| 千円札の価値のお話 | ||
日本における Magic 復興の一助になれば・・・という事で、今回はこんな話を書いてみます。ある子供が駄菓子屋に千円札を握りしめてやって来て「これで買えるだけ駄菓子をちょうだい!」と言ってきたとします。(実は私は駄菓子屋をやっていた経験もあるもので。 (^^; )言うまでもなくその子供はその千円札を合法的に手に入れており、その使い道についても保護者から任されています。しかしこの子はどう見ても千円札でどの位の駄菓子が買えるのかは知らなさそうです。駄菓子なんて物はそれこそ1個10円とか20円の世界の商品なので、千円もあるとかなりとんでもない量の駄菓子が買えるのです。
さて、そこで駄菓子屋さんはどういう判断をするのが正解なのでしょうか。この場合の主な選択肢は・・・
・・・とまあ、この辺りになるんじゃないかと思われます。ところがこのうち 2. と 3. の選択肢を一般世間のお店が取り続けた場合、この子供はいつまで経っても「千円札でどの位の物が買えるのか?」という価値判断を体験できない。そういう見方ができます。いつかはこの子だって千円札、それどころか五千円札や一万円札で買い物をする時がやって来ます。それだったらその子が望むのであれば、一度千円分の駄菓子を持たせてその価値を実感させてみればいい。私個人はそういう意見を持っています。この子はこの後、それだけ大量の駄菓子を買った事を後悔するかも知れません。しかし少なくともこの時点でこの子は損はしていない訳ですし、この後のやり方次第ではいくらでもその失敗を取り戻せるチャンスがあるからです。何よりもその経験で彼は「千円札ってこれだけの物が買えるんだ。」という価値観が身に付き、その後の買い物に間違いなく活かされるはずなのです。まあ実際には「やっぱりこんなにはいらないよ!」と言って欲しいだけの駄菓子とお釣りを持って帰る。この辺に落ち着くのが世の常なのですが。 (^^;
- 言われた通り千円分(あるいはおまけまで付けてそれ以上)の駄菓子を子供に渡し、その代金として千円を受け取る。
- 取りあえず本人が満足するだけ駄菓子を選んでもらい、その選んだ駄菓子とお釣りを子供に渡す。
- 明らかに千円札の価値が分かっていないと判断し、取りあえず買い物はさせずに子供を帰す。
この話をそのまま Magic に当てはめてみましょうか。ある初心者が偶然にも買ったパックで《極楽鳥》、あるいはその時点で出ているエキスパンションのトップレアを引き当てた。そして「僕はカード資産が足りないので、このカードでもらえるだけの有益なカードが欲しいです。」と言ってきたとします。(本来 Magic の人気カードとは、こういう使い方をすべき代物のはずなのですが。)彼はそのカードは当然合法的に入手した訳ですが、しかしそのカードがどの位の価値か良くは知りません。そこでその初心者が持っていない、デッキ構築に有益なカードを数十枚あるいは100枚程度渡して、その対価として人気のレアカードをもらう。これは果たしてシャークなのでしょうか。しかもその課程で「このカードは一般に人気があって、カードショップでは数千円で取り引きされている。個人向けに売ってもその位にはなる。」といった説明を十分に行い、その上で山のようなカードを渡して「 Magic 頑張ってね。」と送り出す。これは決してシャークとは言えないだろうと思うのです。これに対して最新エキスパンションの人気カードを示して「これとトレードすれば1対1でOKだ!」とか言うのって、その初心者が全く用のないカードを掴ませる事に果たしてどれだけの意義があるのか。私はそう思います。そうやって初心者にまで無理やりシングルカードで投機ゲームをさせるから、結局人気カードがトレードで出てこなかったり、その課程でシャークの被害に遭ったりする。あとそのうちそのカードが Standard 落ちして価値が激減。それで嫌になって Magic をやめちゃう。そういう悪循環に陥っていたりはしないのでしょうか。
実はこの問題には過去に私自身や Duelist Fukui のメンバーも直面した事があります。その時我々が出した結論は「その相手に正しい情報を教え、その上で合意したトレードなら問題はないはずだ。」でした。まあ実際に行われているシャーク行為というのは、この“正しい情報を使える”という部分がほとんどできていない事が問題だと思われるのですが。だから《神の怒り》と《巨大化》が1対1でトレードされるという謎の状況が発生するようですし。 (^^; あとカード同士のトレードって、案外1対1でやってるとカードの価値観が良く分からなかったりするんですよ。(だから皆さん近所のお店やネット上のシングルカード価格表を参考にされるのだと思うのですが。)でもたった1枚の良く分からない鳥の絵が描かれたカードが、どういう訳か100枚程の大量のカードに化けた。そうなると「良く分からないけど、僕は何か凄いカードを引いたんだな。」位の事は感覚的に分かるのです。そういう喜びが次のパック購入に結び付く。少なくとも昔の Magic はそれができていたし、私なんかはそれが面白くてパックを買っていたりしたのですが。
ところが世の中には、こういう行為ですらシャークだと言って攻撃を加える方が少なからずいて、あまつさえ「お前みたいなシャークは Magic から出ていけ!」的な批判までされるようです。ただその論調を見ていると、なんか「そんなおいしい場面に出くわしたなんてうらやましい。俺だったらもっとシャクって初心者からカードをせしめてやるのに。」「お前は初心者から《極楽鳥》1枚せしめ取る話術もないのか。俺だったらそれこそ《巨大化》1枚で奪い取ってやるのになあ。」という意図すら感じられる事が少なからずあります。そんな言いがかりというか難癖を付けられてあちこちで叩かれるのでは、まあ誰も初心者相手に怖くてトレードなんかできません。いや、それどころか初心者向けのサポートすらできないです。はっきり言いますが、初心者にコモンや基本地形を無料で差し上げるのには限界があります。個人が持っているカード資産は間違いなく有限なのですから。しかし例えば市場価値=2000円程度のレアカードを対価として出してもらえるとしたら、こちらとしても思い切ってその倍あるいはそれ以上の価値のカードを渡せるのです。そしてそもそも Magic というゲームは、そういうシステムでユーザーの裾野を広げ、それこそ世界中で盛り上がってきたゲームのはずなのですが。
※ ただ日本の Magic 界には、こういう意見をとにかく湾曲して「じゃあ《極楽鳥》と基本地形100枚ならトレードして良いんだ!」とか言い出す日本語を読まないバカが少なからずいるようですが。 (^^; あとこういった意見のごく一部だけを引用して「やっぱりこいつもシャークだった!」とか言っちゃうお子様とか。 (^^;;; だからこういった意見が安心して世に出せない。現に日本の Magic はそういう柵にも陥っていて、それ故多くのWebサイトが“臭い物には蓋”“君子危なきに近寄らず”的な運営しかしていないようです。そりゃ数日かけて書いた渾身の意見記事を公開したら、やってきた人達が別の掲示板で誤植探しや揚げ足取りで盛り上がっていた。そんなの見せられた日にゃあ誰だってやる気無くしますって。 (^^; これはあくまで私個人の持論なのですが、トレードの条件は“自分が逆の条件を提示されて受けるか否か”を常に考えるべきだと思います。私が Aysen Crusader(HL) というカードに破格の対価を払うのは、もし自分が逆のトレード(=私が持っている牛姉を放出してくれ)を申し出られても、大抵のケースで「嫌だ!」と断るだろうと思うからです(笑)。というか、今や私から牛姉をトレードで出させる手段は・・・思い当たりませんねえ(爆)。確かに初心者にとってはトレードも勉強なのです。ただ、だからと言って初心者が“授業料”という名目でシャークされるのは論外です。むしろその人が後になって思い出して「ああ、あの時のトレードのおかげで随分助かったよなあ。じゃあ僕も目の前にいる初心者に同じ事をすれば良いんだ。」と思ってもらえるようなトレードをすべきだ。初心者がトレードでカード資産を増やせる環境が Magic にあれば、必ずや初心者の多くは Magic に定着して次の初心者を育ててくれるだろう。しかし今はそれができていないから Magic はこんな状況になってしまった。私はそう思うのですが。あ、あと特に初心者相手のトレードの場合、そのトレード後しばらくは“猶予期間”を設けるべきかも知れません。数日後にやっぱり《極楽鳥》を使う気になったらトレードをリセットする。その位の余裕を持つべきかも知れません。実際に「トレードはその場限りの交渉。一度成立したトレードはもうキャンセルはできない!」という根拠のない定説が、 Magic 初心者のシャーク被害を救済できない1つの壁になっていますし。少なくとも法律には「詐欺による損失は時効にならない限り取り戻せる」と明記されているのですが。
要は「どこからどう見ても初心者が『こんなにカードもらっちゃって良いんだろうか?』と思う、そして周囲の人達に『あの人は《極楽鳥》1枚ですげえ大盤振る舞いするなあ。』と言われるトレードをしなさい。」という事になるでしょうか。目の前の初心者をトレードで勝たせる事は。後になって結果的に自分自身に取ってもメリットがあるんですよ。でも本来こんな話は当たり前すぎて、普通ならこんな場で改めて書く必要はないはずなんですけどねえ。
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実を言うとこのお話は最初、前作エッセイの“本音”として書いた物だったりします。ところが書き始めてみると相当なボリュームになってしまい、色々考えて本編として公開する事にしました。 本当言うと、この手のお話は「 Magic 初心者は、自分が引き当てた人気カードでコモンやアンコモンのカード資産を揃えるという発想をしよう。その方が Magic は遙かに楽しみやすいよ。また中・上級者もそれに協力してあげて下さいな。」という一文で終わる話なのです。ところが本編にも書いた通り、世の中には意図的に日本語を読まない、どんなに良い話でも書き手を中傷したり揚げ足を取るための材料としか見ていないとか、それを湾曲して自分の不正行為や犯罪行為を正当化する根拠にしようとか、そういう輩が少なからずいます。そう考えるとたったこれだけの内容を説明するのに、あれこれと補足を入れざるを得ない訳です。全く持ってお寒い限りだと思いますが。 あと個人的に思うのですが、少なくとも昔の Magic は100人のデュエリストが100人全員《極楽鳥》を有り難がる訳ではなかったのです。ですからトレードでそれなりに出るので必要な人が集めやすい。そういう状況になっていました。しかし今はそうなっていません。それこそシングルカード価格表で2000円オーバー付いたカードが一種の通貨のような扱いを受け、それこそその価格表で値段が釣り合うカードとの1対1トレードしか成立しない。(ただし自分が少しでも負けてると思うと「おまけ付けろ!」を連呼し始める。)あるプレミアイベントで大暴れしたデッキのパーツは本気でトレードでは出ず、何か別のトレードを持ちかけるとバカの1つ覚えみたいにそのカードを求められる。こんな状況で Magic が楽しく遊べるとは私には思えません。 現在WoCの上層部は、日本の Magic に対してそれなりの危機感を持っていると伺っています。しかしこんな些細な所から日本の Magic は改めるべき部分が山のようにあるのです。そしてはっきり言いますが、今となってはその問題の相当部分が手遅れ状態なのです。初心者が気軽に安心して Magic に手を出せる。プレミアイベントが不正行為もなく Magic のお祭りとしてちゃんと盛り上がる。そんなごく基本的な事すら今はできていないのです。本当WoCはこの先 Magic をどうするつもりなのか、それこそ一度機会があればWoCの上層部とじっくり話してみたいものです。 |