滅私奉公 
 
 ちょっとタイトルがいつも以上にお堅いですが (^^; 今回は“新代理店時代の競技 Magic はどうあるべきか”というお話を書いてみます。まあ私個人が考えている結論はタイトルの通りなのですが(爆)。

 まずはお話の前提となるデータの提示から。かつて日本の Magic 人口に関しては、旧代理店より“130万人である”という旨の発表がありました。これはWoCが発表した全世界の Magic 人口(700万人)と、その時点における日本国内での Magic の販売実績から推定したデータではないかと推測しています。では現在はどうかというと、昨年度に旧代理店の Magic 関連の売上が、全盛期の1/5程度に落ち込んでいるとも見て取れるデータがあり、ここから単純に試算すると20万人台の後半〜30万人台程度と考えてもいい気がします。今回は仮に30万人としておきましょうか。ところが実を言うと、これを書いている2005年1月の時点で、WoCのサイトに登録されている“日本国内で構築戦フォーマットの認定トーナメントに参加しているプレイヤー”の数は、その3%にも満たない8000人程度しかいません。限定戦のプレイヤーも5000人ほどですから、両者を合わせた延べ人数ですら全体の5%に満たないことになります。つまり Magic というゲームは現在、たかだかプレー人口の5%に満たない競技プレイヤー向けに、その販促の予算やマンパワーの相当部分をつぎ込んでしまっている。これが紛れもない実態なのです。

 しかも競技 Magic という取り組みには大量のカードが必要になり、これによりプレイヤーの多くが並行輸入の安いパック購入に流れてしまった。これに関しては皆さんにもお心当たりがあるでしょう。この傾向は旧代理店の売上の推移にはっきりと現れていますし、しかも認定トーナメントの開催数と旧代理店の売上とは、ここ数年は明確に反比例の関係にあるのです。販売店が地元プレイヤー向けに開いたイベントで、並行輸入の安いカードで武装したプレイヤーが大暴れして賞品をかっさらっていく。こういう状況がそれこそ旧代理店やWoCが主催するプレミアイベントでも多発しているわけで、これでは流通側が競技趣向の強いプレイヤー向けに「代理店流通のパック(日本語版)を買って下さい」とは言いづらいだろうと思うのです。何しろ結果としてメーカーや旧代理店自身が、自社イベントでユーザーに並行輸入の安いパックの購入を推奨してきた訳ですので。WoCはそれでも結果として Magic が売れるのだから全然困らないのでしょうが、それに付き合わされて自社の売上を減らしてきた旧代理店はたまったものじゃなかったでしょう。

 そもそも過去の歴史を垣間見ると、 Magic の競技イベントは“競技 Magic という世界の大成”を目論んできたわけで、言ってしまうと Magic そのものの拡販はあまり見ていないのです。この見方は多くの方から批判を受けるかと思うのですが、ただ本来 Magic の競技イベントはDCIという、WoCとは独立した組織が管理・運営するというのが建前だったはずです。(あくまで“建前”ですが。 (^^; )ですから現に“競技を維持するためにはエラッタでも禁止カードでも出す”なんて事もやってきたはずです。競技を成立させるために、最終手段としてパック販売をも犠牲にしてきた。これが間違いなく競技 Magic の歴史なのです。ですから逆に言うと、WoCが Magic の販促として競技イベントしかしないという現状はおかしいのです。だって競技 Magic は Magic そのものの拡販には貢献しない、あるいは下手をすると販売低迷の要因にすらなりかねない物なのですから。それ故WoCがカードデザインの失敗から禁止カードを世に送り出してしまった場合は、それを補うというか償うという意味での交換サービスも過去にはやっていたのです。さもないと Magic が売れなくなって困るわけですから。

 では新たな代理店であるタカラは、そういう現状をどう考え、そしてどうしようとしているのか。これに関しては既に幾つかの話が見えています。基本的にタカラはWoCが開くプレミアイベントにはほとんど関与しないように見受けられます。自社の売上に貢献しないイベントには手を貸さない。企業としては極めて健全かつ賢明な判断でしょう(笑)。ただ、それは見方を変えると“新旧代理店のWoCに対する力関係の変化”を象徴しているとも言えるでしょう。もっとぶっちゃけて言うと「タカラに競技 Magic に関するサポートを言えるほど、昨今の Magic は商材として魅力のある物ではなくなっている。」ということです。だって今や年商100億円を超えるデュエル・マスターズですら、実際にはWoCに支払うマージンが高すぎてタカラに十分な利益を残していないのです。ましてや市場規模がその1/10ほどになっている Magic を売るとして、それでWoCからタカラに出せる要望などたかが知れているのです。

 ただ、そういう中でも競技イベント、特にプレミアイベントに対する改革は確実に進行し始めているようです。冒頭でも触れましたが Magic 人口に占める競技人口はたかだか5%未満。それで競技イベントにこれだけの費用や人員をかけるのはあまりにももったいないし費用対効果が薄い。だったらプレミアイベントを“競技に興味が薄いプレイヤーも参加意欲が沸くお祭り”にしてしまえばいい。簡単に言うとそういうことでしょう。これも企業の判断としては正しいと思われる、というか「最初からそうしておけよ > WoC」という感じですが。 (^^; しかも Magic 流通に直接関与しない第三者の企業が Magic イベントにスポンサー提供し、また Magic の情報を外に向けて発信する。今まで私みたいな人間が何度も提案し、そしてどういう訳か実現しなかった画期的な出来事が、タカラの手によってなんか意図も簡単に実現しつつあるように見受けられます。

 ただし・・・という話です。ここまでの変革の中には、相変わらず“日本語版の拡販”という視点が見えてきません。実際に日本の総代理店が流通させる英語版で並行輸入のパックに太刀打ちすることは事実上不可能であり、そうなるとやはりタカラとしては日本語版が選ばれて買われる土壌を日本の Magic の中に生み出すしかありません。でもやはり従来行われてきた競技イベントの焼き直しでは、ここまで進んでしまった並行輸入パックへの依存症を根本的に改善することは無理でしょう。確かにバーコードによるキャンペーンには一定の効果はあるでしょうが、しかしそれも長くやれば飽きられますし、そもそも新製品発売時に売上を稼ぐ短期的な効果しかありません。じゃあどうすればいいのか。そこで出てくるアイディアが“日本語版限定構築によるイベント開催”という発想です。

 1つ私の方からアイディアを出してみます。日本語版ユーザーが Magic の中でも比較的低年齢層になる可能性を考慮すると、やはりイベントの開催時期としては夏休みが有力だろうと思います。その時期に“日本語版限定の大会”を開くのです。フォーマットは限定戦( Limited )よりも構築戦の方がいいと思うのですが、例えば思い切ってカード資産が少ない人とか、極端な話トーナメントデッキ+ブースター数パック程度の即興デッキで参加できるようなフォーマットにしてしまうのです。デッキ枚数を40枚以上にして、同名カードは基本地形以外3枚まででレアは6枚までとか。(あくまで一例ですが。)それとこのイベントは“ショップで開いてもらう”ことが重要です。そうすることでショップの常連さんが大勢動いてくれる可能性が出てくるからです。こういうフォーマットなら、それこそパック購入の費用だけ持って当日飛び入り、そういう形での参加もかなり見込めるでしょう。これによりイベント当日のパック販売にも期待が持てます。それなりの構築力がある人が作ったコモンデッキでも十分太刀打ちできそうですから、初心者にデッキを貸して・・・なんて事もできそうです。

 ただし、このアイディアにも幾つかの問題があります。まず代理店がオリジナルのフォーマットを提唱するアイディアは、既に旧代理店が Japan Classic という企画をやって失敗しています。もっと正確に言うと「当時リニューアルした某雑誌の拡販のために適当なフォーマットをでっち上げたが、実際にはフォーマットの普及や推進に何らの汗もかかずに尻窄みとなり、あまつさえWoCに事前の了承を得ていなくてダメを出された。」という感じです。 (^^; ただ旧代理店に比べてタカラの発言力は遙かに強いはずなので、思い切って「じゃあ代わりに日本語版拡販につながるフォーマットを提唱してくれ。出してくれないならこちらで勝手にやらせろ。」位のことを言っちゃっていいと思います。あと賞品目当てにイベントを捏造する個人やショップの取り締まりとか、そのフォーマットを事前にどうやって普及させるかといった話もあります。それこそ Magic マンガでこの辺のフォーマットを採用すれば、一気に&爆発的に普及する気はしますが。

 あとは Magic そのものに関する根本的なお話なんですが。私などはそれこそ、あるカード1枚に惚れ込んで、その愛だけで数年にも渡って Magic との関わりを持ち続けてきました。 (^^; そういう言ってしまうと「俺は Magic じゃなきゃダメなんだ!」と言わせる殺し文句みたいな物が、どうも昨今の Magic からは聞こえてこない気がするのです。最近出てくるカードはルール的にやたら繁雑になっているし、カードイラストの無個性化も一時期よりは緩和された気はするものの続いている。遊んでもらってその面白さを感じさせるには既に人口がかなり減っていて環境がなく、他のTCGと比べても未だに割高感がある。あまつさえ話題性という点では遊戯王OCGやデュエル・マスターズに大きく遅れを取り、プレイヤーののめり込む度でも今やガンダムウォーやムシキングにも叶わない。そういう状況をそもそも変えないと、いくらイベントを充実させても、そこに人を招き入れる動機付けができないのです。そう考えると当面は、申し訳ないですが“イベントに Magic 以外の話題性で人を集める”しかないのかな、という気がします。ただ Magic は既にプロツアーにてPSPやiPodが当たる抽選会を開くことを決めているようで、その辺は特にタカラはもう分かっているのかな、という気はします。あと巫女さんは今後すべてのイベントに常駐してもらいましょうか(爆)。

 あ、実は何げに話が本筋から逸れていました。 (^^; じゃあ旧来の競技イベントは今後どうなればいいのか。これに関しては「今まで通り勝手にやれば?」という感じです(嫌爆)。だってこれだけ Magic の低迷傾向が決定的になっている状況ですら競技関係者は今までのやり方を変えようとしないのに、今後更に何かあっても体質が変わるとは思えませんもの。 (^^;;; ただ上に書いた話がこれに絡んできて、要するに“一般プレイヤーと競技との隔離をしよう”という事です。競技プレイヤーと一般のプレイヤーが異なるフォーマットで Magic に取り組めば、今まであった競技の弊害というものがかなり改善されると思われるからです。初心者は少ない予算で Magic を楽しめるフォーマットで Magic の腕を磨き、その中から競技的な取り組みに意義を感じたプレイヤーが競技 Magic に踏み込んでいく。そういう環境を今からでも作り出すべきでしょう。ただしこれは本来 Magic が踏むべき、プレイヤーを育ててゲームを大成させるために必要なプロセスだったはずなのですが。

 あとやはり、特に日本選手権の賞金などは“日本国内の Magic の実状を正しく反映した物にする”ことが大事だろうと思います。日本での Magic の売上が減っているのであれば、やはりそれを賞金総額に正しくフィードバックして“体で覚えさせる”ことが大事なのです。 (^^; そうなれば競技プレイヤーの中からも日本語版拡販の動きが起こるでしょう。さもないと自分達が競技に取り組める環境が消滅するのですから。別に競技 Magic を優遇するのは構わないと思うのです。でも“優遇する”のと“甘やかす”のとは根本的に違います。そして結果として甘やかしてしまったから、未だに少なからぬ Magic 関係者が Magic の現状に何らの危機感も持っていなくて、それこそ思想狩りに無駄な労力を費やして悦に入るバカまで大勢現れる状況になってしまったわけですし。・・・あ、こういう事を平気で書いちゃうから敵が増えるんですね(嫌爆)。

 日本の Magic は過去8年の歴史において、日本語版拡販と競技イベント拡大という2つの事業の同時進行に明らかに失敗したのです。そこでどちらかを優先させて事を成就させようと思ったときに、じゃあどちらを優先的に取り組むべきか。そんなの今更私の口から申し上げるまでもないでしょう。現在の日本での Magic の危機的状況を鑑みると、個人的には「すべての Magic 関係者や競技 Magic のイベントが、まずは日本語版市場の維持・拡大を主眼に置き、それに向けて心血を注ぐべきだ。」と考えます。 Magic 人口の拡大や競技イベントの大成、そういったお話は日本語版の拡販が成し遂げられれば後から着いてくる物なのです。別に従来の競技イベントを無くせとは言いません。ただもし現状の競技 Magic が日本語版拡販の戦力になっていない、あるいはむしろ大きな阻害要素となっているとしたら、それこそ根本的な発想の転換をして事に当たる必要があるだろうと私は考えます。もしタカラの関係者が現状の Magic に疑問や不満があるのであれば、それを思い切って関係者にぶつけて回る事が問題解決の大きな原動力になる。そんな気もします。旧代理店のそれこそナアナアな仕事ぶりにはいい加減ウンザリでしたので(笑・・・えない)。

 あ、ちなみに全然余談なんですけど、少し前から Magic では“金やカードをかけてドラフトをする”という遊び方が一般化しています。でもこういう風潮を少なくともタカラは間違いなく好まないはずです。あとこれは風の噂ということにしておいていただきたいのですが、どうも私の地元では「 Magic を含むTCGを有害玩具指定したらどうか」という動きが起こっているようです。そういう風評とか疑いを払拭するという意味でも、今後 Magic の遊ばれ方や競技の取り組まれ方は大きく変わるべきだろうと考えています。

あいせんの“本音の部分”

 私がタカラの販促に関して好印象を持っている大きな理由に、タカラが“決して多くはない予算の範囲でできることを効果的にやっている”と見て取れることがあります。ただ例えば新たなキャンペーンの賞品であるコンプリートセットにしても、肝心要の新製品自体に魅力が乏しければ、キャンペーン企画そのものが空振りに終わる危惧があります。しかも昨今の Magic にはそうなる危険性が低くないとも考えられます。さもなければ、旧代理店があれだけ一気に売り上げを落とすはずがないのですから。ですからタカラの関係者に対して「 Magic のファンになって、一度昔のカードまで含めて Magic を遊んでみて下さい。」という提案をしておこうかと思います。そうすればひょっとすると私みたいな古参が言う意見が少し分かってきて、WoCに対して言うべき提案や苦言が色々と浮かんでくるかもしれませんので。実際にはそんなに言うほど簡単な話じゃないですが。 (^^; 

   

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