Magic の適正価格 
 
 前から書いてみたかった話なのですが、資料が入手できたので改めて書いてみます。

 金融広報中央委員会という所が調べた統計なのですが、平成4年〜平成13年までの子供のこづかいの平均額はこんな感じだそうです。(これを多いと見るか少ないと見るかは、かなり個人差があるでしょうね。)


*** 年代別・子供のこづかい額 ***
(単位:円)
調査した年小学生中学生高校生
1・2年生3・4年生5・6年生
平成4年10491270148326976258
平成5年11711142145230496472
平成6年9621209145028626559
平成7年11241147139829216970
平成8年10571242150028896973
平成9年10521247148029706896
平成10年10381124143530496756
平成11年9551059140328746859
平成12年1064977142326606444
平成13年9451019137528376815
資料:金融広報中央委員会「家計の金融資産に関する世論調査」
(注)金額は月平均


 小学生では高学年でも平均額は1500円が最高です。中学生は3000円の前後を行ったり来たり。高校生は7000円には届いていません。単純に考えると“進学するたびに倍増している”という感じでしょうか。あとこの統計にはないのですが、大学生はやはり万単位となるようです。(仕送りの額やアルバイトの有無で随分と懐事情は変わるようですが。)よく見ると年毎の変動が結構あるのですが、これは月決めでもらう額の変動ではなく、恐らくはお年玉といった臨時収入の増減に影響されているのではないかと思います。ちなみに私自身は既に20年以上前の事になりますが (^^; 中学生の頃には5000円、高専生の時代には7000円〜10000円くらいもらっていたと思います。ですからこのリストを見て「ああ、自分は随分と親から大事にされていたんだなあ。」と改めて思ったりしましたが。

 で、ここからが本題です。月に1000円程度しか自由に使えるお金がない。そんな小学生が1パック500円のカードを気軽に買えるのか。まあ間違いなく答えは「No」でしょう。中学生にしてもよほど親から高額のおこづかいをもらえる状況にないと厳しいと思われます。では子供達はどうやってお金がかかる趣味を楽しんでいるのか。それはやはり親にねだって買ってもらっているのだろうと思います。例えば一緒に買い物に出掛けた時に買ってもらうとか、おつかいに行ったおこづかいとして買わせてもらうとか。じゃあ一般に子供にあげるお駄賃っていくら位でしょうか。大体100円〜200円という辺りですよね。つまり遊戯王OCGやデュエル・マスターズの1パック150円という設定は、子供に安定的に末永く買ってもらう商品としてはまさに的を射ているのです。これはかつてのミニ四駆にしても同じです。確かに本体は600円ほどなのですが、細かなパーツがやはりその位の価格設定でばら売りされています。ですから様々な機会に少しずつ買い揃える事ができたのです。それでは高校生はどうでしょう。高校生くらいのおこづかいになると、確かに Magic くらいの価格の商品にもそれなりに手は出せるようになるはずです。でもBOX買いなんて夢のまた夢ですよね。私もかつて高校生に Magic を売っていた経験があるので感覚的に分かるのですが、彼らは本当に色々と苦心惨憺して Magic を買う資金を捻出していました。しかしそれでも本当の意味で競技 Magic に適応できるだけのカード資産を揃えるのは至難の業です。ですから基本的に多くの人は、同程度のカード資産で対戦ができる仲間内で Magic を楽しむ事になります。

 日本の Magic はそれこそ日本語版発売当初からWoCやHJの手によって高値に引き上げられ、あまつさえ更に3度に渡って値上げされてきました。そして同時にHJは中学生や高校生を主要なターゲットとして Magic を売り、そのブーム化を狙ってきています。しかしこういった資料1つ取り寄せて眺めてみるだけで、それがいかに無謀か、あるいは矛盾に満ちた空虚な話かは見えてくるのです。以前にちょっと試算しているのですが、日本の価格設定で競技 Magic に取り組もうとすると、年間に約16万円の予算が必要になります。月当たりに換算して約1.3万円です。HJはそんなお金を中学生や高校生が負担できると本気で思い込んでいたのでしょうか。というか、私個人はHJが「日本の子供達は高校生でも月に2万円くらいおこづかいをもらっている。だからこの価格設定にしても Magic は買ってもらえるんだ!」という独自の調査の結果、そういう価格設定にしたのだとばかり思っていたのですが(爆)。スカージから Magic は値下げされるのですが、しかしそれでも先ほどの試算を適用すると月当たりの負担は1万円を切りません。私が前から言ってきた話はこういう事です。それともHJはそんなに中学生や高校生に並行輸入のパックを買わせたいのでしょうか。 (^^; 

  Magic がどの世代をターゲットに売るのか。それによって Magic の適正価格というのは大きく変わるはずです。これだけ世代毎の資金力に格差があると、その人達をすべて狙った価格戦略というのは成立し得ないはずです。(ですからミニ四駆では大会の参加者を小学生限定にした訳です。中学生以上が入ってくると間違いなく“大人買い”に走るので、小学生が少ない予算の中で工夫して作ったミニ四駆では試合に勝てなくなるからです。)少なくとも Magic の実勢価格がそれこそ¥200とかにならない限り (^^; 小学生や中学生に Magic を勧めるのはほぼ不可能だと思います。そう言うと「でも実際に多くの中学生や高校生が Magic を遊んでるじゃないか。」と言われるかも知れません。要するに何度も言ってきた話ですが、日本の Magic はまさに“並行輸入業者と販売店の努力によって何とか支えられている”状態なのです。はっきり言いますが中高生に対してHJ経由のパックなんて全然戦力になんかなっちゃいません。多分今この時点で完全になくなっても、ほとんど誰も困らないんじゃないでしょうか。言い換えると「 Magic という商品はそもそも大学生や社会人に対して売るようにシステムができている。それを強引に高校生や中学生に売ろうとしたから失敗した。」そういう事なんですよ。意外と話は簡単なのです。じゃあ Magic をそういう若年齢層の人達にも楽しんでもらう事はできないのか。そんな事はありません。特に社会人が大量に買って余らせた土地やカードを提供してもらい、その中から自分でオリジナルのデッキを作ってデュエルを楽しむ。そしておこづかいの範囲で買ったパックでデッキを強化しトレードも楽しむ。そもそも Magic ってそうやって日本で広まった遊びなのですが、メーカーや問屋が金に目がくらんでよからぬ事を始めたばかりに話がおかしくなっちゃった訳です(笑・・・えない)。

 「 Magic の適正価格は一体いくらなのか?」これに対する私個人の見解はこうなります。 Magic を小学生や中学生向けに売ってブームにしたいなら、それこそ1パックは遊戯王OCG辺りと同じ150円にすべきです。それができない、1パック400円程度の価格を維持したいのであれば、やはり Magic は売り込むターゲットを大学生や社会人に絞り込むべきです。あと Magic ではいわゆるジュニア向けのトーナメントがあり、日本にも高校生選手権があります。私個人はこういったイベントの廃止はしなくていいと思うのですが、特に日本ではよりカード資産や Magic にかけられる予算が少ない人でも参加できるフォーマットにすべきだと思います。それこそ参加費を無料、あるいは格安に設定した限定戦(当然使ったカードはお持ち帰り)でいいんじゃないでしょうか。参加者全員に人気が高いプロモなどを配れないのなら、せめて構築戦に使えるカードを山ほど持ち帰ってもらう。そこまで頑張って人を育てないと Magic はこの先生き残る事はできないと思いますよ。

あいせんの“本音の部分”

  Magic の価格政策に関しては、他にも“年代層毎にターゲットを絞った商品を出す”という意見も出ています。小中学生にはそれ向けのカードセットを作り、そしてそういう世代が買いやすい値段で提供する。簡単に言うとそういう感じです。そもそも私は Magic の構築済みデッキがそういう発想で売られる事を期待していた部分があります。しかし皆様ご存じの通り、今や構築済みデッキはそれこそ“誰にも買ってもらえない商品”に成り下がってしまっています。値段が安くない上に目玉となる収録カードがない。デッキとして使ってみてもそれ程強くない。これじゃあ買ってもらえないのは当たり前でしょう。

 例えば Magic の基本セットを、それこそ遊戯王OCG並の価格設定で売る事はできないのでしょうか。レア1枚+アンコモン2枚+コモン3枚のセットで150円とか。基本地形なんて販売店に大量に配って無料配布でいいでしょう。どうせ販売店で限定戦のイベントをやる所も少なくないでしょうし。そうすれば若年齢層も Magic に手を出しやすくなるはずですし、我々社会人にしてもお店に遊びに行った際に「おみくじ代わりにちょっと買ってみるか。」になると思うのです。とにかくこういうTCGはユーザーが多い事、そしてカードが多く出回る事が大事なのです。どうも Magic ってそういう工夫を全くと言っていい程やって来ていなくて、相変わらず初心者が Magic から逃げ出した元凶となっている競技にしか注目していない。これじゃあ世界的に廃れるのも無理はないでしょう。

 それと前に掲示板で話題になったのですが、そもそも欧米と日本では子供達の経済システムが違っているのです。欧米の子供はお金が欲しかったら家の手伝いなどをして報酬として受け取ります。つまり逆に言うと必要なだけお金を手に入れられる可能性があるのです。それに比べて日本の子供は大部分がおこづかいは定額制のはずです。ですからこの両者に同じ料金システムの遊びを勧める事そのものに無理があるのです。確かに欧米の子供達は Magic を楽しいと感じ、そして Magic に多くのお金を投資しているかも知れません。しかし日本の子供達は例えどんなに Magic が楽しいと感じても、一定額以上の投資は物理的に不可能なのです。見方を変えると欧米の子供達はそれこそ競技 Magic 的な発想のデッキすら組めるのですが、日本の多くの子供達には不可能なのです。だから日本の子供達に競技 Magic は勧めるべきではなかった。でもWoCやHJは勧めちゃった訳です。HJが日本の市場に受け入れられる Magic の販売システムを構築せず、それこそWoCの言いなりになって価格や売り方を決めていましたから。だから結局売れなかった。真相はたったこれだけの事なのです。

 そして今や Magic を作ったWoCが、他社の遊戯王OCGという成功事例を価格の面でも真似するに至っています。だったらなぜその発想を Magic にも取り入れないのでしょうか。日本で子供向けにTCGを売るには Magic よりも遊戯王OCGの販売システムの方が優れている。WoC自身がそう思うならなんで Magic もそうしないのでしょうか。それは要するに“WoCは低年齢層に Magic を売る気がない”という事ですよね。それだったらあなた方が Magic を買って欲しいと願っている世代に受けるような Magic を出して下さいよ。そして少なくともそれは遊戯王OCGの真似で場にカードを伏せて出せたり、奇抜さだけを狙ってある日突然クリーチャーだけのカードセットを出してみたり、コレクターが残らずそっぽを向くような華のないカードイラストを満載した商品なんかではないはずです。 Magic が誰に取っても魅力のない商品になっているとしたら、値下げをしようがサービスを充実させようが売れる訳がないのです。そしてそんな基本的な事がWoCもHJも、ましてやデュエリストすら分かっていない。これで Magic が落ち目にならない方が普通はどうかしているとすら私には思えますよ。

   

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