| “他には無い物”の作り方 | ||
まあ要するに「 Magic をどうやって他のゲームと差別化するか?」というお話です。遊戯王OCGの欧米での勢いが止まらない、それどころか更に加速して世界を席巻しそうな印象すらあります。そもそも欧米では、それこそ日本よりも一足も二足も早く Magic が発売され、そして間違いなく1つの時代を作ったはずです。しかし現在では Magic はそれこそ世界的に一時期の勢いを失っていると言われています。そしてそれとはまさに対照的な遊戯王OCGの好調振り。これは一体何を意味しているのでしょうか。
今でも日本のデュエリストは決して少なくない方々が、それこそ Magic を“至高のカードゲーム”とばかりに絶賛しているはずです。そして Magic を遊戯王OCGと比較なんかしようものなら「面白さや奥の深さは比較にならない。」「あんなゲームと比較される事そのものに意味がない。」と言い切る方々すらいます。ところがそのTCGが生まれた北米や欧州では、今や Magic よりも遊戯王OCGの方が広く遊ばれ、そして遊戯王OCGの勢いは更に増そうとすらしています。じゃあ Magic 肯定派の皆さんは、それを「所詮欧米の奴らは見る目がないんだ。」とでも言い切るのでしょうか。我々日本人はTCGという遊びに関してはどう考えても後発組です。それが欧米のTCGプレイヤーの選択を「見る目がない」と言えるのでしょうか。むしろ欧米人の価値観で言うと、今や現実は“ Magic を遊んでいるプレイヤーの方こそ見る目がない”とすら言われても仕方ない状況になっているのですが。現時点では世界的に見ても、遊戯王OCGプレイヤーに比べて Magic プレイヤーは少数派だと思われるからです。それもひょっとすると、我々日本人デュエリストが想像すらできない、とんでもない人口差になっている危惧すらあるのです。
さて、では一体この遊戯王OCGの大ヒットの理由は何なのか。言い換えると“遊戯王OCGにあって Magic に足りなかった物”は何なのでしょうか。それは多分多くの方がその答えをお持ちだろうと思います。そう、マンガやアニメといったメディアによる高い話題性なのです。はっきり言いますが、子供が何かの遊びに手を出す場合、その内容とか出来といった物にはあまり興味を示しません。 (^^; TVや雑誌で話題になってた。友達が遊んでる。自分も遊ばないと仲間内の話題に入れない。だから遊ぶ、そういう子供は決して少なくないのです。じゃあ百歩譲って、今の Magic が遊戯王OCGに比べて100倍の面白さ、あるいはゲームとしての奥の深さを持っていたとしましょう。しかしそもそも根本的な話、彼らが Magic というゲームを知らなければ手の出しようがないでしょう。しかもその面白さや奥の深さを体感するのに、ORACLEやフロアルールを熟読した上で、最新の基本セットやエキスパンションを10箱ほど買ってやっとスタート。そんな遊びに子供は手を出しませんって。 (^^; でも遊戯王OCGはそれよりも遙かに手軽に面白さや魅力を体感できる。だから売れてる。話は意外と単純なんですよ。
そこで我々は、もう一度“原点”に戻る必要があると思います。日本でも満足な販促や話題性が無かった Magic に、なぜ我々は手を出してここまではまってしまったのか。もう一度その原点に戻る必要があるのです。ところが非常に残念な事に、その原点に戻る際に基本となるべき Magic そのものが、既にかなり以前に昔のような魅力を失ってしまっているのです。現在の Standard の世界には、あの“セラの天使”はいません。あ、盆踊りを踊ってる偽物はいますが(核爆)。しかも最近のデッキで彼女が活躍できる機会なんてほとんど無いはずです。間違いなく昔の日本の Magic 界には、天使1人(!?)を捕獲するためにパックやBOXを買いあさった猛者どもが大勢いたのです。 (^^; じゃあ、最近の Magic にそんな破壊力のあるカードはあるのでしょうか。ないですよね。これは言い切って構わないだろうと思います。はっきり言いますが、そんな Magic が売れるはずがないんですよ。少なくとも昔のような勢いで売れる事は決してあり得ないはずです。そこに昨今の競技指向が Magic のゲームとしての遊びにくさに追い打ちをかけます。ORACLEやフロアルールを熟読しないとスタートラインにすら立たせてもらえない。こんなゲームが売れる訳がないですって。
遊戯王OCGに無くて Magic にある魅力や面白さ。そう聞かれると多くのデュエリストは“競技イベント”とか“ルールの充実”あるいは“ゲームの奥深さ”等を挙げるはずです。じゃあ、そういう答えを出す皆さんにお尋ねしましょう。例えば今遊戯王OCGのカードやルール、あるいはイベントの内容が大幅に改定され、それこそ遊戯王OCGが Magic に匹敵する競技性や戦略性を持ったとしましょう。その事を友人やマスコミから情報を得たとして、皆さんはそれだけを理由に遊戯王OCGに手を出すでしょうか。恐らく大部分の方が何らかの理由付け、あるいは難癖を付けてでも Magic に留まるんじゃないですか。はっきり言いますが、そんな意見には1%程の説得力も、人を動かす力もないのです。皆さんが言っている意見は、所詮 Magic を遊んでいて Magic こそがナンバーワンだと思っている、正確に言うとそう思い込みたい1デュエリストとしての偏見に過ぎないのです。しかし世界のTCG市場は今や明確な結論を我々に示しています。少なくとも現在は“ Magic よりも遊戯王OCGの方が面白い”のです。
じゃあ、果たして今現在“遊戯王OCGに無くて Magic にある魅力や面白さ”という物を生み出せる可能性は全く無いのでしょうか。私個人はこれについて「その可能性は零ではないが、残念ながら現状では限りなく零だと言わざるを得ない。」と考えています。
先程の話、今一度原点というか基本に戻ってみましょうか。私も Magic を始めた頃、それこそ先人が大量に買ったカードの余りをもらって随分と助かった記憶があります。日本語版第4版が発売されて日本に Magic が定着し始めた頃、どういう訳かデュエリストは誰かが Magic を始めたと聞いた途端に、自分が持っているカード資産を大量に抱えてその新米デュエリストの元に馳せ参じたものです。そしてその新米が後に中堅デュエリストになってカード資産をそれなりに持つようになると、これまたどういう訳か新米参入の噂を聞きつけて余剰カードを押し付けに行く(笑)。そうやって日本の Magic コミュニティは発展してきました。こういう動きは多分遊戯王OCGにもあるとは思うのですが、でもプレイヤーの平均年齢や投資額が高い Magic の方が、そういうサポートは遙かに盛んだったと思われます。
大人が遊べる。大人が何の迷いもなく取り組める。大人がゲームの話を堂々と外の世界の人達に話せる。これこそが Magic の面白さであり、他のゲームにはなかなか無い魅力だったのです。言い換えると“他のゲームと差別化できる大きな特徴”なのです。じゃあ、昨今の Magic はどうでしょうか。はっきり言いますがそうじゃないでしょう。カードイラストは何だか良く分からないアメコミ調で、それが更には誰を狙ったのだか良く分からない機械チックなイラストに変わろうとしている。ゲームの内容にしても強いカードを使った強いデッキが勝てて、そうでないデッキでは勝てない極めて奥深さのないシステムになってしまっている。そしてそういうデッキやカードの情報がネットや雑誌で流れていて、やってる事は攻略本片手にCRPGをクリアするのとほとんど変わらない。何よりも日本での知名度は限りなく零で、かろうじて Magic を知っている人の一部からは“遊戯王OCGのパクリゲーム”とすら呼ばれている(笑)。これで大の大人が「私は Magic というゲームを楽しんでいます。」なんて大手を振って人に言えないでしょう。
そもそも Magic は大学生とか社会人に熱狂的に支持されて、世界的にある程度の成功を収めることができたゲームのはずです。それがなんで遊戯王OCGの後追いまでして子供向けに売り込まないといけないのか。私はその辺のWoCの認識が全く理解できませんし、また理解したいとも思いません。大人達が堂々と遊べる秀逸なカード、それこそ会社で話題にしても何の偏見も持たれず、それどころか「さすがは米国のゲーム。ゲームの面白さは良く分からないけどカードイラストはやたら綺麗ですよね。」と言われる芸術性(コレクション性)の高さ。それを Magic は他のゲームとの差別化のために前面に押し出せば良かったのです。しかし現実は皆様ご存じの通りの体たらく振り。だから私は「( Magic が他のゲームとの差別化ができる)可能性は零ではないが、残念ながら現状では限りなく零を言わざるを得ない。」と言っている訳です。そして一部公開されたミラディンのカードイラストを見る限り、いよいよ Magic は衰退というか自滅への道を歩むしかないんだろう。これが私個人の現時点での結論です。
あ、ただ今や日本における Magic のライバルゲームって何も遊戯王OCGだけじゃないんですよ。最近日本国内では、ガンダムウォーの勢いが更に加速しているという話も出ています。 Magic ユーザーの多くがガンダムを知っていて、いわゆる“ガノタ(ガンダム・ヲタクの略称)”が少なくない事は、例えばGAMEぎゃざにガンダム関連の読参企画が併設されている事でも明らかです。そうなると Magic がガンダムウォーにユーザーを奪われるケースはあっても、その逆はなかなか起こらないはずです。とにかく日本でガンダムは強いですからねえ。
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以前にあった今年の Magic 世界選手権の話題の中で、私は掲示板で「今年の Magic は世界選手権を米国で開催しても話題にならないので独国に逃げた。」という旨の発言をしました。 (^^; 当然この世界選手権の場所はかなり以前から決まっていた事で、私自身もそれを承知の上で発言した訳です。しかしどうでしょう、結果として「今年は独国開催で良かったね。」という印象を持ってしまうのは私だけなのでしょうか。もし今年 Magic が世界選手権のイベントを米国で遊戯王OCGの物とぶつけていたら、ひょっとして我々デュエリストはそれこそ将来を悲観せざるを得ない“悲しい現実”を見る事になったのではないでしょうか。 ただ Magic だって、いつまでも“直接対決”を逃げている訳にはいきません。コナミは世界選手権の継続開催を既に発表していますし、これだけ遊戯王OCGの市場が欧米重視となると、今後更に大規模な世界選手権絡みのイベントを米国で展開する可能性が高いのです。ましてや Magic サイドに言わせると、明らかに遊戯王OCGは Magic のお膝元を荒らしているのです。このまま手をこまねいて見ている訳にもいかないはずなのですが、しかし現実には Magic には今や打つ手がない。WoCは“遊戯王OCGの自滅待ち”なんて暢気な事を考えていたけど、どうもここに来てそれも遠くなりそうだ。これが現実なんじゃないでしょうか。 じゃあ、なぜ Magic はこういう形で遊戯王OCGに破れたのか。その理由はそんなに難しい話ではありません。 Magic が遊戯王OCGに負けじと子供を狙った販売戦略に出て、しかしそういう分野ではコナミの方がはるかに上手だった。それだけの事なのです。元々 Magic は大人向けの遊びだったはずですし、子供に遊んでもらえるような料金体系とかインフラの整備なんてできてなかったのです。それが強引に子供向けに売る事を考え、しかもその手段としてそれこそ遊戯王OCGを模倣したと思われるカードやゲームシステムを作ってしまった。でも本当に子供が喜ぶようなマンガやアニメによる話題性がほとんど無い。これでは遊戯王OCGを遊んでいる子供を引き込むのは無理でしょうし、それどころか愛想を尽かした大人のユーザーからも見放されてしまうのです。本当日本には“二兎を追う者一兎を得ず”なんてうまいことわざがあるんですよね。 本編の結論の繰り返しになりますが、やはり Magic は“遊戯王OCGがカバーできないユーザー層”を狙うべきだと思います。マンガやアニメの話題性で遊びに手を出す子供ではなく、本当にカードゲームという遊びにじっくりと取り組んでみたい大人に選ばれるようなカードやイラストを提案すべきだ。私はそう思いますけどね。そして今や遊戯王OCGは、母国である日本での販売がいよいよ下火になりつつあります。その決して小さくはない日本市場を“デュエル・マスターズで”占めるのではなく (^^; やはり Magic で勝負ができるように頑張ってほしいものです。今度の販売店向け説明会にご参加される業者の皆様におかれましては、是非ともWoC首脳陣の尻が真っ赤に腫れ上がるくらい叩きまくって頂きたいものです(笑)。さもないと日本の Magic 市場は、あっという間に主力がオンラインに移行しちゃいますぜ(笑・・・えない)。 |