続・勝ち組の法則(2) 
 
 以前私はある提案を書いた事があります。その内容は「 Magic を売るだけの商売は将来性が乏しい。例えば Magic イベントを売るような発想も必要なんじゃないか。」そして「今の Magic みたいなやり方では、この先 Magic はまあ間違いなく縮小する。だったら Magic 目当てに(カードゲームショップに)お客さんが来ている間に、お店が誘導して別の趣味に流れるような発想をしてもいいんじゃないか。」という物です。ただ同時に私は、そういう提案の実現は小さなおもちゃ屋には簡単ではないだろうとも思っていました。ところがそういう発想を見事に実現して収益を確保していた組織があったんですね・・・あ、まあ言うまでもなくHJの事なんですが(笑)。

 今や日本の Magic は“競技的な取り組み”が当たり前になっています。私に言わせると競技 Magic イベント、特にプレミアイベントの内容って参加費が高額な割に表彰内容が薄いという印象があって、個人的には「有料イベントとしてはちょっとお粗末なんじゃないか?」という印象が今でも拭い切れません。(少なくとも国産TCGは参加費無料で参加賞+豪華賞品が普通ですし。)ところが実際問題として日本のプレミアイベントは、どういう訳か本国の米国を上回るような集客を稼いでいるようです。しかも賞金をすべてWoCが負担しているとすれば、本戦とサイドイベントの参加費、そして会場内での販売コーナーの売り上げによってイベントから黒字を出す事は十分に可能だろうと想定されます。私個人は以前から「プレミアイベントはユーザーサポートなんだから、それで主催側が黒字を出すのは変だろう?」と主張してきたのですが、どうも日本のデュエリストは多くがそういういわば“プレミアイベントの販売”をある程度肯定されているようです。

 更にHJは“ Magic 日本総代理店”という肩書きを見事に活用し、現在そこから派生した様々なイベントを主催しています。極端な話を言うと「国産TCGからイベント開催に必要な費用をもらい、国産TCGの話題性で人まで集めてもらい、そこで Magic の販促活動をする。」という事ができている訳です。 (^^; 実際にはそこでの Magic 拡販が必ずしも実を結んでいるとは言い難いのですが、少なくともその開催イベントそのものが黒字であれば、HJに取っては万々歳なはずです。WoCに対しても「俺達はこれだけ頑張ってるんだぜ!」と大きな顔ができるでしょうし。そしてそういうイベント運営も今はそれなりに軌道に乗っている。そういう印象があります。

 そう考えると今現在HJが行っている一連の販促活動は、どういう訳かそれぞれの歯車が見事に噛み合って、もの凄い勢いでグルグル稼働して、それ自身が利益を生み出しているという状況だと思われます。まあ唯一問題なのは、それがどういう訳か Magic そのものの売上アップにほとんど貢献してない事なのですが。 (^^; ただHJとPHの財務状況を見る限り、両社が日本国内での Magic 販売不振で苦しんでいるなんて様子は微塵も見られません。そして彼らは間違いなく“ Magic を取り扱っている事を武器に収益を上げている”のです。それは今後しばらくは変わらないでしょう。

 さて、そこで考えてみたいのは「じゃあ一般の Magic 販売店もその後追いができないの?」という事です。最初にも書きましたが、私はそういう提案を随分前から書いています。それは「今やっておかないと Magic が落ち目になってからではできないよ!」という意味合いがあったのですが、そういう点で既に多くの地域において“手遅れ”になっているような気が私はしています。本来おもちゃ屋という稼業は、元々そういう発想で商売を続けてきた訳です。人気のヒット商品を買いに来た一見さんを店内ディスプレイや巧みな話術で常連に引き込み、そこから別におもちゃへの興味を引いて買ってもらう。そうやって商売をやってきた業種なのです。ところがこれに対してTCGショップという稼業は、言ってしまうと“ Magic が売りたくて脱サラして店始めました!”なんてやくざな稼業な訳で (^^; そういう発想がほとんど無かったのです。これがTCGショップが取り得る選択の幅や柔軟性を失わせ、言ってしまうと“ Magic の衰退と共倒れ”的な悲劇を生む結果になったのです。

 そういう点において、言ってしまうと Magic というゲームに対してある程度クールだったHJは Magic を巧みに利用して業績を伸ばし続けた。良いのか悪いのかは別にして、それが現実な訳ですよ。あと何よりもHJは過去の経験から「1つのゲームが10年あるいはそれ以上勢いを維持する事は難しい。」というのを知っていたでしょうから、当然それを前提に商売をやっていたはずなのです。・・・いや、皆さんの言いたい事は良く分かります。 (^^; 「10年続くための精一杯の努力をしてダメだった。」のと「数年で食い潰すつもりがどういう訳か10年持っちゃった。」のでは雲泥の差がありますからね(爆)。ただ少なくとも現時点で言えるのは“日本で最終的に Magic で勝ち組に入ったのはHJでありPH”なのです。その勝ち組にデュエリスト(= Magic ユーザー)が入れなかったのは非常に残念ではあるのですが、まあこれだけユーザーがメーカーに甘い業界ではそれは致し方なかったでしょう。

あいせんの“本音の部分”

 今回の本音は、本編で最後に触れた「 Magic ユーザーはメーカーに甘い。」というお話です。

 これはもう随分と前から言っている話なのですが、基本的に日本のゲームユーザーはメーカーに甘い気がします。例えば私がこういう場で「もうちょっとHJはユーザーサポートにお金をかけるべきでは?」とか意見を出すと、たちまち「そうは言ってもHJだってそんなに余力があるかどうか・・・」とか、自分でHJの企業情報を調べようともせずに擁護意見が飛んでくる訳です。しかもデータ面からメーカーへの批判にそれなりの正当性があるとなると、今度は精神論とかちょっとした書き損じから攻撃を始め、それでもダメとなると別のWebサイトでグチグチ批判を書き始める。そんな歴史をうちは随分長い間見てきました。そしてその結果が“これ”です。

 私は別にHJに儲けさせたくないからこういう意見を書いてきた訳ではありません。むしろ「ここでユーザーサポートをきっちりやって Magic を売り込めば、それこそHJの取り分は倍にも3倍にもなるかもしれないのになあ。」と思って書いてきたのです。そうやってHJが Magic で潤えば、さしものHJもちょっとは Magic の販促を充実させてくれるだろう。 (^^; 私はそれを期待していたのです。ところが今現在、HJやPHは Magic からの直接的な売上を減らしつつ、別の手段でその売上や利益を維持している状況だと思われます。こうなってしまったら、もう誰もHJに対して「その利益を Magic のために使えや!」なんて言えなくなってしまうのです。WoCは今やMTGOやデュエル・マスターズにご執心。HJやPHは Magic の売り上げなんて当てにしなくて構わない。そんな状況で一体誰が Magic の復興に必要な資金や人員を提供してくれるんですか。まだこの期に及んで販売店や認定ジャッジのボランティア頼みですか?

 私個人は「これで日本国内での Magic 復興の道はほぼ閉ざされた。」と考えています。こういう状況になって、それでも Magic に資金や人員をつぎ込んで復興を目指す理由はないからです。しかもWoCがMTGOをリリースして日本でも少なからずユーザーが流れている現状では、リアルカードの Magic 販売に将来性を感じる企業や販売店はほとんど無いでしょう。(それはHJやPHにしても同じです。)こういう状況になったのは果たして誰が悪いのか。それは誰でもない、メーカーやディストリビューターに Magic が売れる商品になるためのちゃんとした提案をしてこなかったデュエリスト、もっと言うと“不満があるまま Magic を買い続けたユーザー”が悪いと私は思います。まあ「ユーザーがダメな業界は滅びる。」というのは、それこそ昔から言われてきたお話ではあるのですがねえ(笑・・・えない)。

   

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