| レギオンの憂鬱 | ||
MAGIC:the Gathering の最新エキスパンション“レギオン”ですが、どうやら販売上かつてない苦戦を強いられているようです。米国や日本の主な並行輸入業者では、発売から2ヶ月経つか経たないかという現時点で、既に叩き売りとも思われる価格で売られ始めています。そのレギオン発売時に日本国内で実施された一連のフライング販売規制は、それこそレギオンが人気商品であるかのごとき取り扱いとも思われ、一体あの規制は何だったのかと改めて考えさせられます。 Magic では次の拡張エキスパンションであるスカージから国内販売価格の値下げが発表されているのですが、恐らくこの直接の理由もレギオンの不人気振りにあったものと想像されます。しかも加えてスカージでは(HJ経由の購入分について)レギオン以上のおまけが用意されており、一部には「ひょっとしてスカージはレギオン以上に・・・」という不安の声すら聞かれます。実際に Magic には過去において「エキスパンションがヘボイ(=事前に売れないと見越される)時にはサービスが充実する」という悪しき慣例があったりするんですよね。 (^^;さて、ではWoCは一体レギオンで何を間違えたのでしょうか。私個人はこれについて「すべて」という意見を持っています(笑)。その内容、売り方、そしてここに至るまでの経緯、そのすべてが私に言わせれば間違っています。
まずレギオンの内容です。クリーチャーオンリーというその内容は、デュエリストが Magic に何を求めているのかという期待や希望を全く理解していなかったとしか思えません。そもそも最近の Magic は異常と思えるほどクリーチャー戦(クリーチャーで対戦相手にダメージを与えて勝つデッキ)に固執し、デュエリストにそれを半ば強制しています。そしてそういう Magic に既に多くのデュエリストは飽き飽きし始めていた。それはここ最近の日本での Magic の売り上げを見ても明らかです。特にジャッジメント以降の Magic の売り上げは、それこそ誰の目にも見て分かる程の明らかな落ち込み振りです。(それを示す客観的な統計データも出ていますし。)そんな中でクリーチャーしか収録されていないエキスパンションを出した。それは既に食傷状態の人間の口に更に強引に食べ物を押し込むようなものです。そりゃあそもそも食べてもらえないでしょうし、食べさせたとしても多くが戻しちゃいますよ。あまつさえオンスロートサイクルで登場した“変異”が、そもそも遊戯王OCGの真似だという見方もあります。他のヒットゲームの真似をして売ろうとする、そんなゲームにユーザーが魅力を感じるとは私には思えません。
そして売り方の問題です。少なくとも日本の Magic に、今や販促の手段は“競技”しか残っていません。そんな中で構築戦の戦力にならないエキスパンションを出したところで、今や Magic 購買の主力となっている競技プレイヤーが買う訳がないのです。先日外国のある大きなイベントでのTOP8デッキの情報があったのですが、そこで使われたレギオンのカードはわずか1種類(2枚)だったそうです。それも私に言わせると「なんでこんな効率の悪いカードをわざわざ使うんだろう?」と思える物です。(実際に福井在住のある競技プレイヤーにも聞いたところ「このカードは外した方が強いと思われます。入れるとしてもせいぜい1枚かな。」という返事が返ってきました。)これだけ構築戦でレギオンが戦力にならないのでは、さすがに限定戦も遊んでもらえないのではないでしょうか。だって遊んだ後のカードの行き場がないのでは、怖くて限定戦なんか遊べませんからね。
そして何よりも問題なのは、ここに至るまでの経緯です。そもそも Magic の世界には競技プレイヤー以外の人種がほぼ絶滅しており、しかもWoCはコレクターを根絶させるような画一的&無個性なカードイラストを乱発してきています。例えばレギオンがそれこそ Magic 創生期のような賑やかなカードイラストで満たされていれば、まだ事情は変わっただろうと思うのです。しかしカードイラストにすら見る物がない。そしてファンデッキ使いに一念発起させるようなユニークな能力のカードもなさそう。これで一体WoCはレギオンを誰に買わせるつもりだったのでしょうか。あまつさえWoCはそのユーザーが支持してもいない(商品が売れない方向性の)コンセプトを貫くために、レギオンでは特定の人気イラストレーターにカードイラストを描かせていません。そして例の“ Rebecca Guay 女史解雇騒動”まで起きる始末です。はっきり言いますが、こんなエキスパンションは売れなくて当然です。しかもそんなカス商品をフライング販売の規制までやって売ろうとする。そりゃあ販売店だって白けちゃいますって。
ここ最近の Magic には、残念ながら「競技で使える強いカードセットは売れる」という悪しき慣習ができてしまっています。しかしそういう慣習を Magic に植え付けてしまったのは、誰でもないWoCとHJなんですよ。それなのにこの期に及んでこういう売れないエキスパンションを出してしまう。さすがに私に言われると「あなた達やっぱり頭悪いでしょう。」という感じです。実はそういう慣習から Magic が抜け出すチャンスは過去にありました。それはリチャード・ガーフィールド氏が自ら製作に関わったマスカレイドサイクルの頃です。あの頃のようないわば“烏合の衆的なカードの集合体”が本来の Magic の姿だった訳で、それをその後も続ければ Magic は今のような軍拡競争にはならなかったはずなのです。ところが残念な事に Magic は、そういうブロックをウルザとインベイジョンというオーバーパワーなブロックで挟んでしまった訳です。これでは何も変わらないのです。実際に変わらなかったですし。
これは是非ともWoCの関係者、それもレギオンの開発を実際に担当した人間に問い質してみたい質問なのですが、一体彼らはレギオンで何を狙ったのでしょうか。ひょっとして彼らはオデッセイサイクルのブロック落ち後を見越して「オデッセイが落ちれば皆さん嫌でもレギオンを使うだろう。」とか思っているのでしょうか。しかしレギオンの登場で日本の Magic 市場には今や春風どころかブリザードが吹き荒れています(笑・・・えない)。はっきり言いますが日本の Magic 市場はそんな半年以上先の出来事なんか待っちゃいられませんよ。というか、多分更に多くのデュエリストがオデッセイと一緒に Magic から去るでしょうね。前から言ってきた話なのですが、こういうエキスパンションを出したいのであれば、やはりそれに向けた準備を数ヶ月あるいは数年前からやっておくべきだったと思います。それこそ競技プレイヤーにはそっぽを向かれても、コレクターやファンデッキ使いが「このエキスパンションいいなあ。」とか言いながらコンスタントに買い続けてくれるようなら Magic という商売は維持できるのですから。
さすがに今回の件については、特にWoCに対して猛省を促したいと思っています。はっきり言いますが君らは進むべき方向性が見えて無さすぎです。どこか一方方向に突き進んでくれればまだましなのですが、実際にはあっちへフラフラ、こっちへフラフラしているみたいですし。これではそのうち本気で Magic から人がいなくなりますよ。
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さて、10周年の記念すべき年に暗い話題が多い Magic ですが (^^; そんな中で日本の競技プレイヤーが世界規模の大きな大会で確実に結果を出し始めているようです。日本の Magic の現状に危機感を持って突き動かされたとすると、あまり素直に喜べる状況でないのも間違いないのですが。ひょっとすると次に日本で開催されるプロツアーや世界選手権では・・・そんな期待感も膨らんできます。 正直言ってしまうと、こういう動きは私から見ると“既に遅きに失した”という印象があるのも事実です。もはや日本の Magic には競技の話題が盛り上がる土壌すら失われつつある気がします。少なくとも最新エキスパンションの販売がこれだけ不振で、加えて販売店にしわ寄せがきつい値下げの影響もあって、更に多くの販売店が Magic を離反することが予想されます。(実際に東京でもまた大手の Magic 販売店が閉店するようですし。)そんな中で万が一日本の競技プレイヤーが世界を獲ったとしても、それで日本の Magic 販売が盛り上がるとは考えにくいからです。それこそ少年ジャンプやコロコロコミックに Magic の紹介が載っていた頃ならば、チャンピオンがマスコミの取材を受けて Magic の話題が広く発信される、そんな効果も期待できたんですけど。あまつさえ今世の中は某戦争のニュース一色ですし。 ただどうでしょう、例えば私みたいな個人がやってきたこういう言論活動ですら、それこそ地道に積み重ねれば一定の成果が得られるようです。これは別に私の手柄だとか主張する気は全くありませんが、結果的に日本の Magic も昔に比べればユーザーサポートが充実し、一時期不可能だと思われていた日本語版の値下げも実現しています。競技プレイヤー諸氏が「自分が世界を獲ることが日本の Magic 発展にも貢献するんだ。」という明確な志と目的意識を持っているのであれば、その結果はどうあれその道に邁進すればいいと思います。ただしその過程で他人をけ落としたり、ましてや他人の犠牲の上に自分の競技生活を維持する。それはさすがに以ての外だと思います。あと競技イベントのトップニュースが「某有名プレイヤーが失格を食らった!」というのは、さすがに勘弁願いたいですが。 ただ実は福井にも、現状の競技 Magic について「 Magic を売ってるメーカーが自分で賞金を出して競技イベントを維持しているというのは、それだけで Magic が負けてる証拠になる。」という厳しい意見があります。これについては私個人も同意見だったりします。こういう現状を打破して競技 Magic を世界的に盛り上げるには、やはり競技イベントの大きなスポンサーになり得る企業が多い日本で Magic を盛り上げる事が大事なのではないでしょうか。でもこんな事はそれこそ日本語版第4版発売の時点で検討され、それから6年も経った今は具体的な道筋が見えている位になっていて当然だと思いますが。そもそも Magic にはそれを実現できるだけの潜在能力があったはずなのですが、一体誰がどこで何をどう間違えるとこうなっちゃうのでしょうか? |