| 特集: Magic の今と未来 | ||
| 更に Magic の現実を知ろう | ||
「 Magic の今と未来を客観的に考えて、今後の発展に戦力となるコンテンツを探し出す。」をテーマに書いてきたシリーズですが、まあやはりというか何というか、現状批判的な内容がかなりの部分を占めてしまいました。 (^^; あと内容的にはまだ不十分な部分がある気もしています。そこでこういう機会なので更にもうちょっと、そして細かく Magic の今と未来を考察する作業を進めてみたいと思います。
私はもうかれこれ7年以上 Magic を遊んでいます。また私の周囲にはそれ以上の Magic 歴を持っているデュエリストもいますし、一応認定ジャッジの資格を持っている(あるいは持っていた)人も複数います。ところがそれだけ長く Magic を遊んでいるにもかかわらず、相変わらず我々はORACLEという、お世辞にも親切とは言えない量の膨大なルールブックを参照したり、ルールの詳しい人に質問をしないと満足に Magic が遊べない状況です。別に私の仲間内は「その場の雰囲気で面白そうなルールを採用すればいいじゃん」的な発想を持っているのですが (^^; それではどうにも納得されない方がやはりいらっしゃるからです。このORACLEは、多くの Magic 関係者には“ Magic のシステムが優秀である象徴”あるいは“ Magic がルールに関するメンテナンスに長けている証”と受け取られているようです。確かに多くの国産TCGに比べると Magic のルール整備は優秀かもしれません。しかしそれが逆に Magic を“常に最新のルールを熟知していないと遊べない”ゲームにしてしまっているのも事実です。例えば我々が思い立って草野球を遊ぶとして、ルールブックや然るべき資格を持った審判の助言を得ないと遊べないなんて事はないはずです。でも Magic には間違いなくそういう現実がある。やはりそれは Magic がゲームとしてイレギュラーな状態にある事を如実に現していると私は考えます。そしてこう断言して構わないと思います。「だからメジャーになれないんだ」ってね。それと実は Magic には、プロスポーツのように“ファンがお金をかけずに楽しむ手段”がほとんど用意されていません。 Magic が趣味として負担が高額であるという意見に対する反証として「いやゴルフやスキューバダイビングなどはそれ以上に費用がかかるじゃないか。」という意見が出ることがあります。しかし少なくともゴルフといった他の趣味は、実際に高額の道具を買うことなく、低予算あるいは予算ゼロでも楽しむ手段がちゃんと用意されています。多くのスポーツはTV観戦といった形で気軽に楽しめますし、実際に遊ぶにしても器具のレンタルなどで取りあえず安価に手を出すことができる物が多いです。あるスポーツがメジャーになればなるほど、そのスポーツを楽しむためのサービスやサポートは充実してくるのです。しかし Magic にはそういう手の出し方もない、あるいはできないのです。現在公開されている無償で Magic が遊べるパソコンソフトは、少なくともWoC自身の手によって公開された物ではありません。つまり一部の Magic ファンはそういうソフトの必要性を分かっていて、でもWoCがやらないから自分達でやった。そういう事だろうと思います。(現在はそういうソフトの存在をWoCが追認する形で落ち着いている、そういう認識で合っていますかね。)これは下手をするとゴルフ並の投資額をユーザーに求めるゲームとしては、かなり不親切なのではないかと私は感じます。
あと本シリーズの別エッセイで「 Magic 最大の広告メディアは“口コミ”である」という話を書きました。しかし実際にはそれにしても、我々はまず目の前の人に“ Magic というゲームの紹介”から始めなければいけないのが現実です。ところが遊戯王OCGは多くの人が名前位は知っており、そういう点で口コミにて広める際の有利さで見ても桁違いなのです。それは今やデュエル・マスターズにしても同じでしょう。しかも昨今の Magic の現状を正しく未経験者に教えようものなら、恐らくは多くの人に「そんな繁雑なゲーム、到底遊ぶ気にはならないよ。」と言われるのがオチでしょう。 (^^; 競技への偏重とかシステムの繁雑さといった現在抱えている問題点を隠して、取りあえずだましだまし始めてもらっても、まあ数ヶ月しないうちにその壁にぶつかって悶絶し始めるのが目に見えていますから。
これは断言していいかと思いますが、やっぱり Magic は今やゲームとしては極めて取っつきにくい部類の1つ、あるいは代表格と言い切っても構わないのではないかと私は思います。これは例えばデッキ60枚+サイドボードという競技 Magic のゲームシステムそのものにも言われている話です。(このシステムでは1マッチが冗長になりやすく、イベントの途中で集中力が切れてリタイヤする参加者が続出するのです。)しかもWoCにはそういう現状を改善しようとする気配が全く見られません。それに加えてパックが有名どころのTCGに比べて高額になっている。これで Magic が立ち行く道理がないです。せめて Magic に“低予算で気軽に楽しめる手段”あるいは“1人でもじっくり取り組める方法”でも用意されていれば、まだ現状は多少なりともましになったかもしれないです。「だったら今からでも遅くないから作ったらどうなの?」と私は思うのですが、どうもそういう点に置いて Magic って頭が堅いというか頑固なんですよね。
これは前にも書いているのですが、やはり Magic 最大の敗因は“販売戦略/ユーザーサポート/そして売り出す製品の内容、そのすべてがメーカーの都合を最優先に考えられてきた。”という事だろうと思います。しかもそういう視点で見ても、やはり創生期の Magic と今の Magic は全くの別物だと言い切って構わないでしょう。私が Magic に手を出した頃、認定トーナメントは“選択肢の1つ”であり“憧れの対象”でもありました。こんな私みたいなデュエリストですら、一時期は認定ジャッジになる事を目指したのですから間違いありません(笑)。しかし昨今の Magic には“認定トーナメントしかない”のです。だって他の販促手段に比べて楽だしお金もかからない。あまつさえプレミアイベントで更に稼げる可能性まである訳ですから。そして認定トーナメントがあるからカードが売れる。バランスもセンスもへったくれもない新製品が安易に受け入れられる。かろうじてユーザー同士共通の話題ができる。今はまさにそんな感じでしょう。でもだから“競技プレイヤー以外が Magic からいなくなった”わけで、最近の Magic の不振はまさにこれが主たる要因かと思われます。それと創生期の Magic は、文字通り“偉大なる失敗”を積み重ねて歴史を築いていたと思います。ところが少し前から Magic は、言ってしまうと失敗ではなく“失策”を重ねるようになったのです。例えばウルザサイクルに Standard では強すぎるカードを多く作り込んでしまった。そういう時にWoCは本来何をすべきだったかというと、実は“そういうカードもちゃんと遊べる Magic の提案”だったのです。カードとしての能力がどれだけ強かろうが、そんなの神経衰弱やUNOを遊ぶために使う分には何の関係もないのです(笑)。しかしそれでもWoCは競技指向を押し進めた、というか押し付けた。それでパックが売れている間はまだよかったのです。実際には今や多くが強いカードの情報をネットで得て、それをシングルカードで買って終わり。これで Magic というゲームの市場が伸びるはずもないのです。TCGとはユーザーにいかに無駄なカードを買わせるかが成否を分けます。でも Magic はユーザーが一切無駄なカードを買わない遊び方しか推奨しなかった。だから売れなくなった。こんなの当たり前です。
あとWoCの無計画さもかなり問題です。別にカードをオーバーパワー化するのは構いません。イラストの雰囲気を変えるのもいいでしょう。ちゃんとした将来展望があるならね。実際には昔の Magic が好きだったデュエリストは、まあ間違いなくそういう変化には敏感に気が付いて、やがて「これは俺が好きだった Magic じゃない。」と Magic を離れていく。こんな事は誰にだって想像が付きます。じゃあ Magic はカードをオーバーパワー化することで、あるいはカードイラストをアメコミ化することで、失ったファンを超える数の新規ファンを獲得したのでしょうか。それができているならば Magic がこんな惨状になることはなかったでしょう。で、新しい試みが失敗したものだから、大慌てで昔のカードを復刻して古参デュエリストの復帰を促す。これははっきり言いますが企業として将来展望がない、あるいは見込みが甘いのにも程があると思います。
ちょっとWoCは世の中の流れ、あるいは Magic ファンの嗜好にあまりにも鈍感すぎたと思います。だから人気のあるイラストレーターから順番に Magic を離れていく。そしてファンタシーがもてはやされる時代に堂々とアメコミを出しちゃう。 (^^; そういうチグハグな商売をやっているのです。あまつさえ日本はご存知の通りの不景気です。そんな中でバブル期でも成功するかどうか微妙な商売のやり方をとうとう変えなかった。だからこういう結果になった。分かりやすいと言えば分かりやすいんですが (^^; もうちょっとどうにかならなかったものなのでしょうか。
じゃあ、そういう流れで落ち目になった Magic をどうすれば盛り上げられるのか。それはやはり“流れを変える”しかないと思います。ただ言うほど簡単じゃないのは間違いないですが。今現在仮に Magic を100万人の人達が知っていて、そのうち2割が実際に Magic を買ってくれているとしましょう。そこから Magic を知っている人の数を今の倍に増やす、あるいは Magic の魅力を高めて購買率を4割にできれば、それで Magic の売上が増えて活況を呈する可能性は十分にあるのです。しかし前の章にも書きましたが、やはり今までの Magic の売られ方というのは、あまりにもWoCやディストリビューターに都合がいい内容になりすぎています。でも多くの商品や商店がやっているように、実際には商品を買うユーザーの便宜を図ってこそ商売は成功するのです。じゃあ、具体的に“ユーザーの便宜を図った Magic の遊び方”とはどういう物なのか、そういう検討が必要になるでしょう。
そもそも Magic が多くの人達に“面白くない”と思われて捨てられた(笑)。あるいは“面白くなさそう”と思われて手を出してもらえていない。だったら何よりも今は、 Magic を“楽しい”“面白い”と思える場面を増やす必要があると思います。しかしそれをデッキ構築とデュエル(対戦)だけに求めるのには、やはりどうしても限界があります。例えばカードイラストを多様化させてコレクションを促進する。デッキ構築+デュエルという遊び方以外の楽しみ方を Magic に提供する。それこそ予算ゼロでも楽しめる話題(コンテンツ)を提供する。そういう他の遊びがごく普通にやっていることを、いい加減に Magic も始めるべきなのです。
また対戦という Magic 本来の遊び方についても、それこそ今までの何倍も工夫が必要でしょう。基本的に人は勝利指向が強いから対戦をしたがるわけです。誰だって対戦では勝ちたいのです。しかし実際には、対戦で自分が全く何もさせてもらえず、ただ対戦相手の一人遊び(というかマスターベイション)に付き合わされる。あるいは対戦中やその前後の言動で嫌な思いをする。そういう些細な出来事の積み重ねで Magic が嫌になるケースもあります。そのすべてをゲームシステムで救済するのは不可能ですが、しかしかなりの部分を緩和することは可能なはずです。ただ今までは単にやろうとしなかったからできなかっただけです。
この部分に関しては、やはり理想は“完全フォーマット・フリー”な環境だろうと思います。各々が好きなカードを好きなだけ使ってデッキを組む。これ程個人にとって遊びやすい Magic はないはずです。しかし現実にはそうはいきません。さすがに昔の Magic と最近の Magic のカード・コンセプトがこれだけ変化していると、それらはほとんど相容れない状態になっていると思われるからです。しかも勝ちに固執するプレイヤーの弊害を周囲に及ぼさない工夫もできなくなります。そこで私なりに考えた幾つかの提案をこの後書いてみようかと思います。
☆ レアカード制限フォーマット
これはかなり以前から出ている案だろうと思います。デッキとサイドボードを合わせて使えるレアの枚数を制限する。これだけでも昨今の“強いレアに依存して相手をねじ伏せる” Magic の傾向はかなり緩和されるだろうと思います。あとこれに付随して“レアのスリーブを他とあえて色違いにする”というアイディアもあります。対戦相手が見た目にレアの枚数を判別しやすいですし、手札に複数枚のレアを握ってじっと動かない、そういう状況を見て取れるだけでも対応はかなり違ってくるだろうと思います。☆ 基本地形プレセット方式
デュエル開始前にライブラリの中から好きな枚数の基本地形を抜き取り、それを場に置いた状態でデュエルをスタートできる方式です。ただし基本地形を1枚置くごとに初期の手札枚数が1枚減ります。ですから当然7枚を越える基本地形は置けません。特に最近は「1ターン目に土地ロック完成!」が可能なアホカードが世に出ており (^^; その辺の弊害を緩和するという点でも有効ではないかと思います。☆ ハンディキャップ戦
これには色々な方式があります。例えば「デッキのレアの枚数差が3枚以上の場合、多い分のレア1枚につき初期ライフが1少なくなる。」「マッチ内のゲームで負けた方は、次のゲームは手札を1枚多くしてゲームを始められる。」「ゲーム開始から8ターンの間は、どちらもゲームに勝利することができない。(ライフが1を下回ることはないし、毒カウンターは9個を越えない《笑》。ただしライフの払い過ぎやマナバーンなどによる自滅はこの限りでない。)」辺りでしょうか。要するに「お互いが全力でデッキを組み、全力でデュエルをしても、お互いが自分のやりたい事をある程度実現してデュエルを終わることができる。」そういう環境を整えてあげる事が、結果として Magic のデュエルを盛り上げる結果を生むのではないか。これが私個人の現在の考え方です。これなら目の前の対戦相手が初心者だからといって手を抜く必要もないし、自分が持ってきたデッキに「イベントの雰囲気が読めてない!」等とイチャモンを付けられることもないでしょう。それでなくても Magic はデッキ構築やデュエルの際にガチガチにルールに凝り固められた遊びな訳で、せめてそれ以外の自由度を高めた方がいいのではないか。そんなところでしょうか。
今回はMTGOとリアルカード Magic との関係について。ここ最近、NHKの看板番組の視聴率低迷が話題になっています。しかし実際にはNHKはかなり以前にアナログとデジタルのBS放送に着手しており、そこから番組を視聴している人は視聴率にカウントされないという状況なんだそうです。(多分視聴率を計測する機械が対応していないのでしょう。)実際に減った視聴率の何%がBSに流れたのかは分かりませんが、とにかく現在我々の目には「紅白や連ドラは昔ほどの人気を失っている」と見て取れる状況になっています。
実は昨今の Magic もそれと同じ状況にある。真相はそうなのかも知れません。ただNHK視聴率の話と Magic の話が根本的に違う点が1つあります。仮に Magic では今やリアルカードからMTGOに主力が移りつつあるとしましょう。だからリアルカードが売れなくなっている。それは結果として当然の話だと思います。でも今まで頑張って Magic を売ってきた販売店は、じゃあMTGOが人気だからといって何か恩恵を得るのか・・・全くないんですよ。MTGOで利益を得ている、あるいは得られるのは基本的にWoCだけですから。確かMTGOってシステムそのものはWoCのサイトから無償でダウンロードできるんでしたよね。そうなるといよいよ販売店はMTGOから1円たりとも収益を得られないのです。言い換えると“MTGOの普及が進めば進むほど、リアルカードの販売をやめて店をたたむ Magic 販売店は増える。”という事です。
前から書いているように、TCGというゲームは“カテゴリーを維持するに必要なミニマムアクセス”が必要になります。販売店にある一定額以上の売上がコンスタントに落ちるから、販売店はデュエルルームを置いたりイベントを開いたりしてサポートができます。そして常に一定数以上のプレイヤーがいるから、お店やイベントに遊びに行ってゲームが楽しめるのです。しかしこれだけ Magic の市場規模やユーザー数が減少している中で、そのお金や人をMTGOが少なからず奪っていった。これにより Magic は今や、更に多くの地域でミニマムアクセスを確保できなくなっているのです。多くのお店が売らなくなった。サポートをしなくなった。イベントに行っても人が来なくなった。そんなTCGは誰も遊べないのです。
今年WoCは、これだけ明確な形で日本での Magic の販売不振が見えている中で、それでも日本選手権の賞金総額を据え置く決定を下したようです。これはかつて発表された国内選手権の賞金額決定システムとは明らかに矛盾するはずです。でも遊戯王OCGに負けない話題性を何とか維持したい。あるいはデュエル・マスターズを卒業したTCGプレイヤーの受け皿として Magic を機能させたい。そういった判断に基づいての措置とも思われます。しかしかつてプロモカードやフォイルカードによる拡販がそうであったように、賞金総額5万ドルという日本選手権は、既に Magic プレイヤーに対してですらそのインパクトを失っていると思われます。言い換えると販促が現状維持である限り、現実には Magic の人気や市場の現状維持は極めて難しいでしょう。私個人は「今年こそ賞金を減額して、競技プレイヤーに現実を突き付けるべきだったのでは?」という考えを今でも持っています。ただリアルカードの Magic 市場が我々の想像を遙かに超えるペースで縮小しているとしたら、今はやせ我慢でもいいから元気のあるところを見せて・・・という発想になっても仕方ないのかも。そういう印象はあります。
まあぶっちゃけた話、ここまで追いつめられる前に策を講じるべきだったんですけどねえ・・・。