| そして歴史は繰り返す | ||
今年 MAGIC:the Gathering は誕生から10年を…迎えてしまいました(笑)。前から何度か話題にしていますが、玩具業界には“10年周期説”なる俗説が存在します。例えば格ゲー(対戦格闘ゲーム)は1987年8月に発売されたストリートファイターがその起源と考えられるのですが、やはりその登場から10年後の1997年には明確に衰退局面を迎えていました。格ゲーの実質的な始まりは1991年3月に発売されたストリートファイターIIであると考えられるのですが、その10年後の2001年に満足な記念イベントを開くことなく今に至っていると思われます。ひょっとするとちょっとしたイベント程度は開かれているかも知れないですが、でもほとんど話題にはなっていないでしょう。(あとSNKの経営危機が表面化して特定調停の申し立てをしたのは、奇しくもそのちょうどストII10周年に当たる2001年3月なんですよね。)実際には10周年を迎えられる遊びの方がむしろ珍しい訳ですが、そこから更に先につなげるのはいよいよ極めて困難である。そういう事なんでしょう。
10年という月日は、発売当時としては完成された斬新なゲームシステムですら、老朽化させるには十分すぎる長さです。また発売当時は子供だった人達も多くが成人になっており、同じゲームを後進(=次の世代の子供達)にいかにして遊ばせるかが大きな課題となります。しかも世の中はめまぐるしいスピードで前(!?)に進み続けていて、次々と新しい遊びが生み出されています。ただ1つ勘違いしてはいけないのは、必ずしも新しい物が良い物だとは限らないという事です。それは例えばTVゲーム業界の様子を見ても明らかでしょう。昔ファミコンやスーパーファミコンが全盛だった頃、間違いなくTVゲーム業界には元気と勢いと明るい話題がありました。しかしこれだけゲーム機の性能が向上した今、TVゲーム業界は“氷河期”とすら言われる厳しい時代を迎えています。私自身も未だによく遊ぶゲーム機はNEO・GEOだったりしますし。 (^^; あ、でも最近はパソコンでDIABLOIIを遊ぶ時間が圧倒的に多いかな。
さて、じゃあ Magic はどうなんでしょうか。過去に Magic でも何度か大幅なゲームシステムの改定が行われています。ただいわゆる“第6版ルール”に限って言うと、どうも私個人はWoCが言うような“遊び手の便宜を図っての措置”ではないという印象を持っています。これは前にも記事で書いているのですが、要は“ Magic をコンピュータ・ゲーム化するために機械で処理しやすいようにルールを変えた”という事です。実際に現在WoCは Magic をネットゲーム化してその普及を図っています。(おかげでリアル・カードで Magic を遊ぶ人がますます減っているという話も出ていますが。)実はこういう話は格ゲーの世界でもありました。これは特にCAPCOMの2D格闘ゲームに見られた傾向なのですが、あらかじめ家庭用ゲーム機への移植を見越して、アーケード版のキャラクタのグラフィックやパターン数を減らすという事をやった訳です。おかげで確かに家庭用ゲーム機には文字通り“完全移植”のゲームが出た訳ですが、その裏でアーケードゲームの質の低下を嘆いて多くのゲーマーが格ゲーを去ったのです。それと同じ事を Magic がやっていないのか、私にはちょっと引っかかる部分があったりするのですが。実際に競技の妨げになるという理由で(!?)“暗黒の儀式”が基本セットから削除された事が、未だに多くの Magic ファンを失望させているという話もありますし。
1つの遊びが10年を越えて遊び続けられる、そのための施策は大きく2種類に分かれると思います。1つは“完成された同じゲームシステムを半永久的に楽しんでもらう(システムの変更はゲーム性を維持するための必要最低限に留める)”という物。例えば囲碁や将棋、あと多くのスポーツ競技なんかもこれになるでしょうか。もう1つは“ゲームを変化させ続けて常に真新しいゲームシステムを楽しんでもらう”という物。格ゲーや Magic はこれを目指していたと思われます。しかしはっきり言ってしまうと、実は後者には今まで明確な形での成功例がほとんど無いんですよ。ゲームタイトルだけが継承されて中身は全くの別物になってしまった。まあそういう物はあるんですけどね(笑)。しかも格ゲーにしても Magic にしても、果たして“変化”が“進化”になっていたかというとかなり疑問です。むしろ実状は両者とも“退化”に近かったかも知れません。だってそうでなければ格ゲーや Magic が一旦は多くの人達に支持されながら、その後尻窄み状態になって衰退局面を迎えるはずがないんです。あと両者には他にも色々と共通点があります。競技指向を煽って多くのユーザーにそっぽを向かれたとか、ストーリー重視に走ってゲームそのもののクオリティの向上が図られなかったとか、そのくせ絵で手抜きを始めて途端に人気が落ちたとか(笑)。でも少なくとも Magic は格ゲーの失敗を生で見ている訳で、何もここまで忠実に失敗事例を真似して、自分まで負け組に入る必要はなかったはずなんですけどねえ。 (^^;
さて、では Magic 10周年に当たってWoCは Magic をどう考えているのでしょうか。実はその見解そのものは既に色々な形で我々ユーザーに示されています。要するに「我々は競技 Magic をもって Magic の正当な遊び方とする。それ以外のユーザーの存在を認めはするがサポートは一切しない。」という事です。最近では公認トーナメント以外のサポートも始まってはいますが、それにしても今はほとんどが“競技イベント”という形を取っています。つまりWoCは Standard を軸とする構築戦、そしてシールドやドラフトの限定戦、この2種類の Magic しか今は認めないという事なんです。そしてそれはイコール「我々は常に Magic を買い続ける顧客しか顧客とは認めない。」という事になるのだろうと思います。それは営利目的に設立された企業としてはある意味で正しい姿だろうと思います。そういう Magic が嫌なら Magic から去ればいい。そういう点でWoCの姿勢は現在一環していると思います。何しろ彼らはネットゲームでですらそういう姿勢を貫き通している位ですし。
ただどうでしょう、実はそういう Magic の売られ方って、少なくとも日本国内に構築された Magic の販売システムとは相容れないのです。少なくともHJは日本での Magic ブーム化を諦めていないようです。HJがやはり営利目的の企業である以上、それもまた企業としては正しい姿ではないかとも思います。(ただし“方法論”が明らかに間違ってますが。 :-P )また日本で Magic を販売する多くのおもちゃ屋や書店から見ると、競技指向のプレイヤーには自店を選んでもらえないのです。イベントを開けばそこそこ人は来るけれど、でもカードは並行輸入業者から通販で買われてしまう。そんな状況がもう何年も続いています。じゃあどうするべきなのか。それはHJがWoCの販売方針を日本流にアレンジして、HJだけでなく多くの販売店も潤うような Magic の売り方/遊ばれ方を日本に定着させるべき…だったのです。ただしこんな話はそれこそ日本語版第4版発売の前に検討され実行されるべき話であり、ここまで衰退傾向が決定的になってしまった今となっては既に遅きに失した感が強いですが。
WoCもHJもこういう現状を変える気がなくて、今では半ば日本の Magic 流通を見殺しにしようとしている。ただ今までWoCに尽くしてくれたHJまで見殺しにするのは気の毒なので、取りあえずD&Dといったゲームを売らせて企業としての延命を図っている。言ってしまうと今はそういう状況なのです。これで誰が Magic 10周年を心から祝えるのでしょうか。今年の夏には10周年記念のメガ・イベントがあるそうなのですが、発表されたその内容はいつもやってる競技イベントにちょっと毛が生えた程度の物にしかなっていないです。まあそういう点においてもなおWoCの方針は一貫している訳ですが、でもさすがにHJは文句を言うべきだろうと思います。
さて、では我々デュエリストは Magic 10周年をどう迎えればいいのでしょうか。基本的には今まで通り“自分が信じてきた道を進み続ける”しかないのだろうと思います。競技指向が強い人は今まで以上に頑張って、それこそ Magic で飯が食える位強い競技プレイヤーになればいい。まったりやりたい人はそういう世の大きな潮流に流されないように、今まで以上に確固たる姿勢でまったりやればいい(笑)。そういう事です。ただ1つ言えることは「こういう Magic と付き合う以上、ナアナアで続けるのはろくな事がない。」という事です。新製品が出たから取りあえず買っておこう。新しいデッキ情報が出たから取りあえず作ってみよう。そういう取り組み方では何も変わらないし、今後更に Magic の衰退局面が明確になった時に真っ先に犠牲者になりかねません。というか、それでは今の衰退局面を誰も変えられないのです。やるならきっちりやる、やめるならきっちりやめる。そういう強い意志の元に Magic と付き合わざるを得ない。今はそういう状況なのです。これは販売店にしても同じです。ただし見切りを付けるならカードの価値がまだ維持されている今がチャンスなのですが(ぉ。
さて、では本編の最後に私自身の現在の Magic 感を書いておきます。多分私は上に書いた“WoCに見放されたデュエリスト”の最たる例なんだろうと思います。 (^^; でも少なくとも今福井市という地域では、そういうデュエリストが Magic イベントを開き、ある相当部分のコミュニティを維持している。これは紛れもない事実です。私が自分の主催イベントをやめてしまったら、多分福井市の Magic はいよいよ衰退傾向が止まらなくなるだろうとも思います。私が今WoCに言いたいのは、要するに「私みたいなデュエリストを見放すのは別に構わないけど、それだったら私自身が Magic をやめてもいいように別の(競技を大成させようという強いモティベイションを持った)イベント・コーディネイターが福井にも生まれるような魅力のある Magic を売ってくれ。」という事です。でも今の Magic にはそれだけの魅力がない。だから私みたいな隠居が老体にむち打って頑張るしかないんです(笑・・・えない)。
日本の Magic が人を育てなかった。その事が今、日本の Magic にあらゆる意味で悪影響を与え続けています。そしてついには“日本の Magic 流通からカードを買うデュエリスト”すら失おうとしている。これが紛れもない現実なのです。私自身も今後ますます Magic との距離感が遠く感じられそうな気がしています。今年いっぱい私の Magic イベントは維持されるのか。この Echizen Gather-ru はどうなるのか。それも今はよく分かりません。この後私が何か別の趣味を見つけたら、その途端にここはガラッと模様替えするかも知れません。あ、今年中にDIABLOIIIでも発売されたら、その瞬間に…という話はありそうですね。 (^^;
|
今回は“カジュアル・プレーの推奨”から色々と考えたお話を。 最近日本でもこのカジュアル・プレー(競技指向から離れたマジックの楽しみ方)の必要性が大きく言われ始めています。ただその話題の中で過去に何度も言われているように、自分が対戦で負けるためにゲームを遊ぶ人は普通いません。しかも現在 Magic の世界では勝敗が最も重視され、それ以外の要素がないと言っても言い過ぎではない位です。つまり大部分のデュエリストが“デュエルに勝つ”事を唯一の目的に Magic に取り組んでいる、そういう事になります。そんな中で1人だけイベントにお遊び志向のデッキを持ち込んで、全敗してもニコニコ笑ってデュエルを楽しんでいる。そんなデュエリストがどの位いるでしょうか。皆無とは言いませんがほとんどいないでしょう。しかも今はそういうデュエリストには何らの恩恵もないし、あまつさえ「こいつ競技デッキの情報には疎いみたいだから…」でシャークの標的にされる。そんな危惧すらあります。それでも皆さんは他の人にカジュアル・プレーを勧める、あるいは勧められるのでしょうか。ちなみに私は嫌です。私自身は今確かにそういう Magic を遊んでいる気はしますが、でも人に勧める気は全くありません。そんなの人に勧められてできる話じゃないですし、勧めたところで意味がないでしょう。カジュアル・プレーを競技指向と同じ程度普及させたいのであれば、そもそも競技指向と同じだけの“取り組む事へのメリット”がないと無理なのです。 ただ日本の Magic 流通から見ると、実は現在このカジュアル・プレーの推奨は業界全体にとってまさに死活問題になりつつあります。日本のデュエリストの多くが競技指向に走り、そして並行輸入のパックを買いあさっている。そういう現実があるからです。これも前から書いている話ですが、今日本の Magic 販売店で開かれる公認トーナメント、あるいは“○○記念トーナメント”等で上位に入るデュエリストで、日本の流通で Magic を買っているデュエリストってどの位いるんでしょう。下手すると限りなく0%に近いんじゃないでしょうか。でもそういうイベントは間違いなく日本の Magic 流通が資金や人手を出して支えているんです。これって変ですし理不尽ですし割が合わないですよね。こうなるとかなり以前にHJが言い出した「日本の公認トーナメントではHJ経由で買ったカード以外は使えないようにしよう。」という規制って、実は案外必要だったんじゃないかという気すらしてきます。(ただし言うまでもなく、この問題の大本の根元は“日本の Magic 価格”にある訳です。それを無視して無理やり日本語版を買わせようというやり方がユーザーに受け入れられるはずはないですが。)でもカジュアル・プレーを楽しもうというデュエリストなら、競技プレイヤーみたいに一度に大量のカードを買う訳じゃないでしょう。だから国内流通のカードも買ってもらえるに違いない。そういう見方はできるのです。 では、どうすれば日本にカジュアル・プレーは定着するのか。これはかなり難しい問題です。そもそも Magic の競技指向というのは、プレミアイベントで支払われる賞金と雑誌に載るという話題性、そして何よりも日本人が持つ競争心をくすぐることで今のように定着してきています。そもそも人は誰でも他人に勝って優越感を得たい訳です。しかも Magic の世界ではデュエルでの勝利が唯一絶対の正義であるという風潮が支配的で、その方法論についてはほとんど語られていません。(つまりデュエルに勝つためにはコピーデッキはおろかシャーク行為すら正当化される。そういう風潮がないとは言い切れないのです。実際に過去には自らのシャーク行為を日記に書いて悦に入ってるバカが少なからずいたみたいですし。)おまけに勝てば賞品や賞金がもらえて更にカード資産が増えて強くなれる。だから一部の盲目的なデュエリスト達の取り組みで日本の競技 Magic は今のような姿になった訳です。こういう中でカジュアル・プレーを普及させたいと思ったら、それに負けないあるいはそれの何倍もの手間をかけるしかないのです。つまり現時点では「無理!」という結論になる訳ですが。 (^^; 多分これが日本の Magic の全盛期、ミラージュサイクル〜ラースサイクルの頃ならまだ可能だったと思います。日本の Magic は今ほど競技指向に支配されてはおらず、またHJにも販売店にもそれだけの体力があったからです。でも今となってはダメでしょう。もうそれだけのパワーや情熱は日本の Magic 流通には残っていないからです。 ですから私に言わせると、インターネット上で行われている「どうすればカジュアル・プレーは普及するんだ?」という議論にも、既に今はもう意味が無くなっています。そういう議論は一般に「意見を集約してWoCなりHJに提案し、現状を改善する一助にしよう。」という目的で行われる物だと思います。ところがWoCにはカジュアル・プレーを推奨する気は微塵もなく、競技指向のみで Magic を世界的なゲームに大成しようという意図が見られます。そしてHJに至っては以前は問題意識もやる気もなく、最近ようやく必要性に気が付いたものの今度は体力も気力も失っていて為す術がない。そういう状況なのです。おまけに現在様々な意見交換をされている人達も、実際には「俺がこんなにいい事を言ったんだから、それに触発されて誰かやってくれるに違いない。」という他力本願な方が大部分なのです。その程度のちんけな意見交換で世の中が変わるなら、とうの昔に変わってます。しかし実際には何も変わっちゃいない。そして歴史は過去の失敗をまたしても繰り返そうとしているのです。 では、どうすればいいのか。方法は色々とあります。ダメ元でWoCに直訴メールを送るもよし。地元でカジュアル・プレーを重視したイベントを自分で起こすもよし。他の人が開いたイベントを盛り上げるためにまめに足を運ぶもよし。やる事、やれる事なんていくらでもあります。そういう試みが成功するとは限りません。いや、むしろ現状では失敗する確率の方が遙かに高いはずです。ただ自分では何らの改善努力もせずに、ただ世の中の流れを憂いて愚痴をこぼすだけ。これでは何も変わらないのです。以前あるニュースキャスターが選挙での投票率低下を嘆いて「今回投票に行かなかった人はしばらく政治の話は口にしない方がいい。」という意見を言っていたのですが、私はそれって正解だろうと思います。あと販売店は従業員の生活がかかっている分、我々消費者ほどバカではありません。ですから「どうも Magic には将来も期待できそうにない。」と判断し、次々と Magic から撤退しているのです。このままでは我々デュエリストは全員敗北します。しかも遊戯王やアクエリアンエイジではなく Magic そのものに負けるのです。 Magic が好きで続けたいのに続けられない。そんな状況が間もなく日本中に訪れるかも知れません。その時になって慌てても遅い。だから今のうちからできる事をやっておこう。私も今は特に自分自身にそう言い聞かせながらイベントの運営等に取り組んでいるところです。 別に私はマジックのブーム化なんか期待しちゃいません。ただこの先5年あるいは10年くらいは Magic を遊び続けられるという安心感が欲しい。それが願いです。そしてそのために自分にできることは何なのか、今も手探りで模索しながらこうやって自分なりの活動を続けている訳です。 |