「TCGをどう導くか?」というお話 
 
 “TCGの将来”という、ちょっと難しい話を書いてみます。

 ○ 私の周囲のTCG環境

 最近私の周囲では、トレーディング・カードゲーム(TCG)に関する話題がめっきり出なくなってしまいました。

 私や私の友人達が主に遊んでいるTCGというと、今は主にアクエリアンエイジと MAGIC:the Gathering なのですが、最近では口を開くと「なんか発売されるカードに魅力を感じない。」「とてもじゃないけど続ける気にならん。」という話題が出てきます。元々TCGという趣味自体がそんなに安易に続けられるような負担で済む遊びではないのに、それに加えて新たに発売されるカードの駄目っぷりが目について、いよいよ買う(遊ぶ)気にならない。今の状況を要約するとそういう感じです。ただ Magic もアクエリも私や別の友人が福井でイベントを運営したりしているので、そのおかげでかろうじて縁がつながっている。そういう感じでしょうか。

 これに加えて最近はネットゲームが仲間内での共通の趣味になっていて、そちらに費やす時間のおかげでTCGに時間が割けない状況になっています。TCGという趣味は遊ぶ側に(対戦以外にも)かなり膨大な時間の投資を要求するのですが、こうなると「取りあえず今はTCGの事は忘れよう。」という雰囲気になってしまうのです。 (^^; そして1度そういう生活サイクルを始めてそれで何ら問題が無いと、余程のきっかけがないと再びTCGに手を付けようという気運が盛り上がりません。ましてやそういう状況で(他の趣味と比べても決してお値打ちとは言えない)フレッシュパックを買うかというと、ぶっちゃけた話かなり難しいのです。

 私は以前から Magic において、初期の頃からのカードがほぼすべて使用できるフォーマット( Type-I )を推奨してきました。それはネタを明かしてしまうと「そうでもしないと自分の周囲の人達を Magic につなぎ止める事が難しかったから。」という事なのです。しかし特に最近は、その程度の事では私の周囲で起きているTCGに対する沈滞ムードを打破できない状況になっています。というか、何よりも私自身のTCGに対するモティベイションの低下振りを自分で感じてかなりゲンナリしています。それこそ Magic に Aysen Crusader(HL) というカードが存在しなければ、私は随分前に Magic とは縁を切っていたでしょう。

 ○ 最近の私個人のTCG感

 最近 Magic とかアクエリでは新製品が発売されているのですが、私個人はそれらの商品をほとんど買っていなかったりします。もっと言ってしまうと、私の中でTCGという遊びは既に“過去の物”になりつつあるのです。

 今私が楽しんでいる趣味の中心もネットゲームになっています。ネットゲームは一定の金銭的投資をして一旦環境を整えてしまうと、あとは時間の投資次第でいくらでも世界が広がります。実際私がDIABLOIIで育てたキャラクタ達は装備的には最強クラスの物を持っています。仲間内でも「ちょっとオーバーパワーでは?」と言われる位になっていて、それ故(アイテム収集や他のキャラクタのクエスト攻略等で)周囲からも重宝されています。私は今DIABLOIIにつぎ込む時間が惜しいとは少しも思いません。それはDIABLOIIというゲームが純粋に面白いというのもありますが、同時にDIABLOIIというゲームが時間以外の新たな投資を私に求めない事も大きいのです。

 それに比べてTCGは・・・という印象が私には強くあります。今思い返すと Magic を始めて最初の1年位、私は何の疑問も持たずに Magic に時間とお金を投資していました。しかしミラージュサイクルの拡張エキスパンションが発売された頃、私はふと思ったのです。「こんな事いつまで続ければいいのだろう?」ってね。はっきり言ってTCGへの投資は時間も資金も膨大な量を求められます。それが1年といった短期的な物であれば、私だって問題なく着いて行けたと思うのです。しかし実際には何年経っても負担の重さは変わらず、そして挙げ句の果てに「君が2年前に買ったカードはもう使えません。さあ気を取り直して新しいエキスパンションを箱買いだ!」と言われる。これには私も呆れるしかなかったし、流石に夢から覚めたのです。

 しかも遊びの世界自体は、それこそ劇的な速さでどんどん進化しています。最近ネットゲームでは“ベータ版テスト”という仕組みが一般化し始めています。製品版発売の前にテスト版を無料配布し、話題性を高めて製品版購入を促進すると同時に、より大規模かつ充実したデバッグをしようという取り組みです。(要するに先日のエッセイに書いた“弁当の試食”ができるのです。)しかしTCGの世界にはそういった工夫がほとんど見られません。ユーザーはある日突然天から振ってきたカードを買うだけ。それで金銭的な負担は他のゲームの比ではなく、しかもプロキシ(代理カード)といったやりくりというか工夫に拒絶反応を示す販売サイドやプレイヤーが少なくない。あまつさえそれで他のゲームよりも格段に面白い訳ではなく、下手をすると競技化推進の影響もあって日常ですらお寒い対戦を強要される。まあ私に言わせれば「こんな遊び誰が続けるか、ボケ!」という感じです。 (^^;;;

 要するに私に言わせると「TCGという遊びは既に時代遅れになっていて、しかもそういう現状を変えようという動きすら販売サイドには無い。」という事です。だってTCGは Magic が発売された1993年以来、基本的にはその仕組みを全く変えずに続いてきた訳です。そしてその間に世の中ではIT化や様々な技術革新が進み、その流れに乗った先進的な遊びが数多く世に出てきているのです。前から遊びの世界に存在する“10年周期説”という話を書いていますが、そういう意味でTCGは正念場を迎えているはずなのです。しかし売る側にも遊ぶ側にもそういう危機意識が薄い。これで「TCGは今後もいける!」とか考えているおめでたい人がいたら、それこそ目の前に正座させて半日説教したいところです(爆)。

 ○ 人は過去から学ぶ生き物だから

 今私は、TCGの現状を目の当たりにして“自分が対戦格闘ゲーム(格ゲー)という趣味に見切りを付けた時”の事を思い出す機会が増えています

 私は一時期、それこそ“バカ”が付くかと思われる位の格ゲーマニアでした。決して強い訳ではないのですが、まあ本当に惚れ込んだゲームに関しては「腕に覚えあり」と公言できる位の実力は持っていたと思います。当然そうなるためには“それ相応の金銭と時間の投資”をした訳ですが、今思い返しても私個人はその投資が無駄だったとは思っていません。だってその当時はそれで楽しかったのですから。

 当時私は格ゲーに関しても「日本でブームになって、もっとプレイヤーが増えると良いなあ。」と考えていて、ある商用ネットでかなり長い間そういった提案を書いていた事があります。以前 Magic で書いていた一連の記事執筆みたいな事を、そのかなり以前から格ゲーでやっていたのです。ただその結果はそれこそ Magic に対して行ってきた物とほとんど変わりありません。結局は「そんなのは個人の主観の問題だ。」「お前になんか提案をされなくても格ゲーは大丈夫だ!」で一蹴され、でも実際は全然大丈夫ではなかった訳です(笑)。ただし流石にそういう私自身も“SNK倒産”なんて事態がこうも早く起ころうとは夢にも思っていませんでしたが。

 私自身、現在格ゲーという趣味を全くやめてしまった訳ではありません。幸いな事に私はNEO・GEOというゲーム機の存在によって、自分が好きで遊んでいた格ゲーをそっくりそのまま自分の家に保存する事ができました。またそのゲームを遊ぶ仲間にも恵まれ、その気になればいつでも昔のゲームを遊び対戦で盛り上がれるのです。しかしはっきり言うと最近の新作には1円たりともお金は使っていませんし、今後もそうだろうと思います。余裕があればNEO・GEOタイトルのROM(特に THE KING OF FIGHTERS シリーズ)やCAPCOMのCPSIIで発売された一部のゲームは自宅に所有したいと思っています。でも私が最も好きなKOFシリーズにしても比較的最近発売された2000とか2001辺りにはほとんど魅力を感じません。

 あと最近になってようやく気が付いたのですが、私は別に格ゲーというジャンルのゲームが好きな訳ではなく、例えばKOFとか餓狼SPあるいは侍魂といった個別タイトルのゲームが好きだっただけなのです。しかしその事に格ゲーにのめり込んでいた当時は気が付かず、例えば「自分は侍魂が好きなんだから斬紅郎や天草光臨も遊ばなきゃいけないんだ。」という錯覚に陥っていたのです。ただサムライスピリッツシリーズと言われているゲームも、初代侍魂/真侍魂/斬紅郎/天草光臨はそれぞれ全く別のゲームです。(あ、私の中では「3D侍魂はこの世に存在しない。」という事になっていますのであしからず。 (^^; )別に最新のゲームだからといって遊ばなければいけない訳ではなくて、嫌なら見送って次回作を待つ、あるいは旧作を延々と遊び続けて構わなかったのです。でもこの手の意見表明ってすぐに“批判(中傷)”と受け取られてしまうようで、1度口にすると随分と叩かれるみたいです。「自分はこのゲームは気に入らないから遊ばない。」なんて意見は、本来は自由に口にして良いはずの物です。しかしそれを口にした途端に「遊んでもいないゲームの批判はできないだろう!」「いや絶対面白いから遊べ!」みたいな反論が大量に押し寄せ、ひどい時は頭からクレーマー呼ばわり。これでは誰も何も言えなくなってしまう訳です。そういう人の意見を批判したり揚げ足を取ったりする輩が、せめてその業界の延命を志して何か動いてくれれば、多少なりとも歴史は変わったかも知れないのですが。

 私個人は表向き喜々として格ゲーを遊んでいた時期に、格ゲーがこうなってしまう事を半ば予想して諦めてはいました。しかし正直言ってしまうと、今実際に格ゲーの業界に起こっている事象は、その私の想像を遥かに超えた悲惨な状況になっています。まさかCAPCOMが21世紀まで春麗を使い回すとは思っていませんでしたし (^^; まさかSNKが自社のキャラクタを切り売りせざるを得ないまで落ちぶれるとは思っていませんでした(爆)。ただし私に言わせると「そりゃなるべくしてなった事態でしょう。ざまあないわな。」という事なのですが。

 ○ どこに着地するのか?(したいのか?)

 そういった中で、最近私はTCGという遊びの“落としどころ”についても考えています。

 1つの遊びがある程度広まって人口が増える。するとその後には必ずと言っていい程この落としどころという問題が出てきます。この落としどころを誤って大失敗したのがたまごっちです。たまごっちはメーカーがブームの終焉を見誤って増産を続け、結果としてブームになった年の翌年から2年連続でメーカーに大きな損失を与えたそうです。私が聞いている話では、たまごっちを生み出したメーカーは決してたまごっちで利益を残せておらず、それどころか不良在庫の処理により最後は(ブームの年に売り上げた額に匹敵する)大きな損益を出して終わったそうです。こうなると某メーカーの社内では“たまごっち”という言葉そのものが禁句扱いになっている気さえしますが(爆)。

 閑話休題。現在TCGには決して少なくはないプレイヤーが存在し、決して少なくはないお金が毎年動いています。そして当然その販売やイベントに多くの人達が関わっているのです。しかしTCGという遊びをブームにするための施策は現在までにあまり行われておらず、また数少ない取り組みも失敗に終わっています。(あ、発売前からブームになっていた遊戯王オリジナルカードゲーム《遊戯王OCG》の例は別格ね。)TCGが今後更なるブームになる可能性が薄いと思われる以上、逆にそろそろ“衰退”という局面を考えざるを得ません。ある日突然私みたいにTCGに見切りを付けるプレイヤーが急増し、ある日突然カードが売れなくなりカードショップに人が来なくなる。それは何も空想の世界の話をしている訳ではありません。実際ピークを過ぎた遊びの衰退なんてあっと言う間に訪れる物ですし、そしてTCGにおけるその傾向は既にかなり前から現れているのです。

 私個人は「今後TCGプレイヤーは2つの道のどちらかを辿るしかないだろう。」と考えています。その1つが“更なるコアプレイヤーへの道”であり、もう1つが“ローカル環境で楽しむプレイヤーへの道”です。

 現在TCGではそれなりの数の大きなイベントが開催されています。例えば Magic の例を見ると、高額賞金がかかったプレミアイベントが世界規模で年に数回開催されていて、欧米のトッププレイヤーはそれこそ Magic で飯が食えるような高額賞金を稼ぎ出しています。そういうイベントを追いかけて“ Magic で利益を出す”プレイヤーになる。要はそういう事です。 Magic が今程度の市場規模を維持できれば、多分日本でも数人程度のプレイヤーを Magic で食わせる事は可能です。だから自分がその枠に入る。あるいは入る事を目指して Magic を続ける。これが1つ目の選択肢です。例えそういった高額賞金がかかったイベントが無いTCGでも、TCGそのものの知名度が今以上に上がれば、あるTCGの全国大会での優勝歴を堂々と履歴書に書ける位にはなるかも知れません。 (^^;

 しかし現在、多くの遊び(例えば日本の格ゲー)にはそういうシステムがありません。(ちなみにここで“日本の”と書いたのには理由があって、実は韓国にはTVゲームのプロリーグがあるそうです。)現在ほとんどの格闘ゲーマーは自分だけあるいは地域の仲間と格ゲーを楽しみ、1つの趣味として取り組んでいます。確かにそういうプレイヤーの中に(未だに)ゲームの勝利に執着するプレイヤーは少なからず存在するようです。しかし賞金もかかっていない&ランキングがある訳でもない(あっても知名度は高くない)ゲームで何もそこまで頑張らなくても・・・という機運が今は支配的ではないかと思うのです。(それでも相変わらず“お寒い人”はいるんだけどね。 :-P )そういう形でゲームと末永く付き合っていく。これがもう1つの選択肢です。まあ前者の選択肢に比べて、金銭あるいは時間の投資は格段に減る事になるでしょうが。

 ただ、私個人は「日本のTCGプレイヤーって、基本的には後者の道を選ばざるを得ないのではないか。」と考えています。その理由ですが、まず国産TCGに高額賞金(あるいは賞品)がかかったイベントが決して多くない事が1つ。そして Magic に限って言うと「そういう賞金を狙うプレイヤーは間違っても日本国内の業者からはカードを買わないので、競技化推進が国内の業者を潰すという結果しか生まないから。」というのがもう1つの理由です。前から言っているのですが、 Magic の日本総代理店であるホビージャパンが自社出版物(主に月刊GAMEぎゃざ辺り)で推奨している“競技 Magic ”を実践しようと思ったら、間違っても代理店経由で売られる日本語版なんか高くて買えないのです(爆)。代理店が唱える競技化推進が、実は代理店経由で Magic を仕入れている国内の業者を締め付けている。そういうジレンマがもう何年も経つのに未だに解決されていないのです。これで日本国内で競技 Magic が盛り上がったら奇跡ですよ。

 以前米国のTCGメーカーであるWoCが“ポケモンTCGに関するサポートの縮小”を発表した事があります。これにはポケモンTCGの売れ行き低下とWoCの親会社であるHasbro社の台所事情という背景があったようなのですが、こういう措置が今後他のTCGに対して取られないとは限らないのです。メーカーだって売れてもいない商品に金をかけてサポートをする程バカじゃないですし、それは小売店にしても同じです。そして日本のTCGは今後市場が拡大しそうな見込みが薄くて、むしろ尻窄みしそうな気配の方が濃厚。これで“競技化”あるいは“プロ化”を期待する方がむしろどうかしているのです。要するに「今後日本のTCGは今の格ゲー並の扱いになる可能性があるから、今TCGを遊んでいる人達はそろそろそれに向けた準備や覚悟をする必要がありそうだ。」という事です。これ、ちょっと表現が厳しいですかね?。

 ○ “現状維持”の難しさ

 じゃあそういうTCGの衰退をどうすれば止められるのか?。あるいはTCGに脚光を浴びせて日本でブームを巻き起こす事はできないのか?。そういう話は過去に Magic 関連の記事で何度も書いているのでここでは割愛します。ただ1つだけ言えるのは「このままでは明らかにまずい。」という事です。実際例えば Magic も少年ジャンプやコロコロコミックに取り上げられて追い風が吹いた時期があります。しかし結果的にはそれでも現状維持がやっとだった。そういう歴史が既にあるのです。

 最近マスコミでは遊戯王OCG辺りの話題ですら取り上げられる機会が無くなった気がします。遊戯王OCG程の知名度と話題性を持ったTCGですらマスコミに取り上げられないとなると、その他のTCGが取り上げられる可能性はいよいよ薄くなります。「別にTCGの現状維持を考えるならそれでいいのでは?」と思われるかも知れませんが、しかし現実には“ピークを過ぎたと世間に認知された遊びは現状維持が極めて難しくなる”のです。それは皆さんにも何となく感覚的にご理解頂けるのではないかと思います。自分の周囲でTCGが遊ばれなくなって自分(あるいはごく一部の仲間)だけが続けている。そういう状況でTCGという物がそれまでと同じように楽しめるはずもないし、他の人達が別の趣味で盛り上がっていればどうしても目移りしてしまいます。(要は、今我々がたまごっちを遊んでいる人を見て「古い!」「時代遅れだ!」と感じる、その感覚をそのままTCGに対して持たれる危惧があるのです。)ましてやTCGなんて遊びは多くの仲間が周囲に存在する事を前提に仕組みが成立している訳で、その前提が崩壊してしまったら(たとえ自分にはどれだけ続ける気があっても)挫折せざるを得ないのです。

 こういう認識によって現状に危機感を持ち、TCGの知名度アップのために投資をしている。という販売サイドって、私に言わせると多分日本では(アクエリのメーカーである)ブロッコリーのみです。その他の販売サイドはそこまで考えていなくて、私が見る限り“日本のTCGには勢いがあるとユーザーに思い込ませようとしている”だけです。確かに色々な雑誌にTCGの広告は掲載されています。しかしそれらの大部分が実は既にそのTCGを遊んでいるユーザー向けでしかありません。TCGの勢いに少しでも陰りが見えるとユーザーが離れちゃうから、それを悟られないようにしているだけの事です。またTCGメーカーや販売サイドが企画する各種イベントも概ねそんな感じです。

 そしてTCGのゲームシステムは以前にも増して肥大化&複雑化し、そこに競技化推進が相まって初心者から見た敷居はどんどん高くなっています。そういう現状に販売サイドが助け船を出す事もなく、とにかく既存のユーザーにより多くのカードを買わせる事しか頭にない。こういう状況は過去に格ゲー等でも起きていて、でも結局は破綻しています。現在TCGはそれこそ格ゲー辺りが辿った衰退への道筋を、ほぼ正確にトレースしながら推移しています。まあ格ゲーが日本における“ブームを生み出した成功例”ならば、それで何ら問題はないのですがねえ・・・。

 ○ “その日”はもう来ているのかも!?

 さて、ここまでの内容だとこの話が私の単なる取り越し苦労だと思われかねないので、最後に具体的なデータに基づいて話をまとめてみます。

 あるオンラインTCGゲームの紹介記事に「日本でのTCGの市場規模は500億円に達する。」という内容が掲載されていました。ところが更に色々な情報を調べてみると、実は「遊戯王OCGだけでその位の額は売り上げている。」という話が出てきます。 (^^; これって「TCGの市場として世間が認知しているのは遊戯王OCGのみで、あとはおまけである。」という事なのでしょうか?。 (^^;;;

 結構この辺の数字は諸説飛び交っていて見極めが難しいのですが、取りあえず最新の情報を総合すると「日本国内のTCG市場は現在800億円規模で、そのうち半分(あるいはそれ以上)を遊戯王OCGが占めている。」という感じのようです。(ちなみに米国のTCG市場は1500億円規模だそうです。しかし実際には米国でのTCGの販売価格は日本よりも遥かに安いと想像され、その流通枚数は日本の比ではないと考えられます。)ただしこのリサーチには同時に「現在遊戯王OCGの売れ行きが鈍り始めている。また今後遊戯王OCGの売り上げが更に減少する事をKONAMI自身が認めており、しかも過去の経験(=前の章で書いた“ピークが過ぎた遊びの衰退は早い”という話)からその落ち込みがKONAMIの予想を上回る可能性すらある。」という内容も紹介されていました。要するに「TCGという遊びが衰退期に入りつつある。」というのは業界が既に認知している話であり、同時に私がここで書いたような一連の危惧はおもちゃ業界の中では常識として存在するようです。

 あとついでに書いておくと、TCGの市場規模は2001年は1000億円になると予想されているそうです。(つまり当初市場は伸びると予想されていた。)ただしこれはその前年までの伸びだけを見て出した予想値であり、実際にどうなるかは現時点では分かりません。しかも“遊戯王OCGが下り坂”というのは今年の半ばになって出てきた話で、これによりKONAMIは今年5月に発表した今年度の業績予想を8月に下方修正しています。(一説によると400億円台と予想していた遊戯王OCGの売り上げを200億円台に修正したそうです。率にして6割減だそうで。)まあブームの終焉なんてそんな物で、いつもそうですがある日突然もの凄い勢いでやって来るのです。

 さて、我々TCGプレイヤーには“その時”に向けての準備はあるでしょうか?。日本のTCG市場で遊戯王OCGが半分のシェアを占めている以上、“遊戯王OCGの衰退=日本のTCGの衰退”という図式は容易に成立し得るのです。多分これを読んでいる方の中にもそろそろ心当たりがあるはずです。いつも通っているデュエルルームに行ったら、いつもいるはずの常連のあの人が来なくなっていた。そんな光景を少なからず目の当たりにしているんじゃないですか?。あ、人によってはその通っていた店が消えてた、なんてかなり笑えない状況になった人もいるかも知れません。 (^^; そういう状況がひょっとすると(ごく近い将来)全国的に巻き起こるかも知れない。それは絵空事でもなければ単なる空想でもなく、かなり高い可能性で起こり得る未来像なのです。

 私は例えば「いや、それでも自分はこのTCGで競技をする事を志して先に進むんだ!」という方を歓迎したいと思っています。そういうプレイヤーは間違いなく“その遊びの危機を救えるだけのパワー”を持っているからです。(ただし単に販売サイドに煽られてやってるだけの似非競技プレイヤーには、間違ってもそんなパワーがある訳はないですが。どうせ危なくなったら真っ先に逃げ出すんだろうし。 :-P )しかし実際例えば今の(強い事が単なる自己満足にしかならない)格ゲーの世界にすら、とにかく目の前の対戦に勝つ事だけに執着して周囲を見ないプレイヤーが少なからずいます。要するに彼らは自分だけが快楽を得て欲求を満足させる事しか頭になくて、でも自分1人ではマスターベイションができない(というか、他人と無理やりセックスして自分だけ満足感を得ようとしている)輩なのです。そういうプレイヤーは遊びの世界に取っては何の足しにもなりませんし、むしろそういう輩がのさばる遊びの世界はいよいよ“衰退”への進行を止められないでしょう。でもねえ・・・そうは言っても所詮ダメや奴はダメなんですが(溜息)。

 あ、勘違いしないで欲しいのですが、別にここで私が書いた話であなた自身が何らかの触発をされる必要は全くありませんし、私もそんな事は狙っていません。ただここに書いた私の話が全く信用できないのであれば、ご自分で“TCGの現状”をくまなく調べてみればいいでしょう。(ちなみに上に取り上げた一連の情報は、すべてインターネット上で公開されているニュース等から得た物です。Googleから適当なキーワードで検索をかければすぐ見つかるでしょう。)そしてその結果「これはやばそうだ!」と感じたならば、その時改めて「じゃあ自分はどうするか?」「自分には何ができるのか?」を自分で考えてみればいいのです。ちなみに私個人が出したこの問題に関する結論は「自分はこのままTCGが廃れても別に構わない状態になった。でも日頃お世話になっているお店が困るのは本意ではないので、自分で出来うる限りのサポートをしていこう。」という物です。ですから私個人の思想を皆さんに押し付ける気は毛頭ありません。こんな話は自分で決めるしかないし、また自分で決めても思い通りになる保証なんかどこにもないのですから。

あいせんの“本音の部分”

 ・・・なんかもの凄く長くなっちゃいました。ごめんなさい。 (^^;;; で、ついでなのでもう少しお付き合いを(笑)。

 今回取り上げたTCGの現状に関してですが、一部のTCGメーカーはちゃんと認識しているようで、例えば Magic でもWoCが“オンライン Magic ”のサービスを来年から本格的に始めるそうです。またそれ以前から、個人や同人レベルによるTCGのオンライン対戦システムが幾つも提案されています。要するに「このまま現状のシステムを変えなければTCGはダメになる。」という認識をちゃんとした会社や個人は持っていて、然るべき次の一手を考えているのです。ただしオンラインTCGはそれまでTCGを販売して様々なサポートをしてくれた販売店を根こそぎ切り捨てる仕組みな訳で、その普及は必ずしも手放しで喜べる話ではないのですが。

 私個人が考える“TCGという遊びの欠点”を挙げてみると・・・

  1. それなりに遊べるようになるまでの投資が決して安くない。更に本格的に遊び始めると、それこそ半永久的に高額の負担を要求される。
  2. ルールが煩雑になりがちで初心者には取っつきにくい。
  3. カードの整理といった、遊びには直接無関係な無駄な時間を使わされる。
  4. レアリティの高い人気カードの入手が困難で、ゲームバランスに工夫がないと“投資額の多さ=プレイヤーの強さ”になりがち。
  5. 無駄なカードを買わされる。(無駄なカードを売る工夫をしないと商売として維持できない。)
  6. 使用カードが少ないと特定のカードやデッキが猛威を振るいやすく、逆に使用カードを増やすと入手が困難になって遊びにくくなる。
 ・・・とまあ、決して良くできた遊びとは言えない位欠陥が多いのです。 (^^; しかしこの項目のかなりがオンラインTCGによって解決する訳で、やはりいずれは検討せざるを得ない選択肢なのでしょう。

 ただTCGのネットゲーム化が避けて通れない問題として「ネットゲームでそのTCGに手を出したプレイヤーに、いかにして実際のカードを買わせるか?」があると思います。それも「このTCGの世界大会は予選がオンラインで決勝がカードを使う。だから競技イベントに参加したければカードも買いやがれ!」なんて義務/強要で買わせては多分失敗します。オンラインTCGが普及すると下手をすると実際のカード流通は激減する訳で、そうなるとトレード等が今まで通りに行かなくなる危惧もあります。(でも実際問題として、少なくとも Magic 辺りのトレードには既にかなりの沈滞ムードが漂っていますが。 (^^; コレクションで集められるカードが乏しい上に、カードの人気/不人気がはっきりし過ぎ。あまつさえ超人気カードは本気で誰からも出ないので。)そうなると“オンラインTCGと実際のTCGがユーザーを食い合って共倒れする”という最悪の事態すら起こり得るのです。

 あと前から書いている話ですが、私個人は「オンラインTCGは絶対に遊ばないだろう。」と考えています。コレクション性の無いTCGに私は魅力を感じませんし、結局カードを買い続ける&使い捨てるというシステムが維持される事には到底納得できないからです。やはり個人的には“実際のカードで遊ぶ”という前提の下に、新製品の発売ペースとかカードセットの内容等の発想を変える方が理想だという気がするのですが。(実際そういう提案は、例えば Magic の著名なプレイヤーの中からも出ていたりします。でも実際にTCGメーカーがその案に基づいた具体的な提案を提示するには至っていないようです。)

   

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