2004年の Magic を予測する 
 
 約1ヶ月ぶりのエッセイになりますかね。今回は今まで書いたお話に最近頂いた情報(!?)等を加味して“2004年の日本の Magic 予測”という内容で書いてみます。

○ 2004年の Magic 流通

 はっきり言ってしまいますが、2003年の日本国内での Magic は、お世辞にも“元祖TCG”を堂々と名乗れるような活況振りではなかったと思われます。私個人は「ここ最近の Magic の市場規模は全盛期の1/3程度に落ち込んでいる。しかも日本国内での落ち込みは更に深刻だろう。」という予測を出しているのですが、先日その予測をかなり正確に裏付けるデータをある方から頂きました。しかもそれに反して欧米での遊戯王OCGや日本国内でのデュエル・マスターズはまさに絶好調な訳で、これでは一般の方々が Magic を、遊戯王OCGやデュエル・マスターズの模倣品と誤解する事すら致し方ない気がします。実際に昨今の日本のおもちゃ屋さんの店頭では国産TCGが花盛りで、それに引き替え Magic は完全な日陰者扱いという店舗も増えているようです。

 さて・・・そんな中で実は「今年(2004年)中に、日本国内の Magic 流通やユーザーサポートの体制が根本から見直されるかも知れない。」という噂というか情報が私の耳に入っています。(この手の話は日本ではそれこそ毎年のように“希望的観測”として流れているのですが (^^; 私が伺っている話はそれよりはもうちょっと具体的な物です。)まだあまり公にできない話なので詳細やニュースソースの開示は控えますが、それこそ日本の Magic 界の常識が根底からひっくり返るような変革の風が、ひょっとすると日本国内の Magic に吹き荒れる可能性があるようです。ただ私個人の印象を言ってしまうと、こういう変革が起こる事そのものは別に不思議でも何でもなかったりするのですが。

 そもそも現実問題として Magic の流通における“代理店制度”は、今や世界的に見ても半ばシステム崩壊しています。日本国内で流通している英語版の Magic のうち、HJ経由で流通している割合は今や決して多くはないと思われます。これは明らかに他国代理店の越権行為というか縄張り荒らしなのですが、統括元であるはずのWoCはかなり前からこの事実を黙認しつつあると思われます。つまりそれは「世界的に Magic の売上が減っていて、代理店も自社在庫を売り捌く先に困っている。」事の現れであり、それに対してWoC自身も対策を持ち合わせていない事の裏返しだとも思われます。この代理店による“ Magic の叩き売り(!?)”は各方面に様々な影響を与えていると思われ、例えば先日発表されたWoC直営店の閉店といった話もひょっとするとこの影響の一環ではないかとも思われます。日本でもPH直営店が同様の形で Magic 販売に苦戦しているはずですし。

 それに加えてHJは Magic に関する販促活動、特に Magic 未経験者に対するアピールやカジュアルプレイヤーへのサポートを、まあほとんどと言っていい位行って来ていないと思われます。WoCから与えられた認定トーナメント開催のノルマをやる気なさげにこなす(正確に言うとこなしているように見せかけている)だけ。「販促をやれ」と言われれば二言目にはプロモカードの発行を要求し、発行されたらされたでそれをばらまくだけ。しかもその一部は自社直営店の販促目的で使われたり、あまつさえ配りもせずに・・・(おっと、このネタはやばすぎるので以下略。 (^^; )。実際未だにというか、この期に及んでそんな感じですよね。日本の Magic 流通においてHJはPHと共にパックから利益を二重取りしている訳で、下手すりゃWoC並に1つのパックから利益を出しているのですよ。だとすれば当然それに見合う役割分担をすべきなのにそれをやっていない。それで日本国内の Magic の値段が決められているとしたら、今や代理店とは“ Magic 流通のお荷物”でしかないのです。だとすればWoCが「こんな代理店いらねえ!」という決断を下す事には何の不思議もないのですよ。

 それと先程も触れた“ Magic の販売不振”という問題です。皆さんは先日倒産したデジキューブの事例をご記憶でしょうか。あれはスクウェアが「人気に陰りが見えて売上が落ち込み始めた自社ゲームで、より多くの利益を挙げられるように流通を抑えてしまおう。」という目的で設立した会社なのです。自社ゲームの売上が今後更に落ち込むのが明白ならば、1つのゲームから挙がる利益率を増やせば結果として会社は維持できる。そういう発想からスクウェアは流通を変え・・・そして失敗したのです(笑)。これと同じ発想をWoCが持たないとは限りません。 Magic の売上が今後更に落ち込むのであれば、いっそ代理店(+その傘下の一次問屋)をすっ飛ばして直接販売店と取り引きすれば、今まで代理店に入っていた利益も自社の懐に入る。あ、これは決して私個人の単なる思い込みや妄想ではありません。だって実際にWoCはそういう発想で既にMTGOを世に送り出してるのですから。

 ただどうでしょう。WoCがこれだけ“ Magic による自社の維持”にしか視点を向けないとなると、いよいよ Magic は世界的に“売ってもらえない商品”になると思われます。TCGとしてのクオリティが落ちている上に最終的にはユーザーをMTGOに流して利益を独占しようとしている。しかもデュエル・マスターズのように今後ブーム化する芽も無さそう。そんなゲームを販売店が頑張って売る理由はないのです。実際デジキューブの登場によってTVゲーム市場が盛り上がる事はなく、むしろ流通をグチャグチャに掻き回されて今や青息吐息じゃないですか。私に言わせると、そういう歴史を Magic が繰り返さない訳がないのですよ。だって Magic は今まで、なぜか忠実に対戦格闘ゲームの栄枯盛衰を後追いしてこういう悲惨な状況に追い込まれているのですから。

○ 競技 Magic の今後

 さて、ではそういう中で競技 Magic の環境はどうなるでしょうか。日本国内や世界的な Magic の勢いがこれだけ下降線だとすると、少なくともここしばらく拡大傾向になる事はどう考えてもあり得ない気がします。ただ色々な状況を加味してみると、私個人は「それでも日本では当面、現状は維持されるのではないか。」と見ています。

 今や Magic にとって、恐らく日本は数少ないお得意さんなんですよ。確か韓国語版 Magic はかなり前に最新カードセットがリリースされていないはずですし、その他のアジア諸国で盛り上がっているなら、唐突にAPACが廃止されるなんて事はないだろうと思われます。 Magic が世界中で遊ばれている元祖TCGである事を誇示するためには、どう考えても日本というアジア市場最後の砦の死守は必須条件になるのです。

 あと日本ではデュエル・マスターズが売れています。WoCも「デュエル・マスターズのプレイヤーが Magic に流れてくれる・・・といいなあ。」とか寝言を言ってる訳で (^^; そう考えるとその受け皿となるべき Magic をこれ以上縮小させる訳にもいかないのですよ。あまつさえ日本選手権やFinalsの賞金くらい、そのデュエル・マスターズの売上から余裕で捻出できるでしょう(笑)。つまり言ってしまうと「今年 Magic 日本選手権の賞金総額が維持されたら、それは十中八九デュエル・マスターズのおかげである。」という事です。そういう事なので、日本のデュエリスト、特に競技プレイヤーの皆さん、くれぐれも近所で見かけたデュエル・マスターズのプレイヤーには敬意を払いましょうね。 (^^; 

 ただし、そういう競技 Magic の維持は、つまるところ“MTGOの成功”を念頭にすべての話が進んでいる。この事は忘れちゃいけないと思います。まあWoCは間違っても、このまま更に10年リアルカードの Magic が遊ばれ続ける(あるいは遊ばせ続ける)なんて事は考えちゃいないと思いますよ。もしそれを本気で考えているとしたら、そもそもそんな会社がMTGOを世に送り出すはずがないですから。

○  Magic とデュエル・マスターズの関係

 さて、本編の最後は前章でも触れたデュエル・マスターズと Magic の関係について書きます。

 どうも Magic の世界の中には、未だに“ Magic 優性論(デュエル・マスターズ等の国産TCGは Magic に劣るという自説)”を唱える方が少なからずいらっしゃるようです。そういう方々にお伺いしますが、じゃあそのデュエル・マスターズのゲームシステムを作ったのはどこの会社でしたっけ。私の記憶が間違っていなければ、誰でもないWoCのはずなのですが。 (^^; これはあくまで私個人の意見ですが、WoCがこれだけ自信を持って世に送り出し、そして実際にこれだけ売れているTCGのゲームシステムが、それこそ Magic 辺りと比べてそんなに見劣りがするとはちょっと考えにくいです。

 そしてもう1つ、やはり世の方々は多くが「デュエル・マスターズは結局マンガやアニメで売れたんだ。」とおっしゃいます。そのご意見は私個人も正解だと思います。じゃあなんで Magic はそれをしなかったのでしょうか。 Magic にはかつてポータルというカードセットが存在しました。しかしポータルは結局売れませんでしたよね。ところがゲームシステム的には Magic の簡略版と言われる、いわば発想的にはポータルと同等と思われるデュエル・マスターズがこれだけの大ヒットを記録した。つまりポータルだってそういうやり方を踏襲すれば成功できたかも知れないのです。これはすなわち「ゲームが売れるかどうかは結局作り手よりも売り手の力量、あるいはゲームシステムよりもその売り方に寄るところが大きい。」という事にはならないでしょうか。デュエル・マスターズもポータルも同じWoCが設計したゲームです。しかしそういう商品をかたやHJが売り、もう一方をタカラが売った。今のこの結果は多分、単純にその差でしかないのですよ。

 「 Magic がブームになって衰退するよりも、今くらいの規模で維持される方がいい。」そういう意見も世の中には少なからず見られます。でもそういう意見をおっしゃる方々は、かつて Magic 販売店がポータルや不人気カードセットの不良在庫を抱えてどれだけ苦境に立たされ、また倒れていったか。そういう歴史をご存知ないか、あるいは見て見ぬ振りをしているんじゃないでしょうか。しかも Magic は販売店の支援やデュエリストのコミュニティの存在無しでは遊べない、いわば“ゲームシステムがある程度のブーム化を前提にしたゲーム”なのです。それが遊戯王OCGやデュエル・マスターズの売上で維持されているデュエルルームに間借りし、しかもTCGの元祖を名乗って偉そうにふんぞり返っている。だから Magic は多くの販売店が売ってくれないゲームになってしまった。そういう現実を今更ながらちゃんと直視すべきでしょう。

  Magic のブーム化というのは、言ってしまうと販売店が Magic で飯を食い、ユーザーサポートを維持してくれるようにするための義務なのです。そういう義務をWoCやHJが怠っている。だから私は怒っているだけです。そして現在日本の Magic は、まあ間違いなくデュエル・マスターズや遊戯王OCGのおかげで遊べる環境が維持されているゲームなのです。そういう“間借り意識”が我々デュエリストにちゃんとあれば、少なくとも Magic サイトでデュエル・マスターズへの批判やプレイヤーへの中傷が盛り上がるなんて事態は起こり得ないはずです。そして自分が Magic のために何をすべきかも、自ずと見えてくるものなのです。あなたが今からやるべきは、デュエル・マスターズのプレイヤー達に自らの手で Magic に対する好印象を作り、彼らに少しでも Magic に興味を持ってもらえるように仕向ける事なのです。

あいせんの“本音の部分”

 さて、今私の耳に入っている“日本国内でのある動き”について。

 私個人はこれについて「結局のところ、こういう動きをされている方々は“日本での競技 Magic の延命”しか見ていなさそうだな。」という印象を持っています。もっと言っちゃうと販売店とかカジュアルに遊ぶ Magic についてはほとんど意識の中にない感じです。それを完全に悪い事だとまでは私は言いません。ただし少なくともそういう動きには手を貸さない、あるいは興味すら示さないデュエリストは決して少なくはないでしょう。かく言う私もその1人ですし。

 私に言わせると、日本での Magic の延命には“ある程度のブーム化”か“熱狂的なコアユーザーの獲得”の2択しかないと思います。それは例えばガンダムといった今やメジャーになった市場においても例外ではないはずです。ところが今までの Magic は、後者を狙ったものの狙いを競技指向の強いプレイヤーに絞りすぎて失敗した訳です。さすがにトレードが楽しみの大きな部分を占めるはずのTCGで、これだけトレードが沈滞化する要因をゲームに作り込んではお話にならないでしょう。で、私に言わせるとその新しい動きというのは、実は狙い目や方向性そのものは今までのHJのやり方と何ら変わっちゃいない訳です。HJに任せておいても日本の競技 Magic に未来はない。だから俺達がやる。具体的に何を・・・結局“競技イベント”しかやる気はないんですよね。それじゃあやってる事そのものはHJと変わらないじゃないですか。むしろ雑誌などのメディアが使えなくなる分だけ状況は悪化してますよ(笑)。

 要するに私個人は「これじゃあ“ Magic にとどめを刺す人間”が入れ替わるだけで、やってる事や結果はちっとも変わりゃしないよ。」と言いたい訳です。HJが関与した日本語版の誤訳や誤植の多さに嫌気が差してWoCが自ら製作に乗り出した。でも結局のところそういう問題は解決しなくて、むしろ昔の翻訳チームの仕事を評価する意見すら少なからず出てくる。これと同じになったりはしないのでしょうか。もしそうなるんだったら、それこそブーム化とか10年先のビジョン、あるいは競技イベントの拡大なんて夢物語はとっとと諦めて、今程度の市場規模や遊ばれ方をいかに死守するかに意識を向けた方がいい。私個人はそう思うのですけどね。

 最後に。私個人はこの予測が良い意味で外れてくれる事を期待しています。しかし皆様既にご存知の通り、私が出すこの手の予見って、悪い物ばかりがかなりの確率で現実になっちゃっているんですよね。 (^^; 

   

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