| 続・初心者が書くモノポリー論 〜 第3章:ハンディキャップ戦 〜 | ||
今回はモノポリーでのハンディキャップ戦について考えてみます。モノポリーの世界においても、かなり以前からハンディキャップ戦に関する検討が行われているそうです。しかし現時点でゴルフのハンディキャップとか将棋の駒落ちルールのような明確な形での回答がモノポリーには出ていないそうです。その理由は極めて明解で「結局のところモノポリーは最終的な勝敗をサイコロが決めるから。」という事のようです。実際モノポリーでは私のような初心者ですら、ハンディキャップ無しの通常ルールで世界チャンピオンに勝てたりするわけです。 (^^; もちろんそのゲームで世界チャンピオンが本気を出していようはずもないのですが、とにかくそういう運の要素がモノポリーには強いのです。そうなると例えばあるゲームに勝利したプレイヤーが単純に強いのかというと疑問があるわけで、そこでいきなり次からハンディキャップを与える、なんてルールには抵抗感が強いでしょう。
世の中では多くのゲームが、このハンディキャップに関して様々なルールを取り入れています。そうしないと初心者と上級者が入り交じったゲームが成立せず、未経験者の勧誘がうまく行かないからです。ところが実際には、例えば多くの格ゲーとか某TCGのように、そういうルールの普及に消極的、あるいは全く考えてもいなさそうなゲームも少なからずあります。で、そうなる理由というのは実は簡単で、要するに「そのゲームは“対戦で勝って爽快感を得よう”という部分だけを売りにしているので、わざわざ自分が負ける可能性を増やすルールの適用には、本来なら初心者育成の担い手になるべき経験者の多くが首を縦に振らない。」という事なのです。しかもそういうゲームに限って初心者が感じる敷居が格段に高かったりします。これはメーカーや売り手、あるいはユーザーの意識があまりにも低い結果であり、これじゃあそのゲームのプレイヤーが増えたり賑やかになるなんて事はあり得ないです。むしろ“ゲームの普及や市場の拡大(あるいは維持)を完全に諦めている”とすら言い切って構わないだろうと思います。そして逆に例えば囲碁や将棋の世界というのは、様々な形で“その道を極めたトッププロが初心者や中級者に負ける機会”を作ろうとします。将棋で言うと駒落ちルールとか百面差しとかですね。普通なら有名プロと対戦ができるというだけで嬉しいのに、ましてやそこで勝てるチャンスがある。これで燃えないプレイヤーはいないだろうと思います。じゃあその辺をモノポリーはどう考えているのか。これはあくまで私個人の主観ですが、概ね「何らかの手を講じたいと検討を続けてはいるが、モノポリーというゲームの性格上うまくいっていない。」という感じです。サイコロで勝敗が決まる運ゲーに、チェスのようなレーティングシステムを導入してもあまり意味がない気がしますし。 (^^; ただし同時に私個人は「少なくともモノポリーは、世界(日本)チャンピオンやサークルの長といった個人レベルではかなり頑張っている。」という印象も受けていますが。
ただモノポリーのようにゲームに交渉の要素が大きく関わるゲームの場合、実はプレイヤーに対して自然な形でハンディキャップが与えられている。そういう見方があります。我々だって相手が初心者だと分かっていれば交渉がかなり甘くなりますし、逆に世界チャンピオンが何か言ってきたら「今度は何を企んでるんだ?」とか警戒するでしょう。 (^^; またそれこそ第2章に書いたような“自分が嫌だと思った相手とは交渉しない”という事を、多分多くのプレイヤーは無意識のうちに普通にやっているはずです。それが自然な形でハンディキャップになっているのは間違いありません。ところがそういう遊ばれ方は明確な形でルール化されている、またできる物ではないので、いつどこでどんなゲームにおいても公平・公正に適用できる物ではありません。あと何よりも、そういう形で交渉が停滞したモノポリーって本気で面白くないのよね(笑)。
じゃあ、モノポリーというゲームで初心者にどういう下駄を履かせたら喜ばれるのか。実はその1つの結論として“サイコロの目の操作”があります。モノポリーでは最終的にはサイコロの目で物事が決まる訳で、従ってサイコロの目が操作できれば文字通り“神”になれるのです。 (^^; (そういう点においては、あのスターウォーズに登場するジェダイの能力というのはうらやましい限りですが、でも逆にジェダイ同士がモノポリーを遊び始めたら、なんか一度振ったサイコロが一生止まらずに転がりっぱなしになりそうな気もしますが《笑》。)ただ本人が口にした目をそのまま採用していたらゲームになりませんし、そう何度も何度も出目を操作されては他のプレイヤーが面白くありません。で、私が考えた1つのアイディアが「ゲーム開始時にサイコロ振り直し券を一定枚数与える。」というルールです。例えばこれを1枚だけ持っていたとして、どこで使うかはかなり悩みどころだろうと思います。家が数件建った物件を踏んで、自分が経営しているホテルを崩す必要が出た。そこで何も考えずに使って危機を脱したら、少し後になってボードウォークでホテルに泊まっちゃった(笑)。こんなケースはそれこそ山のように出てくるでしょう。あと実は“振り直し券を交渉の材料に使う”という選択肢もあります。これだけ強力な権利であれば、例えば高額物件を踏んづけて仮破産したプレイヤーの救済として、ライトパープル辺りの物件3枚セットとのトレードすら成立する可能性はあるでしょう。ただし初心者が上級者に言葉巧みにカモられるのを防ぐため (^^; 交渉材料としての使用を禁止するオプションもあります。あと考えられるのは「一度だけ支払いがX割引になる券」とか「一度だけ自分の物件と他人の物件を1対1で交換できる券(ただし既に経営が始まっている物件は不可)」などでしょうか。あまりやり過ぎるとどこかのすごろくゲームになってしまうのであれですが。 (^^;
ハンディキャップ戦のルールというのは、本来ですと「それを適用することで初心者相手に上級者が本気で対戦ができて、なおかつそれでも初心者に勝てる可能性がある物。」というのが理想だろうと思います。そういうルールの検討や普及に汗をかいたゲームは一定の成功を収めているし、そうでないゲームはやはり苦戦しているように思えます。「努力した者すべてが成功するわけではない。しかし成功した者は皆すべからく努力している。」というあれです。ただ少なくともモノポリーには潜在的にゲームそのものにそういう可能性があるのです。ですからそれを強調してなおかつ付帯ルールで補うことで、初心者が「じゃあ、やってみようかな。」と思える雰囲気を生み出すことが必要でしょう。ただそもそも根本的な話があって、今は「モノポリーを遊んでいるイベント会場に人を呼ぶのに苦戦している。」という状況もあるわけです。 (^^; これに関しては、さすがに私ごときでは妙案は浮かびませんね。この後何か考えて思い浮かべば書いてみますが。