これからどうする気なの? 
 
 北米にて英語版 Darksteel が従来より値上げされて発売されるようです。(ブースターパック1つが従来の$3.29から$3.69になるそうです。)またこれに伴いMTGOのパックも値上げになり、こちらの方は第8版以外はすべて値上げの対象になるようです。この発表そのものは以前にあったようですが、この話にもうちょっと早く気が付いていれば、つい最近あった掲示板での問答にも、もう少し早く決着が付けられたかも知れません。 (^^; ただしHJ経由で流通する日本語版及び英語版は、今のところ現在の価格が維持されるっぽいです。$3.69というと、為替レートを$1=105円という円高水準で考えても約387円になります。もう定価ベースでは日本国内での流通価格とそんなに大きな格差はなくなってしまいますね。(ただし並行輸入業者の英語版は、最近の円高も手助けしているのか、まだ1万円を余裕で切っているようですが。さすがに代理店から直接入る分原価が安いんでしょうけど。)

 今回の値上げについては、一見無関係と思われる日本のデュエリストも色々と考えるべき状況があるように思います。何よりも考慮すべきは「今回の値上げがなぜ行われたのか?」という事です。その原因をしっかり分析して然るべき対策を講じておかないと、いつ日本国内でも(何度目かの)値上げが行われるか分かったものではないですから。(あと並行輸入のパックを買っているデュエリストや販売店は、そもそも今回の値上げが直接的に影響を与える可能性もありますし。)これについて私は2つの大きな理由があると考えています。

 その1つ、そして最大の理由は何と言っても“ Magic の販売不振”という問題です。もう何度も繰り返し書きますが、やっぱり Magic は世界的にも売れてないんですよ。 (^^; でもそういうメッセージを、以前からWoCは色々な形で我々に出していて、そしてデュエリストや販売店に「何とか頑張って盛り上げて下さいよ!」という期待を持っていたのです。しかし実際問題として少なくとも日本のデュエリストはほとんど何もして来なかったですよね。多分これは世界的に同じ状況ではなかったかと思われ、それ故 Magic は値上げという苦渋の判断をせざるを得なくなったのでしょう。売れないから値上げする。これは多くの商品や業界で過去に幾度と無く行われてきています。ただそういう値上げが業界の救命につながっていない事例が少なくないのもまた事実でして、今後どうするかについては詳細な検討が必要だろうと思います。

 そしてもう1つは“競技 Magic イベントの維持”という問題です。これも前から書いていますが、日本や世界での Magic の市場低迷と相反するように、日本や北米でのDCI認定トーナメントの開催数は鰻登りで増えています。そういう認定トーナメントの維持が今や Magic には重荷になりつつある。だからその費用を捻出するために値上げした。今回の値上げにはそういう図式も見て取れるのです。世界的な Magic の売上がWoC出荷額ベースで(私個人の推定値ですが)100億円ちょっと。それに対してプレミアイベントに支出する賞金だけでも(少し前のWoC発表で)約4億円。加えてイベント開催や認定トーナメントの事務にかかる費用が相当額。これでは他の販促には全くと言っていい程手が回らないでしょう。しかもそういう競技イベントを維持できなければ Magic はいよいよその勢いを失う。そうなると値上げをしてでもその費用を捻出する必要性が出てくるのです。

 つまり今回 Magic が値上げをした、あるいは値上げに踏み切れた思想的背景として“もはや Magic はニューカマー獲得を半ば諦めている”という可能性がかなり高いと思われます。もし Magic が北米で遊戯王OCGと張り合って、多くのデュエリストを獲得しようという志に燃えるゲームであったとしたら、さすがにこんな最悪のタイミングで値上げを発表したりはしないでしょう。ところが現実の Magic にはもはや“競技プレイヤーとその予備軍”しかいない。その最大の要因は何と言ってもWoC自身の失策なのですが、故に Magic にはもはやニューカマーを暖かく受け入れる土壌も乏しければ、何よりもニューカマーを Magic に振り向かせるための話題性がない。だから彼らの獲得を諦めて、今いるデュエリストからもうちょっと儲けを出そうという発想に至った。まあ分からない事はないんですけど、さすがに「己の失策のツケをデュエリストに回すなよ!」とは言いたくなりますね。

 あとリアルカードの値上げに連動したMTGOでのパック値上げ。これはまた別の意味で問題があると思われます。あのトラブル続出でデュエリストからの不満が爆発しているMTGOで、あまつさえパックを値上げしてしまう。これはやはり“WoCの台所事情の苦しさ”を如実に現している気がします。あとやはりMTGOは思ったほど集客や売上を上げられてはいなくて、結局未だにリアルカードの売上に依存せざるを得ない。つまり“今はどっちも捨てられない”という事なのでしょう。ただ一連のトラブルで一時期に比べてMTGOへの熱はかなり冷め切っていると予想され、この値上げがMTGOにとどめを刺すような事態になったりしないか、今後の舵取りがかなり難しいだろうとは思われます。

 繰り返しになりますが、やはり Magic の台所事情は厳しいのです。そういう現状をデュエリストが正しく認識していれば、自ずと取り得る行動も今とは変わってくるのではないでしょうか。(ただしさすがに、これで更にプレミアイベントの規模まで縮小する事はデュエリストの大ひんしゅくを買いそうなので、当面競技イベントの規模は維持される可能性が高いと思いますが。)こういう状況になってしまうと、いよいよ世界的にもデュエリストは Magic の現状や将来に不安感を抱く、あるいは抱かざるを得ないだろうと思います。それにWoCがどういう形で対処し Magic の勢いを取り戻すのか。事態はいよいよ厳しくなっている上に、WoCは自らの手においてそういう販売不振の挽回を成功させたノウハウを持たない会社です。まあ本気で思い切った方針の転換と、それを世間に強く印象づける具体的な施策の実行が求められるでしょうね。

あいせんの“本音の部分”

 こういう事態になってしまうと、さすがに「 Magic は衰退なんかしてないぞ!」という主張には、いよいよ説得力が無くなってしまうのではないかと思われます。 (^^; ちゃんと売れている人気のあるゲームが、ライバルゲームとのせめぎ合いを繰り広げる最中に値上げをする理由など無いのですから。WoCを応援するつもりで Magic の頑張りをアピールするのは別に構わないだろうと思うのです。ただそれと“事実をひた隠しにする”のとは根本的に次元の違う話です。

 今回の値上げで、WoCの Magic に対する姿勢はある意味はっきりした気がします。それは「我々は値上げという形で既存のデュエリストに自らの失策のツケを回してでも、今の Magic という商売は是が非でも維持するつもりだ。」という事です。そしてWoCがそういう姿勢を取り得るのは、言ってしまうと“デュエリストはそれに大して文句を言わないだろう”という目論見があるからだ。私はそう感じています。私が Rebecca Guay 氏解雇の件を繰り返し取り上げるのは、そういうWoCの姿勢があの件には良く現れているからなのです。それは最近乱発される(!?)WoCスタッフのコラムにも現れているでしょう。「この程度の言い訳をしておけば、こいつら(=デュエリスト)は納得して Magic を買い続けるに違いない。」要するに彼らは半ばデュエリストを舐めているからそういう行動に出られるのです。本当にWoCがデュエリストからの反応や反響を恐れているなら、そんなに安易に自身の主義主張を表には出せないはずなのです。現に Rebecca Guay 氏解雇に対して矢のようなクレームを受け取った事で、彼らは女史を飼い殺しにしている事には一切何のコメントも出していないでしょう。下手にコメントを出せば今度こそ Rebecca ファンが激怒して Magic 不買運動など起こすかも知れない。だから彼らはその件については沈黙を守っているのです。

 私に言わせると、本当の意味での“WoC肯定派”というのは、表向きにはWoCに迎合しているように見せかけつつ、裏ではWoCに対して厳しい物言いをして Magic の成功を手助けする派閥であるべきです。WoCに対して文句を言う個人を潰すための派閥なんて、WoCから見れば何1つ有難味など無いですし、そんなのは真の肯定派ではないでしょう。そんな暇があったらデュエルルームに行って初心者の育成にでも精を出すか、知り合いをこぞって Magic に連れて来てくれ。私がWoCのスタッフだったらそう言いたいですね。そして非常に残念なのですが、そういう意味で“本当の意味でのWoC親派”が日本にいるかどうかは、今やかなり疑わしい気がします。

 あとこれだけ Magic の苦戦振りに関する物証が列挙されて、それでも皆さんが Magic の現状に危機感を感じないとしたら、少なくとも「それで Magic に関する思想や信条を語るのはやめた方がいい」という気がします。誤った現状認識から生まれた意見なんて、どう考えても現状に則した意義のある物になっているとは思えません。売れてない商品を頑張って自分が買い支える。それは個人の自由であり勝手なので別に構わないのです。でも売れてもいない商品をヒット商品と見せかけ、それに疑問を挟む個人を叩いて現実をうやむやにしようとする。そうやって臭い物に蓋をし続けてきた結果が、まさに今の日本の Magic なのです。本当もう自分自身でも飽きるほどの繰り返しになりますが (^^; 別に私の意見など誰1人聞いてくれなくて構わないのです。ただちゃんと自分なりに現実を見て問題に対処していかないと、いよいよ Magic は日本はおろか世界的にも手の付けられない衰退状況に追い込まれますよ。さすがにこういう状況でパックを12%も値上げしておいて、それで「今後 Magic はニューカマー獲得に向けて頑張ります!」はあり得ないですので。 (^^; むしろ基本的には“今後 Magic にはニューカマーは来ない”位の覚悟を決めて、拡販やユーザーサポートをやっていく決意が必要だと私は思っています。

 はっきり言いますが、ユーザーが賢くない業界は間違いなく滅ぶのです。特に最近娯楽の業界は様々な選択肢があって群雄割拠な状況です。 Magic は同じTCGだけでなく、ネットゲームやTVゲーム等多くの娯楽産業とも熾烈なユーザー争奪戦を繰り広げているのです。他の業界があれだけ頑張って、それでも決してうまく行っているとは言えないのに、これだけ Magic という遊びが日夜失態を繰り返す。これじゃあ元のゲームがいくら面白くたって売れなくなって当然なのです。

   

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