“10年周期説”を打ち破れ! 
 
 久しぶりに Magic にテーマを絞ったエッセイを書いてみます。

 ○ 10th Anniversary に向けて

 新年早々こんな話題も何ですが (^^; 来年いよいよ Magic は誕生から10年という節目を迎えます。

 1993年8月に最初の基本セットであるアルファ版が発売されて以来、実に Magic は9年近くもの長い間世界中で遊ばれ続けてきました。しかし前から書いているように、日本には“遊びのブームに関する10年周期説”なる物が存在します。ある遊びが日本でどれだけブームを迎えても、10年という期間を区切りにしてなぜか衰退してしまうというこの説は、過去の数多くの実例から日本のおもちゃ業界等では定説として定着しているようです。ただし実際には「10年持たずに・・・」の方が遥かに多いのも事実なのですが(笑)。

 ブームという物はある意味“勢いを楽しむ(勢いにお金を払う)”という部分がある気がします。ある遊びが話題となり次々とユーザーを増やして市場規模を拡大していると、そういう勢いに触発されてその遊びに手を出すユーザーも少なからず現れるのです。実際に遊戯王OCGはそうでしたし、例えばTVゲーム(特に超人気タイトルのCRPG)やたまごっち等もそうやってブームになったのです。しかしある日突然、理由も明確でないままその市場拡大の勢いが鈍り始める。するとユーザーはその雰囲気を敏感に感じて熱が冷め、それこそ潮が引くようにその遊びから離れる人が一気に増え始めるのです。特に流行り物に便乗しただけの人とか、その遊びに投機目的に参入してきた人達の引き際というのはもの凄い速さがあります。(あとやはりマスコミの方々のこの辺に関する嗅覚というのは流石な物があるようです。)

 それともう1つの見方として、1つの遊びを10年間も作り続ける事には何よりもメーカー自身にもの凄い不安があるはずなのです。最近の Magic の状況を見れば分かると思うのですが、メーカーが1つの遊びで10年も商売を続ける事は並大抵の努力ではできません。しかもその間にもメーカーは次々と別の新製品も売り出している訳で、内心では既存の遊びからユーザーが新製品に乗り換えてくれる事を期待している面もあるはずです。(その方が明らかに自社製品の売り上げは伸びますから。)すると時にはメーカー自身が、ブームになった商品からブームが衰退する前に(=自社の黒字が維持できている間に)手を引こうとする訳です。そうなるとユーザー側にどれだけやる気があっても、やはりブームの衰退は避けられなくなります。

 ブームに関する過去の事例は我々に色々な事を教えてくれますが、その1つとして「遊びが持っている“間口”は絶対に広い方がいい。」という教訓があります。日本人に取って例えば Magic が取っつきやすく親しみやすい物になっていれば、潜在的なユーザー候補が増える(すなわちブームになりやすくそれを維持しやすい)と言えるのです。しかし実際には日本の Magic は自らその間口を固く狭めて来ました。これを過去の私の記事風に書くと「100万人に1人当たり千円のカードを買ってもらうという発想ができなくて、1万人に1人当たり十万円のカードを買わせる発想しかして来なかった。」という事です。その結果どうなったか・・・これは今更書く必要はないでしょう。

 ○ 歪な販促の代償

 日本の Magic は“競技化”によってブームを生み出そうとした。これは多分日本の Magic に関する事情をご存知の方ならほぼ全員にご賛同頂ける見方だろうと思います。確かに日本でDCI公認トーナメントはそれなりの普及を果たしました。しかし実際にはそれが日本国内での Magic の知名度アップにはほとんど貢献していないし、それどころか Magic の普及(=人口増加やプレイヤーの育成)に取っては足かせにすらなっている。これはあくまで私個人の見方ですが、実際にはこの意見にご賛同頂いている方は決して少なくはないのです。少なくとも日本のTCGには遊戯王OCGという明らかな成功例があります。そして遊戯王OCGは競技化以外のアプローチでブームを作ったのです。ですからそれに(市場規模やプレイヤー人口が)明らかに劣る Magic を成功例と称する事はできないし、また競技化でブームを作ろうとした日本の Magic の試みを現時点では“少なくとも最善策ではなかった”と言わざるを得ないのです。この際なのではっきり言いますが、誰が何と言おうと“日本で Magic はブームになんかなっちゃいない”のです。

 確かに日本でも数多くの遊び(特にスポーツ)が競技化による知名度アップを目指し、そして一部には間違いなく成功例もあります。ただそういった成功例が生まれるにはある一定の条件が必要なようです。具体的に言うと・・・

  1. そもそもその遊びの知名度(=競技化への土壌)が日本国内にある。
  2. 競技を周囲から応援するサポート組織がしっかり存在している。
  3. その競技の象徴的存在となるスター選手がいる。
  4. 競技に参加する選手には十分な報酬が用意されている。
 ・・・辺りになるでしょう。はっきり言ってしまいますが、日本の競技 Magic にはこういった成功のための要素がほぼ全くと言っていい程整っていません。また今後整えようという動きすら無さそうです。私が日本の競技 Magic を「某社がカードを売りたいが故に煽っているだけの物だ!」と断言しているのはそういう理由からです。

 競技化という動きは、最終的にはその遊びを“文化”として定着させるのに必要不可欠な物です。1つの遊びを(ブームが終わる前に)文化として定着させる事ができれば、その遊びは囲碁や将棋のように(世の流行とは無関係に)日本国内でも末永く遊ばれ続けるはずです。そして Magic という遊びには、そうなれるだけの高いポテンシャルがあったのです。ただ本来それを実現するためには Magic そのもののファン層を拡大し、競技以外の楽しみ方で Magic に親しむ人口を増やし、更に知名度を上げてプロ選手を数多く育てるといった“明確な志と方向性を持った施策”が必要だったのです。しかも競技という遊びへの取り組みは、間違いなくプレイヤーの篩い落とし等による人口の減少を招く要因になり得ます。本来競技化という物は、そういう弊害が気にならない位に Magic ファンやプレイヤー人口を増やす施策を行いながら平行して進めるべき物だったのです。しかし実際はそうじゃなかった。だからこうなった。要はそれだけの事であり、私に言わせればなるべくしてなった結果なのです。

 でも実際問題として、今となっては日本の Magic 拡販には競技化以外に取るべき施策が残されていません。コレクターは最近のカードイラストに嫌気がさして次々と Magic を去り、ファン・デッキといった遊び方や公認トーナメントには無いフォーマットによる遊び方も定着しそうにない。 Standard や Limited といった買ったカードを短期間で使い捨てる遊び方には間違いなく不満が多いのに、実際には(表現が厳しいかも知れませんが)それを口に出さずにただ何となく Magic を続けているデュエリストによって日本の Magic は維持されている。これが現実なのです。ただ言い方を変えると“日本の Magic のニーズはそこにある”訳ですから、日本で Magic という遊びを維持したければそういうニーズに合うサポートをするしかありません。だからこそ実際に並行輸入の安いカードが良く売れているのですが(笑・・・っていいのか? (^^; )。

 ○ しかもこの柱、シロアリに食われて穴だらけだし(爆)

 上に書いた通り、日本の Magic で実行されている販促は基本的に公認トーナメントがベースになっています。「それ以外に無い。」と断言しても構わない位ではないかとも思われます。(例えば Magic イベントを開いて代理店に賞品の提供を求めるにしても、とにかく公認トーナメントを開催する事が大前提になるようです。しかも他の国産TCGと比べると手続きが遥かに複雑怪奇で、私に言わせると「賞品を出す気が無いのを誤魔化しているだけだ。」という印象しかないですが。)でも実際問題として日本の Magic は、一部の志ある販売スタッフや競技関係者の思惑、あるいは私への(競技 Magic に関する批判に対する)異論や反論とは裏腹に“鳴かず飛ばず”な状態に留まっています。

 1度じっくり聞いてみたいと思っているのですが、今現在公認トーナメントに参加あるいは実施を推進している方々、あるいは私が書いていた公認トーナメントに関する批判に対して異論を唱えていた方々って、実際問題として日本の Magic とか公認トーナメントをどうしたかったのでしょうか?。そして実際にそうなるように何か具体的な行動を取っていたのでしょうか?。私に言わせるとそういう方々ってあまりにも無計画すぎる、もっと言っちゃうと「自分達には何か改善に向けて動く気が無かったけれど、取りあえず自分達のやり方に批判的な人間の口だけは塞ぎたかった。」という発想しか無かったんじゃないか。そんな気すらします。でも日本の Magic の現状を冷静に垣間見れば、そういう推進派の方々が真っ先にすべきは“あいせんの口を塞ぐ”事ではなかったと思うのですが。私1人の口を塞いだところで Magic の衰退を止められる訳はないのです。というか、そんな簡単な事で止まるなら私はいくらでも黙りますって。 (^^;

 日本における Magic の販促活動として(現状のような)公認トーナメント以外は必要としない。どうもそういう発想を持ったデュエリストが日本には多そうです。でも、それだったらその唯一の柱をもっと太くしっかりとした物にするべきだった。これが私が今まで書いてきた公認トーナメント推進に対する批判の骨子です。例えば Standard なんて明らかに初心者お断りなフォーマットに依存するのではなく、それこそ基本セット限定とか Japan Classic といった日本独自のアイディアをWoCなりDCIに提案して実現させれば良かったのです。また日本人の好みに合ったイラストを収録したオリジナルのプロモカードをWoCに作成してもらい、公認トーナメントの参加者に配るといった事も可能だったはずです。そういう工夫とか知恵を全く出さず、ただ何となく某社の言いなりに Standard や Limited を続けるだけ。そんな状態で Magic が日本で流行るはずもないし、ましてや競技 Magic が日本で盛り上がるはずも無かったのです。

 私が自分の意見に対する批判の大部分に耳を貸さなかったのは、何よりも「それを口にする人達が自分で具体的に何かしているという素振りが全く見えなかった。」からです。でも私は同時に志ある公認ジャッジや軍人さんとも何人か意見交換させて頂きましたが、そういう方々の意見にはなるほど説得力がありました。少なくとも自分で Magic イベントを開いてその苦労を知っている、あるいは競技 Magic を推進して色々な壁にぶつかった。そういう方々は基本的に私の意見を受け入れて下さって、その上で「この部分は賛同できる。」「この意見はどうだろう、自分はこう思うが。」という意見交換がちゃんとできたのです。おかげで私自身は今では「ああ、日本の Magic もまんざら捨てたもんじゃないな。」と思っていますが、しかしそういう安心感みたいな物を今の日本の Magic から感じている人って少ないのではないでしょうか。

 ○  Magic の競技機関について

 ちょっと話の内容を変えます。かなり以前から言われている話なのですが、やはり従来のようなTCGの売り方には限界があるのではないでしょうか。

 日本のTCGは今まで、TCGメーカーがカードを売りその利益からサービスやサポートを提供するという方式を取ってきました。 Magic みたいに代理店がカードでもサポート(雑誌やイベント)でもとにかく何でもかんでも儲けを出そうとする事例は流石に論外で (^^;;; 普通のメーカーはどこかでユーザーに対する利益の還元をする物です。ただこの仕組みは“カードが売れ続けている”事を前提に仕組みができています。あるTCGの売れ行きがパッタリと止まったら、多分1年も経たずにメーカーはサポートを打ち切ると言い出すはずです。(実際にそうやってサポートを打ち切られたTCGもありますし。)

 これに対して囲碁や将棋といった物は、全国的な活動を行う協会が遊びに使う商品の販売とは無関係に普及活動やプロ競技をサポートしています。協会は会費や実力検定(段位認定)の費用といった収入で会を維持し、スポンサーから出資金を得て大きなイベントを開催しています。例えば日本国内で将棋盤が全く売れなくなっても (^^;;; それで全国的な将棋のイベントとかプロ棋士の活動が停滞する事はまあ無いでしょう。またそういったイベントや段位認定制度が定着して盛り上がれば、自然とその競技に使われる商品は売れるはずなのです。

 私は前から“カード販売サイドと競技推進サイドの完全隔離”を言っているのですが、実はこれにはTCGメーカー側にもメリットがあるのです。こういう形でカード販売と競技推進が切り離されれば、メーカーはその競技推進機関にそれ相応のサポート(資金提供)をすれば話が済むのです。また国産TCGのメーカーがやっているような個別イベント毎のサポートまでをこの組織が代行すれば、メーカーは余計な雑務から開放されてゲームの設計やデバッグに専念できるのです。大体「公認トーナメントの申請はDCIJに出せ。でも賞品提供の事はHJに聞け。」なんて仕組みは明らかにナンセンスです。しかもその賞品提供に関してHJは明確な受付窓口すら準備していなさそうですし、何よりも「ここにお問い合わせ頂ければ賞品は間違いなく提供します。」という確約すらしていないのですから。

 元々 Magic では、メーカーであるWoCと競技機関であるDCIは完全に独立した物として存在します。(ただしこれは建前論で、実際の内情がどうかまで私は知りません。 (^^; )しかし日本国内で「HJとDCIJは完全に独立した組織だ。」なんて思っている人はほとんどいないでしょう。でも元々 Magic というTCGが持っていた発想を忠実に実行すれば、ひょっとすると日本国内の競技 Magic はもっと盛り上がっていたかも知れないのです。というか、私に言わせると「今からでも遅くないからやれば?」と思うのですが (^^; ただしどうやら現時点でDCIは「Oh、ニホンノ ソシキニハ DCIトーナメントノ シゴトハ マカセテ オケナイネ(英語)。」と思っているようで (^^;;; 最近はDCIが直接日本国内でのサポートにも乗り出しているようです。あと掲示板にも書きましたが、WoCが発売したハリーポッターTCGの日本語版をホビージャパンには扱わせなかったという事実がすべてを物語っている気がしますし。 :-P

 ○  Magic イベントをより身近な物に!

 ではそういういわばどん詰まりの状況下で (^^; 今これから我々に Magic を盛り上げるためにできる事って何か無いのでしょうか?。

 前に書いたエッセイとも関連するのですが、簡単に言うと“公認トーナメントの更なる知名度アップ”を目指す、これがベストとは言いませんが(現状取り得る選択肢としては)かなりベターな選択になるかと思います。しかし前にも書きましたが、いくら公認トーナメントの開催回数が増えても、そのイベントを「自分とは無関係な物だ。」と思っている人が日本人の主流になっている限り、日本国内での公認トーナメントの知名度アップは実現できません。そして多分これは、今までのような公認トーナメントのやり方をしている限り永久に実現される事はないでしょう。

 私は自分が過去に開催した公認トーナメントの中でも、例えば対戦格闘ゲームとかボードゲームのサイドイベントを併設していました。そしてその方針は今後も変えるつもりはありません。(おかげさまで最近では格ゲーやモノポリーを目当てに会場に遊びに来る人も増えてきています。)私がなぜそうするのかと言うと、これが“ Magic イベントに興味を持つ人の範囲を増やす”ための施策なのです。実際問題として公認トーナメントの中で Magic 以外の遊びを取り上げちゃいけないという規約はありません。トーナメントの進行に支障が無ければ、その会場内で他の遊びに興じる事には何らの問題もないはずです。(元々日本の Magic にはTRPGのイベントでの暇つぶしとして普及したという歴史もありますし。)実はWoCが実施しているイラストレーターのサイン会とかグッズ販売も基本的に発想は同じだと思われます。ただ私みたいな個人が開催するイベントですと、その辺かなり小回りが利くので楽なのですが。

 例えばの話、今ブームになっているハリーポッターのTCGを Magic のイベントに絡めてみるのも面白そうな気がします。ハリーポッターTCGの講習会やミニトーナメントを開催し、更に販売店の協力を得てグッズの販売等も行います。その上で「このイベントのメイン・イベントは Magic というTCGの大会です。」とか「ハリーポッターTCGが分かれば Magic へのステップアップは簡単!」みたいな形で取りあえず Magic への興味を持ってもらうのです。その後その参加者が Magic に手を出すかどうかは分かりませんが、少なくとも Magic やそのイベントの知名度アップには少なからず貢献してくれるはずです。そしてこれが“一般の人達と Magic との距離を縮める”事につながるのです。

 私に言わせると「今 Magic は形振り構ってる場合じゃない。」という事です。このまま何もしなければ、間違いなく Magic は近い将来に日本から姿を消すのです。だとすれば、まずは他の知名度の高い遊びに頼ってでも現状を打破すべきなのです。 Magic 単体で客を呼べないのであれば、それこそハリーポッターであろうが でじこ であろうが利用すべきなのです(笑)。ただ私個人の感想として「今更 でじこ の力を借りないと客を集められないなんて、全く(日本語版発売から)6年間も代理店は何やってたんだ?」という気はしていますが。 (^^;;;

 ○ 歩かない犬は棒にも当たらない

 最近私は Magic はおろかTCGに関われる時間が格段に減ってしまったのですが、そうすると本気でTCGの話題は一般世間では見かけない事を痛感しています。最近TVゲーム業界は不振だと言われていますが、それでも例えば「去年1年間に某検索エンジンでサーチされたキーワードの第一位は“プレステ2”だ。」みたいな話題を聞きます。そういった話題がTCGの世界からは全くといっていい程聞こえてこないのです。TCGは推定800億円台というそれなりの市場規模を持っているのに、この状況はある意味で異常だという気すらします。

 要するに今日本のTCGは、良い意味でも悪い意味でも日本という国の国民に何らの影響も与えていないのです。確かに恐喝とか強盗なんて事件が起こってそれで話題になるのも困るのですが、でもそういう騒ぎすら起こらないし、また起こってもマスコミに取り上げられない。その位TCGは“一般の人達には無縁な業界”になってしまったのです。ましてや遊戯王OCG以外のTCGでその800億円市場の半分を奪い合っている。そんな状況で Magic が今後も生き残っていけるなんて保証はどこにも無いのです。

 しかも Magic を取り巻く環境は今後ますます悪化する要因を複数持っています。WoCのオンライン Magic 構想によるカードユーザーの減少。円安による並行輸入カードの高騰。他のネットゲームやハリーポッターTCG等へのユーザーの流出。そして何よりもユーザーの“飽き”による Magic 離れ。どれ1つ取っても Magic という遊びに取っては死活問題になりかねません。でもその割には皆さん(特に公認トーナメント推進派の方々)は随分と暢気だという気がします。相変わらずプロツアーの間際になって慌てて Extended を始めるプレイヤーがいる(= Extended が構築形式戦の1種目であるという宣伝がほとんどできていないと思われる)とか。なんか私に言わせると「公認トーナメント推進派の方々には、そもそもやる気がない。」としか思えないのですが。(言い過ぎだと言われれば謝りますが、でもそう思っているデュエリストは少なくないと思いますがね。)

 私のこの話を、多分皆さんは「なんか大げさに書いてるなあ。」位の印象で読まれているかと思います。しかしそれは「皆さんが Magic という物と真っ正面から向き合って取り組んでいないから気が付かないだけだ。」そう私は断言します。実際に日本で Magic という物を生業にしている方々や一部の競技関係者は、それこそかなり以前から明確な危機感を持っていて、その打開に向けた活動をされています。ただ別に私は「 Magic が廃れたら別のTCGかネットゲームにでも流れればいいや。」位にしか Magic の事を考えていない方に、これを読んで何かして頂こうとは微塵も思っていません。そんな人がいてもいなくても、遊びなんて物は流行りもするし廃れもするのです。まあ私としては「後で後悔だけはしないようにして下さいね。」というお願いだけしておこうかと思っています。

あいせんの“本音の部分”

 本文中にもちょっと書いたのですが、今日本でDCI公認トーナメントを推進している方々って、最終的に日本の Magic をどうしたいと思っているのでしょうか?。

 よく「夢を持っていない人間に魅力はない。」等と言われます。また夢という物はどんなに強く願っても確実に叶う物ではありませんが、でも持っていなければいよいよ叶う物ではないのです。(ここだけ読むとなんか宝くじみたいですが。 (^^; )私は思うのですが、今日本の Magic に“夢”ってあるのでしょうか?。言い方を変えると日本人デュエリストのどれだけの割合が Magic に夢を持てているのでしょうか?。私個人は「ほとんど無いんじゃないの?」という印象を持ってしまうのですが。

 例えば今私が「よし、僕は Magic を究極まで極めるぞ!」と思ったとします。でも実際にはそれはかなり困難な話です。 Magic は囲碁や将棋と違って競技フォーマットの中身がそれこそ月毎に激変しますから、そういう環境の変化に追い付くだけでアップアップ言っているプレイヤーが少なくない気がします。また競技 Magic のためには大量のカードが必要で、しかも日本で買うカードは欧米よりも割高。更には言葉とか文化の違いといった部分でも、日本人は大きなハンディキャップを抱える事になります。日本人デュエリストが欧米のトップ・プレイヤー並の実力を得たいと思うと、ひょっとすると彼らの倍以上の(金銭的&時間的な)投資をしないと無理なのではないかとも思います。

 そしてそれでも頑張って Magic を極めた・・・そこに待っているのは「 Magic で飯を食いたければ自分でショップをやるか欧米のトーナメントを転戦しなさい。」という現実です。しかし実際には、少なくとも販売店の経営とトーナメント・プレイヤーとしての活動は両立し得ないでしょう。しかも世界レベルのトップ・プレイヤーでも稼げるのは二千万円程度だそうですから、余程頑張らないと賞金は全額日本からの遠征費やカード代等で消えちゃいそうです。 (^^; そして現実には、過去に日本人が世界選手権やプロツアーで優勝した実績は今まで無いのです。プレイヤーにここまでの努力を求めておいて、でもその見返りが極めて乏しい。これで日本の競技プレイヤーが Magic に夢なんか持てる訳がないのです。

 じゃあ例えば囲碁や将棋といった成功例達はどうしているのでしょうか?。これらの遊びは“段位認定”といったもっと具体的かつ現実的な目標をプレイヤーに提供していますし、何よりも周囲にいる多くのプレイヤーがそのまま目標になるのです。これらの遊びが成功した最大の理由は“底辺層のプレイヤー育成の成功”と“ルールの固定化”ではないかと私は感じています。1つの遊びに何年にも渡ってじっくり取り組めて、しかもプレイヤーのレベルや費やせる時間に応じて目標を持てる。しかも遊びたくなれば、ちょっと周囲を探すとそれなりにプレイヤーがいる。忙しくなったら1年位休んでも別に構わないし、また再び取り組めるようになってからいくらでも挽回できる。だから取り組む事に安心感があるし、やり甲斐が持てるのです。でも Magic って1年も休むと間違いなく Standard なんかは着いて行けなくなりますし、復帰した途端に“取りあえず箱買い”を求められます。はっきり言いますが、そんな遊びにくく不親切な趣味に魅力を感じる人はあまり多くはないでしょう。

 最近の日本のデュエリストは Magic に夢を持てず、ただ何となく毎日カードを買いデュエルをしている。これが日本における Magic の現実なんじゃないでしょうか。これが良いか悪いか私には分かりません。でも私だったらこんな趣味とっとと足洗いますね(笑)。ちなみに私が知っている昔の Magic には、例えば「自分オリジナルのデッキで地元の大会で優勝するぞ!」とか「このカードを100枚(それが達成したら今度は1000枚)集めてやるぞ!」といった身近な目標があったのです。だから面白かったし今まで続けて来られた。そう私は信じて疑わないのですが。

あいせんの“本音の部分” PartII

 ・・・と、いつもですと以上で終わりなのですが、今回は特別に“自分が開いている Magic イベントの今後”という話を書いてみます。

 既に告知を公開していますが、私は福井市でのDCI公認トーナメントの再開を(今回はほとんど独断で)決めました。はっきり言いますが、私自身は今でも(現状の)公認トーナメントの方向性や仕組みは大嫌いです(笑)。また最近は福井のデュエリストからも、以前ほど公認トーナメントに対するニーズは聞かれなくなっています。確かに Standard のイベントを開けばかなりの数の参加者が集まりますが、でも彼らから「この大会を公認にして下さい。」という要望を私はここ1年ほど聞いていません。

 「じゃあ、なぜ今この時点で公認トーナメントを再開するのか?」という事です。エッセイの本文中にも書きましたが、要するに日本の Magic の現状は“形振り構ってる場合じゃない”という事です。私が自分の主義だけでイベントやその参加者を選別していられるほど余裕のある状況じゃないのです。今現在福井市には幾つかの Magic 販売店があり、そのうち2店ほどがイベント開催に志を持って取り組んで下さっています。そういう販売店をここで失ってしまったら、多分福井の Magic は2度と立ち直れない位の大打撃を受けるのです。というか、ほぼ間違いなく火が消されるでしょう。

 TCGという遊びの成否は「いかにして“人”を集めるか?」にかかっています。地域で開催されるイベント、あるいは全国的に参加者を募って開催するイベントにどの位の人が集まるかで、そのTCGの勢いみたいな物は容易に推し量れます。そしてその勢いがそのままそのTCGの行く末を決めると言っても過言ではないのです。人を集められないTCGに未来なんか無い。だとすれば我々イベント・コーディネイター達は、それこそ形振り構わず自分が開くイベントに人を集めるための施策を講じるべきなのです。例えそれが自分の持つ信念みたいな物を一旦は押し殺す事になっても・・・です。特に今みたいな苦しい時期は尚更そうなのです。

 公認トーナメントには、多分唯一と言っていい“開催のメリット”があります。公認トーナメントの申請は開催日の30日前までと言われているのですが、実際にはそれよりも1ヶ月あるいはそれ以上前に申請する事で、GAMEぎゃざや DECK EXPRESS にイベントの告知が掲載される事があります。ですから私は自分が開く公認トーナメントでは、最低でも開催期日の2ヶ月半前には申請を出しています。(ちなみに3月24日の焼肉定食の申請は1月7日に投函しています。)「なんだ、あいせんは代理店の出版物に告知を載せたいから公認トーナメントを開くのか!?」と思って下さって構いません。実際そうなんですから(爆)。

 私が福井で開いてきた Magic イベントは、今までは「いかに Magic の面白さを引き出すか?」を主眼に置いてきました。でも今はそんな悠長な事は言っていられないと私は考えています。今我々が何よりも考えるべきなのは“ Magic の再評価”ではないか、それが私個人の意見です。私は今みたいに何の将来展望も夢もなく Standard を遊び続ける Magic を延命させる気はサラサラありません。ただ1度は Magic の世界に入りながら、 Magic という遊びの本当の魅力を知らないまま Magic から去っていくデュエリストをこれ以上増やしたくない。また過去に Magic を去っていった人達に戻る機会を与えたい。要はそういう事なのです。ただこれって裏を返すと「要するに自分の牛姉コレクションを見て『すげ〜!』と言ってくれる人を増やしたい。」という事でもあるのですが(嫌爆)。

   

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