TCG戦争
〜 生き残るのは誰だ? 〜
 
 
 今回は久しぶりに遊戯王OCGのお話がメインになるかと思います。

 昨年度に遊戯王OCGは北米市場への進出を果たしました。しかし昨年度の北米での遊戯王OCGの売り上げは3億円程だったそうです。また2002年度第1四半期終了時にコナミが出した見通しも「今年はなんとか北米で35億円ほど売りたいです。」という控えめな物でした。ところが現実は違っていました。2002年度第3四半期終了時点(2002年4月〜12月の9ヶ月間)での北米での遊戯王OCGの売り上げ額は、コナミの予想を5倍以上も上回る実に200億円に達しているそうです。この勢いですと年度通しての売り上げは300億円に届きそうな勢いです。しかもそのカードゲーム人気を支えたアニメとの相乗効果からゲームソフトも売れているそうで、コナミはまさに笑いが止まらない状況になっていると思われます。実は遊戯王OCGはアジア地域での売り上げを更に減らしていて、今年度は前年度の約250億円から更に150億円程度に落ち込むと予想されます。しかし北米地域での好調が強力な追い風となって、遊戯王OCGはかつての全盛期の勢いを取り戻しつつあるのです。また遊戯王OCGは今年度中に欧州市場への本格参入を計画しています。ちなみに現在北米あるいは世界規模での Magic の市場規模は資料がないので不明なのですが、少なくともWoC自身が世界的な市場規模でも Magic が遊戯王OCGに負けている事を認めるに至っています。

 さて、この状況は日本のTCG市場にも幾つかの大きな影響を与えると思われます。

 その1つが“日本市場の空洞化”という問題です。今や遊戯王OCGの主たる市場が北米に移った。また欧州でも同様の成功が十分見込める。これによりコナミのサポート体制が更にアジア市場から欧米市場へシフトする事は容易に想像が付きます。しかも一時期600億円ほどもあった日本での遊戯王OCGの売り上げが150億円とか更にそれ以下に落ち込む。そうなるといよいよ日本ではTCGという商品で商売が立ち行かなくなる可能性が高くなります。何しろ全盛期にはTCGショップの売り上げの半分以上を遊戯王OCGが占めていた訳で、それが失われた影響は計り知れないのです。それこそ他のTCGタイトルがどれだけ頑張っても、それで売り上げが維持できなければ閉店する販売店がいよいよ増えるでしょう。

 それともう1つ、これは Magic ユーザーに限った話なのですが、要するに“メーカーのサポートがいよいよ期待できなくなる”という問題があります。WoCは間違いなく日本の市場よりも北米の市場の方が大事だし可愛いに決まっています。その市場が遊戯王OCGに脅かされ始めた。そうなるとWoCは販促で使用可能なリソースを北米に集中して Magic の市場維持を図るはずです。それこそ Pok?mon がブームになった途端に Magic の生産が後回しにされ、それで Pok?mon に衰退の兆しが見え始めた途端にサポートを縮小されたように、北米市場を守るためにアジアの Magic 市場が犠牲になる可能性は高いのです。しかも今はアジア市場からできるだけ資金を集めて北米に注力したい訳で、これで日本での Magic の値下げなんかもいよいよ期待できなくなると思われます。

 ただ日本では遊戯王OCGや Magic といった旧来のTCGが売り上げを落とす中、デュエル・マスターズやアクエリアンエイジ(に代表されるブロッコリーブランドのTCG)が売り上げを順調に伸ばしているようです。実は私個人の試算ですと、下手すると来年度辺り日本市場においてブロッコリーのTCGは、トータルで Magic のシェアを逆転する可能性が十分あります。(現状でもかなり肉薄しているようですので。)しかもアクエリも欧米への進出を目論んでいるのですが、私が調べた限りアクエリが欧米に進出した場合、むしろ失敗する理由を探す方が難しかったりする位です。(どの位ブームが続くかは分かりませんが、まあ間違いなく売り出し当初は爆発的に売れると断言すらできます。)つまり結果として米国生まれのTCGが日本で育って世界市場を席巻するという、かつての自動車産業等で起こった出来事がそっくりそのまま起こりそうだ。これが現時点での私個人の見解です。あ、ちなみにこの意見に関して疑問がおありの方は、ご自身でコナミ/ブロッコリー/ホビージャパン辺りの財務情報を取得して比較されてみるといいかと思います。私自身も基本的にはそういう公開情報でこの話の裏は取っていますので。

あいせんの“本音の部分”

 “本音の部分”はいつも通り Magic のお話です。

 さて、ではこういう状況になってWoCはどう考えているかというと、どうも「遊戯王OCGの自滅待ち」というスタンスでいるようです。要するに遊戯王OCGはこの先何年も遊び続けられるゲームじゃないからいずれ廃れる。しかも我々は10年も Magic というブランドを維持してきたのだから今後も大丈夫だ。何より今まで売ってきたトータルのカードは我々の方が圧倒的に多い訳で、だからまだ我々はナンバーワンなんだ。そういう事のようです。

 しかしよく考えてみて下さい。そもそも日本で Magic にケチが付き始めたきっかけってなんでしたっけ。それはWoCが欧米での Pok?mon ブームにわき返って Magic を放り出し、ウルザサイクルの増販をサボったからじゃなかったでしたっけ。当時まだ Standard で使えるエキスパンションのパックが600円とか800円に高騰し、それでも入手できれば幸せな方だ。そういう状況に嫌気がさして Magic への熱が冷めちゃった方が多かったと私は記憶しているのですが。

 それと我々ユーザーに「買って2年が経ったカードなんか使うんじゃねえ!」と言って競技を押し付けたのってどこのどなたでしたっけ?。それがこういう状況になると「いや我々はもう10年も Magic を売ってきて・・・」とか言い出す。だから私は言うんですよ、寝言は寝ている間だけにして下さいってね。 Magic はメーカー自身の手で寿命が2年のゲームになってしまっています。つまり既に現時点において“市場で稼働しているカード”も遊戯王OCGの方が上回っている可能性があるのです。ましてや今年の末のオデッセイサイクルのブロック落ちの後では Magic の劣性は決定的でしょう。

 現在世界的に見た Magic の市場規模は、私個人はおおよそ200億円台ではないかと予想しています。確か Magic って競技イベントにトータルで4億円近い賞金を提供しているはずなのですが、つまり今WoCは自社売り上げの実に2%近くを賞金として支出して競技イベントを支えている計算になります。さすがにこれには無理があると言わざるを得ません。まあ企業が売り上げの3%を広告費に使って“競技イベント以外に一切何らの販促活動もしない”と考えれば、原理的には可能なんですが・・・あ、だから Magic って今みたいな状況になってるのか(笑・・・えない)。

   

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