| 投機の情報源から憧れの対象へ | ||
日本での競技 Magic の様子を見ていていつも感じるのですが、どうも競技 Magic の世界では“どのプレイヤーが勝つか”にはほとんど関心が無くて、その代わり“どういうデッキが勝つか”ばかりが注目されている印象を受けます。そもそもこの世に存在する大部分の“競技”と言われる物は、基本的に競技プレイヤーが互いの技量を競って賞金や賞品を争うための仕組みです。ですから当然ながらその賞金や賞品はプレイヤーに対して与えられるご褒美のはずです。しかし少なくとも日本の競技 Magic はそうじゃなくて、これではなんか“デッキに賞金を払ってる”という印象すら受けてしまいます。世の情報をかき集めて一番強いデッキを持ち込んだ人が勝ち。与えられたパック内のカードが一番ゴッドだった人が優勝。言ってしまうとそんな感じです。しかもこれが実態から見てそんなに間違っていなさそうなのが何とも・・・という気もします。なぜ日本の競技 Magic がそうなってしまったのか。これには大きく2つの理由があると思います。1つは結局のところ競技 Magic が“WoCやHJがより多くのパックを売るための仕組み”でしかなかった事。これによりカード購入により結び付きやすいデッキ情報が競技プレイヤー個人の動向よりも重要視された訳です。もう1つは多くのデュエリストが同時に競技プレイヤーにもなってしまった事。そのためファンとして特定の競技プレイヤーを応援し、競技 Magic を側面から盛り上げようという気運が生まれなかった訳です。そして私個人は、そういう競技 Magic の状況を大きく2つの点で問題だと感じています。
1つは「一般プレイヤーの競技への関心が薄くなる。」という問題です。例えばプロ野球という世界は、それこそシーズン中はおろかOFFシーズンやキャンプの頃から話題が盛り上がっています。それはなぜかと言うと、プロ野球ファンの関心が“自分が好きな選手の活躍”とか“ひいきチームの勝敗”にあるからなのです。だから1年中途切れる事なくプロ野球の話題は話され、だからこそシーズンが盛り上がるのです。(従って逆も言えるのです。実際に今年のシーズン前は日本のプロ野球選手の話題ってほとんど盛り上がらなかった訳で、その煽りがシーズン突入後の視聴率などに如実に影響しているのです。)しかし日本の Magic は過去7年ほどの歴史の中で、ついにそういう盛り上がりを勝ち取れずに今に至っています。日本選手権で優勝したプレイヤーの名前は知らないが、使ったデッキはそれこそサイドボードまで暗記している。極論すればそんな人すらいるでしょう。だから参加者以外はほとんど盛り上がらない。こんなの当たり前ですよね。
そしてもう1つが「競技イベントそのものへの関心や興味が盛り上がらない。」という問題です。現在競技イベントに関心があるという方も、その多くが競技イベントそのものではなく“その結果”にのみ関心を持たれているのです。世のデュエリストの関心事が“プレミアイベントでどんなデッキが勝ったか?”のみである以上、そこに至る過程とか途中経過なんて一切見る必要がないでしょう。そこで優勝したデッキを俺も作ってしばらく暴れてやろう。そこで優勝したデッキがその後しばらく流行るから、投機のために使用されたカードの情報を仕入れておこう。そんな感じなのです。しかしそんな競技イベントが果たして盛り上がるでしょうか。実際問題として盛り上がっていないですよね。要するにプロ野球の結果を知るために翌朝の新聞だけを読んで、生中継のTVを見たり球場に行って試合を観る人が現れないのと同じです。これで誰がそのイベントの盛り上がりを実感できるでしょうか。
実際に世のWebサイトを見渡してみても、競技 Magic の話題に反応される方とそうでない方との温度差はかなり大きいと思われます。昔は日本の Magic でも一応前者が圧倒的に多いように見せる事ができていて、それなりに盛り上がっているように見せかける事ができていました。しかし今のようにこれだけ一時期の勢いが衰えてしまうと、もう騙そうにも限界があるでしょう。言ってしまうと“毎年ある特定の決まったメンバーしか騒いでいない”訳で、しかもそのメンバーは毎年確実にその数を減らしている、あるいは残ったメンバーも一時期ほど盛り上がっているように見えない気すらします。何よりもそういう Magic の衰えを販売店は売り上げ減やイベントへの集客減で身に染みて感じている訳で、我々デュエリストよりも一足早く Magic から逃げ出している。そんな感じかも知れません。
じゃあどうすれば Magic でも話題性の高いスター選手が育つのか。その方法というかやるべき事は実はいくらでもあるのです。これは昔からよく言われている話なのですが、何よりも“器を作る”事だろうと思います。それこそ日本でトップクラスの競技プレイヤーは年間に一千万円とか二千万円なんて賞金を稼ぐ。五百万円オーバーのプレイヤーを含めると2桁の人間が競技 Magic の賞金だけで飯を食っている。しかも彼らはマスコミにも露出して Magic の知名度アップに大いに貢献している。こういう環境ができれば当然 Magic に関わる多くの人達が競技プレイヤーに憧れ、多くがそれを目指すでしょう。そうなれば競技 Magic のイベントの話題も盛り上がり、結果的に Magic という世界全体が活性化するのです。こういう理想論が可能か不可能かなんてここでは問題になりません。だって“過去に誰1人としてそういう理想郷を作ろうという話すらしてこなかった”のですから。そしてそうやって競技プレイヤーに高額の報償を出す以上、競技推進サイドは競技プレイヤーにより高いスキルを求めていいはずです。それこそ初心者育成に関心がないプレイヤーには競技イベントへの参加をご遠慮願ったっていいのです。競技プレイヤーを目指すデュエリストの母数が増え、そしてより厳しい条件で彼らが選抜される。そうなれば当然残った人達は選り抜きの精鋭になります。そういう環境が何よりも今の競技 Magic には必要だと私は考えています。
この際なのではっきり言ってしまいますが、現状の Magic の競技プレイヤーって“なりたい人”がなっているだけなのです。しかし世の多くの競技では多くの“なりたい人”の中から“させたい人”あるいは“なるべき人”を選んでいて、実際にどれだけ競技プレイヤーへのモティベイションが強くても、様々な条件で振り落とされているプレイヤーが大勢います。そしてそうやって振り落とされた人が多ければ多いほど、結果としてその競技はレベルの高い物として定着できるのです。どうも日本の Magic にはレベルの向上に関して“現有戦力を強化する”という発想が支配的な気がします。でもそれって私に言わせると、要するに今の競技プレイヤーが日本の Magic 界に台頭して、多くの人達が自分達を敬って話題にしてくれる環境を作りたいだけなんですよ。これはよく言われる話ですが、世界一を真剣に目指さずに世界一になれるプレイヤーは滅多にいません。そして世界一を真剣に目指した多くの人達の中から世界一は生まれるのです。日本の競技 Magic を活性化するための切り札、それは“世界一を真剣に目指すデュエリスト”を数多く生み出す事なのです。まあ最近日本でもそれに向けた動きが一部で起こっているようですが、どうも過去の経緯もあって一般デュエリストがその動きに強い関心や興味を持つには至っていないようですけど。
あとその他にも色々と問題はあります。例えば競技から脱落した人や引退デュエリストの受け皿をどうするのかとか、学業や仕事と Magic との両立をどう支援するのかとか。たかがカードゲームに・・・と思われるかも知れませんが、でも競技 Magic ってそこまで個人の時間や資金を拘束して、ようやく成立する世界なんですよ。そういう説明をWoCやHJがほとんどせず、単にイベントや賞金を鼻先にぶら下げてデュエリストを競技へと煽る。だから失敗した。話は簡単なのです。だとすれば今からでも変えていくしかない。でも競技関係者にはそういう意識がない。これではそのうち競技 Magic そして Magic そのものが世界的に終焉を迎えるでしょう。何しろ Magic の売り上げが落ちただけで維持できないような後ろ盾の乏しい世界な訳ですから。
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さて、じゃあそういう課程で実際に世界でナンバーワンになったプレイヤーのみが偉いのか。そうじゃないですよね。最近例の曲のヒットもあって色々な場所で言われている言葉ですが、要するに自分自身が“オンリーワン”になる事を目指す。それもより多くの人達に「あの人の代わりになれる人はいない。」「戦績なんかには無関係に自分はあの人が好きだ。」と支持されるようなオンリーワンになる。そういうプレイヤーを産み育てる事も Magic の発展に取っては必要不可欠なのです。だって競馬の武騎手や将棋の羽生名人のように、それこそスーパープレイヤーが1人現れるだけでその世界の知名度とか人気はいくらでも上げられるのです。じゃあ現在の日本の Magic にその可能性はあるのか・・・これ以上コメントを続けると色々と揉めそうなので差し控えさせて頂きます(爆)。 しかしそういうスーパープレイヤーは、そもそもその競技の世界に世の関心が無ければ生まれません。例えば高校野球には毎年多くのスター選手が誕生していますが、しかしその他の高校スポーツ界では多くのスター選手は卒業してプロに入る、あるいは大きな大会で活躍してから本当の意味での注目を浴びる事が多いはずです。それはそれだけ競技(イベント)への注目のされ方が違うからです。卓球の福原選手みたいな例は普通は極めて希で、彼女はたまたま幼少期にTVに出る機会を得て人気者になり、そしてその人気に実力や人間性が伴っていた。それだけの事なのです。いや、簡単に言っちゃいましたが実は凄い事なんですけどね。 要するに競技 Magic という世界にどれだけ“チャンス”が転がっているのか。そしてそのチャンスを物にできる人がいるのかいないのか。そういう事になるかと思います。例えばの話、日本の Magic プレイヤーで Magic の話題でTVに出た人ってどの位いらっしゃるでしょうか。それが要するに代表的なチャンスの1つなのです。多分そういう機会は過去にあっても、その多くというか大部分がHJの関係者や取り巻きに奪われて、そして恐らくは大した成果も上げられずに無駄に終わったものと思われます。(というか、実際無駄に終わってるんですが。 (^^; )でも福原選手はそういうちょっとした機会を見事に自分の物にしてしまった。それは先日の松井選手の満塁ホームランも同じです。そもそもそういう華のある人にはどういう訳かチャンスは巡ってくるし、そしてどういう訳かそのチャンスを物にしてしまうのです。しかし Magic プレイヤーは他の成功者達ほどにはそういうチャンスを物にできない。だとしたらどうすればいいか。そういうチャンスを誰かが増やしてあげるしかないのです(笑)。それこそWoCやHJがお金を出してでも競技プレイヤーを露出させ、そして彼らを通して世の関心を Magic に向けさせる。本来 Magic はそういう汗のかき方をしなければいけなかったし、そういう方向性にこそ資金をつぎ込むべきだったのです。 販売の世界では“店員は顧客を自分のファンにしろ”と言われます。ファンはイコール“リピーター”でもあり、お店に繰り返し通ってくれて商品を買ってくれる、つまり良いお客さんになってくれるのです。前にも書いていますが“千客万来”という言葉は決して一千万人のお客さんが1度限り店に来る事ではなく、多くのお客さんが繰り返し店に来てくれる様なのです。しかし日本の Magic は一過性のブームを狙い競技指向でユーザーを煽り、でも結局のところリピーターを獲得できなくて成功できなかった。話は簡単ですよね。じゃあ今から改めてリピーターを獲得するにはどうすればいいのか。それは日本の Magic がなぜか持っていないゲームがヒットする要素、すなわち“話題性”“割安感のある値段”“継続的なユーザーサポート”を同時に実現するしかありません。そしてその話題性の大きな柱としてスター性のある競技プレイヤーの育成は絶対に必要である。私はそう思っています。まあ今までみたいなやり方では絶対に無理でしょうけど(嫌爆)。 |