろうと思います。

 それともう1つ。じゃあそれでも「 Magic はやっぱり面白い」と主張される皆様は、それでは Magic を今“面白い”と感じるのに一体どの程度の投資をなさっているでしょうか。その金額は数千円ですか、数万円ですか、それとも十万円とかそれ以上ですか。あと時間はどうでしょうか。ではそこであなたが別の誰かに Magic を勧めた場合に、その人が自分の投資と同程度の資金や時間を Magic につぎ込まなければ、ひょっとするとその人は Magic が面白いゲームであるという認識を持てないかもしれません。もしそうだとしたらどうしますか。どう頑張っても時間の肩代わりは不可能でしょう。じゃあせめてそれだけの費用をその人のために出してあげられますか。多分無理だっておっしゃる方が大多数だろうと思います。でも昔の Magic ってそれをやっていたんですよ。自分が買ったカード資産から余剰カードを知り合いに渡し、そして自分も同等のカードプールでデッキを作って対戦を楽しむ。少なくとも競技という物に偏重する以前の Magic はそうやって遊べていたのです。じゃあ今はどうなのか。目の前の知人にトーナメントで勝ち越しや上位入賞を狙えるようなデッキを作って渡す、そんな事ができますか。でも、それをしないと今の Magic は満足に遊べないし、その面白さも分からないんじゃないですか。だから結局のところ「お前も Magic を始めるなら数万円払って箱を買い、現在トーナメントで主流になっているデッキをコピーして作れ。」とか馬鹿げたことを言い出す。そんなゲームにそれでも手を出す人は間違いなく少数派のはずです。だから売れないし、よしんば始めても多くが並行輸入の安いパックに手を伸ばす。話はそれだけのことです。

 これは過去に何度も書いている主張ですが、要するに昨今の Magic には“関心を向けさせる”とか“手を出してみよう(買ってみよう)と思わせる”といったアプローチ、あるいは動機付けがほとんどないのです。特に未経験者や初心者向けにそれがないのがかなり致命的です。もっとぶっちゃけて言うと“売る気がない”訳ですが。 (^^; 日本選手権の賞金総額は5万ドル。現在の主力デッキは親和で、理想起動すれば瞬殺も可能。ルーリングに関するサポートは他のTCGよりも優秀。あなたにとってはそれが Magic の大きな魅力なのかもしれません。でも、そんなの Magic を知らない人から見たら「それがどうしたの?」という感覚しか持ち得ないのです。これは人や車が全く通らない道路に、やたら立派な歩道を設けたり、多くの交通規制をかけたり標識を立てたりしているような物です。うちの地元の道路は完璧に整備されていて上下6車線もある。確かにそうなのでしょう。しかしそれで人も車も通らない道を作ったって意味がない。そういうごくごく当たり前かつ基本的な認識がこの世界には欠落しているのです。まずは何よりも“その道を人や車がたくさん通る理由を作る”ことなのです。これは現実の社会基盤整備においても全く同じ事が言われているはずです。

 ちょっと日誌でも触れた話ですが、この話には米国での Pok?mon (ポケモンTCGの英語版)の事例が良い参考になるかと思います。全世界でのポケモン人気は未だに根強く、それこそ今やディ○ニーのキャラクタに優るとも劣らない物があります。ところがそういう時流にどういう訳か Pok?mon だけは乗り切れなかった。それは一体なぜなのか、ということです。私に言わせると、これは“WoCという企業のお粗末さ”に起因するとしか思えません。そりゃあピカチュウ欲しさに Pok?mon を買った人達に「競技イベントに来い!」とか言っても、子供達はお口をアングリさせて呆然とするのみでしょう。 (^^; ましてやそこで自分が好きなポケモンが大暴れしてくれるならともかく、実際には「このポケモン以外を使っても勝てません。」とか言われちゃう。これじゃあ誰だってしらけちゃいますよ。ポケモンほどの人気タイトルをモチーフにしても、その商品の販促手法やプロモーションがまずければ売れないのです。あまつさえあそこはハリーポッターですら見事にこかしてますよね(笑)。ましてや Magic は基本的にその Pok?mon で行われたまずいプロモーションの先例であり、あまつさえピカチュウのような販促の決め手となる人気キャラクタすらいません。これでは売れるはずがない。普通に考えればそういう結論になるでしょうし、実際そうなっているはずです。

 ただ、実はそうなるのにはちゃんと理由があったりします。この世にはいわゆる“ヲタク”と呼ばれる人種がいます。彼らが好んで買う商材には一種独特の癖というか傾向があり、逆にそういう物を一般の方々が好んで買うことは少ないだろうと思います。お父さんが子供へのお土産やプレゼントに、美少女キャラの裸が描かれた抱き枕を買うなんて話は聞いたことがありません(爆)。ただ逆にヲタクに何かを買ってもらおうと思ったら、それこそ抱き枕にミッ○ーマウスやピカチュウでも描いたって意味がないでしょう。そしてゲーム業界は1つの選択として、ヲタクが好む商品を製造・販売して商売を維持している。実は Magic もこれと全く同じ状況になっていると思われます。現在 Magic を買って遊んでいる人達は、今のような Magic でなければ嫌なのです。ところが一般的に見ると、少なくとも日本で Magic は間違いなく一般受けする商材ではないのです。それはゲームシステムにしてもそうですし、カードイラストにしても言えるでしょう。だから Magic ヲタクには売れるけど一般には売れない。話はそれだけのことなんじゃないでしょうか。ただしこの話は何も Magic だけに言えるわけではなくて、度合いの差こそあれすべてのゲームに言える話です。ただ Magic のヲタク度というか偏向度は、他のゲームと比べても抜きん出ている気がしますが。 (^^; 

 じゃあ、どうするのか・・・というお話にここからは入ります。現在日本国内でTCG販売に成功した事例というのは、概ねキャラクタ人気やマンガやアニメの話題性を利用して売上を伸ばしています。ただ最近台頭しつつあるムシキングは、これとは多少事情が異なるという気もします。じゃあそれらの勝ち組をすべて見渡した時に見えてくる“TCG勝利の方程式”とは何なのか。そう考えると幾つかのキーワードが浮かび上がってきます。具体的には“知名度の高さ”“テーマ性や人気キャラクタの存在”“買いやすさ”そして“子供と大人が一緒に楽しめる”などでしょうか。でもこれって昨今の Magic にはすべてが相当欠乏している気がします。知名度を上げるための工夫なんてほとんどやってきていない。ゲームのテーマや世界観は毎年コロコロ変わり、発売から10年以上も経つのに人気キャラクタに恵まれない。子供が買うには未だに高いと思われる価格設定。そして今や子供どころか大人ですら首を傾げるゲームの繁雑さ。 (^^; やはり世のヒットゲームと比べると“時代に逆行している”という印象が強くあります。この意見には間違いなく数多くの異論があろうかと思います。しかし実際問題として“こういった敗因によって Magic は売れなくなった可能性が高い”のですから、何よりもその現実を真摯に受け止めてみて下さい。

 では、その対策をどうすればいいのか。それこそ文章で書くだけなら簡単です。知名度を上げる。多くの人達に受ける一貫したテーマ性や人気キャラクタを生み出す。値下げをする。ゲームのルールやカード能力を簡素化する。話はこれだけのことで、しかも実際こうなれば間違いなく Magic は今より売れると思います。ただ現実問題として今はそれができていない。あるいは変革すべしの意見に多くの人達から異論が出る。それはなぜなのか、ということです。その理由は単純明快で「自分が好きな Magic の現状を変えて欲しくない」からです。もっとはっきり言うと「自分にとっては Magic が多くの人達に買われようが買われなかろうが関係ない。自分は今の Magic の状況が好きだから、この先更に深刻な販売不振になろうが今の状態を変えて欲しくない。」ということです。自分はこんな複雑難解なゲームをこれだけ理解して楽しんでいる。それにこれだけ多額の投資までしている。そういう自分に半ば酔ってしまって、それが変わって自分が取り残される、あるいは今までの投資が無に帰す事を恐れ嫌う。こういう傾向は人間なら誰でも持っている物で、それは間違いなくWoCの内部にすらあると思われます。しかも現状ではそういう思想の持ち主が主流となって Magic の世界では物事を決めていると思われる。これでは上に挙げたような改革が実現するはずはないのです。

 では、それでも Magic を売りたいと願う人達はどうすればいいのか。はっきり言うと相当部分は諦めるしかありません。だって今はそういう自分に酔ってる人達が Magic の販促どころかカードデザインまで担当していると考えられるので、そこから今後拡販の切り札となる斬新な発想の新商品や販促企画が出るとは到底思えないからです。 (^^; じゃあそうではなくて、ちょっと冷めた場所から Magic を見ている代理店や販売店に工夫できる余地はあるのか。これに関してはある程度ですが可能性は残されています。その1つのアプローチ法が“ Magic のツール化”です。例えば家庭用ゲーム機は、別に「俺、PS2萌えなので・・・」とか「NDSのフォルムがたまらない。」とか言われて買われているわけではないでしょう。 (^^; (なんかPSPは中のディスクをゲーム中に飛ばして遊べるという特別機能付きだったらしいですが《爆》。)あるゲーム機を持っていると、自分が好きなあのゲームが遊べる。だから買われるわけです。要するに Magic をそういう発想で売ろうということです。 Magic を買うとあのキャンペーンに応募できる。 Magic を遊ぶとあのイベントに参加できる。そういう動機付けで Magic を買ってもらおうという感じです。

 「いや、そんな小手先の改善では到底満足な結果は出ない。我々は Magic を文字通り世界一のTCGにしたいので、それに見合う知名度・人気・売上を手に入れたいんだ。」そういう意見をおっしゃる方がいらっしゃるかもしれません。実はそれを実現する具体的な方法も、列挙するだけならそんなに難しくはありません。それこそミッキー○ウスやピカチュウに相当する、世界で高い人気を誇れるイメージ・キャラクタを Magic に生み出し、これを拡販の突破口にする。販売価格を子供にでも手を出しやすいレベルに下げる。様々な趣向を持った人達がカードを買いたくなるようなイラストを多岐に渡って採用する。競技イベント以外にも子供やファミリーが楽しく参加できるイベントを開く。要するに私がずっと前から言っている“間口を広げる”という発想です。ただ残念なことに、こんな提案はそれこそ至る所で何年も出され続けてきて、でも結局のところほとんど何も実現してきていません。それがここ1年か2年ほどで劇的に変わるというのは、普通は期待しない方がいいだろうと思います。最低でも更に5年とか10年かけてシステムを改める必要があるでしょう。まあそれまで Magic というゲームの販売が維持されているかは疑問ですが。 (^^; 

 私が以前から言っているのは「別に Magic には競技があっていい。でも他の販促をせずに競技だけやってる現状はおかしいし、それで Magic の拡販に貢献しない競技なら要らない。」という意見です。実際そういう現状が改まらない結果として Magic はこれだけ深刻な販売不振に陥ったわけですから、その意見そのものはいい加減に皆さんにもご理解頂けるだろうと思うのですが。 (^^; そしてその具体的な打開策として、私は“選択肢の拡大”を言ってきたのです。例えば Magic に超人気のキャラクタを生み出し、これのグッズとかTVゲームでWoCや流通が飯を食ったって構わないのです。カードイラストもテーマ性に拘って画一化したりせず、昔の第4版みたいに多種多様な物が入っていいじゃないですか。カード能力はコアユーザーのために複雑な物を出してもいいですけど、それとは別に初心者が楽しめるレベルの物もちゃんと売らないとダメですよ。フォーマットは競技向けだけじゃ息が詰まっちゃうから、初心者や競技から引退した人達が気軽に続けられる物も考えましょうよ。イベントは競技参加者以外の人達も会場に来たくなるような企画を盛り込みましょう。・・・これは今まで私が何年にも渡って書き続けてきた内容のはずです。別にこれが実現したからと言って、競技関係者が困ることなんて何1つないでしょう。むしろ競技イベントにたくさんのギャラリーが付いて競技プレイヤーの露出が高まり、売上アップによって賞金総額の増額も見込める。良いことずくめのはずなのですが。しかし現実にはそういう提案がどういう訳か一部の心ない関係者から袋叩きにされ、あまつさえ Magic が売れなくなる方向性の販促方針が支持され存続されてきた。こんな馬鹿げた業界は普通滅んで当たり前で、そしてその当たり前のことが現実になりつつある。私に言わせると話はそれだけです。

 ただ前述の通り、この問題に関して根本的な解決策を打ち出すには、文字通り“WoCが変わるしかない”のです。でも実際のWoCは日本での Magic 販売不振の全責任をHJに押し付けて切り捨てた。これじゃあこの業界に対する期待感が生まれるはずもないでしょう。別に今までのやり方を全部が全部捨てろとは言いません。ただそれでも Magic を今の何倍も売って業界を維持したいのであれば、今やっている事以外に何倍もの量の追加措置を講ずる必要があるのです。WoCは結果として「 Magic は競技指向が強い人間以外には買ってもらわなくていい。」と言ってきた。だから実際に競技 Magic に興味がある人以外には買ってもらえなくなったのです。そういう現状を変えたいと思うのであれば、何よりもWoCが「 Magic は面白いゲームです。競技以外の楽しみ方も数多くありますから皆さん買って下さい。」と主張し、なおかつそれを一般の人達に実感させる工夫を始めるべきなのです。そういうアプローチに関するノウハウは、WoCよりもタカラやコナミの方が遙かに優れていると思いますから、思い切って両社に頭を下げてその辺のノウハウを頂いて出直すくらいの意識を持った方がいいと思います。さもないと本気で Magic は終わりますよ。

あいせんの“本音の部分”

 これはメンバー板で出たお話の焼き直しなのですが。

  Magic というのは、言ってしまうと“数ヶ月で味が変わるラーメン屋”だと思います。あまつさえ1年に一度、11月辺りにこの店が出すラーメンの味はガラリと変わります。私はこの店が1995年頃に出していたラーメンが気に入ったのですが、もう既にそのラーメンを味わう手段はほとんどなくなっています。今はかろうじてレトルトで残っている“牛姉スープ”を時々味わっている状況です。 (^^; 下手にここに最近打った麺を入れてラーメンにしちゃうと、その影響で味が変わってスープまでおいしくなくなっちゃうもので(笑・・・えない)。

 現在この店に通ってくる常連さんは、その多くが「この店のラーメンはうまい。」とおっしゃいます。でもどうも数年前からの常連さんの中には、最近のラーメンの味に違和感を覚え、結果として店に来なくなった方も大勢いらっしゃいます。これだけ年毎に味が変わっているのですから、それはある意味当然でしょう。ただ私が心配しているのは、この店が頻繁にラーメンの味を変え、その度に常連の一部が店に来なくなっているのに、その減った常連を補うだけの新規顧客を新しいラーメンが獲得できていないことです。これじゃあいずれ常連は誰もいなくなってしまう。そういう心配を店主がしている素振りが見られないのも気になって仕方ありません。

 それと実は、この店にはすぐ近くに数多くの競合店があります。中にはこの店よりも遙かに繁盛している店も数軒あります。ところがこの店の常連さん達の多くが、どういう訳か「いや、味では Magic のラーメンが一番だ!」と言い張って譲りません。しかもその常連の話を聞いて、店主までがその気になっているようです。どうも私には「だからこの店はラーメンの味に関する追求をやめてしまった。」としか思えない節が見られる気がするのです。例えばスープのダシにしても、最近はやたら色々な物を放り込んで煮出すことで「深みとコクがある」とか言い張っている気がします。でも近くにあるムシキングの方はもの凄くシンプルなスープで営業しているのに、多くの人達が「おいしい」と言って日々通っているように見受けられます。こういう物はなんでも突っ込めばいいというものではないし、ましてや色々な物を突っ込むのであれば、その配合には人一倍気を配らないといけないはずなのです。しかしそういう細かな気配りが Magic には見られなくなった。これじゃあラーメンがまずくなる、そして売れなくなるのも無理はないかな・・・という気がします。

 最近になって、この店にタカラさんという支配人が来ました。私としてはこの人が Magic というラーメンを食べて「なんじゃ、このまずいラーメンは!」と言ってちゃぶ台をひっくり返してくれることを期待していたりします(嫌爆)。普通一般の人達がとてもじゃないけど食えないラーメンを出している。そういう自覚が作っている店主にも店の常連にも欠落している以上、然るべき人が声を上げてくれて、それこそラーメンの仕込みから変えてくれることを期待したいところです。

   

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