| ゲームの売り方 | ||
先日公開したTCGに関するエッセイにメールでご意見を頂きました。今回はそれに関して私が感じたり考えたりした事を書いてみます。TCGを含む“ゲーム”という物は、当たり前ですがその多くが“商品”として世に出回っています。ですから我々はそれを遊ぶためにお金を出して買う事になります。そうなると我々は無意識のうちにゲームのコスト・パフォーマンスといった物を気にしているはずですし、またそのゲームが自分に取って抜き差しならない状況になれば、そのゲームから離れる(=もうそのゲームには1円の投資もしない)事を決断します。そして大抵の場合、ユーザーがそのゲームを続けるか止めるかを左右するのは、例えば新製品の内容とかトラブルへの対応といったサービスやサポートに起因すると思われます。これは例えば「あるイベントで嫌な対戦相手に当たってそのゲームが嫌になった」というケースなんかも含まれるでしょう。(イベント主催側はそういう事態が起こる事を事前に十分予想し得る訳で、当然事前の予防策とか起こってしまった場合のフォローを準備するべきなのです。)
でも世の中に「あるゲームのユーザー全員が満足するサービスやサポート」等という物は多分存在しません。これは例えば大部分のユーザーが喜ぶであろう“値下げ”ですら例外ではありません。あるゲーム機を買ったユーザーが、自分がゲーム機を購入してわずか数ヶ月でそのゲーム機が値下げされた様子を見れば、はっきり言って気分が良い訳がありません。そりゃあ「差額返せやこら!」とメーカーに押し入りたくもなるでしょう(笑)。あと例えばイベントの開催1つ取っても、その会場に行けなくてメリットを得られないユーザーに取っては無意味ですし、むしろそれで会場に行ってイベント限定の特典を入手できた人の話を聞けばやっかみもするのです。
こういう話を考える場合にまず考慮すべきなのは「人間の我慢には限度がある」という事です。これは一般には「人は限度を超える我慢はできない」という意味で使われる言葉ですが、でも逆に「人は許容範囲内であれば我慢ができる」という意味にも解釈できます。先程のゲーム機値下げの例で言うと、そのゲーム機の値下げ幅がどの位かとか、その前の値段でどの位の期間販売されてどの位の数が売れたかによって状況は変わります。あるゲーム機がキラーソフトを出せずに低迷が続いている。そういう状況下での値下げに文句を言うのはかなり筋違いだと言えますし、ある程度思い切った値下げも許容範囲になるだろうと思われます。(ただし、だからと言って「文句を言ってはいけない」という訳ではありませんが。)
では、この話をTCGに当てはめてみましょう。例えば Magic を考えてみると、ここ数年の Magic は基本的に競技指向のユーザーにのみ恩恵が与えられるサービスやサポートを行っています。確かに昨今の Magic の販売方針は競技志向なユーザーに取ってはかなり歓迎される物が多いです。しかし逆に競技志向ではないユーザーに取っては何1つ有り難くないし、むしろそういうサービスやサポートによる競技志向の高まりで一層遊びにくくなっています。そういう状況にノン・競技ユーザーがどこまで我慢できるかという事です。そして実際に我慢できずに Magic を離れていったデュエリストは数多くいるし、そうなりかけている予備軍も相当数いると思われます。世の中の Magic ユーザーすべてが競技志向ではない以上、こういう状況が続けばいずれどこかで部分的破綻を来します。いや、実はひょっとすると今は“既に破綻した後”なのかも知れないのですが。
あとは遊戯王OCGの話で取り上げた“プレミアカード再販”の問題です。確かにこういう措置は人気シングルカードの高騰を抑え、多くのユーザーに取ってメリットをもたらしたはずです。しかし実際にはこの事だけで“テンパっちゃった”ユーザーは間違いなくいたと思います。 (^^; その位この措置はTCGのコレクションやシングルカード市場に与える影響が大きいはずなのです。これに関しては前のエッセイでも書いた通り、私も「第8版に Aysen Crusader(HL) がコモンで再録!(しかもイラストはそのまま)」なんてやられたら、その正式発表を見た瞬間にWoCに三行半を突き付けるでしょう。 (^^;;; 牛姉の例では分かり辛ければ、例えば「次の構築済みデッキにはパワーナインが全種類入ります!」とかいかがでしょうか。私に言わせれば、これで暴動が起きない方が奇跡ですよ(爆)。(ちなみに言うと、だから Magic は基本セットにカードを再録する際にイラストをすべて差し替える事を決めたのかも知れません。でも少なくとも Serra Angel(AL-4E/7E) のイラストを差し替えたのは明らかに失敗でしたが。 (^^;;; )
要するにゲームの販売には“最善手”という物がありません。ユーザーの便宜を図ったある措置が、別のユーザーに取ってはデメリットにすらなる。そういう物なのです。じゃあどうするかというと、普通は色々なユーザーに対応したサービスやサポートを各種用意して、その遊びに関わっているユーザーのできるだけ多くのニーズを網羅する事を考える訳です。そして同時にある1つの措置がユーザーに取って致命傷にならないように、できるだけ悪影響を抑えた形で実施するのです。TCGなんてあそびは本来“対戦”“トレード”“デッキ構築”そして“コレクション”と、その楽しみ方が多岐に渡っている物です。(最近はどうやらそうでもないようですが。 :-P )ですから例えばあるコレクターに取って他のすべての販促が全くメリットにならない(それどころかデメリットにすらなっている)としても、そのコレクターが泣きながら掻き集めてしまうようなカードをこっそり作り込んでおけば、もうその人は一生そのTCGの虜なのです(嫌爆)。つまり逆に言うと「特定の嗜好のユーザーにのみ有利になるサービスやサポートしかしないと、それ以外の嗜好を持ったユーザーはすべて逃げ出すかも知れない。」という事です。私に言わせると実際 Magic はそういう状況にもうなっていますし。
ただし、この問題を考える場合には更に考慮すべき点があります。それは「ユーザーに取っては好ましい販促が、必ずしも販売店に取っても好ましいとは限らない。」という事です。例えばTCGで言うと絶版カードを使ったフォーマットの普及とか、あるいはその絶版カード自体の復刻(再販)がその良い例でしょう。こういう措置はTCGという遊びの幅を広げるし、ユーザーがそのTCGに定着しやすくなるといったメリットがあります。でもこの措置は絶版カードを扱わない販売店には何らのメリットもありませんし、後者に至っては逆にシングルカードを扱う販売店に取って死活問題になりかねません。販売店から見れば、どう考えたってユーザーが買ったカードを1年位で使い捨ててくれて、しかも使い捨てた分だけ更にバカみたいに買ってくれた方が有り難いに決まっています(笑)。その両者の折り合いをどう付けるか?、これに関して実は日本のTCGには明確な形での成功例がまだ無いのです。
販売店はそのゲームで飯を食っていますから、ユーザーのように単なる理想論だけでゲームと付き合う事はできません。ただこういう話を考える場合、我々は大体「この措置がメーカーとユーザーのどちらの利益となるか?」という見方をします。しかし実を言うと、そういう時に「この措置が本当に販売店に取って最大限の利益を導く物になるだろうか?」という見方をすると、随分と物事の本質が見えてきます。販売店が潤うという事は、要するにゲームが良く売れているという事です。つまりメーカーに取ってもユーザーに取っても利益がある状態なのです。私がこういった話を書く時に販売店の事を必ず取り上げるのはそういう理由からです。
私が Magic や遊戯王OCGの事例を批判的に取り上げるのは、何よりも「これらのTCGが行っている販促が、結果的に販売店の体力を奪う結果しかもたらしていないから。」という事です。 Magic の競技偏重は間違いなく並行輸入の英語版への需要を拡大し、今や代理店経由の Magic 流通はその存在意義そのものを問われています。(少なくとも英語版に至ってはもはや“並行輸入の物が来ない時のバックアップ”という位置付けしかされていません。)また遊戯王OCGのプレミアカード再販はコレクションやシングルカードの市場を狂わせ、シングルカードを売り上げの主力に据えた多くの販売店のやる気と体力を奪ったのです。ただ私は自分が Magic プレイヤーだからこの事例を取り上げているだけで、実際世の中にはこんな話ごまんと転がっているのですが。 (^^; 例えば以前少し取り上げた音ゲーの話もそうですし、あとTVゲームなんかもかなり大きな問題を抱えています。
繰り返しになりますが、万人に受け入れられる百点満点の販促なんてこの世には存在しません。だからあれこれ手を変え品を変えサービスやサポートに手を尽くす。物を売るって本来はそういう事なのです。でも少なくともゲームという業界では、本来メーカーや販売サイドがやるべき手を全然尽くしていない物が多いのです。しかも普通ですとこういう場合、メーカーは販売店が十分な利益を上げられるように様々なサービスやサポートをし、その利益の一部をユーザーに還元してもらう事でサービスやサポートを一部肩代わりしてもらうのです。しかしTCGやTVゲームは現在“メーカー/代理店/一次問屋の一人勝ち状態”になっていて、販売店がそういう独自の販促をする体力すら与えていないのです。だからTCGはその勢いを失い、TVゲームは中古市場が大賑わい。要するに“今の姿はなるべくしてなった物だ”と言える気がします。
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今回は皆様のご期待&ご想像を裏切るべく“X−BOX値下げ”の話を書きます(笑)。 私に言わせると、今回のX−BOXの値下げほど“ユーザーを見ていないというか馬鹿にした措置はない”と感じています。良く考えてみて下さい。日本でX−BOXが売れない理由は何だと思いますか?。多分多くの人達が口を揃えて「キラーソフトが無いからだ」と言うはずです。その本質的な部分を全く改善せずに、とにかく値下げして売り切ってしまおう。そういう魂胆が今回の措置には見え見えなのです。既に購入した方にはゲームソフトを1本サービスするという事ですが、現在のラインナップで何かもらって嬉しいゲームってあるんですか?(笑)。DoA3がもらえるならちょっと考えても良いかと思いますが (^^; でも確かプレゼントの対象になっていたのはマイクロソフト社製のゲームのみでしたよね。 ゲーム機はハードを売ったらそれで終わり。そうじゃないでしょう。我々がX−BOXというゲーム機を買ったその日から、我々とMSとの付き合いは“始まる”のです。我々に2万なり3万というお金を払わせる以上、MSにはユーザーをサポートする義務が発生するはずです。それは何よりも「X−BOXを買った人達の期待を裏切らないだけのソフトのラインナップを揃える」事です。でもどうもMSにはそういう発想が微塵も感じられません。全くあの会社はどこまで殿様商売なんでしょうか。 (^^; 私に言わせるとMSがやるべきユーザーサポートはX−BOXの値下げではなく、むしろ“今の値段のままでX−BOXを買いたくなるような施策”だったと思います。だって普通に考えると、このままX−BOXのソフトが出ない状態が続いてハードが売れなければ、また更に値下げされそうですもんね(笑)。現在のラインナップを見る限り、そうなる可能性は低くはなさそうですし。 (^^;;; しかも我々は過去に3DOなんてゲーム機の失敗を見ています。ですから例えハードが値下げされたって、将来性が無いゲーム機なんて普通は誰も買わないのです。 実を言うと私個人は、ようやくPS2の購入を本気で考えるに至っています。X−BOXのおかげでPS2もなぜか値下げしましたからねえ(笑)。しかもPS2にはアーマード・コアという私が本気で取り組めそうなゲームタイトルも出来ましたし。そういう意味ではX−BOXというかMSには感謝しているのですが、でもはっきり言ってX−BOXに関しては購入を考えるどころか興味すらないという感じです。実際にそういう日本人ゲーマーは少なくなさそうですが。 |