大好きなまじょ川

                                    内外海小学校 3年 高垣ほなみ

 いつものようにまじょ川を通りすぎようとして、わたしは、自転車を止めました。わたしの体は石のようにかたまり、さっきまでのいい気分がどこかへとんでいってしまいました。わたしの大すきなまじょ川に、黒みがかったきたないこけがいっぱいついていたからです。おまけに、まわりにはドロドロの土がこびりついていたのです。

 まじょ川は、わたしの家の近くにある小さな川です。わき水が、知らないうちに、音もたてずに地下から沸き上がってきます。本当にまじょ川の水は、ガラスみたいにすき通っています。また、まじょ川のそこは、かいだんみたいに3だんになっています。上のだんの水は飲むとつめたいくて、夏には暑さなんかわすれるほどおいしいです。次のだんの水は、村のおばあさんたちが畑でとれた野さいをあらったり、海でとれた魚や海草を洗ったりするのに使われています。そして、一番下のだんの水は、トンガや長ぐつを洗うのに使われています。まじょ川は、泊地区の人気者です。もちろんわたしも大すきで、自転車のさん歩コースに入っています。

「助けて。」

まじょ川が、わたしにしか聞こえない声でつぶやきました。わたしは、自転車から下りて、ぼうにかけてあるたわしを持っていっしょうけんめいこすり始めました。

「待ってね。もうすぐきれいになるからね。」

わたしが、これでもかこれでもかとあらい場の平たいしき石をこすると、よごれがどんどん落ちていくようでした。わたしは、うれしくなって、石と石のすきまも、たわしの先を使ってこすりました。

 だいぶ時間がたったころ、

「がんばっとんなあ。もう少しするときれいになるで。」

後ろの方から、お父さんの声が聞こえてきました。わたしはうれしくなって、もうすこしみがいていようかと思いました。それからしばらくして、知らないおばさんが、

「みがいてくれとんの、ありがとう。」

と、にこにこしながら声をかけてくれました。わたしは急に声をかけられてびっくりするやらはずかしいやらで、

「はい。」

と小さな声で返事をしました。それから、わたしは、川のそこの小石についたこけのようなぬるぬるしたよごれも落としました。

 いつの間にか、あたりは少し暗くなっていました。宮さんの木のてっぺんから、ふくろうのホーホーと鳴く声が聞こえてきます。わたしは、まじょ川の2だん目の水で手をあらって、たわしをもとの場所にもどしました。

「ああ、きれいになった。やっぱり、まじょ川がきれいだとうれしいなあ。」

わたしは、ずっとしゃがんでいたので、足やこしがだるくなってふらふらだったけど、わたしの心はすっきりしました。

 夕食のとき、わたしは、お父さんとお母さんにまじょ川のことを話しました。すると、お父さんがうれしそうに、「ほなみ、がんばとったなあ。昔は、まじょ川で米やしょっきを洗っとったんや。泊のみんなの生活に必要な川やったんやで。」

と教えてくれました。そばからお母さんも、

「ええことしたね、ほなみ。またみがいてね。」

と、にっこりしながら言ってくれました。わたしは、

「そうか、この川もがんばっとんやなあ。いいことしたなあ。」

と、お父さんお母さんにほめられて、とってもうれしい気分になりました。

 2、3日たって、わたしは、おじいちゃんにまじょ川のことをいろいろ聞いてみました。おじいちゃんの話では、子どものころは、水がよくわき出て、川に子どもがいっぱい集まって遊んでいたそうです。ときどき、つめたくて気持ちがいいので足をつけて遊んでいたそうです。ときどきつめたくて気持ちがいいので足をつけて、近所の人によくおこられたそうです。でも、いつの間にか、まじょ川の水はかれてしまったそうです。おじいちゃんは、「今のまじょ川は、去年、おじいちゃんと近所の大森さんらで、もう一度きれいなわき水をふっかつさせようかと相談したんや。そして、みんなで地面をほったんや。」

と、今のまじょ川ができたわけをくわしく教えてくれました。わたしは、おじいちゃんや大森さんたちも、まじょ川がすきなんだなあ、それで、わたしたちに、まじょ川のよさをのこしてくれたんだなあと思いました。おじいちゃんは、やさしい顔をして、「これからも、まじょ川を、ほなみらで大切にしていきなよ。」

と言いました。おじいちゃんの言葉はにわたしは、深くうなずきました。わたしは、これからも進んでまじょ川をきれいにしたいです。

 


※ほなみちゃんのこの作文は、福井県小中学校図画作文コンクールで銀賞になりました。

 まじょ川の復活を子どもたちがこんな風に受け止めてくれていたのですね。子どもたちに残していってやらないといけないことがいっぱいあります。そのために、大人がもっともっとがんばらねばと思います。ほなみちゃんありがとう。

(保護者と本人の了解を得て掲載しております。)