12月17日(日)

日本地図で福井県を見ると、オタマジャクシの様な形をしている。大きな頭の部分は、越前(嶺北地方)であり、長い尾の部分は若狭(嶺南地方)である。同じ県内でありながら、この2つの地方は、自然科学や人文科学において大きく異なる。言葉、自然、食べ物、人間自体が大きく異なるのである(もちろんどちらも日本人です)。つまり、すんでるクワガタも異なるわけである。懲りずに、チビとネブトを狙って、この若狭へ出撃することとなった。あらかじめ目星をつけていた半島があったので、ここより新規開拓となる。
夜も明けきらぬうちより、愛車パサートにて移動を開始する。北陸道敦賀ICよりR27を西進する。とある峠道を越えると海が見える。


<いい眺めだ>

あいかわらず断崖絶壁の海岸線だ。ここで、ボーと休憩した事がこの後、悲劇を生むことになる。予定通り、目的地に到着し、採集装備の準備に取り掛かると、「無い、財布入りポーチが無い。」さっきの休憩地に置き忘れたようだ。急いで戻り、探すが、無い。幸い、携帯がポッケとにあったので、すぐさま、110番する(市外局番無しでかかった)。警察は、紛失届を電話で受理してくれる(ありがたい)。自宅のなおみちゃん(妻)に頼んで、クレジット会社にも紛失届を出してもらう。もう一度、周辺をくまなく探してみる。クワガタ探しより簡単なはずなのだが、見当たらない。「大失敗だ、悲劇だ、自業自得だ。」と嘆いてみても時すでに遅し、とりあえず、打つ手も無いので、クワガタを探す事にする(せっかく来たのでもったいない)。
地図で見ると照葉樹林だが、実際は、アカマツ→コナラ→照葉樹林への2次遷移の途中であった。アカマツの倒木が多く、赤材には事欠かないが、何にもいない。コナラは大きな木が多く、樹液も出ている。尾根伝いに登り、小さな広場に出る。コナラやシイの倒木を割ると、蛹部屋が現れる。


<コクワの亡骸と蛹部屋>

残念!成虫は死んでいる。もう一丁割ると、成虫が出る。28mmの可愛い♂である。ついでに、幼虫も出る。

 
<久しぶりの成虫>                      <コクワ幼虫>

やっぱり、落とした財布が気になり、撤収する事にする。もう一度、気になる場所を丹念に探していると、花が咲いていた。


<アンコツバキは恋の花>

落ち込んでいるはれほれにとっては、慰めにならない。せっかくの花なのに。
今週の新規開拓は、とんだことになった。非常に残念である。「近場から丹念に開拓せよ。」との神の声かもしれない。
「迷わない、ちゃまらない、事故らない、忘れない。」を肝に銘じ、来週もがんばろう。

採集結果
コクワガタ(成虫)  1♂
コクワガタ(幼虫)  3exs

後日談
帰宅後、なおみちゃんより、厳しいお言葉を頂く。こんなとき慰めてくれるのは、ビールだけのようである。
翌日、午前中の仕事を休み、銀行回り、公安委員会への届などなど事後処理をしていると、警察より「届があり見つかりました。」との、神がかりな連絡が入る。早速、100Km彼方のとある警察署へ出向くこととなった。ようやくたどり着き、中身を確認すると、全部そろっている。紛失物無しである。なんという善人に拾われたのであろう。はれほれは幸せ者だ。担当者より拾い主の氏名と住所を教えていただき、お礼に向かう。場所は、コクワを採集した地点のすぐ近くである。すでに、日が暮れ、辺りは真っ暗である。拾い主は、80歳前後の万太郎じいさんでありました。この時は、万太郎じいさんが、神様に見えた。丁重にお礼を述べて、あらかじめ用意しておいた大吟醸を取り出し、「これは、私の感謝の気持ちです。召し上がってください。」と、万太郎じいさんは、「酒は、飲めないけど、少しは飲める。」よく解らないけど、OKのようだ。再び、丁重にお礼を述べて、早々に失礼する。これで一安心である。帰宅したのは、PM8を過ぎていた。一日中、昨日の事後処理をしていたわけだ。
終わりに。万太郎じいさんや警察署の方々には、大変お世話になり感謝しております。はれほれはこのご恩を一生忘れません。いつの日にか、恩返しをいたします。はれほれでした。

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