“TCGフリースペース”に関する再考 
 
 このまま何もなければ、これが今年最後のエッセイになるかと思います。(私の方は大晦日が休みなだけで正月三が日は仕事なのですが。)

 以前に告知したのですが、私が主催している“TCGフリースペース”は、2002年10月〜12月までの利用状況を見てその後(=2003年1月以降)の方針を決める事にしていました。そしてその3回のフリースペースが終わったわけですが、正直言うと私個人としてはかなり不本意な結果でした。 Standard と Type-I のイベントを開いた12月にはそこそこの動員があったのですが、それ以外の2ヶ月は惨憺たる物でした。実を言うと1度は“終了宣言”を書き始めて、公開寸前のところまで行ったのも事実です。というか、今公開しているこの文章がまさにその“終了宣言”の改訂版だったりするのですが。

 多分これが“去年の”12月だったら、まあ間違いなく私は何の迷いもためらいもなく「TCGフリースペースは今年一杯をもって終了します。」と宣言していたと思います。フリースペースの最近の利用状況ですが、言ってしまうと“ Standard のトーナメントが開かれるなら行く(公認トーナメントならなお良し)”という状況です。こちらが毎月第4日曜日にフェニックス・プラザでフリースペースを開いている事は、一度でもイベントに来て頂ければ分かると思います。しかしながら実際には Standard の大会が無ければ会場に来ない人が大勢いる。これでは何のためのフリースペースなのか分かりません。それなら Standard の公認トーナメントを希望する人達が集まって、持ち回りでイベントを開いてくれればいいでしょう。別に“自称:日本一公認トーナメントが嫌いなデュエリスト”である私がこういった場を設ける必要はないと思います。

 しかし今回、不本意ながら私はその決定を覆さざるを得ませんでした。現在日本国内のあちこちから聞こえてくる“ Magic 危機説”がその主な理由です。前にも書いた通り、私は Magic という船がこのまま沈むとしても、それを最後まで船内あるいは甲板に残ってしっかり見届けようと思っています。というか、正直言えば個人としてできる限りの抵抗を試みてその沈没を防ぎたいし、それが無理ならできる限り沈没を遅らせたいのです。これだけ Magic そのものへの情熱やモティベイションが冷え切った今なおそういう気持ちは変わりません。ですからそういう信条や思想を行動で現したい。そういう半ば意地みたいな物で突き動かされている。今はそんな感じです。あとそれと同時に今は福井の決して少なくないデュエリスト達が、私が開くフリースペースを数少ない“ Magic を楽しむ場”として利用して下さっているのも事実です。ですからそういったデュエリストが集まる場は存続したいとも思っています。

 実は現在、福井市でも更にもの凄いスピードで“古参デュエリストの Magic 離れ”が進んでいます。あ、こういう書き方では実状が正確に伝わらないので訂正します。今や福井の古参デュエリストはほぼ絶滅状態になりつつあります。あと私が知る限り、昔から Magic に取り組んできた福井の大学サークルの大部分も、今や見かけ上 Magic の火がほとんど消えた状態になっていると思われます。ここで私が今継続しているヴィンテージ・マジックのイベントを休止すると、実は私自身が福井のヴィンテージ・マジックのとどめを刺しかねない状況になっているのです。私個人は日本中から競技 Magic の火が消えても別に何とも思わないのですが、福井からヴィンテージ・マジックの火が消えるのは本望ではありません。ましてやその息の根を私自身が止めるなんてとてもできませんし、ましてややりたくありません。

 それで丸々3ヶ月間悩み続けた結果として、今後私のフリースペースはこんな形式で存続しようかと思っています。

基本方針

  1. 基本的に借りる会場はフェニックス・プラザ4階の小さい方の会議室に限定する。(経費を節減してイベントの継続性を高めるための措置です。)

  2. 特定のショップさんの支援を受けない形で運営する。(正直言ってやる方はきついですが。 (^^; でもぶっちゃけた話、そういう支援をお店に期待できないほど今の Magic は危機的状態だというのが私個人の認識だったりします。ただし福井市の某店さんについては、告知の店頭掲示をもって“後援ショップ”としてお名前を掲載させて頂きます。ですから当然他に告知を店頭掲示させて頂けるお店があれば、そのお店も後援ショップとしてご紹介させて頂きます。まあ賞品などのご提供を頂ければこんなに有り難いことはありませんが。 (^^; )

  3. 基本的に Type-I と Standard の大会(DCI非公認の一般イベント)を常設する。希望があれば他のフォーマットの大会も開くが、その場合その月は Standard の大会を中止とする。

  4. 今後私が自発的にDCI公認トーナメントを開催することはしない。開催希望がある場合は“その希望者が”大会を開くか、あるいは然るべき人に運営を委託する。(当然申請や事後報告もその開催希望者に責任を持って頂きます。)

  5. 取りあえずは Magic をメインのイベントにしつつも、今後イベントの核となりうる新たな遊びを参加者全員で探していく。(会場にお勧めの遊びを持ち込んで人に勧めてもOKです。ただし電源系ゲームの場合は電気代の実費を負担して頂きます。)

  6. 今後私が主催するイベントは、参加費を一律500円に固定する。(会場費を確実に捻出してイベントを維持するための措置です。これは今まで300円で運営してきたマナ文明も例外ではありません。)ただし女性プレイヤー及びその同伴者1名については、イベントの参加費を無料とする。

次に基本方針に対する補足説明として、フリースペース会場での私以外の方による Magic イベントの開催について書いておきます。

○ ショップ主催の公認トーナメント

○ 個人主催の公認トーナメント

○ ショップ主催/個人主催の一般イベント(非公認のトーナメント)

 今回特に公認トーナメントの開催にこれだけの条件を付けたのには「そんなに公認トーナメントがいいならお前らもうちょっと自分で動けや!」という意味合いがあったりします。さすがに口を開けて誰かが開いてくれる大会を待ってるだけ。しかも開いたら開いたで「天気が悪い」「他のゲームで遊んでる」で会場に来ない。それじゃあ誰も馬鹿馬鹿しくてイベントなんか開かなくなるのです。でも実際に自分でイベントを開いてみると、そういう参加者のわがままがどれだけ迷惑か、またちゃんと定期的に顔を見せてくれる常連さんがどれだけ有り難いかが分かります。そういう経験をできるだけ多くの人達にして欲しい。それがこの企画の狙いです。まあこれで公認トーナメントがまったく開かれなくなるのであれば、それはそれで運命だと思って下さい。所詮 Magic とはその程度の遊びに過ぎなかった。そういう事なのですから。
あいせんの“本音の部分”

 日本の Magic が今や“初期状態”に戻ろうとしている。そういう認識が日本の多くのデュエリストに定着してきている気がします。

 果たして日本の Magic がこの後どこまで先祖帰りするのかは分かりませんが、ひょっとすると日本の Magic はそれこそ日本語版が無かった創生期の頃の環境にまでさかのぼる事になるかも知れません。ただ「ちょっと日本の Magic は規模が大きくなりすぎた。」という見方って、実は意外と多くのデュエリストの方々に支持して頂けるんじゃないかと思っています。少なくともWoCや一部のデュエリストには、当初間違いなく Magic をそこまでビッグな遊びに成長させようという意図があったと思います。でも実際には日本の総代理店であるHJの力不足という感はやはり否めず、また競技指向に乗っかって勝ち負けのみに拘る“お寒い人”も大勢現れて、まあ結果としては“落ち着くべきところ”に落ち着こうとしている。それが私個人の印象です。

 でも最近思うんですけど、実は Magic ってその方がむしろ幸せなんじゃないでしょうか。昔のデュエリスト達は、競技指向にしろファンデッキ製作にしろ、あるいはコレクションやトレードにしても目を輝かせて Magic を楽しんでいました。でも最近の Magic にはそういう様子がどうも見られない気がします。売ってるお店もアップアップ言ってるし、買って遊ぶ側も青息吐息。こんな遊びがこのまま存続しても、多分誰に取っても幸せな結果は訪れないだろうと思うんです。それは Magic の発売元であるWoCにしても同じです。本当に Magic を遊びたい、楽しみたい人達が Magic を買い、そしてその市場規模に見合うだけのお店が Magic を売る。本来はそれでいいんじゃないでしょうか。

 あ、こう書くと多分間違いなく、特に競技指向の強い方々からご批判が出るかと思います。しかしWoCやHJだってそういう競技イベントを維持するには経費がかかるんです。だったら自分が取り組んでいる競技 Magic が維持されて、そういう一連のイベントが開けるだけの売上と利益が出るように Magic を盛り上げる。そういう意見や具体的な取り組みがもっと表に出てきてもいいんじゃないかと思います。でも実際にはそれはほとんどできていない。だったらすべてを一度リセットしちゃうしかないでしょう。そして再起を図って今度こそ Magic を“成功例”にすればいい。それだけの事なのです。今程度の成功を後生大事に維持しようとするから話がおかしくなるんです。というか、少なくとも今の Magic は明らかに“失敗事例”ですし。

 ひょっとすると今後、日本国内から賞金がかかった Magic のプレミアイベントがすべて消えるかも知れません。しかしそれでも Magic を遊び続けよう。人にも勧めて盛り上げよう。そういうデュエリストが今の日本の Magic には間違いなく必要なのです。だって創生期の頃の Magic には実際にそういうデュエリストが大勢いて、日本の Magic はそういう人達の力で盛り上がったんですから。じゃあそういうデュエリストがどうすれば Magic に戻ってくるのか。それは Magic を“賞金で人を吊らなくても遊んでもらえる面白いゲーム”にする以外にないんです。多分来年はその答えを皆が必死になって追い求める年になるでしょう。そしてその答えが出せるのか出せないのか。それが恐らくは Magic の命運を最終的に決する分岐点になるだろうと思っています。

 来年こそは Magic にとって良い年である事を祈念したいと思います。

   

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