タカラは Magic の宝になるか 
 
 今年1月1日をもって、いよいよ日本国内の Magic 総代理店がタカラに変わりました。そこで今回は「 Magic の古参(プレイヤー)は、今後タカラとどう付き合っていけばいいのか?」について考えてみます。

 現在発表されている限りですと、どうやら次に発売される神河謀叛では国内のパックの価格が据え置かれるようで、これにより「流通上は当面大きな変更は無さそうだ。」という見方ができるかと思います。ただ同時にタカラが新聞記事で発表した“年商25億円”を達成するには、すべてにおいて現状維持ではどう考えても無理なわけで、値下げ以外の手段で値下げに匹敵する効果を持つ販促を展開する必要に迫られるだろうと思います。そしてこれに関する具体的な施策の一部発表が、問屋・販売店向けには既にあったようです。じゃあタカラはこの後具体的に何をしようとしているのか。幾つかの発表や現在までに見えている動きなどを見ると、どうも「タカラは古参にはあまり期待をかけていなくて、日本語版を買ってくれる新規プレイヤーの開拓に力を入れようとしている。」と見るのが正しいように感じられます。例えばWebサイトによる代理店としてのサポートにある意味での空白期間を作った。これだけでもタカラが古参に対してそれ程の期待感を持っていないことが伺えます。もしそういう人達向けに継続的な Magic 購入や更なる拡販を期待しているのであれば、タカラは旧代理店のサポートサイトが完全閉鎖される前に自身のサポートサイトを立ち上げ、彼らを速やかに受け入れて継続的な関わりを維持しようとするだろうからです。またパックの値下げをしなかったのも、値下げをしないと買ってくれないであろう古参には期待していなくて、現状の並行輸入版との価格差に対する知識がない初心者に主眼が置かれているという見方につながるのです。それとタカラの業務内容や過去の実績、また現在公開されているサポートサイトの様子を見ると、タカラの狙いが比較的低年齢層である可能性を考えるべきだろうとも思います。タカラが神河謀叛のキャンペーンにおいてその応募条件をかなり緩和してきた。こういった事実にもこの推測が裏付けられているでしょう。

 では、もしあなたがタカラの然るべき責任者になったとして、現状の Magic を今まで遊んでこなかった、それも比較的低年齢の人達に買って遊んでもらいたい。でもタカラも自身の企業収益が厳しいため、今の時点では値下げには踏み切れない。そういう状況になったとしたらどうされるでしょうか。これに関しては幾つかの手法が思い浮かぶだろうと思います。ところがそういう施策でニューカマーを招き入れようと思ったときに、現状の Magic にはそれを阻害する幾つもの問題が存在します。まず競技イベントへの依存や偏重によって Magic というゲームそのものの敷居が高くなってしまっている問題。その競技からの情報によって特定のカードやデッキに人気が集中してしまっている問題。並行輸入の安い英語版パックの問題やMTGOとの競合という問題。簡単に挙げただけでもこれだけあるし、このどれもが代理店としてはかなり致命的な問題のはずです。もし私がタカラの責任者だったとしたら、まず真っ先に「自分達はWoCの主催する競技イベントには一切関与しない(したくない)」という意思表示をするだろうと思います。だってユーザーが競技に依存すればするほど、ユーザーは割高な国内代理店のパックを買ってくれなくなるのですから。そして更に「自分達のパックが売りやすくなるイベントやフォーマットを用意してくれ。嫌ならこちらが勝手にやる。」位の事は言うでしょう。実際に先駆者である旧代理店がそれをやらなくて失敗しているのが見えている以上、同じ理由で二の足を踏みたくはないですから。

 つまりそうなると、タカラという企業が“古参の言うことにほとんど耳を貸さなくなる”という可能性は十二分に考えられます。しかも現状ではこのやり方がベターであると言わざるを得ません。例えば過去における競技 Magic 推進に関して、私のような否定論者が旧代理店関係者の日記などで文字通り袋叩きに遭うような場面がありました。私に向けられた一連の攻撃の激しさを見ると、こういう形で目を付けられて口封じをされた個人は他にも少なからずいるんでしょう。これは普通に考えると明らかに異常な状態であるはずなのですが、ところがWoCも旧代理店もそういう状況を半ば黙認してきたのです。(あまつさえ旧代理店に至っては雑誌の誌面やトーナメントセンターを彼らに利用させて、結果としてそういう行為を支援すらしていたわけですし。 :-P )でもさすがにタカラほどの企業がそれを許すとは思えません。そうなるとタカラとしては“そういう派閥とは一切関わりを持たない”という選択を取る可能性が高いのです。私のような個人の批評家とは関わらないし、同時に従来から競技 Magic を推進してきた派閥とも距離を置く。これは企業の判断としては正解でしょう。ただそれ故タカラは古参の意見に耳を貸さなくなる。これは現状を垣間見るとある意味やむを得ないのです。だって今までが明らかに異常だったのですから。

 じゃあ、例えば今後WoCから競技イベントの更なる縮小が発表されて、その分の補填をタカラにお願いしたい局面が出てきた。その時どうすればタカラが動いてくれる可能性が出てくるのか、ということです。そうなると何よりも“タカラにとってより都合の良い Magic との関わりを継続的に持ち続ける”という事が必要になるでしょう。現状においてタカラが考える Magic の拡販先は、まだ Magic に触れたことがない比較的低年齢の人達である。だとすれば、それが実現できる可能性のあるイベントを定期的に開催している人間の言うことなら、ひょっとするとタカラは聞いてくれるかもしれません。つまり言い換えると“今までの発想で Magic イベントをやっていても全然ダメだ”という事になるでしょうか。競技イベントをメインにするのは別に構わないとしても、その中に初心者講習会的な要素とか、カード資産が乏しい初心者が気軽に参加できるサイドイベントの開催といった工夫のないイベントでは、恐らくタカラは自分達にメリットがあるイベントだとは認識しないでしょう。というか、普通はそれが正解なのですが。そしてやはり“日本語版の拡販”という視点の有無が、そのイベントに対するタカラの評価を大きく左右する事も容易に想像が付くのです。

 これは最近 Magic 関連の複数のWebサイトで出ている意見ですが、要するに「タカラに何かして欲しければ、まず自身がタカラにとっての良い顧客となり、タカラがちゃんと Magic で儲けを出せるようにすべく動かなければいけない。」という事です。これは実は我々ユーザーと販売店との関係と何ら変わるところがありません。例えばの話、タカラ宛に手紙で何か意見を言うのであれば、その手紙に日本語版BOXのバーコードでも添付しておけば、多分そうでない投書より扱いは違った物になるだろう。そういう感じです。タカラはあれだけの企業ですから、過去に日本の Magic で何が行われてきたか、それをある程度熟知した上で取扱いを決めていると思います。そういう頭のいい企業に何かしてもらおうと思ったら、こちらも色々な戦略を練って賢く動くしかありません。じゃあ実際にどうすればいいのか。それはタカラに皆さんが何を期待するかによっても変わってきますから、どうかご自身で考えてみていただければと思います。

あいせんの“本音の部分”

 さて、では私自身はこの流通変革にどう向き合い、そしてタカラとどう付き合おうとしているのか。これに関しては「現時点では全くの白紙です」というのが正直なところです。

 少なくとも日本語版パックの値下げが行われない以上、現時点で私個人には代理店がタカラに変わったことに直接的なメリットを見出すことができません。これは多くの方が同じ見方だろうと思います。ただ現時点でも新製品のキャンペーンの内容が充実したという話はあります。また更に今後タカラの手で Magic のマンガやアニメが公開され、これによって Magic の市場が賑やかになり始めた。そうなれば私としても新規プレイヤーを支援するためのプログラムを動かし始めるだろうと思います。でもだからといって、今からいきなり Standard のイベントを立ち上げるのって、私は何か違うという認識を持っています。そもそもタカラが日本の代理店として Standard の普及を有り難がるとはあまり思えないからです。あれほど初心者にとってある意味で不親切かつ敷居が高いフォーマットは無いわけで、これをいくら普及させてもタカラにとってはほとんどメリットがないでしょう。ですから私としては、タカラから「我々は Magic 拡販を目指した日本独自の施策として、こういうフォーマットを提案・推進します。」という発表を待っていたりするのです。で、それが発表されたら一気に動き出そう。今はそういう感じです。それは極端な話“日本語版限定構築戦”でも全然問題ありません。

 つまり逆に言えば「このままタカラが何もしないのであれば、我々もそれに習って今まで通りの事しかしません。」という事になります。それはイコール「現状の Magic の低迷傾向は今後も変わらないよ。」という事にもなるでしょうか。私やその周辺の人達は、自分なりに地元の Magic を盛り上げようとしてきた動きを、競技に偏重して現実が見えていない方々とか、あまつさえ旧代理店の周辺にたむろする人達に非難され潰されそうになった歴史を持っています。ですから今はWoCという企業にすらかなりの不信感を持つに至っているのです。これは福井だけの話ではないようですから、実際にそれで潰されてしまった地域すらあるんじゃないでしょうか。そうなると、それを改めて動かそうというのは基本的には無理難題なのです。タカラがそれでも地方レベルでの Magic 復興を考えるのであれば、やはり“先に卵を産んでみせる”事が必要不可欠になると思います。そして実際にそうなってくれれば、今まで黙っていた地方の鶏たちは一斉に鳴き始め、過去と同様かそれ以上の盛り上がりを日本の Magic に生み出してくれるでしょう。

 日本の Magic 総代理店が変わった。この事に多くの Magic 関係者が素直な期待感を持っているようです。しかしその期待感がいつまで経っても現実の物にならなければ、期待が大きかった分その反動による失望感も大きくなります。もしタカラが日本の Magic に関して何もする気がないのであれば、できるだけ早くその旨を公表すべきだろうと思います。そして何かやる気があってその準備が進んでいるのであれば、これに関してもできるだけ早く第一報を出して話題にしてもらうべきだろうと思います。こういう期待感の持たせ方がWoCも旧代理店も下手くそで、せっかく多くの資金や人員を費やして開催したイベントを販促に活かしきれなかった。日本の Magic には現にそういう暗い歴史がありますので。ただ現時点で見えている限りでは、どうやらタカラはWoCや旧代理店に比べるとその辺の技法は優れている気がします。まあタカラをあの両社と比べるのは、あまりにもタカラに失礼かもしれませんが(爆)。

   

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